森村天真の日記<泰明餌付けの記録?>
※ 現代編 ※

注1:これは、天真くんの泰明さんゲットをかけての飽くなき挑戦の記録である。
注2:友雅さんに『勝てはしないが負けてはいない』天真くんがコンセプト(笑)

      
記録の1

   

先日のことなんだが…
泰明と…その、デートしたっていうか…///

目障りな友雅の奴がその日は居ないってんで、俺は泰明を午後から連れだしたんだ。

天気もいいし、泰明をバイクのうしろに乗せて烏丸通りを走った後、
どこかでメシでもってことになって…

そんで泰明になにがいいか訊くと、泰明は俺がいつも行くところで構わないって言うんで…

…ッてか、なんであんな思わず見惚れちまう表情で言うんだよ…っ/// 
マジやべぇ…、やっぱ可愛すぎるぜっ…泰明////

…ああ、街中じゃなかったら、勢いでそのままいい雰囲気に持って行ってるとこなんだが……チッ。 
ちくしょう…、やけに道沿いに並ぶラブホの看板が目にチラつく…;;

………で、まあなんとか自分を制して(イキナリは…な/苦笑)、
取り敢えず、よく夜中バイク走らせてる時に立ち寄るバーガー屋が近かったんで
そこに入ったんだ。

どうやら泰明はこういう店は初めてだったらしく、
注文するのも慣れてない様子で…なかば店員を困らせちまって、
俺が傍でいちいち説明してやらなきゃならない始末だったんだが…

まっ…そんな辿々しさが余計守ってやりたいと思わせて可愛んだけどな…///

注文を済ませ、商品の載ったトレーを受け取り、
ちょうどポテトは揚げてる最中だったんで引き換えの番号プレートももらって、ようやく空いてる席に着くと、
泰明は、「ここではいろいろと手順が違うのだな。
友雅がいつも連れて行く所は何処もまず店の奥の席に通され、時間をおいて次々と給仕の者が料理を運んでくる」と言った。

なんだアイツはいつも料亭かホテルの高級レストランに泰明を連れてってるのかよっ…!(焦ッ)

ああ、そうかよ(ムッ)
そうだろうな、アイツはこんなトコ入ろうなんてまず思わないだろうな。

…って、この場にいないあの野郎のことにイラついていると、
泰明は、「少し騒がしいが、このような雰囲気も楽しげで良いものだな…」と言い、
「有意義な経験をした、このように私のまだ知らぬところへまた連れて来て欲しい」と言ってくれたっけ…

まあ、今度はバイトしてちゃんと金貯めてから
どっかオシャレで美味いトコに連れてってやろうと思う。

やっぱ…泰明をもっと喜ばせてやりたいからな///

   

       


記録の2

 

 
…そっか、この前の丼屋も気に入ったのか。
お前が喜んでくれたんなら…いいんだけどさ(照//)

だけど今度は…、その…もっとイイとこ連れてってやるよ。
なんでもイイぜ、中華でもフレンチでもパスタでもっ!

…えっ、寿司がいいって。
寿司か…!
…そうか…寿司かぁ…;;(苦笑)

…わかった! いいぜっ…、俺も男だ…!
時価でも何でも来いってもんだっ…お、お前の為だ、有り金全て叩く覚悟は…ある!

……へ?
友雅が連れて行くような寿司屋じゃない店…だって?

「皿が回って流れてくる所がいい」って…

……はあ。(大きく溜息)
なんだ…回転寿司のことか!(ちょっと身構えちまったじゃねーか…;)

よーし!
そこなら安心して(俺が/苦笑)何皿でも泰明の好きなだけ取っていいぜ!


でも何で、回転寿司なんだ?
あかねが言ってた…って、
…は?
「そこにはお皿と一緒に夢も一緒に回っているんですよ」って…(…はあ?/苦笑)

……おそらく、
アイツが言ってるのは、寿司と一緒に回ってるプリンやケーキの事だろうな…;;

     
   


    
  
記録の3

 

 
俺は伝説や神話とか、そんなものはあまり信じちゃいない方なんだが…

…けど、
今日ばかりはこういった類のものに擬えるっていうのもいいかなと、そう思った…。 

今日は七月七日、…七夕だ。

実は今日…、
泰明の方から俺を呼び出してくれたんだ…///

そして泰明は…
「いつもお前にはいろいろと馳走になっているな」と切り出してきた。

俺は、俺が好きでやってる事だから気にすんなと言ったんだが、
泰明は首を横に振って、
「天真…、だから今度は私がお前をもてなそうと思う」と言い

真っ直ぐに俺を見つめながら…
「お前が望むものを言え、…何が食べたい?」
って言うから…

つい…

「じゃ、お前」……って、俺は泰明に答えた。

装ってシャレっぽく口にしてみたものの、
それは…、その…密かに本心でもあったん…だが…//

まっ…//
で…泰明はいつも通り、
このあと「…な〜んて、な。冗談だよ」って言う俺に、
解らないって顔で可愛らしく首を傾げる…だろうと思っていた。

…だが、
俺がそう言う前に、泰明はそんな俺の予想を大きく裏切る言葉を発した

「お前もか」…と。


……は?

お前もか…って、
……なッ! なんだよっ、その「お前もか」っていう切り返しは…ッ?!

って、そんな俺の心の中の激しいツッコミなどお構いなしに、泰明はさらに言葉の先を続けた。

「先日、友雅にも世話になっている故、私がそのように言うと、
その時も友雅が同じことを言った」

Σなッ…!何だとおぉ…ッ!!!

「でッ…、どうしたんだよっ…まさかお前、そのあと友雅にっ…」って、
俺は泰明の細い肩を掴み、問い質そうとした。

けど、その時だ…!
なんかっ…いきなり白鷺が無理矢理俺と泰明の間を遮るように空から降りて来やがって…!

そして予期せぬ展開に焦る俺を余所に、泰明はその鳥の嘴に触れたかと思うと
「お師匠の式か。……うむ、…そうか」と呟き

「天真…お師匠から至急戻ってこいとの知らせが来た。すまないが、また次の機会でよいだろうか」
と言い残し、そのまま行っちまって…っ

おいっ…
ちょっ…待てよ…ッ!!
話はまだ済んじゃ…っ、泰明!?


……しかし、そんな俺の叫びは虚しく… 

……で、まるで追い打ちをかけるように、
その場に取り残された俺の、
そん時の心の中を投影したかのような激しい雨が、俄に降り出してきた…。


……俺と泰明の天の川は、今夜もやっぱり増水中らしい…(ガクリ;;;)

       


記録の4

  
 

今日は詩紋が買い物につき合ってくれって言うんで、俺は詩紋と二人街中に出てきていた。

…それにしても、暑っち〜;;;
気温は真夏日の上、湿度も高いときて、
俺の不快指数もかなり高めだ。

詩紋も俺と同じく暑さに参っているらしく、
このままじゃ煮えちまうってことで、俺達は何か冷たい物でも飲もうと
何処か入れる場所を探した。

そして近くのファミレスを見つけ…、
その店のガラス越しに知ってる奴の顔を見つけた。

…頼久だ。

……かなり、浮いてんな(苦笑)

しかし、なんでよりによってこんなにファミレスに似合わない奴がこんなところに居るんだ?

俺と詩紋は店に入り、窓際の席に座っていた頼久へ
「おい頼久、お前がこんなとこに居るなんて珍しいこともあるもんだな」と声をかけると…、

「お前達か…」と返す頼久の顔色は、なんだか少し悪い。

俺はなるほど…と、
「さすがのお前もこのうだる暑さには参って、仕方なくここに入ったって訳か」
と言えば、
「お前と一緒にするな。これくらいの暑さ修行と思えば何ともない。心頭滅却すれば火もまた涼し、だ」
って反論するが…

「じゃ、何でお前みたいな奴がひとりでファミレスなんかに居るんだよ」

「ひとりではない」

そこへ、背後から予期しなかった声が聞こえた。

「なんだ、天真と詩紋も来たのか」と。
 

なんで泰明が!?

…って!!
頼久の奴、なに抜け駆けして泰明を連れ出してんだよっ…!!


新たな伏兵の出現で、それまで八割五分だった俺の不快指数はそのことで一気にMAXに達し、
俺は頼久に詰め寄ろうとしたんだが、
その時、不意に俺の視界にあるものがよぎった。

それは泰明が手にした、なにやら不気味な色の液体が入ったグラスで…

そして泰明は、なんとも形容し難く濁ったそれを、
「頼久、お前のためにもう一杯作ってきたのだ」と頼久に差し出した。

あとで訊けば、
この店のドリンクバーと書いてあるのぼりを泰明が見つけ、それが何か気になり店に入ったらしいんだが…

…で、
笑顔でそう言われた頼久は、
「あ…有り難う御座います、泰明殿。
貴方が私の為にと作って下さったのです、この頼久、喜んで頂戴致します…!
た、たとえこの身がどうなろうとも…!!」と言い切り、
どう見てもそれはヤバイだろう…っていう色をした、かつては飲み物だっただろう液体に
頼久は迷わず口を付け、途中えずきそうになりながらも一気に飲み干した。

ドリンクディスペンサーが置いてある所の壁には、
「あなたのお好みでオリジナルドリンクを作ってみませんか?」と謳い、
設置してあるソフトドリンクを使って、割合など、色々な調合を一例として紹介してある手書きのポスターが貼られていた。
その試みは来店客を愉しませるための店側のサービスの一環なのか、
はたまた長時間だべり、うるさく騒ぐガキどもへ対してのささやかな制裁なのか、もはやよくわからない感じではあるが…

どうやら、それは泰明の心をひどく擽ってしまったらしい…(苦笑)

敵ながら見事な奴、と頼久の勇者ぶりに感服するのも束の間、
……次に泰明は、俺に声を掛けてきた。

「天真はどうする?」

そう、何か俺に飲み物を作ってきたいという期待を込めた瞳で訊いてくる泰明に、
思わず「じゃ、頼む」って口にしそうになる…… けど…

「天真先輩…、ここは先輩も頼久さんに負けず、男として泰明さんのお手製ドリンクを飲まなきゃ…」なんて…、
このあと己の身にも迫り来るだろう危険を察知したのか、
いち早く冷たい飲み物のいらないフラッペを注文すると告げ、泰明の罪なき好意を回避していた詩紋は、
かなり無責任な事を耳打ちして来るが…、だがそれは自殺行為だ;;;

頼久のあの顔色を見れば一目瞭然じゃねーかよ…;;;;;
泰明に気づかれないように装ってはいるが、既に顔は土気色だ…(苦笑)

俺は心を決め、

「わり…俺さっき冷たいもん外で飲んできたばっかっで、…折角お前がそう言ってくれてるのにすまないな」と、
「先輩の意気地なし…」という詩紋の頭を拳固でグリグリしながらそう言って、
なるべく泰明の機嫌を損ねないように注意しながら、泰明の申し出を丁重にかわした。

泰明は「そうか…それでは仕方がない」と、少し残念がってはいたが、素直に納得してくれたようだった。

泰明ゴメンな、
折角お前と会えたのに、何もしないうちにここで再起不能になる訳にはいかないからな…。

 
…そして、

その生真面目さゆえに上手くかわすことの出来なかった頼久の不憫さに、
なんかもうさっきまでの怒りの矛先を見失っちまっていた俺だったが、
(というか、もう充分泰明を無断で連れ出したその報復を自ら受けているって感じだしな…;;;)
その時、脳裏にある考えが浮かんだ。

俺は泰明に

「そのかわりといっちゃなんだが、特別に俺のスペシャルブレンドを教えてやるよ」

「すぺ…さる…?」

「そ。コレを友雅を連れてきて、お前のために心を込めて作ったんだって飲ませてやったら、絶対喜ぶと思うぜ!」

って、俺はとっておきのレシピを泰明に授けてやった。

いつもアイツには辛酸を舐めさせられてるんだ、
これで少しは憂さ晴らしさせてもらわなきゃ、礼を欠くってもんだよな…!(堪笑)

そのあと、天晴れな飲みっぷりで見事討ち死にした頼久を詩紋に頼み、
俺は泰明を送り届けてやったんだ。



     
   


 
    
 
◇◇ 次の記録へ移る ◇◇ 
  
       
★ブラウザの「戻る」でお戻り下さい★