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最終更新日:2012年04月21日(土) 10時41分 |
四字熟語辞典 (総登録数:505) | 編集者:トモノリスキー |
四字熟語は、それぞれ意味を持った漢字四文字が適切に組み合わされることで、人間の心理、世界の状況、普遍的なことわりなどが簡潔に表されます。日常会話、手紙、スピーチなどのさまざまな場面で四字熟語を使用することで、その内容は広がりを持ち、彩りが与えられます。
あ |
合縁奇縁 (あいえんきえん)
縁は異なもの奇なもの。人と人との交わりは、縁という不思議な力で導かれ、気が合うのも気が合わないのも、仏教でいう因縁によるということ。夫婦、恋人など異性関係について使うことが多いが、友人や先輩後輩など、親しい間柄についてもいう。「合縁」は「愛縁」「相縁」、「奇縁」は「機縁」とも書く。
【例】
君のようなウマが合う人と巡り合ったのは合縁奇縁というものだ。末永く付き合おう。
愛別離苦 (あいべつりく)
親子、兄弟姉妹、夫婦など、愛している人と生き別れたり、死に別れする際の苦しみ、悲しみ。仏教でいう「四苦八苦」のひとつ。四字熟語のほとんどは二字ずつの区切り(○○−○○)となっているが、この語は例外で「愛別離−苦」となる。
【例】
ご主人を亡くされてつらいのはよく分かるが、お子さんのためにも愛別離苦を乗り越えなくてはならない。
曖昧模糊 (あいまいもこ)
ぼんやりとしていて、まぎらわしく、物事の本質や実態がはっきりしない様子。「曖昧」も「模糊」も同じ意味で、二つの言葉を重ねることによって、より強調したもの。
【例】
この報告書は曖昧模糊としていて肝心なことが分からない。
【類】
朦朧模糊、五里霧中
悪因悪果 (あくいんあっか)
悪い行ないをすれば、必ずその報いとして悪い結果が伴うということ。悪いことをしないようにという戒めの語。「悪因」は悪い原因、「悪果」は悪い結果。
【例】
あいつは悪らつな手段で金儲けをしているが、悪因悪果で、今にひどい目に遭うに違いない。
【類】
因果応報、自業自得、自縄自縛
悪逆無道 (あくぎゃくむどう)
人の道に外れたひどい悪事。道徳にそむく残酷な行為。また、そのような行ないをすること。「悪逆」とは十悪の一つで、父母や主君を殺すような大罪。「無道」は人の道に外れることで、「ぶどう」とも読む。
【例】
悪逆無道の振る舞いは許せない。
【類】
悪逆非道、極悪非道、大逆無道、暴虐非道
悪事千里 (あくじせんり)
悪い噂ほど世間に広まりやすい。悪い行ないや評判は、隠していてもたちまち世間に伝わっていくものだということ。「悪事千里を行き、好事門を出でず」から来た語。
【例】
ちょっと料理に手を抜いたら、あっという間に客足が落ちた。悪事千里とはよく言ったものだ。
悪戦苦闘 (あくせんくとう)
死にもの狂いの苦しい戦い。あるいは困難な状況にあって、苦しみながら努力すること。不利な状況に立ち向かうさまをいう。
【例】
悪戦苦闘の末、優勝候補を敗る大金星を上げた。
【類】
苦節十年、苦心惨憺、千辛万苦
握髪吐哺 (あくはつとほ)
才能のある優れた人材を熱心に求めること。
【故】
中国の周公旦は、来客があったとき、入浴中であれば洗いかけの髪を握り、食事中であれば口の中の食べ物を吐き出し、すぐに客を出迎えた。
【例】
握髪吐哺して将来を担う人材を確保することが会社を発展させる。類:吐哺握髪。
悪木盗泉 (あくぼくとうせん)
どんなに困っていても、悪事に手を染めてはならないという戒め。悪事に近づいて人に疑われるようなことをしてはいけないという意味もある。
【故】
悪い木の陰に入って休んだり、盗泉(孔子が、その名を嫌って飲まなかったという古代中国の泉)の水を飲んだりするだけでも、その人の身が汚れるという。
【例】
悪木盗泉の心構えで公務に当たる。類:瓜田李下。
悪口雑言 (あっこうぞうごん)
あれこれと悪口を言って、人を口汚なくののしること。また、その言葉。「雑言」は悪口の意味。同じ言葉を重ねて意味合いを強めた表現。
【例】
部下の失敗を責め立てる部長の悪口雑言は聞くに堪えなかった。
【類】
悪口罵詈、罵詈雑言
阿鼻叫喚 (あびきょうかん)
悲惨な状況に陥った人々が、苦しみ、泣き叫んで救いを求める様子。悲惨でむごたらしいことのたとえ。「阿鼻」は仏教でいう八大地獄の一つ、無間地獄のこと。「叫喚」は叫び、わめくという意味。
【例】
列車の転覆事故の現場に行くと、阿鼻叫喚の様相を呈していた。
蛙鳴蝉噪 (あめいせんそう)
蛙や蝉がやかましく鳴くことから、ただうるさいだけで実りがない議論や、内容の乏しい文章をいう。
【例】
長時間、会議をしたところで、蛙鳴蝉噪では時間の無駄というものだ。
【類】
蛙鳴雀噪、喧喧囂囂
阿諛追従 (あゆついしょう)
他人にお世辞を言ったり、こびへつらったりして機嫌をとり、自分のことを気に入ってもらおうとすること。「阿」はおもねる、「諛」はへつらうという意味。
【例】
希望を抱いて入社したのに、職場は阿諛追従の輩ばかりで、辞めたくなった。
【類】
阿諛追随、迎合追従、世辞追従
暗雲低迷 (あんうんていめい)
危険なこと、重大事件など、よくないことが起こりそうな不穏な情勢をいう。「暗雲」は今にも雨が降り出しそうな低く垂れこめた暗い雲。
【例】
今は暗雲低迷の時期だが、何とか力を合わせて乗り切ろう。
安居楽業 (あんきょらくぎょう)
現状に十分満足し、楽しんで仕事をすること。
【例】
収入は決して多くはないが、自分の趣味を生かせる仕事なので安居楽業の毎日です。
【類】
安家楽業、安土楽業
安車蒲輪 (あんしゃほりん)
お年寄りをいたわり、大切にすること。また、賢者を優遇してもてなすこと。「安車」は、お年寄りや女性が座って乗れる車のことで、むかし、中国では車は立って乗るものだった。「蒲輪」は、蒲の穂で車輪を包むことによって振動を和らげ、乗り心地をよくしたもの。
【例】
安車蒲輪の心で両親に接している彼女の姿を見ていると、私も反省させられる。
安心立命 (あんしんりつめい)
いついかなる時にも心が落ち着いていること。利害に心を惑わされないこと。「安心」は心配がないこと。「あんじん」とも読む。「立命」は、天から与えられたものを全うすることで、天命に身を任せて心を動かさず、生死や利害に惑わされずに超然としているという意味。「りゅうみょう」とも読む。
【類】
安心決定
暗中飛躍 (あんちゅうひやく)
人に知られないように秘密のうちに動くこと。主に政治的な活動にいう語で、今は略語の「暗躍」を使うのが一般的。
【例】
思いもよらない政治決着が図られたのは、元首相の暗中飛躍があったからのようだ。
【類】
裏面工作
暗中模索 (あんちゅうもさく)
手がかりや糸口がつかめないまま、あれこれと考え、やってみること。暗闇の中で物を手探りする様子から来ており、確信のない探究や作業をいう。
【例】
何がヒットするのか見当がつかず、暗中模索のまま企画を立てていたが、ようやく方向性が見えてきた。
【類】
暗中模捉、五里霧中
安寧秩序 (あんねいちつじょ)
世の中が平穏で、安心と秩序が保たれ、何の不安もないこと。「安」も「寧」も安らかな状態を意味し、「秩序」は物事の正しい順序。
【例】
日本は安寧秩序が保たれている国だったが、最近は物騒になってきた。
唯唯諾諾 (いいだくだく)
事の善悪や是非を考えず、ただひたすら他人の意見に従い、人の言いなりになる様子。「唯唯」は、他人の意見に逆らわずに従うこと、「諾諾」は、自分の意見を持たずにうなずくことを意味する言葉。
【例】
私の母は父に唯唯諾諾としていて、とても歯がゆい。
【類】
付和雷同
遺憾千万 (いかんせんばん)
物事が自分の思っているとおりにいかず、残念に思うこと。不本意で心残りなこと。「遺憾」は、恨みを残したり、残念に思うことの意で、「千万」は、それがひどい状態。
【例】
よかれと思って忠告したのに、恨みを買うとは遺憾千万だ。
【類】
無念千万、残念至極
意気軒昂 (いきけんこう)
意気込みが盛んで、元気や威勢のいいこと。誇らしげで自身に満ちあふれているさま。「軒」「昂」ともに、高く上がる意味で、意気込みや心持ちが高揚してくることをいう。
【例】
念願の部署に配属された彼女の仕事ぶりは意気軒昂たるものがある。
【類】
意気衝天、意気揚揚
意気消沈 (いきしょうちん)
意気込みが衰え、元気をなくしてしょげかえること。落ち込んで打ち沈むこと。また、その状態をいう。
【例】
お気に入りのドレスを釘に引っ掛けてしまった彼女は意気消沈している。
【類】
意気阻喪、垂頭喪気
意気投合 (いきとうごう)
お互いの気持ち、考えがぴったりと一致して親しくなること。気持ちが通じ合って一体感を感じること。「投」「合」は、ともに音や人の気持ちなどがぴったり合うという意。
【例】
スナックで隣りに座った彼女と意気投合し、十年来の友人であるかのように話をすることができた。
【類】
意気相投、情意統合
意気揚揚 (いきようよう)
得意げで威勢のよいさま。気持ちが高揚し、いかにも誇らしげなさま。「揚揚」は誇らしげなさまの意。
【例】
始めて大きな商談をまとめた新入社員が意気揚揚として帰ってきた。
【類】
意気軒昂、意気衝天
異口同音 (いくどうおん)
話す人は違っていても、言うことはみな同じ。大勢の人が同じことを言う。また、人々の意見が一致し、みなが賛成するという意味。
【例】
誕生会に友達を招いたら、異口同音に母のことを美人だと誉めそやすので、ちょっと照れくさかった。
【類】
異口同声、異口同辞、衆目一致
意志薄弱 (いしはくじゃく)
意志が弱く、がまん強さ、決断力に欠けること。また、人の意見に流されやすく、いったん決めたことでも、考えをひるがえすこと。
【例】
私の息子は優しいことは優しいのだが、意志薄弱なところが気がかりだ。
【類】
意思弱行、優柔不断
石部金吉 (いしべきんきち)
堅物で融通の利かない人のこと。まるで石や金でできているようだということからきた語で、生真面目で、男女の機微に疎い人をからかう時に使われる。より意味を強調した「石部金吉金兜」という言葉もある。
【例】
あのように石部金吉では、なかなか恋人もできないだろう。
【類】
四角四面
医食同源 (いしょくどうげん)
薬と食べ物の源は同じであるという意から、病気を予防するには日頃の食生活に気を配ることが大切だということ。
【例】
中国料理の真髄は医食同源にある。
以心伝心 (いしんでんしん)
言葉や文字で説明しなくても、お互いの気持ちが通じ合うこと。本来は仏教用語で、言葉や文字で表現することが難しい仏法の真髄を師から弟子の心に伝えることを意味する。
【例】
小学校の時からの友人である彼とは以心伝心で、口に出さなくても、彼が何をしようとしているのか分かる。
【類】
拈華微笑、不立文字
異端邪説 (いたんじゃせつ)
正統から外れている思想・学説や、主流ではない少数派の主張。広く自分の信奉する思想・信条と異なるもの。「異端」は、聖人の道ではない別の学説を意味する。
【例】
今は異端邪説と避難されているが、いずれ私の主張が受け入れられる時が来ると信じている。
【類】
異端異説、異端邪宗
一意専心 (いちいせんしん)
他のことには一切目を向けず、ひたすら1つの物事に集中し、そのことだけに心を砕くこと。「専心一意」ともいう。
【例】
重要な仕事を任されたことを誇りに思い、一意専心の精神でやり遂げる。
【類】
専心専意、一心不乱、一所懸命、無我夢中
一衣帯水 (いちいたいすい)
一本の帯のように幅が狭い川や海峡のこと。極めて親密な関係のたとえとして使われる。「一衣」は「おび」の意で、熟語の構成は「愛別離苦」と同様に三字+一字で「一衣帯−水」となる。
【例】
一衣帯水の隣国と協力して経済発展を図る。
【類】
衣帯一江、衣帯之水
一言居士 (いちげんこじ)
どんなことについても何か一言、口をはさまなくては気が済まない人。「居士」は、もともとは在家で仏道を修行する男性を指す。「一言」は「いちごん」とも読む。
【例】
私の父は一言居士で、流行には疎いのに、最新のファッションを見ると色やデザインについて講釈する。
一期一会 (いちごいちえ)
一生に一度きりの出会いのことで、人との出会いは大切にすべきだとの戒め。「一期」は、人が生まれてから死ぬまでの間を意味する仏教語で、もともとは茶道の心得を説いた言葉だった(今日という日、そして今いる時というものは二度と再び訪れるものではない。そのことを肝に命じて茶会を行なうべきである)。
【例】
一期一会が大事だと思うので、旅先で会った人には必ず手紙を書くようにしている。
一言半句 (いちごんはんく)
短い一言。ほんのわずかな言葉。打ち消しの意味で使うことが多い。「一言」は「いちげん」とも読む。
【例】
今回の失敗については、一言半句の弁明もない。
【類】
一言一句、一言隻句、片言隻句、片言隻語
一字千金 (いちじせんきん)
一字に千金の価値があるほどの立派な文字や詩文。他人の作をほめるときの形容。恩師の教えをたたえるときにも使われる。「一字」は「一言」ともいう。
【例】
卒業に際して言ってくれた先生の言葉には一字千金の重みがあった。
一日千秋 (いちじつせんしゅう)
一日会わないと、随分長い間会っていないように感じられるほど思い、慕うことの形容。「一日」は「いちにち」とも読む。もとは「一日三秋」で、これを強調した表現。
【例】
彼が海外出張から帰ってくるまでの間は一日千秋の思いだった。
【類】
一刻千秋、三秋之思
一日之長 (いちじつのちょう)
一日だけ先に生まれて、ほんの少し年齢が上であること。転じて、他の人より少し経験が長く、技能・知識が優れていることをいう。
【例】
私が貴方より優れているのではなく、一日之長があるだけのこと。
一汁一菜 (いちじゅういっさい)
極めて質素な食事。「一汁」は、ひと椀の吸い物、「一菜」は一品のおかずを指す。修行僧や奉公人などは、このような食事が多かったといわれる。
【例】
多額の借金を返すため一汁一切の生活に耐えた。
【類】
粗衣粗食、節衣縮食
一族郎党 (いちぞくろうとう)
家族やその縁故者。また、血縁のある者と、その従者や家来。利益を共にする集団のたとえとしても使う。
【例】
一族郎党の力を結集して困難な問題の解決に当たる。
【類】
一家眷属
一諾千金 (いちだくせんきん)
いったん承諾した約束は絶対に破らず、確実にやり遂げること。男子がひとたび承知すれば、千金にも代えがたい価値があるという意味から来ている。
【例】
彼は、貴方が推薦してくれただけあって、一諾千金の男だ。
一念発起 (いちねんほっき)
それまでの考えを改め、あることをなし遂げようと強く決意すること。「発起」は「発心」ともいい、仏道に帰依し、悟りを開こうと決意するという意味の仏教語。
【例】
私は一念発起して司法試験を目指すことにした。
【類】
一心発起
一罰百戒 (いちばつひゃっかい)
最初の一人を厳しく罰することにより、他の多くの人々が同じ罪や過ちを犯さないように戒めること。
【例】
厳しすぎると思われるかもしれないが、一罰百戒の意味を込めて処罰した。
一病息災 (いちびょうそくさい)
一つの持病があると、日頃から健康に気を配るので、かえって長く健康を保つことができるということ。「息災」は、仏の力で衆生に降りかかる災難を除くことで、転じて身にさわりがなく、健康であるという意味。
【例】
心臓が弱い祖母が長生きしたのは一病息災というものだろう。
【類】
無事息災、無病息災
一部始終 (いちぶしじゅう)
事の始まりから終わりまで。こまごまとしたことのすべて。もともとは、一冊(一部)の書物の初めから終わりまでを意味する語。
【例】
泣いてばかりいては分からない。何があったのか一部始終を話しなさい。
一望千里 (いちぼうせんり)
見渡すかぎり広々としていて見晴らしがよいこと。また、そこから見える美しい景色。「一望」は、見渡すかぎりという意味。
【例】
一望千里の峠に差し掛かって、山登りの疲れが吹き飛んだ。
【類】
一望千頃、天涯一望、。眺望絶佳
一枚看板 (いちまいかんばん)
他に代わりのないもの。大勢の中の中心人物。芝居からきた語で、芝居小屋では重要な役者の名前を一枚の看板に書いたことに由来している。
【例】
彼は我が社の一枚看板のような存在だ。
一網打尽 (いちもうだじん)
大勢の悪人や敵対する者たちを、一時に全部捕らえること。一つの網で魚を捕らえ尽くすことから来ている。
【例】
懸命の捜査の末、窃盗団を一網打尽にした。
一目瞭然 (いちもくりょうぜん)
一目見ただけで、物事の様子がはっきりと分かること。分かりきっていること。「瞭然」は「了然」とも書く。
【例】
あのしょげ返った様子を見れば、彼女へのプロポーズがうまくいかなかったのは一目瞭然だ。
【類】
明明白白
一陽来復 (いちようらいふく)
今、悪いことが続いていても、いずれはよいことが巡ってくること。厳しい冬が終わると暖かい春が訪れる。これが転じて、逆境が続いた後には運が開けるという意味に使われるようになった。
【例】
一陽来復の兆しが見えてきた。
一粒万倍 (いちりゅうまんばい)
一粒の種から万倍もの収穫を得られることから、わずかなものから多くの利益を得ること、小さな善行が実を結ぶことのたとえ。そこから、些細なものでも粗末にしてはいけないという戒めの意味に使われる。
[←先頭へ]一蓮托生 (いちれんたくしょう)
物事の善悪や、予想される結果の良し悪しに関わらず、仲間と行動・命運を共にすること。主に、悪い結末が予想される時に使う。よい行ないをした者は、死後、極楽浄土で同じ蓮華の上に生まれ変わるという仏教の教えからきた語。「托生」は「託生」とも書く。
【例】
お前とは一蓮托生。力を合わせて最後までがんばろう。
一路平安 (いちろへいあん)
旅立つ人に「道中ご無事で」と、旅の安全を祈って言う言葉。
【例】
初めての海外旅行が一路平安でありますように。
【類】
一路順風
一攫千金 (いっかくせんきん)
一度にたくさんの利益を得ること。たいした苦労もせずに大金を手にすること。「攫」はひとつかみ、つかみとるという意味で、「獲」と書くのは本来は誤り。
【例】
一攫千金を夢見て宝くじを買う。
【類】
一攫万金
一家眷属 (いっかけんぞく)
家族と親戚・親類のこと。従者や配下など、同一流派の者を表す場合にも使われる。「眷属」は血縁のある者という意味。
【例】
父の七回忌に一家眷属が集まった。
【類】
妻子眷属、一族郎党
一家団欒 (いっかだんらん)
家族が集まって仲良く語り合うこと。「団欒」は集まって車座に座ること。また、親しい者が集まって仲良くするという意味。
【例】
我が家では、必ず週に一回は一家団欒のひとときを過ごすようにしている。
【類】
親子団欒、家族団欒
一喜一憂 (いっきいちゆう)
状況が変わるたびに、いちいち喜んだり悲しんだりすること。そこから、周囲の情勢に振り回される意味にも使われる。
【例】
株価が上下するたびに一喜一憂せず、長い目で見るべきだ。
一気呵成 (いっきかせい)
物事に集中し、ひと息に仕上げてしまうこと。特に文章を一気に書き上げること。「一気」は一呼吸、「呵」は息を吐くという意味。
【例】
だらだらと仕事をするよりは、一気呵成にやった方が好結果が得られる。
【類】
一瀉千里
一騎当千 (いっきとうせん)
一人の騎馬武者が千人に相当するという意味から、強い勇者の形容。転じて、人並み外れたすばらしい能力や技術、経験などをたたえるたとえ。
【例】
一騎当千の強者を迎えて、我がチームは優勝も狙えるようになった。
【類】
一人当千
一挙一動 (いっきょいちどう)
手を挙げたり、少し体を動かしたりするようなちょっとした動作や振る舞い。一挙手一投足。
【例】
さすがに良家のお嬢様だ。一挙一動に品がある。
【類】
一言一行
一挙両得 (いっきょりょうとく)
一度に二つの利益を得たり、二つの目的がかなうこと。
【例】
旅先で知り合った人の家に泊めてもらい、宿代が浮いた上に土地のことをいろいろ教えてもらった。まさに一挙両得だった。
【類】
一石二鳥、一挙両全
一刻千金 (いっこくせんきん)
わずかな時間が千金に値するほど貴重であるという意味。楽しい時間は瞬く間に過ぎ去ってしまう。そのことを惜しんで言う言葉。時間の浪費を戒める意味でも使われる。一刻は約三十分。
【例】
時は一刻千金なのだから、そのように一日を無為に過ごしてはいけない。
一切合切 (いっさいがっさい)
何もかも全て残らずという意味。「一切」「合切」とも、全てという意味の語で、二つ重ねることで強調した表現。「合切」は「合財」とも書く。
【例】
今回の不始末は一切合切、私の責任です。
一殺多生 (いっさつたしょう)
大勢の人の命を生かすためには、悪人を一人殺すのも致し方ないということ。転じて、大きな利益につながるのなら、小さな害を成すのも止むを得ないということ。「一殺」は「いっせつ」とも読む。
[←先頭へ]一子相伝 (いっしそうでん)
技芸などの奥義を、代々自分の子供にだけ伝えて門外不出とし、他には教えず秘密にすること。
【例】
この技は一子相伝なので、お教えすることはできません。
【類】
一家相伝
一視同仁 (いっしどうじん)
だれかれの区別をすることなく、全ての人に対して平等に接し、仁愛を施したり、待遇したりすること。「仁」は思いやり、慈しみの心の意。
【例】
教育者たるもの、一視同仁の態度で生徒に接しなくてはならない。
【類】
公平無私
一瀉千里 (いっしゃせんり)
物事の進み具合が非常に速いこと。話や文章が上手で、よどみなくすらすらと進むこと。「瀉」は水が流れることで、いったん流れ出した川の水が、たちまち千里もの距離を流れ下ることからきた語。
【例】
一瀉千里の話しぶりに聞き入る。
【類】
一気呵成
一宿一飯 (いっしゅくいっぱん)
旅の途中、一晩泊めてもらったり、食事を恵んでもらったりして、他人の世話になること。ちょっとした恩義でも忘れないようにとの戒めの意味に使う。
【故】
むかし、博徒の世界では一度でも他人の世話になったことを一生の恩義とする風潮があった。
一唱三嘆 (いっしょうさんたん)
すばらしい詩や音楽をたたえる言葉で、感動して何度も味わうこと。
【故】
むかし、先祖のみたまやの祭で、一人が歌いだすと、他の三人がそれに合わせて歌ったという。
【例】
一唱三嘆の名文。
【類】
一読三嘆
一笑千金 (いっしょうせんきん)
美しい女性は、ちょっと笑っただけでも千金の価値があること。また、それほどに美しい女性のこと。「一笑」は軽くにっこり笑うという意味。
【例】
彼女のような一笑千金の女性がいると、職場が明るくなる。
【類】
傾城傾国
一触即発 (いっしょくそくはつ)
ちょっと触れただけで爆発してしまいそうなほど、極めて緊迫した情勢。また、危険に直面しているような状態。
【例】
大統領の不正が発覚してから、クーデターが起こりそうな一触即発の状態にある。
【類】
危機一髪
一進一退 (いっしんいったい)
一歩進んでは一歩退く。つまり、進んだり後戻りしたりして進展がなく、情勢や病状などがよくなったり悪くなったりを繰り返すこと。
【例】
大型スーパー同士の商戦は一進一退で、どちらが勝つのか予断を許さない。
一心同体 (いっしんどうたい)
複数の人間の心が一致していて、まるで一人の人間であるかのように思われる強い結びつき。仲むつまじい二人を指すこともある。「一心」を「一身」と書くのは誤り。
【例】
我々は一心同体であり、私の意見は皆の意見と思っていただきたい。
一心不乱 (いっしんふらん)
心を一つのことに集中し、周囲のことに心を乱されることがない。また、何かに熱中して他を顧みないさま。
【例】
一心不乱に読みふける。
【類】
一意専心、一所懸命、無我夢中
一寸光陰 (いっすんこういん)
ほんのわずかの時間。わずかな時間を大切にしなさいという教えに使う。「光陰」は日や月を指し、月日や時間のこと。
【例】
一寸光陰、軽んずべからず。
一世一代 (いっせいちだい)
一生のうちただ一度の意味で、普段とは異なる大きなことをする時に使う。特に、役者が生涯に一度きりという得意芸を演ずること。「一世」は「いっせい」とも読む。
【例】
一世一代の大勝負に打って出る。
一石二鳥 (いっせきにちょう)
一度の手間や一つの行動から二つの利益・効果を得ることのたとえ。「二兎追う物一兎も得ず」とは逆に、一つの石を投げて二羽の鳥を仕留めることからきている。さらに利益が多い場合に「一石三鳥」ということもある。
【例】
取引先の社長が好きな釣りを私も始めた。やってみると楽しいし、仕事にもプラスになっているから一石二鳥だ。
【類】
一挙両得、一挙両全
一致団結 (いっちだんけつ)
同じ目的のために大勢の人が心を一つにし、事を行なうこと。また、人々が力を合わせ、助け合っていくこと。
【例】
消防車が来るまでの間、町内の人たちが一致団結して消火作業に当たった。
【類】
一致協力、一致協同、協力一致、協同一致
一知半解 (いっちはんかい)
十分に理解し、自分のものにしていない半端な知識。半可通。生かじり。一つのことを知ってはいるものの、半分しか理解していないことから。
【例】
私の知識など、まだまだ一知半解です。
【類】
半知半解
一張一弛 (いっちょういっし)
弓や琴などの弦を強く張ったり、弛めたりすること。盛んになったり、衰えたりすること、あるいは人に対して時に厳しく、時には寛大に接することのたとえとして使われる。相場が小さな変動を繰り返す場合にも使われることがある。「一弛一張」ともいう。
【例】
一張一弛の見事な人心掌握術。
【類】
緩急自在
一朝一夕 (いっちょういっせき)
ひと朝、ひと晩のような非常に短い時間、あるいは期間。「一朝」は「一旦」ともいい、「旦」は朝のこと。
【例】
会社は一朝一夕で大きくなったわけではない。
一長一短 (いっちょういったん)
何事であれ、長所と短所、良い点と悪い点の両面があり、完全であるということはないものだということ。「一短一長」ともいう。
【例】
人には一長一短がある。それを見極めて上手に使っていくことが大切だ。
【類】
一利一害、一得一失
一刀両断 (いっとうりょうだん)
物を一太刀で真っ二つにすること。このことから、物事を速やかに決断すること、あるいは思い切って処置することをいう。
【例】
一刀両断に解決する。
【類】
快刀乱麻
一得一失 (いっとくいっしつ)
一つ得をすれば、その一方で何かを失うものであり、いいことづくめではない。片方が良くても、もう片方に都合が悪い場合にも使う。「一失一得」ともいう。
【例】
なにごとも一得一失だから、いい面ばかりに心を奪われていてはいけない。
【類】
一長一短、一利一害
意馬心猿 (いばしんえん)
走り回る馬や騒ぎ立てる猿を制するのは難しい。このことから、煩悩や欲情を抑えることができず、心が穏やかでないこと。「心猿意馬」ともいう。
【例】
我々のような凡人は、なかなか意馬心猿から逃れられない。
萎靡沈滞 (いびちんたい)
人心や世相に活気がなく、発展しないこと。「萎靡」は、なえてしぼむこと、「沈滞」は底の方に沈んで滞ることで、ともに活気のないさまを意味している。
【例】
景気が冷え込んで、世の中が萎靡沈滞している。
威風堂々 (いふうどうどう)
威厳に満ちて立派な様子、侵しがたい気品があふれて堂々としている様子をいう。「威風」は周囲を圧倒するような威厳のこと。
【例】
威風堂々たる行進。
【類】
威風凛々、威武堂々
意味深長 (いみしんちょう)
言葉や文章の内容が奥深いこと。また、発言や行動の奥に、表面上の意味とは別の意味が含まれていること。「意味深」と縮めて使うこともある。
【例】
私のことを褒めてはいたが、意味深長な笑顔が気になる。
因果応報 (いんがおうほう)
良いことをした人には良い報いが、悪いことをした人には悪い報いがあること。悪いことに対して使われることが多い。もとは仏教語で、過去・前世の行ないに応じて果報があるという意味。
【類】
悪因悪果、自業自得、善因善果、前因後果
慇懃無礼 (いんぎんぶれい)
言葉遣い、態度が丁寧すぎて、かえって尊大な感じがすること。表面上は礼儀正しいが、心の中では相手を見下げていること。「慇懃」は、極めて礼儀正しいこと。
【例】
小さい会社だから馬鹿にしているのか、慇懃無礼な態度だった。
因循姑息 (いんじゅんこそく)
古くからのやり方にこだわり、一時しのぎの改善策しか取らないこと。また、消極的でぐずぐずしている様子。「因循」は、これまでのものによりかかること、「姑息」は、とりあえず息をつくという意味。
【例】
あのように因循姑息では、やがて部下が見放す。
【類】
優柔不断
隠忍自重 (いんにんじちょう)
怒りや苦しみをこらえ、耐え忍んで軽々しい行動を起こさないようにすること。「自重」は自分の行動を慎むという意味。
【例】
みんなの腹立たしい思いは良く分かるが、今は隠忍自重してくれ。
【類】
自戒自重
有為転変 (ういてんぺん)
この世は絶えず移り変わり、はかないものだということ。また、物事がどんどん変化していくこと。「有為」は仏教語で、因縁によって創り出された一切のもの。
【類】
有為無常、諸行無常
右往左往 (うおうさおう)
右へ左へと、あたふた動き回ること。うろたえて混乱する様子。「左往右往」ともいう。
【例】
泥棒に入られて、警察に通報することも忘れて右往左往してしまった。
【類】
周章狼狽
羽化登仙 (うかとうせん)
酒に酔い、快くなること。天にも昇るような気持ち。
【故】
羽が生えた「天仙」という仙人になって天に昇っていくという中国の古い話がある。
【例】
今日の酒は飛びきりうまい。羽化登仙の心地だよ。
烏合之衆 (うごうのしゅう)
カラス(烏)の群れが何の規律もなく、バラバラに集まる様子から、規律も統制も取れない群集のことをいう。また、数を合わせるための寄せ集め。
【例】
数ばかり多くても、烏合之衆とあっては頼りにならない。
右顧左眄 (うこさべん)
右を見たり、左を見たりして周りの様子を伺い、なかなか決断しないこと。「顧」は振り返って見ること、「眄」は横目で見ること。日和見主義。
【例】
確固たる信念を持たない彼は、いつも右顧左眄する。
【類】
狐疑逡巡
有象無象 (うぞうむぞう)
数ばかり多くて役に立たない物や人々をさげすむ言葉。もとは、世の中の有形無形のもの一切を指す仏教語「有相無相」で、これが転じてさげすみのニュアンスが生じた。
【例】
敵は大勢だが、有象無象の集まりだから恐れることはない。
内股膏薬 (うちまたこうやく)
相手や、その場の状況に応じて自分の主張を変えること。無節操で態度が一貫しないこと。股の内側に付けた膏薬は、歩くにつれて右足に付いたり、左足に付いたりすることからきている。
【例】
内股膏薬の信用できない人物。
【類】
二股膏薬、股座膏薬
海千山千 (うみせんやません)
さまざまな経験を積んで、世の中の表も裏も知り尽くし、したたかであること。また、そのような人を指す。
【故】
海に千年、山に千年棲んだ蛇は竜になるという伝説がある。
【例】
海千山千の相手だけに交渉を有利に進めるのは容易ではない。
【類】
千軍万馬、百戦錬磨
紆余曲折 (うよきょくせつ)
事情が込み入っていて分かりにくいこと。これまでの経緯が複雑で、状況が分かりにくいこと。「紆余」は、川や丘がウネウネと曲がっているさま。
【例】
紆余曲折ありましたが、何とか一戸建ての家を持つことができました。
【類】
万国錯節、複雑多岐
雲煙過眼 (うんえんかがん)
雲や煙は、たちまち目の前を通り過ぎてしまう。そのように、いつまでも心に留めないこと。また、わだかまりや悩みが消え、さっぱりした気持ちになること。
【例】
六十にして、ようやく雲煙過眼の境地に達した。
【類】
行雲流水
雲散霧消 (うんさんむしょう)
雲や霧が消え去るように、物事が跡形もなく消えてしまうこと。「雲消霧散」ともいう。心の中に溜まっていたわだかまりや悩みが消えて、さっぱりした気持ちになる意味にも使う。
【例】
これまでの悩みが雲散霧消して、今は晴々としている。
【類】
煙散霧消、雲散鳥没
雲集霧散 (うんしゅうむさん)
雲や霧のように多くのものが集まったかと思うと、たちまちのうちに散って消えてしまうこと。そのことから、人々が集合と解散を繰り返すことをいう。
【例】
落ち目と見れば、チヤホヤしていた連中は去っていく。人は雲集霧散するものだ。
【類】
合従連衡、離合集散
雲蒸竜変 (うんじょうりゅうへん)
英雄・豪傑が、一つの機会をとらえて世に出、活躍すること。
【故】
雲がわき上がり、それに竜が乗って不思議な動きをする伝説がある。
【類】
雲蒸竜騰
雲泥万里 (うんでいばんり)
遠く隔たっている天と地ほどに2つのものの差が大きいこと。「雲」は空、「泥」は地上を意味する。「雲泥の差」、「月とすっぽん」という言葉と同じで、極端に違うもののたとえとして使う。
[←先頭へ]運否天賦 (うんぷてんぷ)
長い人生には良いこともあれば、悪いこともある。そうした人の幸運や不幸は、天によって定められたものであるということ。そこから、雲を天に任せること、一か八かの大勝負をすることをいう。「運否」を「うんぷ」と読むのは中世の読みグセで、幸運と不幸の意。「天賦」は天から与えられる意。
【例】
勝つも負けるも運否天賦。
栄枯盛衰 (えいこせいすい)
繁栄がいつまでも続くことはなく、いずれは衰える。栄えれば滅びる。栄枯盛衰は世の習い−繁栄と衰退を繰り返す、世の中のはかなさをいう。「栄枯」は、草木が生い茂ったり枯れたりすることの意で、同じ意味合いの語を重ねて強調したもの。
【例】
国民的な人気を集めていた大スターがかくも落ちぶれるとは。栄枯盛衰のはかなさを感じないわけにはいかない。
【類】
栄枯浮沈、盛者必衰
郢書燕説 (えいしょえんせつ)
理屈に合わないことを、あれこれと強引にこじつけて、いかにも理屈に合っているように説明すること。現在では否定的に使われる。
【故】
燕の大臣が、郢の人から届いた手紙の内容をこじつけて理解したが、結果的にはそれで国がうまく治まったという。
【例】
その解釈は郢書燕説と受け取られかねない。
栄耀栄華 (えいようえいが)
富や地位を得て大いに栄え、ぜいたくを尽くし、得意になること。転じて、富や権勢を誇り、おごり高ぶること。「栄耀」は、非常な名誉、あるいはぜいたくの意で、「えよう」とも読む。「栄華」は、草木が栄え茂る意から、権力を極めて派手な生活をすること。
【類】
富貴栄華
益者三友 (えきしゃさんゆう)
友人を選ぶ時の心得を述べた言葉で、交際して有益な三種の友人(正直、誠実、博識)のこと。
【例】
君は益者三友を持っているよね。すばらしことだ。大切にしなさい。
【対】
損者三友
易姓革命 (えきせいかくめい)
王朝が代わること。現在では、組織の癌となっているようなトップが交代する場合に使われる。
【故】
中国では、天子は天命によって位につくものとされ、天子が不徳であれば、天命が他の人に下り(革命)、天子の姓が変わる(易姓)と信じられていた。
【例】
会社を私物化していた社長が失脚し、易姓革命が成った。
依怙贔屓 (えこひいき)
自分の好きな人や何らかの関係がある人に、特別の便宜を図ったり、力添えをしたりすること。「依」と「怙」には、頼るという意味があり、「依怙」は一方にひいきすること。「贔屓」は、力を用いるという意の漢語「ひき」を長く伸ばした呼び方。和語の「引き」からきているという説もある。
【例】
中学の時の担任は生徒を依怙贔屓するので嫌われていた。
会者定離 (えしゃじょうり)
出会った者といつまでも一緒ということはなく、いずれは必ず別れるときが来るということ。「会うは別れの始め」という言葉もある。世のはかなさを嘆く時に使うことが多い。
【例】
生者必滅、会者定離。
【類】
生者必滅
蜿蜿長蛇 (えんえんちょうだ)
行列などが長くうねりながら続いている様子。長い大きな蛇のようだということからきている。「蜿蜿」は蛇が曲がり、這う様子のこと。
【例】
人気歌手のコンサート会場には蜿蜿長蛇の列ができていた。
円転滑脱 (えんてんかつだつ)
言葉や行動を自在に変化させて角が立たないようにし、人と争うことなく、物事をうまく運ぶこと。やることがぎくしゃくしておらず、万事そつがないこと。「円転」は、丸く転がることの意が転じて、自由自在にめぐり、滞らないこと。「滑脱」は、自由自在に変化すること。
【例】
彼のように円転滑脱な交渉ができる人材は貴重だ。
【類】
円滑洒脱、軽妙洒脱
鉛刀一割 (えんとうのいっかつ)
なまくら刀で物を断ち切るという意味が転じて、自分の力は微力であると謙遜していう語。「鉛刀」とは、なまくら刀のこと。「一割」は一度で割れる意。
【例】
私の鉛刀一割をお役に立てたい。
円満具足 (えんまんぐそく)
全てが十分に満ち足り、備わっていて、不足しているものや欠落しているものが全くないこと。転じて、人柄に欠点がなく、ゆったりしていて、穏やかな様子をいう。「円満」は、仏の功徳が満ち足りていること、「具足」は、物事が備わって完全なことの意。
【例】
円満具足な顔立ち。
【類】
福徳円満
横行闊歩 (おうこうかっぽ)
いばって歩き回ること。また、思いのままに振舞うこと。「横行」は勝手気ままに歩き回り、自分の思い通りに振舞うこと。「闊歩」は、ゆったりとした歩き、大股に歩くこと。
【例】
我が社は銀行から送り込まれた専務の一派が横行闊歩している。
王道楽土 (おうどうらくど)
王道によって治められている楽しく平和な国土。「王道」は、中国の古典的政治哲学で、帝王が徳を持って国を治める理想の政治のあり方のこと。「楽土」は読んで字のごとく、安楽な生活が送れる土地のこと。
【例】
王道楽土の実現を夢見る。
【類】
国土成就
大盤振舞 (おおばんぶるまい)
人々にごちそうを振舞ってもてなしたり、気前よく物を与えたりすること。「大盤」は当て字。もともとは「椀飯」で、「椀」(わん)が転じて「おう」と読むようになった。他の当て字として「大番」「大判」「大飯」と書くこともある。
【例】
親父は来客があると大盤振舞するので、お袋はお金のやり繰りに苦労している。
傍目八目 (おかめはちもく)
第三者は、当事者よりも物事の真相や是非、損得を客観的に判断できるということ。碁を傍らで見物していると、打っている当人よりも先の手(八目)まで読めるということからきている。「傍目」は、他人の行為を脇から見ることで、「岡目」とも書く。
【例】
傍目八目というように、利害のない人間の方が適切な判断ができるものだ。
屋上架屋 (おくじょうかおく)
すでに屋根があるのに、さらにその上に屋根をつけるということから、重複して無駄なことをするという意味に使う。「おくじょうにおくをかす」とも読む。また、独創性に乏しい二番煎じのものを表現する場合にも使う。
【例】
そのアイデアは屋上架屋で、新味がない。
温厚篤実 (おんこうとくじつ)
穏やかな性格で、情けが深いこと。また、誠実で優しさに満ちていること。「篤実温厚」ともいう。「温厚」は、優しくて穏やかで情に厚いこと。「篤実」は、親切で情に厚く誠実なこと。
【例】
父は温厚篤実な人柄で部下に慕われている。
【類】
温柔敦厚、温良篤厚
温故知新 (おんこちしん)
昔のことを調べたり、古典などを研究することによって、新しい知識を得ることができる。ただ調べるだけでなく、その中から新しい価値や意義を再発見し、現在に生かすということ。「故」は古いということ、「温」は、訪ね求める、復習するという意味。「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」。
【例】
温故知新の精神で歴史を学ぶ。
音信不通 (おんしんふつう)
便りや連絡が途絶えてしまい、消息が不明であること。「音信」は「いんしん」とも読み、手紙・連絡の意。
【例】
会社を辞めてから音信不通になってしまった親友のことが気がかりだ。
【類】
消息不明
温せい定省 (おんせいていせい)
親に孝養を尽くすこと。親が快適に過ごせるように心配りすることをいう。「温」はあたたかく、「せい」は涼しく、「定」は寝床を整え、「省」は機嫌を伺うという意。
【例】
両親に長生きしてもらえるよう、温せい定省を心がけている。
【類】
扇枕温衾、冬音夏せい
怨憎会苦 (おんぞうえく)
自分が恨んでいる人、憎んでいる人であっても、会わなくてはいけないことがある。その苦しみ、つらさをいう。仏教の八苦の1つで、「怨憎−会苦」ではなく、「怨憎会−苦」と区切るのが正しい。
【例】
仕事をしていく上で、怨憎会苦から逃れることはできない。
音吐朗朗 (おんとろうろう)
音量が豊かで、はっきりと聞き取れること。また、高らかなすがすがしい声。「音吐」は声、「朗朗」は声が大きく明瞭なさまをいう。
【例】
音吐朗朗とした弁舌に聴衆は聞き惚れた。
乳母日傘 (おんばひがさ)
恵まれた環境で子供が育てられること。必要以上に大事に育てられること。「乳母」は「うば」であり、幼児に乳母をつけて育て、乳母が外出の際には日傘をさしかけるほど幼児を大切に扱うことから来ている。
【例】
乳母日傘のお嬢様だけに世間知らずだ。
厭離穢土 (おんりえど)
煩悩に汚れた俗世を嫌い、離れるという意味の仏教語。「厭離」は「えんり」とも読み、嫌って離れること。「穢土」は汚れた現世のこと。
【例】
厭離穢土、欣求浄土
か |
開巻劈頭 (かいかんへきとう)
物語の始まり。「開巻」は書物の始めの部分、書き出し。「劈」は「裂ける」が転じて「真っ向」(額の真ん中、兜の前面)の意。「頭」は最初の意。
【例】
開巻劈頭、度肝を抜くアクションシーンが展開して観客を引きつけた。
開口一番 (かいこういちばん)
口を開いて最初に言う言葉。話を始めるやいなや。口を開いたとたんに。「開口」は、口を開いて何かを話すことの意。
【例】
食事の席で娘が開口一番、女優になると宣言して家族を驚かせた。
鎧袖一触 (がいしゅういっしょく)
敵を全く問題にしないことの形容で、簡単に相手を負かしてしまうこと、弱い相手にたやすく一撃を与えてダメージを与えることをいう。鎧の袖がちょっと触れただけで敵を打ち負かすことから来ている。
【例】
さすがに横綱。好調な力士を相手に鎧袖一触の強さを見せた。
外柔内剛 (がいじゅうなんごう)
外見は柔和で穏やかそうだが、内面は意志が強くてしっかりしていること。また、一見したところは弱々しく、おとなしそうだが、実は案外気が強いこと。「内剛外柔」ともいう。
【例】
うちの妹は外柔内剛だから、結婚すると尻に敷かれるよ。
蓋世之才 (がいせいのさい)
気力に満ちていて、世の中を覆い尽くすほどの優れた才知があること。また、それを備えている人のこと。
【例】
蓋世之才があったのに、早死にしてしまった。
【類】
蓋世之材、抜山蓋世
街談巷説 (がいだんこうせつ)
巷でのつまらない噂話。風説。世間話。「街談」も「巷説」も、世間のいいかげんな噂のことで、同じ意味の語を重ねて強調したもの。
【例】
街談巷説に惑わされてはいけない。
快刀乱麻 (かいとうらんま)
やっかいな事件や、複雑にこじれて紛糾している事態に対応して、見事に解決してみせる様子のたとえ。「快刀」は切れ味のよい刃物、「乱麻」は、もつれた麻糸のこと。もつれた麻糸を切れ味のよい刃物で断ち切ることから来ている。
【例】
社内の内紛を沈静化させた快刀乱麻の手腕には胸のすく思いだった。
【類】
一刀両断
開物成務 (かいぶつせいむ)
物を開き務めを成す。つまり、いろいろなことを開発し、事業を成し遂げることをいう。「開成」は「開物成務」を略したもの。
【例】
創業者の開物成務の苦労があって今日の我が社の繁栄がある。
槐門棘路 (かいもんきょくろ)
中国の周代の大官と公卿の異称で、政界の最高幹部をいう。「槐門」は、朝廷の前庭に3本の槐(えんじゅ)の木を植え、三公(3つの位の大官)がこれに向かって並んだことから、三公や大臣を指す。「棘路」は、9本の棘を植えて9卿(9人の大臣)の位置を示したことから公卿の地位を指す。
[←先頭へ]怪力乱神 (かいりきらんしん)
人間の理性ではとうてい説明のつかない不思議な現象、事物のたとえ。「かいりょくらんしん」とも読む。「怪」は尋常でないこと、「力」は魔力や怪力、「乱」は道理にそむき、国を乱すようなこと、「神」は不可思議なことを指す。
[←先頭へ]偕老同穴 (かいろうどうけつ)
夫婦が共に老い、同じ墓に葬られること。夫婦の契りが固く、仲むつまじいこと。転じて幸福な結婚生活のことをいう。結婚式の挨拶で使われる。「偕」は、共にという意味。
【例】
お二人は偕老同穴の契りを結ばれました。
【類】
鴛鴦之契、比翼連理
呵呵大笑 (かかたいしょう)
大きな声で大いに笑うこと。下に動詞を伴って用いることが多い。「呵呵」は大きな声で笑う様子の意。「大笑」は「だいしょう」とも読む。
【例】
一方的な勝利をおさめて呵呵大笑する。
【類】
破顔大笑
格物致知 (かくぶつちち)
物事の本質をきわめ、学問や知識を高めること。表面的な知識だけ学ぶのでは真の学問とはいえないということ。「致知格物」ともいう。
【故】
「大学」に書かれている理想的な政治をするための八条目「格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下」からきた語。朱子学では、道理をきわめることで知識が広がるとしている。
【類】
格物究理
家鶏野鶩 (かけいやぼく)
ありふれているものを軽視して、新しいもの、珍しいものをありがたがること。「野鶩」は野生のアヒルで、家で飼っている鶏よりも野生の鳥を求めるという意味。
【例】
現代人の生活は家鶏野鶩に走りすぎる嫌いがある。
【類】
家鶏野雉
加持祈祷 (かじきとう)
病気や災難から逃れようとして神仏に祈ること。「加持」は、仏の加護によって災いを払う祈り、「祈祷」は、心を込めて神仏に祈ることの意。
[←先頭へ]華燭之典 (かしょくのてん)
結婚式や婚礼のこと。はなむけの言葉として使うもので、「私たち、華燭之典を挙げます」とは言わない。「華燭」は、華やかなともしび、婚礼の席のともしびのこと。
【例】
ご両人は先ほど華燭之典を挙げられました。
臥薪嘗胆 (がしんしょうたん)
目的を成し遂げるために、幾多の苦難に耐えること。この語は、日清戦争後、三国干渉を受けた際に日本で流行した。
【故】
中国の春秋時代の呉の国の王が仇討ちの志を忘れぬよう薪の上に臥し、仇討ちを果たした。一方、敗れた越の国の王は、苦い肝を嘗め、屈辱を忘れないようにして恨みを晴らしたという。
【類】
越王之胆、坐薪懸胆
佳人薄命 (かじんはくめい)
美しい女性(佳人)は、とかく幸薄かったり、短命であったりするということ。「佳人」は、立派な人物を指すこともある。
【類】
美人薄命、才子多病
嘉辰令月 (かしんれいげつ)
よき日とよき月。めでたい月日。縁起のよい時節。「嘉」「令」とも、よいという意味。「辰」は日の意味。つまり、「嘉辰」はよい日、「令月」はよい月ということ。
【例】
嘉辰令月を選んで結納を交わす。
【類】
大安吉日、黄道吉日
画蛇添足 (がだてんそく)
余計にものを付け足した結果、全体が駄目になってしまうこと。無用なもののたとえ。「画蛇」は「がじゃ」とも読む。
【故】
昔、中国で仲間より先に蛇を描きあげた男が、時間があるものだから足を描き足してしまい、褒美の酒を手に入れ損なったという。
【類】
妄画蛇足
花鳥諷詠 (かちょうふうえい)
自然や人間界の風物を、見たまま無心に詠むことをいう。「花鳥」は、花を見、鳥の声を聞く風雅な心。「諷詠」は、詩歌をつくること。
【例】
年を取って花鳥諷詠を楽しむゆとりが出てきた。
花鳥風月 (かちょうふうげつ)
四季折々の美しい風景。それらを鑑賞することや、自然を題材にした詩歌、絵画をたしなむ風雅の道をいう。
【類】
春花秋月、雪月風花
隔靴掻痒 (かっかそうよう)
靴の上から足を掻いても、痒みは消えない。そこから、物事が思いどおりにいかず、もどかしいこと、はがゆくじれったいことをいう。
【例】
この報告書は説明不足で、隔靴掻痒の感がある。
確乎不抜 (かっこふばつ)
意志がしっかりしていて、何事にも動じることがない様子。「確乎」は「確固」とも書き、しっかりとしていて揺るぎのないさま。「不抜」は、固くて抜けないこと。動かせないこと。
【例】
批判を浴びても、この道が正しいと信じ、確固不抜の精神でやり遂げる。
【類】
確乎不動、志操堅固
活殺自在 (かっさつじざい)
生かすも殺すも、こちらの思いのままであること。また、自分の思いどおりに相手を動かし、扱うこと。
【例】
絶対的な権力を持っているからといって、活殺自在のやり方ではうまくいかない。
【類】
生殺与奪
合従連衡 (がっしょうれんこう)
時流を読み、その時々の利害に応じて、互いに協力したり離反したりすること。また、巧みな計算や外交上の駆け引きのこと。「従」は縦、「衡」は横。つまり、縦の同盟と横の同盟を意味している。
【例】
政界は合従連衡が相次ぎ、混沌としている。
【類】
合従連横、雲集霧散、離合集散
活溌溌地 (かっぱつはっち)
勢いが盛んな様子。生き生きとして元気がよい様子。「かつはつはっち」ともいう。
【例】
迷いが吹っ切れたので、最近の彼は活溌溌地としている。
我田引水 (がでんいんすい)
我が田に水を引く。このことから、周囲のことを考えず、自分に都合のいいように言ったり、自分に利益になるように物事を取り計らうことのたとえ。
【例】
君の言うことは我田引水だ。そんな主張は通らない。
【類】
牽強付会、手前勝手
瓜田李下 (かでんりか)
人に疑われるような言動は慎むべきだという戒め。「李下瓜田」ともいう。「李」は、すもものこと。疑われるようなことをするなという意味の語を2つ合わせたもの(「瓜田に履を納れず」=瓜畑で履物を直すと瓜を盗もうとしているのかと疑われるから、そういうことはしない。「李下に冠を正さず」=李の木の下で冠を直すと、李を盗むのではないかと疑われるから、それもしない)。
【類】
瓜田之履、李下之冠、悪木盗泉
画竜点睛 (がりょうてんせい)
最も大切なポイント。最後の仕上げ。また、少しだけ手を加えることによって全体を引き立たせること。肝心なところが欠けている場合に使う。
【故】
昔、中国の絵の名手が竜の絵を描いた際、最後に睛(ひとみ)を描き入れたとたん、絵の竜が天に飛び去ったという。
【例】
画竜点睛を欠く。
【類】
点睛開眼
苛斂誅求 (かれんちゅうきゅう)
情け容赦なく責め立てて、借金や税金を取り立てること。「苛」はひどい、むごい。「斂」は絞るようにして集める。「誅」は責める、殺すの意。
【例】
彼が自殺したのは、苛斂誅求は借金の取り立てにあったからだ。
【類】
苛政猛虎
夏炉冬扇 (かろとうせん)
文字のとおり、夏の炉(火鉢)、冬の扇とも季節はずれである、ということから、無用なもの、無駄なもの、役に立たない人や意味のたとえ。ものは使いようだという意味とする説もある。
[←先頭へ]閑雲野鶴 (かんうんやかく)
俗世のことにまどわされることなく、のんびりと自然を楽しみながら暮らすことをいう。また、悠々と自由に暮らす境遇。「閑雲」は静かに空に浮かんでいる雲。「野鶴」は野原で悠然と遊んでいる鶴。
【類】
間雲孤鶴、孤雲野鶴、琴歌酒賦、悠悠自適
感慨無量 (かんがいむりょう)
計り知れないほど深く感じ入り、何も言えなくなる状態。過去のことをしみじみと感じること。
【例】
20年ぶりに故郷に帰ると、町の様子は変わっていて、感慨無量となった。
轗軻不遇 (かんかふぐう)
思いどおりに事が運ばず、志を達成できないこと。何をやっても世に認められず、地位や境遇に恵まれないこと。「轗軻」は、車が行き悩む様子から転じて志を得ないこと、困窮することをいう。
【例】
轗軻不遇の日々を送る。
【類】
紆余曲折、崎嶇坎珂
侃侃諤諤 (かんかんがくがく)
盛んに議論をするさま。また、思ったことを遠慮せずに主張して議論すること。「侃侃」は強く正しいこと、「諤諤」は正しいことを直言すること。肯定的に使われる。「喧喧囂囂」は否定的な意味合いが強い。
【例】
侃侃諤諤と議論したことですばらしいプランがまとまった。
【類】
議論百出、喧喧囂囂、百家争鳴
管窺蠡測 (かんきれいそく)
細い管の穴から天を窺い、小さなひさごで大海の水を測るように、甚だしく見識が狭いことのたとえ。「蠡」は、ひさごのこと。
【例】
未熟な我々が天下国家を論じてみても、しょせんは管窺蠡測でしかない。
頑固一徹 (がんこいってつ)
あくまでも自分の考えや態度を押し通し、少しも改めようとする様子がないこと。また、そういう性格をいう。
【例】
うちの親父は頑固一徹だから、一度言い出したらどんなに止めても無駄だ。
眼光炯炯 (がんこうけいけい)
目が鋭く光、物事の全てを見抜いているかのような目つき。「炯炯」は、キラキラと光り輝くさまをいい。気がかりで不安なさまという意味もある。
【類】
双眸炯炯
眼光紙背 (がんこうしはい)
読書の理解力が非常に高いこと。注意深く洞察力を働かせて本を読むこと。「眼光紙背に徹す」の略。
【例】
父の眼光紙背には舌を巻く。
【類】
熟読玩味
眼高手低 (がんこうしゅてい)
優れた批判はできても、創作力に劣ること。理想は高くても、実力が伴わないこと。
【例】
彼は弁舌巧みだが、眼高手低では頼りにはならない。
【類】
志大才疎
換骨奪胎 (かんこつだったい)
古人や他人が作った詩文の表現や発想を取り入れて、自分独自の創意工夫を加えること。転じて、古いものに新しい工夫をこらして再生すること。否定的な意味合いの「焼き直し」とは異なり、肯定的に使う。
【例】
古典を現代流に換骨奪胎した名作。
【類】
点鉄成金
冠婚葬祭 (かんこんそうさい)
元服(冠)、婚礼、葬儀、祖先の祭礼の4つの重要な礼式。また、慶弔の儀式のこと。「冠婚」は「冠昏」、「葬祭」は「喪祭」とも書く。
[←先頭へ]寛仁大度 (かんじんたいど)
寛大で慈悲深く、度量が大きいこと。「寛仁」は、心が広く思いやりがあること、「大度」は、些細なことにはこだわらないことの意。
【例】
恩師は寛仁大度な人だった。
【類】
豁達大度、寛洪大量
勧善懲悪 (かんぜんちょうあく)
よい行いを勧め、悪行を懲らしめること。また、善人を尊んで、悪人を退けること。儒教的道徳の表現の1つ。
【類】
破邪顕正
完全無欠 (かんぜんむけつ)
どこから見ても欠点や不足しているところがなく、完璧であること。完成していること。「完全」「無欠」ともに、欠けているところがないことの意。
【例】
この仏像は国宝に指定されているだけあって、完全無欠な美しさだ。
【類】
完美無欠、十全十美
肝胆相照 (かんたんそうしょう)
心の底まで理解し合い、打ち解けている間柄。そのような親しく深い付き合い。また、意気投合すること。「肝胆」は肝臓と胆嚢で、転じて胸のうち、腹の底を表す。「相照」は「あいてらす」とも読む。
【例】
肝胆相照の仲である。
邯鄲之夢 (かんたんのゆめ)
人間の栄枯盛衰は夢のようにはかないということ。
【故】
盧生という若者が邯鄲という町で宿を取り、出世が叶う枕を借りて寝たところ、栄光に彩られた一生を送る夢を見た。しかし、それはほんのわずかな時間であったという。
【類】
一炊之夢、邯鄲之枕、盧生之夢
眼中之釘 (がんちゅうのくぎ)
はなはだしい害毒や悪人のたとえ。釘が目の中にあればとても痛いことからきている。
【例】
眼中之釘となっている人物を追放する。
歓天喜地 (かんてんきち)
天を仰いで喜び、地にうつむいて喜ぶ。そのような非常に大きな喜びのこと。
【例】
五回目の挑戦でようやく司法試験に受かったのだから、歓天喜地するのも無理はない。
【類】
狂喜乱舞、欣喜雀躍
環堵蕭然 (かんとしょうぜん)
住居が非常に狭く、貧しい様子。「環堵」は、四方が各一丈(十尺)の垣根のことで、転じて狭い住居の形容。各四丈という説もある。
【例】
環堵蕭然たる家だが、住めば都で、一番気が休まる。
艱難辛苦 (かんなんしんく)
困難な状況、つらい場面に出会って苦しみ、悩み、難儀な思いをすること。また、それに耐えること。「艱難」は苦しみ悩むの意。
【例】
艱難辛苦を乗り越えて今日の地位を得た。
【類】
艱難苦労、四苦八苦、千辛万苦
汗馬之労 (かんばのろう)
駆けずり回って働くこと。また、物事を取り決めるために懸命の努力をすること。戦功を立てようとして馬を走り回らせ、汗をかかせることからきた語。
【例】
汗馬之労を手厚くねぎらう。
【類】
汗馬功労、汗馬之功、犬馬之労
玩物喪志 (がんぶつそうし)
珍しいもの、無用のものに心を奪われ、目先の楽しみに熱中してしまい、大切な志を失うこと。些細なことにとらわれて、大きな目標を見失うこと。
【故】
武王が他国からの珍しい贈り物に心を奪われ、国政をおろそかにしていることを周の召公がいさめたという。
管鮑之交 (かんぽうのこう)
互いに心の底から信じ合い、理解し合っている間柄。親密な交際。非常に厚い友情。「かんぽうのまじわり」ともいう。
【故】
中国の春秋時代、斉の国の名宰相・管仲(かんちゅう)と、その親友の鮑叔牙(ほうしゅくが)との信頼関係が死ぬまで変わらなかったという。
【類】
水魚之交、刎頚之友
頑迷固陋 (がんめいころう)
考え方が柔軟でなく、視野が狭いこと。また、そのために物事の判断が正しくできないこと。「頑迷」は、かたくなで理非をわきまえないこと。「固陋」は、見聞が狭く、古いことにとらわれること。
【例】
社長があのように頑迷固陋では、この会社の先行きが案じられる。
【類】
頑冥不霊、墨守成規
閑話休題 (かんわきゅうだい)
前置きや無駄話を打ち切って、話の本題に入ること。また、本筋からそれてしまった話題を元に戻す時に使う。それはさておき。さて。
[←先頭へ]気韻生動 (きいんせいどう)
芸術作品に気高い風格、情趣が生き生きと満ちあふれていること。「気韻」は、気高いおもむき、気品・風格のある様子。
【例】
その絵を見たとき、気韻生動の感銘を受けた。
気宇壮大 (きうそうだい)
度量が大きく、志がたいそう立派なこと。構想や計画の規模が並はずれて大きいこと。「気宇」は心の広さ、心意気、器量の意。
【例】
この計画は気宇壮大で、実現する相当な資金と年月を要するだろう。
【類】
気宇軒昂、気宇雄豪
奇貨可居 (きかおくべし)
好機を逃すなという意味。珍しいものは買っておき、価値が出るまでしまっておいて、絶好の頃合いを見計らって売るべきだということ。
【故】
秦の国の商人が、趙の国を訪れた際、秦の太子の庶子が人質として不遇の日々を送っているのを知り、親切に面倒を見た。後に、その庶子が王となったときに取り立てられたという。
危機一髪 (ききいっぱつ)
1つ間違えば大変な危険に見舞われそうな状況。きわめて危険なことのたとえ。「一髪」は、髪の毛1本ほどの隙間。つまり、ほんのわずかという意。
【例】
危機一髪で難を逃れた。
【類】
一髪千鈞、一触即発
奇奇怪怪 (ききかいかい)
とうてい常識では考えられないような不思議な出来事。常人の理解を超えた奇怪なこと。また、許しがたいようなけしからぬこと。「怪怪奇奇」ともいう。「奇」と「怪」を重ねて意味を強調した語。
【例】
忽然と人が消えうせてしまうとは、何とも奇奇怪怪だ。
【類】
奇怪至極、奇怪千万、奇奇妙妙、奇絶怪絶
危急存亡 (ききゅうそんぼう)
大きな危険が迫っていて、生き残れるか滅びるか、ぎりぎりの瀬戸際にあること。国家や会社など、集団に対して使うことが多く、個人に対して使うことは稀。「危急存亡の秋」で使われる。「秋」を「とき」と読むのは、穀物が実る秋は農民にとって重要な時期であることから、「大事なとき」の意があるため。
【例】
我が社は今や危急存亡の秋を迎えている。
【類】
生死存亡
鬼哭啾啾 (きこくしゅうしゅう)
浮かばれない霊魂の泣き声が響く様子。また、そのように鬼気迫るさまをいう。「哭」は大声で泣くこと。「啾啾」は、しくしくと細く尾を引く泣き声のこと。
【例】
鬼哭啾啾として不気味な雰囲気が漂う森を歩く。
旗鼓堂堂 (きこどうどう)
軍隊やパレードが整然としていて威容に満ちている様子。論説や文章の勢いが盛んな様子を形容する場合にも使われる。「旗鼓」は、軍隊が用いる旗と太鼓で、転じて軍隊を指す。
【例】
この論文は旗鼓堂堂としている。
騎虎之勢 (きこのいきおい)
物事に勢いがついて、もう止まらない状態。「騎虎」は虎に乗ることで、いったん虎の背に乗ってしまうと、その勢いが激しい上に、降りれば虎に食われてしまうので降りられない。そこからきた語。
【類】
旭日昇天、破竹之勢
起死回生 (きしかいせい)
絶望的な状態から奇跡的に持ち直すこと。悪い状態が劇的に良くなること。また、瀬死の病人を再び生き返らせること。「回生起死」ともいう。
【例】
起死回生の満塁ホームラン。
【類】
起死再生
旗幟鮮明 (きしせんめい)
旗の色が鮮やかで、旗印がはっきりしていること。そこから、主義・主張・態度がはっきりしていることをいう。「旗幟」は、戦場で敵味方の区別がつきやすいように立てる旗と幟のこと。
【例】
私につくのか、敵に回るのか、旗幟鮮明にしなくてはならない。
【類】
確乎不動、確乎不抜
起承転結 (きしょうてんけつ)
筋道だってまとまりのあることをいう。「起」で詩意を起こし、「承」でそれを受け、「転」で視点を転じて変化させ、「結」で全体を終結させる漢詩の絶句の構成法。これが他の文章や4コママンガにも適用され、広く一般の事柄の展開についても比喩的に用いられるようなった。
【類】
起承転合
喜色満面 (きしょくまんめん)
喜びの表情が顔いっぱいに表れること。また、その表情をいう。「色」は、様子・表情の意。
【例】
初めての子とあって、夫は喜色満面だ。
疑心暗鬼 (ぎしんあんき)
疑いの心が強すぎると、何でもないことでも疑わしく見え、不安が募ること。また、恐れること。「鬼」は亡霊を意味し、「暗鬼」で妄想から生じる恐れをいう。
【例】
疑心暗鬼になっていて、どんな説得も聞き入れない。
【類】
杯弓蛇影、杯中蛇影
奇想天外 (きそうてんがい)
普通では、とうてい思いつかないような奇抜な発想。「奇想、天外より落つ」の略で、「奇想」は珍しい考え、「天外」は天の外、あるいははるか彼方の空の意。天から思いもよらない案が降ってきたということからきている。
【類】
斬新奇抜
気息奄奄 (きそくえんえん)
息が絶え絶えとなっていて、いかにも苦しそうな様子。虫の息。活気が失われ、今にも滅びそうな様子にたとえとしても使われる。「気息」は息、呼吸。「奄」は覆う、ふさぐの意で、「奄奄」と二字重ねると、息が絶え絶えの様子を表す。
【例】
社運を賭けたプロジェクトが失敗して大きな負債を抱えた我が社は、気息奄奄の状態だ。
【類】
半死半生
橘中之楽 (きっちゅうのたのしみ)
囲碁や将棋をする楽しみのこと。「橘中」とは囲碁、将棋のことをいう。
【故】
昔、中国で橘の木になっている大きな実を割ったところ、どの実にも老人が2人入っていて、将棋を楽しんでいたという。
【類】
橘中之仙
喜怒哀楽 (きどあいらく)
読んで次の如く、喜び・怒り・哀れみ・楽しみ。つまり、人間が持っている様々な感情を表す語。
【例】
彼は喜怒哀楽が激しすぎるため、少し付き合いにくい。
【類】
嬉笑怒罵
帰命頂礼 (きみょうちょうらい)
仏に対して心から帰依するという意味で、神仏に対しての唱え文句として用いられる。「帰命」は、仏の教えに帰依し、命を捧げて仏に従うこと。「頂礼」は、頭を地につけてする礼のこと。
【類】
帰命稽首
鬼面仏心 (きめんぶっしん)
外見は怖そうに見えるが、実は非常に優しく穏やかなこと。また、そのような人を指す。これとは逆に、優しそうに見えて残酷な人を評して「外面如菩薩(げめんにょぼさつ)内心如夜叉(ないしんにょやしゃ)」という。
【例】
うちの部長は強面だけど、鬼面仏心だから、滅多に怒らない。
亀毛兎角 (きもうとかく)
毛の生えた亀と角のある兎。どちらも存在しない。そこから、実在するはずがないこと、ありえないことのたとえ。
【例】
そんな亀毛兎角の話をしても、誰も信じるはずがない。
【類】
烏白馬角、塩香風色
牛飲馬食 (ぎゅういんばしょく)
大いに飲み、食べること。人並みはずれて飲食すること。牛が大量の水を飲み、馬が餌をむさぼるように食べる様子にたとえた語。
【類】
鯨飲馬食、痛飲大食、暴飲暴食
九牛一毛 (きゅうぎゅうのいちもう)
たくさんあるもののうち、ごくわずかな部分。全体の中のほんの一部。ごく少数のもの。些細で、取るに足りないことという意味もある。「九牛」は、たくさんの牛の形容。
【例】
君が犯したミスなど、会社にとっては九牛一毛に過ぎないのだから、くよくよするな。
【類】
滄海一滴、滄海一粟、大海一滴
九死一生 (きゅうしいっしょう)
死ぬ可能性が九分、生き残る可能性が一分。つまり、ほとんど助かる見込みがない絶望的な状態を脱し、かろうじて命拾いすること。
【例】
宿泊していたホテルが火事になり、私は九死一生を得た。
【類】
十死一生、万死一生
牛溲馬勃 (ぎゅうしゅうばぼつ)
牛の小便や馬の糞。転じて、役に立たないもののたとえ。
【例】
牛溲馬勃な男だと思っていたが、たまには役に立つこともあるもんだな。
【類】
牛糞馬涎
鳩首凝議 (きゅうしゅぎょうぎ)
人々が額を寄せ集めて熱心に相談すること。「鳩」には集めるという意味があり、「鳩首」は、集まった人たちが額を寄せ合うことをいう。
【例】
難局をどう乗り切るか、鳩首凝議を重ねる。
【類】
鳩首会談、鳩首協議、鳩首談義、鳩首密議
救世済民 (きゅうせいさいみん)
乱れた世の中を救い、苦しみあえいでいる人々を助けて幸福に導くこと。「済」は救済の意。
【例】
荒れ果てた国土から立ち上がった救世済民の英雄。
【類】
経世済民
窮鼠噛猫 (きゅうそごうびょう)
本当なら鼠は猫を恐れるが、猫に追われて逃げ場を失った鼠は猫に噛みついて戦う。そこから、たとえ力の弱いものでも、窮地に陥ったとき筆紙に抵抗すれば思わぬ力を発揮することをいう。「窮鼠猫を噛む」の形で使われるのが一般的。
【類】
窮鼠噛狸
旧態依然 (きゅうたいいぜん)
昔からの状態、体制などが変わることなく続き、全くと言っていいほど進歩や発展がないこと。
【例】
時代は変わった。旧態依然とした意識を改めることがぜひとも必要だ。
【類】
十年一日
九鼎大呂 (きゅうていたいりょ)
貴重なもの、重い地位、名望などのたとえ。「九鼎」は、中国、夏王朝の王様が9つの地方から献上させた鼎(かなえ=3本の足がついた鉄の釜)。「大呂」は、周王朝の宗廟に備えた大きな鐘。中国では、いずれも貴重な宝物のたとえとされている。
[←先頭へ]急転直下 (きゅうてんちょっか)
事態や情勢が急変し、突然の結末を迎えること。また、急に物事の解決、決着がつくこと。「直下」はまっすぐに落ちることで、そこから結末に向かうことをいう。
【例】
あれほど難航していた交渉が急転直下でまとまったのは、先方によほどの事情があったに違いない。
【類】
一落千丈
挙案斉眉 (きょあんせいび)
妻が小さなお膳をうやうやしく眉のあたりにまで高くささげること。これが転じて、夫婦であっても礼儀が尽くされることのたとえとして使われる。
[←先頭へ]教学相長 (きょうがくあいちょうず)
人に教えていると、相手からも何か学ぶことがある。つまり、教えるということは自分自身の修行になるものだという意味。教師が謙遜するときに使うことが多い。
[←先頭へ]薑桂之性 (きょうけいのせい)
歳をとって気性が丸くなるどころか、ますます剛直であること。また、もって生まれた気質はなかなか変わらないという意味もある。「薑桂」は、しょうがと肉桂のこと。どちらも食物の味を調和するもので、古くなればなるほど辛味が強くなることから来ている。
[←先頭へ]狂言綺語 (きょうげんきご)
小説な物語をさげすむ語。「狂言」は道理に合わない言葉で、「きぎょ」とも読む。「綺語」は表面だけを飾り立てた言葉。これが転じて使われる。
【例】
この小説はベストセラーになっているそうだが、狂言綺語の類に過ぎない。
恐惶謹言 (きょうこうきんげん)
恐れ謹んで申し上げること。「恐」「惶」は、ともに恐れる、恐れ慎むこと。「謹言」は、「謹啓」で始まる丁寧な手紙の終わりに使われ、謹んで言うこと。
【類】
恐恐謹厳、恐懼再拝
行住坐臥 (ぎょうじゅうざが)
普段の行動や毎日の立ち居振舞い。また、日々の暮らし、日常。「行住」は、歩くこと、とどまること。「坐臥」は、座ること、寝ること。
【例】
どんなに多忙であっても、行住坐臥を振り返る心の余裕がある人は尊敬に値する。
【類】
常住坐臥、常住不断、日常坐臥
拱手傍観 (きょうしゅぼうかん)
行動すべきときであるのに、高みの見物を決め込んで何もせず、ただ手をこまねいて見ていること。「拱手」は、両手を胸の前で組み合わせてお辞儀する中国の礼で、これが転じて手を組んで何もしないことをいう。
【例】
電車で騒ぎまわっている若者たちがいても、拱手傍観している人ばかりなのは嘆かわしいことだ。
【類】
隔岸観火、袖手傍観、無為無策、冷眼傍観
共存共栄 (きょうぞんきょうえい)
2つ以上のものが同じ場所で、敵対することなく、ともに助け合い、繁栄すること。また、手を取り合って協力関係を築くこと。「共存」は「きょうそん」とも読む。
[←先頭へ]驚天動地 (きょうてんどうち)
世の中を驚かせること。また、そのような出来事。天が驚き、地が動く。それほどの騒ぎということからきた語。
【例】
驚天動地の大事件。
【類】
撼天動地、驚地動天、驚天駭地、震天動地
興味索然 (きょうみさくぜん)
興味が次第に失われていく様子。何か物足りなくておもしろみのない様子。「索然」は、なくなり尽きる様子の意。
【例】
テレビの刑事ドラマは、役者と設定が違っていても似たりよったりの内容で、興味索然だ。
興味津津 (きょうみしんしん)
非常に興味、関心があるさま。あまりにもおもしろくて、いつまでも興味、関心が続くこと。「津」は港、船着場のことで、「津津」と二字重なると「しんしん」と読み、あとからあとから水が湧き出てくるという意味になる。「深深」と書くのは誤り。
[←先頭へ]狂瀾怒涛 (きょうらんどとう)
態度が激しく乱れ、手のつけようがないほどになっている状態のたとえ。「狂瀾」も「怒涛」も、荒れ狂う大波のこと。
【例】
狂瀾怒涛の時代に雄々しく立ち向かう。
【類】
疾風怒濤、波乱万丈
虚虚実実 (きょきょじつじつ)
互いに知恵をしぼり、策略をめぐらして戦うこと。相手の隙を逃さずとらえて攻撃すること。互いの腹の中を探り合うという意味もある。「虚」は守備の隙。「実」は守りが堅いところ。単純に考えれば、隙をつくのが効果的ということになるが、あえて隙を見せて敵を誘うという戦術もある。戦いは単純ではないということ。
【例】
虚虚実実の駆け引き。
曲学阿世 (きょくがくあせい)
人気を得ようとして、あえて真理を曲げて世間の人々に気に入られるような説を唱えること。世論に迎合すること。訓読すると、「学を曲げて世に阿る」。
【例】
最近は気骨のある政治家が減り、曲学阿世の輩がはびこっている。
旭日昇天 (きょくじつしょうてん)
朝日が昇るように勢いが盛んだということ。飛ぶ鳥を落とす勢いをいう。「旭日」は朝日、「昇天」は天に昇ること。
【類】
旭日東天、騎虎之勢、破竹之勢
玉石混淆 (ぎょくせきこんこう)
値打ちのあるものとないもの、よいものと悪いもの、優れたものと劣っているものとが混ざり合っていること。「混淆」は「混交」とも書く。「玉」は宝石、「石」は値打ちのない石、つまらないものを指す。
【類】
玉石雑糅、玉石同架、玉石同匱
跼天蹐地 (きょくてんせきち)
非常に恐れてびくつくこと。また、肩身の狭い思いをしながら人目を気にして生活すること。「跼」は、体をかがめること。「蹐」は、抜き足差し足、音を立てないように歩くこと。
【例】
大勢の借金取りに追われ、跼天蹐地の毎日を送ってきたが、ようやく返済のめどがついた。
虚心坦懐 (きょしんたんかい)
先入観を持たず、何のわだかまりもない、素直でさっぱりした気持ち。平静な心境。偏見がなく、心を開いていること。「虚心」は無心で、心にわだかまりがないこと。「坦懐」は平で、さっぱりしていておおらかなこと。
【例】
人物を見極める上で大切なのは虚心坦懐にその人の話を聞くことだ。
【類】
一点素心、明鏡止水
挙措進退 (きょそしんたい)
日常のちょっとした身のこなし、立ち居振舞い。また、身の処し方をいう。「挙」は上に上げる、「措」は下に置くという意味で、手を上げ下げすることから、立ち居振舞い、仕草を表す。「進退」も動作の意味。同じような意味の語を重ねて強調している。
【例】
挙措進退が美しい。
【類】
起居動静、挙止進退、挙措動作
漁夫之利 (ぎょふのり)
2人が争っている間に、関係のない第三者が利益をかすめ取ってしまうこと。「とんびに油揚げ」と同じ意味。
【故】
殻を開いて日光浴していた貝に鳥が食いつき、怒った貝は殻を閉じて鳥のくちばしをはさんだ。両者とも、相手を離さずに争っているところへ漁師がやってきて、両方とも捕まえてしまったという。
【類】
田父之功、犬兎之争
去兵去食 (きょへいきょしょく)
軍備に費やす金を削減して国民の生活に回し、国民の利益を優先させること。
【例】
隣国の脅威がなくなった今は、去兵去食の政治を行うべきだ。
【類】
国利民福
虚無恬淡 (きょむてんたん)
私心がなく、物事に淡々としていること。また、心に何のわだかまりもなく、安らかなこと。
【例】
老後は虚無恬淡として暮らしたいものだ。
【類】
虚静恬淡
器用貧乏 (きようびんぼう)
何でも上手にこなす器用な人は、器用であるがゆえにあれこれと手を出し、1つのことに集中しないので、結局は大成しないということ。また、いろんなことにチャレンジしたあげく、どれも身に付かないこと。その器用さに目をつけられ、他人から便利がられて利用されるため、大成できないことの意味としても使われる。
【類】
巧者貧乏
毀誉褒貶 (きよほうへん)
ほめることとけなすこと。さまざまな世間の風評。「誉」「褒」は、ほめるという意味。そしり、けなすという意味の「毀」「貶」はほめるという意味、それぞれ同じ意味の語を2つ重ねて強調している。
【例】
あの料理屋の毀誉褒貶が激しいのは、素っ気ない接客態度を好ましく思う人と、腹立たしく思う人がいるためである。
機略縦横 (きりゃくじゅうおう)
臨機応変の計略を自在に考え出し、物事を上手に運用すること。「機略」は、時に応じて自在に働くはかりごと。「縦横」は、自由自在、心のままという意味。
【例】
機略縦横の見事さには舌を巻く。
【類】
機知縦横
議論百出 (ぎろんひゃくしゅつ)
さまざまな意見が出て盛んに論じられ、議論が活発に行われること。たくさんの意見が出ること。「百出」は、数多くいろいろ出ることの意。
【類】
侃侃諤諤、甲論乙駁、議論沸騰、諸説紛紛、談論風発
金甌無欠 (きんおうむけつ)
完全で欠点がないこと。特に外国からの侵略を受けたことがなく、国家が安泰であることをいう。「金甌」は黄金の瓶で、国家や天子の位のたとえ。黄金の瓶が欠けずに完全である。つまり、天子の地位が侵されないことの意。
【類】
完全無欠、十全十美
欣喜雀躍 (きんきじゃくやく)
非常に喜ぶこと。小躍りして喜ぶこと。有頂天になること。「欣喜」は、たいそう喜ぶこと、「雀躍」は、雀のようにピョンピョン跳ね回ることの意。
【例】
宝くじで一千万円を当てて欣喜雀躍する。
【類】
有頂天外、歓喜雀躍、驚喜雀躍、狂喜乱舞
謹厳実直 (きんげんじっちょく)
たいそうまじめな人。慎み深く、誠実で正直なさま。人を揶揄するような使い方もされる。「謹厳」は慎み深く、おごそかなこと。「実直」は正直で、まじめなことの意。
【例】
謹厳実直でおもしろみがない。
【類】
謹厳温厚、謹厳重厚
勤倹力行 (きんけんりっこう)
仕事や事業に励み、倹約に努めること。「勤倹」は勤勉で無駄づかいしないこと、「力行」は精一杯の努力をして物事を行うことの意。
【例】
私の祖父は勤倹力行を実践して今日の財をなしたと聞いている。
金口木舌 (きんこうぼくぜつ)
優れた言論、出版物などを通じて社会を教え導く人のたとえ。「木鐸」(社会の指導者)と同義語。
【故】
昔、中国で法令などを人民に触れて歩くとき、官吏が大きな鈴を振り鳴らした。この鈴は球形ではなく釣鐘型で、中に木製の舌を吊るして振り鳴らす仕組みのものだった。
緊褌一番 (きんこんいちばん)
気持ちを引き締め、固い決意で物事に取り組むこと。「緊褌」は、ふんどしを固く締めることで、大事の前の心構えを言ったもの。
【例】
明日はいよいよ緊褌一番の大勝負。絶対に勝とう。
金枝玉葉 (きんしぎょくよう)
天子の一族・子孫のことで、日本では天皇家に当たる。美しい雲のたとえ。
【例】
夕日を浴びて輝く金枝玉葉。
【類】
金枝花萼
琴瑟相和 (きんしつそうわ)
夫婦の仲がよいこと。兄弟や友人の仲がよいことにもいう。「琴瑟調和」ともいう。「瑟」は大型の琴で、琴と瑟で合奏すると音色がよく調和することからきた語。
【例】
琴瑟相和の2人を見ていると妬けてくる。
【類】
鴛鴦之契、比翼連理
錦上添花 (きんじょうてんか)
よいことが相次ぐこと。華やかなものの上に、さらに華やかなものを重ねること。錦そのものが美しいが、これに美しい花を添えることからきている。結婚式の披露宴、パーティなどで使うことが多い。
【例】
高名な先生にご出席いただきまして、まさに錦上添花の思いでございます。
金城湯池 (きんじょうとうか)
非常に守りの固い城、場所のこと。また、堅固な備えのこと。金属でつくった城に熱湯をたぎらせた掘りをめぐらすことからきている。選挙でしばしば使われる。「池」を「地」と書くのは誤りなので、注意が必要。
【例】
この県は与党の金城湯池だから勝つのは難しい。
【類】
金城鉄壁、湯池鉄城、難攻不落、要害堅固
近所合壁 (きんじょがっぺき)
隣り合っている家、近所の家。
【例】
あなたとは近所合壁の仲じゃありませんか。お子さんは預かりますから、ゆっくり旅行していらっしゃい。
錦心繍口 (きんしんしゅうこう)
美しい心と美しい言葉という意味。文学の資質に優れた人をたたえるときに使う。「繍」は、ぬいとり、刺繍のこと。
【例】
この作家の錦心繍口には目を見張るものがある。
金声玉振 (きんせいぎょくしん)
才知と人徳を兼ね備えていること。また、素晴らしい人格に大成すること。「金」は鐘、「玉」は玉製の楽器。
【故】
昔、中国の合奏形式は、最初に鐘を鳴らし、最後に玉器を打って締めくくりとした。このことから、最初と最後がうまく整っていることをいう。
【類】
知勇兼備
金殿玉楼 (きんでんぎょくろう)
黄金や宝玉で飾り立てた、きらびやかな御殿。美しい立派な建物。「殿」も「楼」も、大きく豪華な建物の意。
【例】
日本有数の大金持ちの屋敷だけあって、まるで金殿玉楼だな。
空空寂々 (くうくうじゃくじゃく)
この世のものは、形あるなしにかかわらず、すべて空であるということ。転じて、何事にもとらわれず無心なさま、無反応、無関心であるさまをいう。
【例】
金や名誉に空空寂々とした職人肌の人。
【類】
空空漠漠
空中楼閣 (くうちゅうろうかく)
あまりにも空想的で、現実からかけ離れた考え、議論、事柄。「楼閣」は高くて立派な建物のこと。もともとは蜃気楼を指す語。
【類】
机上空論、空中楼台、空理空論、砂上楼閣
空理空論 (くうりくうろん)
現実味に乏しい空虚な理論。理屈は通っていても、観念的で現実の役には立たないような考え。
【例】
空理空論をもてあそぶのはよくない。
【類】
机上空論、空中楼閣、空中楼台、砂上楼閣
苦髪楽爪 (くがみらくづめ)
苦労しているときには髪の毛がよく伸び、楽な暮らしをしているときには爪がよく伸びるということ。
【例】
そんなボサボサの頭をしているのは、苦髪楽爪というヤツで、苦労しているということかな。
愚者一得 (ぐしゃいっとく)
愚かな人であっても、時には的を射た意見を出すことがあるということ。自分の考えを述べるときに謙遜していう言葉。
【例】
笑われるのを覚悟で申し上げますので、愚者一得と思って聞いていただけますか。
【類】
千慮一得、百慮一得
苦心惨憺 (くしんさんたん)
1つの目的を達成するために心を砕き、苦労を重ねて、あれこれと工夫を凝らすこと。努力して物事を成し遂げること。「惨憺」は心を砕くことで、「惨澹」とも書く。
【類】
悪戦苦闘、粒粒辛苦
求不得苦 (ぐふとくく)
いくら求めても手に入れることができない苦しみのこと。仏教でいう八苦の1つ。
【例】
入手困難なものほどほしくなる。求不得苦から逃れられないのが人間というものだ。
君子豹変 (くんしひょうへん)
いい意味と悪い意味とがあり、いい意味では、君子は過ちに気づくとすぐに改め、自らを向上させるということ。悪い意味では、まるで節操がなく、主張や態度がころころと変わること。「豹変」は、豹のまだら模様が秋に美しくなることから、変わり身が早いことをいう。
[←先頭へ]群雄割拠 (ぐんゆうかっきょ)
多くの英雄、実力者が、それぞれ各地に拠点を置いて、そこで勢力をふるうこと。また、複数の実力者が対立し、争っている状況をいう。
【類】
治乱興亡
軽挙妄動 (けいきょもうどう)
事の是非について深く考えず、軽々しい行動をとること。分別のない軽率な行動。「軽挙」は軽々しく動くこと。「妄動」は、みだりに行動すること。「盲動」は誤り。
【例】
1人の軽挙妄動が組織を危うくする。みんな、日ごろの行動には十分気をつけてほしい。
鶏群一鶴 (けいぐんいっかく)
鶏の群れの中に1羽の鶴がいる。つまり、たくさんの凡人の中に1人だけ優れた人物がいること。「鶏群」は、何の取柄もない人々の集まりのたとえ。
【例】
彼は鶏群一鶴、我が社の宝であるといっていい優れた人材だ。
【類】
群鶏一鶴、鶏群孤鶴
鶏口牛後 (けいこうぎゅうご)
小さな組織のトップにいるのと、大きな組織の末端にいるのとではどちらがよいか。たとえ小さな組織であっても、人の上に立つ方がよいということ。「鶏口」は鶏のくちばしのことで、弱小なものの頭のたとえ。「牛後」は牛の尻で、強大なものの末端を指す。
【例】
鶏口牛後の志を持って社会に巣立つ。
傾城傾国 (けいせいけいこく)
城を傾け、国を傾けるほどの絶世の美女をいう。美しい女性は、その美貌で主君の心を惑わせ、国を滅ぼしてしまうということからきている。「傾国傾城」ともいう。
【例】
彼女は傾城傾国と言いたいほどに美しい。
【類】
傾国美女
経世済民 (けいせいさいみん)
世を治め、民衆を苦しみから救うこと。また、そのように立派な政治のこと。「経世」は世の中を治めること。「済民」は民衆を救うことの意で、「経済」はこれを略した語。
【例】
経世済民の志を持った政治家。
【類】
経国済民、救世済民
蛍雪之功 (けいせつのこう)
苦労して学問に励むこと。
【故】
昔、中国の車胤は蛍の明かりで、孫康は雪の明かりで、貧しさに耐えながら勉強したという。「蛍の光、窓の雪・・・」の歌詞のもとになった。
【例】
蛍雪之功あって今日の偉大な業績がある。
【類】
苦学力行
軽諾寡信 (けいだくかしん)
何か頼んだとき、安請け合いする人は約束を守らないことが多いので、あまり信用できないということ。「軽諾」は軽い承諾、「寡信」は信用できないことの意。
【例】
彼は軽諾寡信の男だから頼みごとはしない方がいい。
鶏鳴狗盗 (けいめいくとう)
卑しく、つまらないことしかできない人間のたとえ。また、そんな人間でも、あるいはつまらないことでも、何かの役に立つことがあるということ。「鶏鳴」は鶏の鳴き声を真似ること。「狗盗」は犬の真似をして忍び込む盗人の意。
【例】
鶏鳴狗盗の輩ばかりとあっては、会社が倒産したものも無理はない。
【類】
竹頭木屑
月下氷人 (げっかひょうじん)
男女の縁を取り持つ人。仲人。媒酌人。「月下老人」と「氷上人」とを合成した語。
【故】
昔、中国で、月明かりの下にいた老人が、通りがかった若者の質問に答えて結婚する相手を予言、その若者は予言どおりの女性と結婚した。また、氷の上に立って氷の下の人と語り合う夢を見た人が、どういう意味なのかを占い師に尋ねたところ、氷の上は陽、氷の下は陰、陽と陰が語るというのは仲立ちのことで、仲人をすることになるだろうと予言、そのとおりになった。
【例】
結婚することになりましたので、ぜひ月下氷人をお願いします。
結跏趺坐 (けっかふざ)
座禅を組むこと。左右それぞれの足の甲を、反対の足の股の付け根に置き、足の裏を上に向けて組む仏教の座法の1つ。「跏」は足の裏、「趺」は足の甲。
[←先頭へ]月卿雲客 (げっけいうんかく)
公卿や殿上人、雲の上の人。つまり、身分の高い人をいう。「月卿」は、日になぞらえられる天子に対し、公卿を月になぞらえたもの。「雲客」は、日と月を取り巻く殿上人。
[←先頭へ]牽衣頓足 (けんいとんそく)
別れを惜しむさま。出征する人の衣を引き、足踏みして嘆き悲しむことから来ている。
【例】
海外に単身赴任することになり、妻子の牽衣頓足を振り切った。
狷介孤高 (けんかいここう)
固い意志を守り、決して妥協しないこと。また、俗世に超然としていること。「狷介」は自分の意志に固執し、かたくななこと。「孤高」は誇り高く、ひとり俗世間から離れて超然としていること。
【例】
狷介孤高の尊敬すべき学者。
【類】
狷介孤独、狷介固陋、狷介不屈
牽強付会 (けんきょうふかい)
道理に合わないことを、自分の都合のいいように無理にこじつけ、理屈づけること。「牽強」は、こじつけること。「付会」は関係のないものを1つにすること。
【例】
君の主張は牽強付会というものだ。
【類】
牽強附合、我田引水、漱石枕流
喧喧囂囂 (けんけんごうごう)
わいわいがやがやと大勢の人々がやかましく騒ぐさま。また、多くの人が騒ぎ立てて収拾がつかないこと。否定的な意味合いで使う。「喧喧」は、やかましいさま、「囂囂」は音や声が騒がしいさま。
【例】
不用意な一言が仇となり、喧喧囂囂の非難を浴びた。
【類】
蛙鳴蝉噪
蹇蹇匪躬 (けんけんひきゅう)
我が身をかえりみず、主人に尽くすこと。「蹇蹇」は非常に苦しむさま、または忠義を尽くすさま。「匪躬」は、自分の功名や社会的地位、収入をかえりみないこと。
[←先頭へ]拳拳服膺 (けんけんふくよう)
人から言われた訓戒などを忘れず、常に心に抱いておくこと。また、そむかないように心がけること。「拳拳」は、両手で大切に捧げ持つこと。「服」は身につけること。「膺」は胸のことで、「服膺」は心に刻み込むという意味になる。
【例】
子供のころ、父親に叱られたときの言葉を今でも拳拳服膺している。
言行一致 (げんこういっち)
言うことと実際の行動とが同じであること。言葉と行動とが異なる場合は「現行不一致」。
【例】
彼に絶大な信用があるのは言行一致の人だからだ。
【類】
形名参同
堅甲利兵 (けんこうりへい)
堅固な鎧を身につけ、鋭利な刃物で武装した兵隊。つまり、圧倒的な強さを誇る軍隊や軍事力のことを言う。強力な組織を表現する場合にも使われる。
【例】
社の命運を賭けたプロジェクトを成功させるために、精鋭を選りすぐった堅甲利兵のグループを作り上げた。
【類】
堅甲利刃
乾坤一擲 (けんこんいってき)
運命を賭けて、のるかそるかの大勝負をすること。「一擲乾坤」ともいう。「乾坤」は天と地、「一擲」はサイコロを投げて、天(奇数)が出るか、地(偶数)が出るかを賭けることの意。
【例】
厳しい経済情勢の中、乾坤一擲の新事業を行う。
【類】
一擲千金、一六勝負
捲土重来 (けんどちょうらい)
一度失敗した人が再び勢いを取り戻し、巻き返しに出てくること。訓読すると「土を捲きて重ねて来る」で、疾風が土を巻き上げるような勢いで重ねて立ち上がるの意。「重来」は「じゅうらい」とも読む。
【例】
不合格になったからといって落ち込むな。捲土重来を期してがんばれ。
【類】
七転八起
堅忍不抜 (けんにんふばつ)
意志が強く、どれほどつらいことや困難なことがあろうとも、じっと耐え忍んで心を動かさないこと。「堅忍」は意志が堅く、我慢強いこと。「不抜」は堅くて抜けないこと、転じて意志や計画がしっかりしていて、ぐらつかないことの意。
【例】
この大役を堅忍不抜の精神でまっとうする覚悟である。
【類】
堅忍持久、志操堅固、鉄心石腸
堅白同異 (けんぱくどうい)
詭弁。こじつけの論理。
【故】
中国の戦国時代、趙の公孫竜が説いた理論。堅くて白い石は、目で見れば白いことが分かる。しかし、堅さは分からない。手で触れれば堅いことは分かるが、白いことは分からない。したがって、堅さと色とは同時に成立しないので、堅くて白い石はない。孫竜は、同様のこじつけで白い馬は馬ではないとも説いている。
【類】
堅石白馬、白馬非馬
犬馬之労 (けんばのろう)
犬や馬程度の働き。主人や他人のために労を惜しまず働くこと。普通、他人の働きに対しては使わないので要注意。自分の働きを謙遜していう語。
【例】
大恩ある先生のために、微力ながらも犬馬之労をとらせていただきます。
【類】
汗馬之労、犬馬之報
権謀術数 (けんぼうじゅつすう)
さまざまな計略をめぐらすこと。人をあざむくためのたくらみ、はかりごと。「権謀」は「権変(臨機応変)の策謀」の略で、その場その場に応じた策略、謀略のこと。「術数」は、はかりごとの意。
【例】
ライバル会社の権謀術数にやられた。
【類】
権謀術策
肩摩轂撃 (けんまこくげき)
道路が混み合っているさま。都会の雑踏をいう。「肩摩」は、人の肩と肩が擦れ合うこと。「轂」は車輪の軸先のことで、「轂撃」は車輪がぶつかり合うという意。
【例】
初めて東京に出てきて、肩摩轂撃のありさまに戸惑った。
黔驢之技 (けんろのぎ)
一見したところ達者だが、実は内容がない見せかけだけの腕前のたとえ。
【故】
ある人が、驢馬のいない黔州(貴州省)に驢馬を連れて行ったところ、その大きな体を見て虎は恐れた。しかし、驢馬には蹴るしか能がないことを知った虎は驢馬を食い殺したという。
懸腕直筆 (けんわんちょくひつ)
書道の心得で、筆を自由に操ることができる姿勢。腕やひじを上げて筆を垂直に持つ。ひじを脇に、手首を机につけずに字を書く。この姿勢が最も美しい字を書くのによいとされる。
[←先頭へ]行雲流水 (こううんりゅうすい)
空を行く雲と流れる水のように、自然のままに行動すること。物事にとらわれず、成り行きにまかせる平静な心境。また、よどみなく移り変わること。諸国を修行して回る禅僧の意としても用いられる。「流水行雲」ともいう。
【例】
無欲な彼は山深い田舎で行雲流水の日々を静かに送っているらしい。
【類】
一所不住
豪華絢爛 (ごうかけんらん)
色彩や姿形が華やかで、光り輝くように美しいさま。衣装などを形容する場合の他にも、さまざまな形で使われる。「絢爛豪華」ともいう。「豪華」は、お金をかけたように見えて派手な様子。「絢爛」は、見た目に華やかで美しく、立派な様子。
【例】
豪華絢爛たる映像。
【類】
絢爛華麗、綾羅錦繍
効果覿面 (こうかてきめん)
何かをした後、その効果がすぐに表われること。「覿」は見る・示すの意で、「覿面」は目の当たり、目の前でありありと見ることをいう。よい結果が得られたときに使う。
【例】
商品のデザインを一新してみたら効果覿面、爆発的に売れ始めた。
厚顔無恥 (こうがんむち)
他人の迷惑や思惑などにはいっさいかまわずに、自分のことだけを考えて行動する図々しい態度。恥知らず。「無恥厚顔」ともいう。「厚顔」は厚かましいこと。「無恥」は恥を恥とも思わないこと。
【例】
大勢の人に目撃されているのにしらを切るとは、厚顔無恥もはなはだしい。
剛毅果断 (ごうきかだん)
ゆるぎない強い意志を持ち、思い切って物事を行うこと。「剛毅」は気力に富み、不屈の意志を持っていること。「果断」は、思い切りがいいこと。
【例】
頼りになる剛毅果断な人物。
【類】
剛毅果敢、勇猛果敢
綱紀粛正 (こうきしゅくせい)
乱れた規律や風紀を正すこと。とくに政治家や役人の態度についていう。「綱」は大きな綱、「紀」は小さな綱を指し、転じて国を治める大小の規律を「綱紀」という。「粛正」は、厳しく取り締まって不正を正すこと。
【例】
これだけ不祥事が相次いでいるというのに、役所の綱紀粛正は不十分だ。
剛毅木訥 (ごうきぼくとつ)
意志が強く、素朴で飾り気がないこと。「剛毅」は、ゆるぎない不屈の意志を持っていること。「木訥」は無口で飾り気がないことで、「朴訥」とも書く。
【例】
愛想がなくてとっつきにくいが、剛毅木訥な人だから信頼していい。
巧言令色 (こうげんれいしょく)
口先だけで調子がよいこと。表面ばかりとりつくろい、誠意や真心がないこと。「巧言」は言を巧みにする、つまり、言葉を飾り立てて人にこびへつらうこと。「令」は善、「色」は顔色の意で、「令色」はとりつくろった顔のこと。
【例】
巧言令色に惑わされているようでは、社会人として未熟だ。
高材疾足 (こうざいしっそく)
優れた才能や手腕があること。また、そのような人。「高材」は優れた才能、「疾足」は足が速いことの意。
【例】
業績不振の会社を再建するために高材疾足の新社長を迎えた。
光彩陸離 (こうさいりくり)
光が入り乱れて、まばゆいばかりに美しく鮮やかに輝くさま。「光彩」は美しく輝く光のことで、「光采」とも書く。「陸離」は光がキラキラと飛び跳ねるように輝くこと。
【例】
光彩陸離たる真夏の海。
【類】
光彩奪目
高山流水 (こうざんりゅうすい)
読んで字の如く、高い山と流れる水。優れた音楽のたとえとして使われる。
【故】
春秋時代、琴の名手が泰山を思い浮かべながら弾くと、「高く険しい泰山のようだ」と評され、川を思い浮かべながら弾くと、「広々とした流れる川のようだ」と評されたという。
【例】
さすがに世界一と評されるピアニスト。その高山流水の音色に陶然とした。
行尸走肉 (こうしそうにく)
歩くしかばね、走る肉の意で、無能・無学な存在価値のない人をあざけっていう語。自嘲的に使うこともある。
【例】
このまま無為な生活を送っていては行尸走肉な人間で終わってしまう。
曠日弥久 (こうじつびきゅう)
無駄な月日を費やし、事を長引かせること。手間取ること。「曠」は、むなしいという意味で、「曠日」は何もせず、虚しい日々を過ごすこと。「弥久」は長い期間にわたること。
【例】
曠日弥久の一年だったが、ようやく格好のテーマが見つかったので執筆にとりかかる。
【類】
曠日持久
公序良俗 (こうじょりょうぞく)
公共の秩序と善良な習慣、ならわし。世間一般の道徳観をいう。法律は、これに反するか否かを基準の1つとしている。
【例】
公序良俗に反するような行いは慎まなくてはならない。
黄塵万丈 (こうじんばんじょう)
黄色い土煙(黄塵)が空高く舞い上がる(万丈)のこと。「万丈」は、「万丈の気を吐く」、「万丈の気炎を上げる」のように二字熟語として使われることも多い。
[←先頭へ]後生可畏 (こうせいかい)
若者は大きな可能性を秘めており、どれほどの人物に成長するか分からない。だから、今は未熟であっても、畏敬の念を持って接するべきだということ。「後生畏れるべし」のほうが一般的。「後生」は後から生まれること。また、その人の意。
[←先頭へ]広大無辺 (こうだいむへん)
広く大きく限りがないこと。「広大」は「宏大」とも書く。
【例】
広大無辺の大海原。
巧遅拙速 (こうちせっそく)
上手だが遅い。下手だが速い。どちらがいいかと言えば、下手でも速いほうがいいということ。「巧遅は拙速に如かず」の略。
[←先頭へ]黄道吉日 (こうどうきちにち)
陰陽道で、何もしてもうまくいくとされる吉日。「吉日」は「きちじつ」「きちにち」とも読む。よい日柄のことをいう。
【例】
黄道吉日を選んで結婚式を挙げる。
【類】
嘉辰令月、大安吉日
荒唐無稽 (こうとうむけい)
馬鹿馬鹿しくて話にならないこと。考えや言うことに何の根拠もなく、でたらめなこと。「荒唐」は、でたらめで馬鹿げていること、「無稽」は、根拠がないことの意。
【例】
あまりにも荒唐無稽な話なので、笑って聞き流した。
紅灯緑酒 (こうとうりょくしゅ)
紅の灯火と緑色の酒というのは、繁華街や歓楽街の様子を形容したもの。また、歓楽と飽食に明け暮れることをいう。
【例】
紅灯緑酒におぼれる。
狡兎三窟 (こうとさんくつ)
自分の身を守るため、万が一に備えて策や逃げ道を用意しておくこと。賢いうさぎは隠れる穴を3つ持っていて、自分の身を守ることからきている。ずる賢いことのたとえとしても使われる。
【例】
今度の取引相手は狡兎三窟と言われていて、大勢の人を泣かしているから気をつけなくてはいけない。
【類】
狡兎三穴
好評嘖嘖 (こうひょうさくさく)
よい評判が巻き起こり、人々からほめそやされることをいう。「嘖嘖」は、人々が口々に言いはやす様の意。
【例】
デビュー作が好評嘖嘖。この新人監督の前途は洋々たるものがある。
公平無私 (こうへいむし)
行動や判断が公平で、個人的な感情や利益に左右されないこと。「無私」は私心(自分の気持ちや利己心」がないことをいう。
【例】
トラブルを避けるために公平無私な人物をリーダーに選ぶ。
【類】
公正平等、公正無私、公明正大
豪放磊落 (ごうほうらいらく)
おおらかな性格で、図太く、些細なことにはこだわらないこと。「豪放」も「磊落」も、快活で心が広く、小さなことにこだわらないさまをいう。
【例】
誰からも好かれている豪放落楽な人。
【類】
天空海闊
口蜜腹剣 (こうみつふくけん)
口ではよいことを言いながら、腹の中ではよからぬ考えを抱いていること。「口に蜜あり、腹に剣あり」の略。「蜜」は心地よいもの、「剣」は危険なもののたとえ。
【例】
言葉使いが丁寧ないい人だと思っていたのに口蜜腹剣の徒だったとは残念。
公明正大 (こうめいせいだい)
公平で私心がなく、不正な行いや隠し事をしないこと。
【例】
公明正大な彼は経理の責任者を任せるには、うってつけの人物だ。
【類】
公正平等、公平無私
甲論乙駁 (こうろんおつばく)
甲が論じたことに乙が反対する。つまり、お互いに持論を主張して譲らず、結論が出ないこと。
【例】
与野党が甲論乙駁して、重要法案の審議は次の国会へと持ち越しとなった。
【類】
議論百出、諸説紛紛
高論卓説 (こうろんたくせつ)
きわめてレベルが高く、優れた意見、主張、理論。「卓説を拝聴する」のように二字熟語として使うことも多い。「卓」は他を抜きんでて優れているという意味。
【類】
高論名説、名論卓説
孤影悄然 (こえいしょうぜん)
独りぼっちで寂しそうな様子。しょんぼりとして悲しげな様子。「孤影」は、寂しそうに見えるただ1人の姿の意。「悄然」は、元気のないさま、憂えるさまの意で、「蕭然」とも書く。
【例】
旧友を街角で見かけたが、孤影悄然としていたので声をかけられなかった。
【類】
孤影寥寥
呉越同舟 (ごえつどうしゅう)
仲の悪い者同士が同じ場所にいること。また、敵同士が共通の利害のために協力し合うこと。
【故】
「呉」と「越」は中国、春秋時代の国の名前で、敵対関係にあった。しかし、両国の人が同じ船で川を渡ったとき強風に見舞われ、互いに助け合って難を逃れたという。
【例】
与野党の党首が同じ飛行機に乗り合わせるとは、まさに呉越同舟だな。
古往今来 (こおうこんらい)
昔から今日に至るまで変わりがない様子。
【例】
古往今来、民族間の争いは絶えることがない。
狐疑逡巡 (こぎしゅんじゅん)
事に臨んで、なおためらい、なかなか決心がつかないこと。思い切りが悪く、いつまでもぐずぐずしていること。
【例】
こんな単純な案件を決めかねているとは、狐疑逡巡するにもほどがある。
【類】
狐疑不決、遅疑逡巡、右顧左眄
極悪非道 (ごくあくひどう)
人の道に背く極め付きの悪事。心がよこしまで、行いが悪いこと。
【例】
憎むべき極悪非道の輩。
【類】
悪逆非道、悪逆無道
国士無双 (こくしむそう)
国内で、他に比肩し得る者がいないほどの優れた人物のこと。「国士」は、国を背負って立つような人物。「無双」は2つとないこと。
【例】
国士無双の英雄が乱世を治める。
【類】
古今無双、天下無双
極楽浄土 (ごくらくじょうど)
仏教でいう、西方の彼方にある死後の理想郷。とても幸せな状態のたとえとして使われる。
【例】
仕事から解放され、ひなびた温泉宿でのんびりしていると、極楽浄土にいるようだ。
【類】
西方浄土、十万億土
孤軍奮闘 (こぐんふんとう)
助けてくれる人がいない状況にあって、ただ1人、懸命に努力すること。援軍のないまま孤立した少数の軍勢でよく戦うことからきている。
【例】
孤軍奮闘、これだけの成果を上げるとは賞賛に値する。
【類】
孤立無援、四面楚歌
股肱之臣 (ここうのしん)
主人を補佐する最も頼りになる部下。人が体を動かすとき、股(もも)と肘が要になることからきた語。今日では、「懐刀」(ふところがたな)、「腹心」(ふくしん)という言葉を使うのが一般的。
[←先頭へ]古今東西 (ここんとうざい)
昔から今日に至るまで、東西南北あらゆる場所において。いつでも、どこでも。
【例】
古今東西、人間の欲望には限りがない。
【類】
往古来今、古往今来
古今無双 (ここんむそう)
昔から今日に至るまで、他に比べるものがないこと。史上最高。
【例】
古今無双の大横綱。
【類】
海内無双、古今無比、古今無類、古今独歩
虎視眈眈 (こしたんたん)
虎が獲物を狙うように、野望を成し遂げようとして隙をうかがい、機会を狙っているさま。「眈眈」は、にらむ、見下ろすという意味。
【例】
専務は次期社長の座を虎視眈眈と狙っている。
孤城落日 (こじょうらくじつ)
助けてくれる人もなく、ひたすら衰退していく状態や心細く寂しい気持ちのたとえ。「孤城」は、敵に包囲されて援軍も来ない城のこと。
【例】
会社が倒産してからは訪れる人もなく、まさに孤城落日の思いである。
【類】
孤城落月
古色蒼然 (こしょくそうぜん)
見るからに古びていて趣のあるさまをいう。現在では、必ずしもいい意味で使わないこともある。「古色」は年月を経て古びたものの色つや。
【例】
かつては繁栄していた町だそうだが、すっかりさびれてしまい、古色蒼然としている。
【類】
古色古香
故事来歴 (こじらいれき)
事の起こりから今日までの過程や歴史。物事の由来や因縁。ある結果を招いた理由、いきさつ。
「故事」は昔の出来事、いわれのある話のことで、「古事」とも書く。
五臓六腑 (ごぞうろっぷ)
体全体、または心の中をいう。「五臓」は、漢方でいう「心臓・肺臓・脾臓・肝臓・腎臓」、「六腑」は「大腸・小腸・胃・胆・膀胱・三焦(消化・排泄を行う器官)」のこと。
【例】
夏のビールは五臓六腑にしみわたる。
克己復礼 (こっきふくれい)
自分の欲望に打ち勝ち、社会の規範に従って行動すること。「克己」は己に克つ(=勝つ)、「復礼」は例に復る(かえる)で、礼儀作法に従うという意味。
【例】
克己復礼を旨とする尊敬すべき人。
刻苦勉励 (こっくべんれい)
ひたすら努力を重ね、苦労して勉学や仕事に励むことをいう。「刻苦」は身を刻むように力を尽くし、心を労すること。「勉励」は努め、励むこと。
【類】
刻苦精励、刻苦勉学
胡馬北風 (こばほくふう)
ふるさとのことを懐かしがる思い。また、ふるさとを忘れられないこと。
【故】
胡馬(昔の中国北方、胡の国産出の馬)は、遠くに離れた地にいても、北風が吹くとそちらに身を寄せるという。
【例】
年をとるにつれて胡馬北風の思いが強くなるようだ。
鼓舞激励 (こぶげきれい)
人を励まし、奮起させること。元気付けること。「士気を鼓舞する」のように二字熟語としてもよく使う。「鼓舞」は、鼓を打って舞を舞うことで、転じて人の気持ちを奮い立たせることをいう。
【類】
叱咤激励、叱咤督励
孤立無援 (こりつむえん)
たった1人で、志を共にする仲間がいないこと。何の助けも得られないこと。また、そのさま。
【例】
これだけのことを孤立無援でやり遂げたのは立派だ。
【類】
孤軍奮闘、四面楚歌
五里霧中 (ごりむちゅう)
深い霧に包まれて方向が分からないこと。転じて、何の手がかりもないまま行動すること、どうすればいいのか困惑する状態のことをいう。
【例】
五里霧中だったこの研究も、ようやく展望が開けてきた。
【類】
曖昧模糊、暗中模索
困苦欠乏 (こんくけつぼう)
物資が不足し、困難な状況にあること。戦時中の生活を表現するのによく使われた。「困苦」は、必要なものが乏しく、生活に苦しむこと。
[←先頭へ]欣求浄土 (ごんぐじょうど)
死後、西方にあるとされる極楽浄土へ行けるよう心から願うという意味の仏教語。「欣求」は心から求めること。
【例】
厭離穢土、欣求浄土。
【類】
安楽浄土
金剛不壊 (こんごうふえ)
志を固く守り、変わることがないという意味。「金剛」は金剛石(ダイヤモンド)、「不壊」は非常に堅固で壊れないこと。
【例】
金剛不壊の信念を貫いて画家として大成した。
【類】
金剛堅固
言語道断 (ごんごどうだん)
言葉では言い表せないほどひどいこと、とんでもないこと。悪い意味に使われるのが一般的。「道断」は言う道が断たれ、言うに言えないこと。仏教の深遠な真理は言葉ではとうてい説明できないという意味の語が転じた。
【例】
罪を人に着せるとは言語道断。
今是昨非 (こんぜさくひ)
今日は正しく、昨日は間違っていた。つまり今になって過去の誤りを悟ること。自分の過ちを後悔していう語。
【例】
あのとき、無謀な賭けをしていなければ・・・。今是昨非の感に堪えない。
渾然一体 (こんぜんいったい)
いくつかのものが1つに溶け合って区別がつかないこと。異なるものが1つに調和していること。「渾」は混じるという意で、「混然」とも書く。
【例】
森と湖が渾然一体となった風景。
金輪奈落 (こんりんならく)
物事のきわまるところ、極限をいう。現在では、絶対にないという意味の「金輪際」を使うことが多い。「金輪」は、仏教の世界観で、地下にあって大地を支える「三輪」の1つ。「奈落」は地獄の意。
【例】
もう金輪際、悪事には手を染めない。
さ |
才気煥発 (さいきかんぱつ)
頭の回転が速く優れていること。鋭い才能が外に現れること。才能が光り輝くこと。他の人には見られないきらめき、ひらめきを評していう。「才気」はすばやく適切な判断ができること。「煥」は火が赤々と輝くという意で、「煥発」は輝き現れること。
【例】
才気煥発な彼女ならではのアイデア。
【類】
才気横溢
再三再四 (さいさんさいし)
二度も三度もという意味の「再三」を強調した語で、何回も同じことを繰り返すこと。
【例】
再三再四、お金を返してくれるよう言っているのに聞き入れてもらえないのなら、裁判に訴えるしかない。
才子佳人 (さいしかじん)
才能のある男性と美しい女性。理想的な男女の取り合わせをいう。
【例】
お二人のような才子佳人のご夫婦は、めったにあるものではありません。
才子多病 (さいしたびょう)
才能に恵まれた人は、とかく体が弱く病気がちなものだということ。男性について使う語で、女性の場合には「佳人薄命」、「美人薄命」などという。
[←先頭へ]才色兼備 (さいしょくけんび)
才能がある上、容姿も美しいこと。女性について言うのが一般的。
【例】
才色兼備の誉れ高い女性。
採長補短 (さいちょうほたん)
他人の長所を探り入れ、自分の短所を補うこと。また、他でやっていることを見習い、自分がやっていることの悪い点を補うようにすること。
【例】
私のように未熟な者でも、採長補短を心がけてここまでやってこれました。
【類】
取長補短、助長補短
三寒四温 (さんかんしおん)
冬、寒い日が3日続き、その後、四日ほど暖かい日が続く。これが繰り返される気象現象をいう。また、そのように寒い日と暖かい日を繰り返しながら、次第に春になっていくこと。
[←先頭へ]山高水長 (さんこうすいちょう)
長く伝わる立派な人物の功績や名誉を、山がいつまでも高くそびえ立ち、川の水が絶えることなく流れ続けることにたとえた語。
【例】
女子教育に果たした津田梅子の業績には山高水長の価値がある。
三顧之礼 (さんこのれい)
礼儀を尽くして優れた人材を招くこと。とくに目下の優れた人物を手厚く迎えることをいう。「顧」は訪ねるという意味。
【故】
中国の三国時代、蜀の国の劉備が諸葛孔明を参謀として、招こうとしたときの話。劉備は孔明の協力を得るため、自ら孔明の草庵を訪れたが、1度目も2度目も不在で会えなかった。しかし、諦めることなく3度目に訪れると、孔明は劉備の熱意に感動し、蜀の天下制覇のために働いたという。
三者鼎立 (さんしゃていりつ)
実力が同じ程度の3人が対立していること。三つ巴。「鼎」は「かなえ」と訓読し、煮炊きや祭祀に使う3本の足がついた道具のこと。
【例】
候補者が三者鼎立している激戦の選挙区。
斬新奇抜 (ざんしんきばつ)
凡人ではとうてい思い浮かばないような新しいこと。「斬新」は、際立って新しいこと。「奇抜」は、人並みではない風変わりなこと。
【例】
斬新奇抜な発想。
【類】
奇想天外
三寸之轄 (さんすんのかつ)
小さくても絶対に必要な大切なもの。些細であっても欠かせないもの。「轄」は、車輪が軸から抜けないようにするくさびのことで、これが三寸(約9センチ)であることからきている。
【例】
彼の働きは地味だが、会社にとって三寸之轄ともいうべき役割を果たしてくれている。
三百代言 (さんびゃくだいげん)
詭弁を弄して相手を言いくるめること。また、そのような人。「三百」は三百文の略で、価値が低いことのたとえ。「代言」は代言人の略で、昔は弁護士のことをこう読んだ。
【例】
不祥事が起こるたびに、三百代言を並べ立てるのにはあきれる。
三面六臂 (さんめんろっぴ)
1人で数人分の働きをすること。また、1人の人が多方面で活躍すること。「臂」は手首からひじまでの部分を指し、3つの顔と6本の腕を持った仏像からきている。
【例】
本業以外でも彼は趣味の写真や文章が高く評価されていて、三面六臂の活躍ぶりだ。
【類】
八面六臂
三令五申 (さんれいごしん)
3回命令し、5回言い聞かせるという意から、何度も繰り返して命令したり、言い聞かせたりすることをいう。
【例】
社員全員に趣旨を徹底させるため、各所属長は職場で三令五申するように。
【類】
周知徹底
尸位素餐 (しいそさん)
高い地位にありながら、その職務や責任を果たさず給料を受け取っていること。また、才能や功績がないのに高い地位についていること。平たく言えばごくつぶし。「尸位」はじっとしていて動かないこと。「素餐」は仕事をせずに食べることの意。
【例】
恩人に頼まれて雇ったが、尸位素餐を決め込まれたのでは辞めてもらうほかない。
【類】
窃位素餐、伴食宰相
慈烏反哺 (じうはんぼ)
子供が年老いた父母に孝行し、親の恩に報いること。烏は、大きくなると親鳥に口移しでエサを与えることからきている。「反哺」は食べ物を口移しにして食べさせることの意。
【例】
故郷に帰って家業を継ぎ、慈烏反哺を尽くすつもりだ。
【類】
烏鳥私情、三枝之礼、反哺之孝
四海兄弟 (しかいけいてい)
世界中の人々は皆、兄弟のように仲良くし、何の分け隔てもなく親しく接するべきだということ。「四海」は四方の海、転じて世界を指す。「けいてい」は漢音読み。
【類】
四海一家、四海同胞
自画自賛 (じがじさん)
自分の行い、作品、考えを自分でほめること。「賛」は、絵に合わせて書き込む詩文。自ら描き、自ら賛することから、自分に関することを自分でほめる意になった。「自賛」は「自讃」とも書く。
【例】
自画自賛と笑われるかもしれないが、このプランにはそれだけの自信がある。
【類】
我田引水、手前味噌
自家撞着 (じかどうちゃく)
発言や行動に関して、その前後のつじつまが合わず、矛盾していること。「自家」は自分の家、転じて自分のこと。「撞着」は突き当たること、矛盾すること。
【例】
普段は横文字の氾濫を嘆いているくせに、横文字だらけの文章を書くとはなんと自家撞着な人だ。
【類】
自己撞着、自己矛盾
自家薬籠 (じかやくろう)
自分の薬箱の中の薬のように、いつでも取り出して役立てられるもの。また、自分の意のままに動かせるよう手なずけた人物をいう。
【例】
ライバル会社の社員を自家薬籠のものにして情報を聞き出す。
時期尚早 (じきしょうそう)
まだ機が熟しておらず、事を起こすには早すぎること。
【例】
画期的な新商品だが、時期尚早だと思われるので、発売日は延期したい。
自給自足 (じきゅうじそく)
自ら給し、自ら足りる。つまり、自分が必要とするものは自分で作るということ。
【例】
米も野菜も作っているし、魚は近くの海で釣ってくる。食べることに関しては自給自足できる。
四苦八苦 (しくはっく)
ひどく悩み、苦労すること。仏教語で、あらゆる苦しみの総称。「四苦」は生・老・病・死。「八苦」はこの四苦に愛別離苦(愛する者と別れる苦しみ)、怨憎会苦(憎んでいる者とも会わなければならない苦しみ)、求不得苦(求めても得られない苦しみ)、五蘊盛苦(心身から発する苦しみ)を加えたもの。
【例】
サラリーマンを辞めて親の家業を継いだ当初は四苦八苦したが、努力の結果、ようやく商売のコツが分かってきた。
【類】
七難八苦
試行錯誤 (しこうさくご)
いろいろな方法を試し、失敗を繰り返しながら困難な問題の解決法を探っていくこと。
【例】
試行錯誤を重ねて、ようやく完成した。
【類】
暗中模索
自業自得 (じごうじとく)
自分がしたことの報いは必ず自分が受けるということ。善悪いずれの結果についてもいう語。現在では、悪事の報いを受けるという意味で使われる。
【例】
さんざん人をだましてきた男が詐欺にあうとは自業自得だな。
【類】
悪因悪果、因果応報、自作自受、自縄自縛
時時刻刻 (じじこくこく)
時間を追うごとに。時とともに。物事が次々と連続して起こること。「刻刻」は「こっこく」とも読む。
【例】
時時刻刻と変化する経済情勢。
子子孫孫 (ししそんそん)
子孫の続く限り。
【例】
雅楽の家に生まれたからには、私もこの伝統芸能を子子孫孫に伝えていく使命がある。
事実無根 (じじつむこん)
事実に基づいていない根も葉もない話。「無根」は根拠がないという意味。
【例】
私が不倫しているなどというのは事実無根の噂だ。
獅子奮迅 (ししふんじん)
獅子が奮い立って激しく突進することから、勢いよく物事に対処するさまや、激しい意気込みをいう。
【例】
この危機を乗り切るため、みんなに獅子奮迅の働きを期待する。
【類】
猪突猛進
自縄自縛 (じじょうじばく)
自分の行動や発言がわざわいして身動きが取れなくなり、苦しむこと。自分の縄で自分を縛ることからきている。
【例】
日頃のえらそうな物言いが自縄自縛を招いてしまった。
【類】
悪因悪果、自業自得、自業自縛
死屍累累 (ししるいるい)
正視できないほど多くの死体が折り重なっているさま。戦いの後の悲惨極まりない状態。「累累」は、重なり合っていること、辺り一面に転がっていることの意。
【例】
この業界は厳しい安売り競争の結果、倒産する会社が相次いで死屍累累たるありさまだ。
自然淘汰 (しぜんとうた)
自然界では周囲の環境に適合した生物が生き残り、適合できなかった生物は子孫を残せずに滅びていくということ。また、そのようによいものが残り、悪いものが消えていくということ。
【例】
ブームに乗ってたくさんの類似商品が出回っているが、いずれ自然淘汰される。
【類】
適者生存
志操堅固 (しそうけんご)
周囲の状況や思惑に左右されることなく、自分の志や考えを守りつづけて変えないこと。「志操」は、心の持ち方、志。
【例】
志操堅固な相手と妥協点を見出すのは難しい。
【類】
堅忍不抜、秋霜烈日
時代錯誤 (じだいさくご)
じ代の流れに会わない考えや行動。また、いつまでも昔風のものにこだわること。「錯誤」は、事実とそれに対する観念、認識がずれていることの意。
【例】
時代錯誤な法律は改めるべきだ。
舌先三寸 (したさきさんずん)
言うことは達者で巧みだが、心がこもっていないこと。「舌先」は言葉、弁舌。「三寸」は約9センチで、短いことのたとえ。
【例】
舌先三寸で世の中を渡ってきたような男の言うことは信用できない。
七転八起 (しちてんはっき)
七転び八起き。何度失敗しても屈することなく、その都度立ち上がり、物事に挑むこと。「七」と「八」は数が多いことを表す。
【例】
今度の失敗は相当な痛手だろうが、七転八起の精神を持った彼なら必ず立ち直るだろう。
【類】
捲土重来、不撓不屈
七転八倒 (しちてんばっとう)
激しい痛みに襲われ、のたうち回って苦しみ、悶えること。また、混乱状態を表すときに使う。「しちてんはっとう」、「しちてんはちとう」、「しってんばっとう」とも読む。
【例】
思いもよらない事態に遭遇して七転八倒した。
七難八苦 (しちなんはっく)
さまざまな苦しみや、ありとあらゆる災難。「七」は、仏教でいうこの世で受ける7種の災難のこと(流行病、外国の侵略、内乱、風水害、火災、霜害、日月食)。「八苦」は「四苦八苦」を参照。「色の白いは七難かくす」のように二字熟語としても使われるが、この場合の「七難」は、さまざまな欠点を指し、色白の女性の欠点は気にならないという意味。
【例】
七難八苦を覚悟して難工事をやり遂げる。
【類】
艱難辛苦、四苦八苦
七歩之才 (しちほのさい)
詩や文章の才能が優れていること。
【故】
三国時代、魏の王、曹操に2人の息子がいた。その死後、後を継いだ兄は弟の詩文の才を憎んで迫害していたが、あるとき、七歩歩く間に詩を一首作らなければ重い処罰を課すと弟に言った。これに対し、弟はその場で兄をいさめるすばらしい詩を作ったという。
死中求活 (しちゅうきゅうかつ)
追いつめられた状況にあって、助かる道を必死に模索すること。また、捨て身の覚悟で事に当たること。「死中に活を求める」とも読み、現在はこのほうが一般的。
[←先頭へ]実践躬行 (じっせんきゅうこう)
理論や観念にとどまらず、自ら率先して行動すること。口先だけでなく実際の態度や行動で表すことが大事だということ。「躬」は自分でという意味。
【例】
どんなに立派なことを言っていても、実践躬行が伴わなくては人はついて来ない。
【類】
率先躬行、率先垂範、率先励行
叱咤激励 (しったげきれい)
激しく強い言葉で、あるいは大声で叱ったり、励ましたりして力づけ、奮起させること。
【例】
今日の相手にはとても勝てないと弱気だった選手達が、監督の叱咤激励で奮い立った。
【類】
啓発激励、鼓舞激励、叱咤督励
疾風迅雷 (しっぷうじんらい)
行動がすばやく激しいこと。また、そのような勢いでやり遂げること。事態が急変するという意味もある。「疾風」は速くて激しい風、「迅雷」は激しい雷鳴。
【例】
チャンスと見たら疾風迅雷の勢いで攻撃せよ。
【類】
疾風怒濤、迅速果敢、電光石火
疾風怒濤 (しっぷうどとう)
激しい風と逆巻く波。転じて、時代や状況の変化が激しい勢いで押し寄せること。動きが非常にすばやいこと。
【例】
疾風怒濤の時代を乗り切った経営手腕。
【類】
狂瀾怒涛、疾風迅雷
櫛風沐雨 (しっぷうもくう)
風雨にさらされて奔走すること。苦難の道をたどること。「櫛風」は風を櫛の代わりにして髪をとくこと。「沐雨」は雨で体を洗うこと。
【例】
櫛風沐雨の人生。
【類】
櫛風浴雨、風櫛沐雨
四通八達 (しつうはったつ)
道路が四方八方に広がっていること。転じて、往来の激しいにぎやかなところ、交通網の発達しているところ、情報がよく伝わることをいう。
【例】
インターネットによって情報が四通八達している。
【類】
四通五達
実事求是 (じつじきゅうぜ)
事実に基づいて、物事の真相や心理を探求すること。また、先入観を持たず、風説にも惑わされることなく、真実を求めようとする姿勢をいう。
【例】
裁判官に求められるのは実事求是の姿勢である。
質実剛健 (しつじつごうけん)
飾り気がなくまじめで、心身ともに健康でたくましい様子。「質実」は飾り気のない様子、「剛健」は強く健やかであるという意味。
【例】
彼は学生のころから悪い遊びに手を出すこともなかった質実剛健の若者だ。
【類】
剛毅木訥
紫電一閃 (しでんいっせん)
一瞬の変化や、物事の急激な変化をいう。「紫電」は、鋭い刀を振るったときにひらめく紫の稲妻、「一閃」は、さっとひらめくことの意。
【例】
これほどに事態が急変するとは、まさに紫電一閃というべきだな。
【類】
光芒一閃、電光石火
四分五裂 (しぶんごれつ)
バラバラに分裂すること。統一されていた秩序が乱れること。また、そのような状態をいう。「四分」は「しぶ」とも読む。
【例】
卓越したリーダーを失い、四分五裂に陥った。
【類】
四散五列、四分五割
自暴自棄 (じぼうじき)
失望のあまり理性をなくし、やけくそになること。自分の思いどおりにならず、投げやりになること。「自暴」は、自分で自分の身を損なうこと。「自棄」は、自分の身を捨てること。
【例】
恋い焦がれていた女性に振られて自暴自棄になってしまった。
四方八方 (しほうはっぽう)
あらゆる方向のこと。「四方」は東西南北。これに北東、北西、南東、南西を加えた方角が「八方」。
【例】
貴重な古書が欲しくてたまらず、四方八方を尽くして探す。
【類】
四方八面、四面八方
揣摩臆測 (しまおくそく)
当て推量。物事を勝手に想像して推し量ること。「揣摩」は、あれこれと推測することで、「すいま」とも読む。「臆測」は、いいかげんな推測のことで、「憶測」とも書く。
【例】
離婚の理由について周囲がいろいろ言っているが、しょせんは揣摩憶測に過ぎない。
四面楚歌 (しめんそか)
四方を敵に囲まれて助けもないこと。自分に同調してくれる人が誰もおらず、反対する人ばかりで心細いこと。
【故】
楚の国の項羽は漢軍と戦っていたが、部下が次々と漢軍に寝返り、形勢が悪化していった。ある日、包囲している漢軍から楚の民謡を歌う声が聞え、項羽は敗北を悟ったという。
【例】
自分の考えは正しいと信じているが、四面楚歌の身ではどうしようもない。
【類】
孤軍奮闘、孤立無援
自問自答 (じもんじとう)
自分自身に問いかけ、その問いに自分で答えること。心の声に耳を傾けること。
【例】
これからやろうとしていることに誤りはないのか、何度も自問自答してみた。
杓子定規 (しゃくしじょうぎ)
すべてのことに1つの基準や感覚を当てはめて判断しようとして、融通が利かないこと。また、そうした態度をいう。
【例】
そんな杓子定規な考えでは、変化の激しい時代に対応できないよ。
【類】
四角四面
弱肉強食 (じゃくにくきょうしょく)
弱い者の肉は強い者の食料になるということから、強者が弱者を倒し、弱者の犠牲の上に強者が栄えることをいう。「強食弱肉」ともいう。
【例】
新規参入の会社が相次ぎ、この業界は弱肉強食の様相を呈し始めた。
【類】
適者生存、優勝劣敗
社交辞令 (しゃこうじれい)
人とうまく付き合っていくためのお世辞。リップサービス。「辞令」は習慣的で形式的な言い回しのこと。
【例】
あれだけほめられると、社交辞令と分かってはいても悪い気はしないものだ。
【類】
外交辞令
奢侈淫佚 (しゃしいんいつ)
見分不相応な贅沢をし、不道徳で節度のない行いをすること。「奢」は行き過ぎたさま、「侈」は多いことを表し、「奢侈」は物量が多大であること、転じて行き過ぎた贅沢を意味する。「淫」はひたる、おぼれる、「淫」は楽しむ、なまけるの意で、「淫佚」は、とくに酒色におぼれることを指す。
[←先頭へ]洒洒落落 (しゃしゃらくらく)
性格や態度、言動がさっぱりしていて、物事に執着しない様子。また、そのような人。心に何のわだかまりもなく、さっぱりしているという意味の「洒落」(しゃらく)を重ねて強調した語。「洒落」には「しゃれ」という読み方があるが、その場合は、類音に引っかけた言語遊戯、または着ている物や持ち物の趣味がいいという意味になる。
[←先頭へ]遮二無二 (しゃにむに)
後先のことを考えず、まただがむしゃらに物事に取り組むこと。無鉄砲。周囲の状況に目を配らず強引に事を進めること。「遮二」は二を遮るで、1つのことに熱中することの意。「無二」は二がないで、先を考えずに進むことの意。「無二の親友」という場合は、かけがえのないという意味になる。
【例】
風雨をものともせず、遮二無二突き進む。
【類】
我武者羅
縦横無尽 (じゅうおうむじん)
何事にもとらわれず、思う存分に行動するさま。勝手気ままに振舞う様子。「縦横」は縦と横、東西南北。そこからあらゆる方向、転じて自由自在、気ままの意。「無尽」は尽きることがないという意。
【例】
縦横無尽に不正を暴く。
【類】
縦横自在、縦横無碍、自由自在
秀外恵中 (しゅうがいけいちゅう)
顔がきれいで頭もよいこと。「秀外」は外見に秀でていること。「恵中」は頭脳が優れていることの意。
【例】
お宅のお嬢さんは秀外恵中で、うらやましい。
【類】
才色兼備
衆議一決 (しゅうぎいっけつ)
大勢で議論、または相談して意見が一致し、結論が出ること。
【例】
意見が分かれていたが、今日の会議で衆議一決、進むべき方向が定まった。
羞月閉花 (しゅうげつへいか)
あまりの美しさに月は恥らい隠れ、花は閉じてしまう。このことから、容姿の美しい女性の形容。「羞花閉月」(しゅうかへいげつ)ともいう。
【例】
映画祭に出席した女優たちの美しさは、まさしく羞月閉花というべき。
【類】
沈魚落雁
終始一貫 (しゅうしいっかん)
どんなに状況が変わろうと、最初から最後まで考えや態度を変えないこと。「一貫」は突き通すという意味。
【例】
恩師は、不良だった私に温かい愛情を終始一貫注いでくれた。
【類】
首尾一貫、徹頭徹尾
周章狼狽 (しゅうしょうろうばい)
思いがけない事態に直面し、慌てふためき、うろたえるさま。「周章」も「狼狽」も、慌ててうろたえるという意味。
【例】
大地震が起こったときに周章狼狽しないために日ごろからの備えが必要だ。
【類】
右往左往
周章狼狽 (しゅうしょうろうばい)
思いがけない事態に直面し、慌てふためき、うろたえるさま。「周章」も「狼狽」も、慌ててうろたえるという意味。
【例】
大地震が起こったときに周章狼狽しないために日ごろからの備えが必要だ。
【類】
右往左往
衆人環視 (しゅうじんかんし)
周囲を大勢の人々が取り巻いて見ていること。「環視」は、ぐるりと取り囲んで見るという意味で、「監視」と書くのは誤り。
【例】
衆人環視の中で起こった衝撃的な殺人事件。
【類】
衆目環視
修身斉家 (しゅうしんせいか)
行いを正し、円満な家庭を築いてこそ仕事に打ち込めるということ。「修身」は我が身を修めるで、心がけや行いを正しくする意。「斉家」は家庭を整え治めるという意。
【例】
彼が立派な成績を上げているのは修身斉家のたまものだ。
秋霜烈日 (しゅうそうれつじつ)
刑罰、権威、意思などが極めて厳格であること。「秋霜」は秋の冷たい霜、「烈日」は真夏に照りつける太陽。どちらも激しく厳しいものを意味する。
【例】
あれだけの不祥事を起こしたのだから、周章烈日の懲罰を課されても当然だ。
【類】
志操堅固
十人十色 (じゅうにんといろ)
十人いれば十通りの考えや好みがあり、人それぞれに違うということ。
【例】
今年の新入社員は十人十色。個性的な人材が集まった。
【類】
各人各様、三者三様、多種多様、千差万別
秋風索漠 (しゅうふうさくばく)
夏の盛りが過ぎて秋風が吹くようになり、ものさびしい光景に変わること。転じて、盛んだったものの勢いが衰え、落ちぶれてわびしげなさまの意にも使われる。「莫」は「寞」とも書く。
【類】
秋風寂莫、秋風落莫
嘯風弄月 (しゅうふうろうげつ)
自然の風景に親しみ、その趣を味わうこと。風に嘯き、月を弄ぶと訓読する。「うそぶく」は詩歌を口ずさむという意味。「もてあそぶ」は自分の心を慰めるものとして愛する、観賞するという意味。
【類】
吟風弄月、嘲風弄月
主客転倒 (しゅかくてんとう)
主人と客人の立場がひっくり返ること。転じて、物事の位置付けや順序が逆転すること。また、重要なものとそうでないものとの扱いを取り間違えることをいう。「主客」は「しゅきゃく」とも読む。
【例】
主客転倒な会社に見えるでしょうが、社員が社長にズケズケものを言えるから、うちは伸びているんですよ。
【類】
本末転倒
熟読玩味 (じゅくどくがんみ)
文章を丁寧に読み、その内容や意味を深く味わうこと。「熟読」は繰り返し、じっくり読むこと。「玩味」は、食べ物をよく味わうという意味で、そこから物事の意味や道理を理解することをいう。
【類】
眼光紙背
取捨選択 (しゅしゃせんたく)
一定の基準に従って、必要なものを残し、不必要なものを捨てる判断をすること。
【例】
膨大な情報を取捨選択して整理させた。
【類】
取捨分別
衆生済度 (しゅじょうさいど)
仏や菩薩が、迷い苦しんでいるものすべてを悟りへと導くという仏教語。「衆生」は、迷いの世界にいる生き物すべてを指し、「済度」は迷い苦しむものを悟らせること。
[←先頭へ]朱唇皓歯 (しゅしんこうし)
美しい女性を形容する語。「朱唇」は紅をさした女性の唇、「皓歯」は白くて美しい歯の意。
【例】
朱唇皓歯の美しさに心がときめいた。
首鼠両端 (しゅそりょうたん)
いつまでも迷って決めかねること。周囲の状況を探ってばかりいて、行動に移さないこと。曖昧な態度のたとえ。日和見。「首鼠」は、疑い深いネズミが穴から首を出したり、引っ込めたりして様子を伺うこと。「両端」には、ふた心の意がある。
【例】
首鼠両端している人物にはイライラさせられる。
【類】
右顧左眄、狐疑逡巡
酒池肉林 (しゅちにくりん)
贅沢で盛大な酒宴。いかがわしい宴会。悪い意味で使うことが多い。
【故】
殷の紂王が池に酒を満たし、木に干し肉をかけて林のようにし、その間を裸の男女に走り回らせて酒宴を開いたという。
【例】
大勢の美女をはべらせ、酒池肉林にひたっている。
出処進退 (しゅっしょしんたい)
現在の地位や役所にとどまるか、辞めて退くか。要するに身の処し方。「進退出処」ともいう。「出所」と書くのは誤り。
【例】
私もそろそろ出処進退を考えるべき時期になった。
出藍之誉 (しゅつらんのほまれ)
教えを受けた弟子が師より優れた人物になること。また、子が親より優れていること。「青は藍より出でて藍よりも青し」(藍という草の葉から取った青い染料は、藍の葉より美しい色をしている)からきた語。
【類】
出藍之青
酒嚢飯袋 (しゅのうはんたい)
何の役にも立たない人、無駄に時を過ごす人を軽蔑していう語。「酒嚢」は酒を入れる革袋、「飯袋」は、ご飯を入れるおひつのこと。転じて、大酒を飲み、飯をたらふく食べるだけの無能な人物をいう。
【例】
有能な男だと思って採用したのに酒嚢飯袋だったとは、もっと人を見る目を養わなくては。
【類】
無芸大食
首尾一貫 (しゅびいっかん)
言動や態度、方針が最初から最後まで同じで、矛盾がないこと。筋が通っていること。「首尾」は頭と尾。転じて、物事の始まりから終わりまでを意味する。「一貫」は1つの方法を貫き通すこと。
【例】
交渉に首尾一貫した方針で臨む。
【類】
終始一貫、徹頭徹尾
純一無雑 (じゅんいつむざつ)
不純なものがまったく混じっていないこと。また、ウソをつかず、邪念のない人物を形容していう。
【例】
彼のように一途で純一無雑な青年に会うと心が洗われる。
【類】
純真無垢、清浄無垢
春日遅遅 (しゅんじつちち)
春の日が遅い。つまり、暮れゆくのが遅い、のどかでうららかな春の1日のこと。
【例】
春日遅遅の休日を家族とともにのんびりと過ごす。
【類】
春風駘蕩
純情可憐 (じゅんじょうかれん)
相手を信じて疑うことがなく、頼りなさそうで、何とかして守ってあげたいという気持ちにさせるさま。
【例】
彼女のように純情可憐だと、いつ悪い男に騙されるか本当に心配だ。
純真無垢 (じゅんしんむく)
清らかな心を持っていること。性格が素直で飾り気がないことの意。子供についていうことが多い。「純真」はウソをいったり人を疑ったりする気持ちがないこと。「無垢」は汚れのない状態。
【例】
純真無垢な子供に接するたびに反省させられる。
【類】
純一無雑、純粋無垢、清浄無垢
春風駘蕩 (しゅんぷうたいとう)
春の風がのどかに吹くさま。そこから、何事もなく平穏なこと。態度がのんびりしていて、穏和な人柄をいう。「駘蕩」は、のびのびとして穏やかなさま。
【例】
奥様は春風駘蕩としたお方ですね。さぞかし、ご家庭は円満でしょう。
【類】
春日遅遅
順風満帆 (じゅんぷうまんぱん)
障害が何1つなく、物事が順調に進むこと。すべてがうまくいくこと。「順風」は追い風のことで、帆船が追い風を受けて帆をいっぱいに膨らませ、快調に航海することからきている。
【例】
良家に生まれ、一流大学を卒業、出世もとんとん拍子。まさに順風満帆の人生ですね。
自由闊達 (じゆうかったつ)
心が広く、おおらかで気取りがないこと。「闊達」は度量が大きく、些細なことにこだわらないことの意。
【例】
社長が自由闊達な人なので、伸び伸びと仕事できる会社である。
【類】
闊達自在、天空海闊
自由自在 (じゆうじざい)
自分の思いのままにできること。思う存分に振舞う様子。「自在」は、束縛するものも邪魔するものもなく、心のままにできるという意味。
【例】
リボンを自由自在に操る新体操の華麗な演技。
【類】
縦横自在、縦横無尽
自由奔放 (じゆうほんぽう)
慣習などにとらわれずに、気がねをすることもなく、自分が思ったとおりに行動すること。
【例】
ときには周りが振り回されることもあるが、彼の自由奔放なところが好きだ。
【類】
自在奔放、奔放不羈
上意下達 (じょういかたつ)
上の者の意思や命令を下の者に伝えること。また、上の意思を下に徹底させること。「下達」を「げたつ」と読むのは誤り。
【例】
今度の失敗は社長の考えが現場の末端にまで浸透していなかったからだ。上意下達の仕組みを作らなくてはいけない。
【類】
上命下達
笑止千万 (しょうしせんばん)
あまりにもばかばかしくて話にならないこと。非常に滑稽なこと。「千万」は、語の下に添えて、はなはだしい、この上ないという意味を表す。
【例】
営業一筋30年の私に売上げをしのいでみせると言うとは笑止千万だ。
盛者必衰 (じょうしゃひっすい)
今、どれほどの栄華を誇っている者であっても、やがては必ず衰えるときが来るということ。この世のはかなさをいう仏教の人生観。
【例】
盛者必衰は世の習い。成功におごり高ぶっていてはいけない。
【類】
栄枯盛衰、生者必滅、盛者必滅
常住不断 (じょうじゅうふだん)
常に絶え間なく続いていること。途切れることがないさま。「常住」は、過去・現在・未来にわたって変化がなく存在するという意味。
【類】
大学を卒業してからも、常住不断の勉学に励んでほしい。
【類】
行住坐臥、常住坐臥、日常坐臥
情状酌量 (じょうじょうしゃくりょう)
さまざまな事情を考慮して、刑罰を軽減すること。「酌量」は、米や酒を量ることで、これが転じて、処分を決定する際に事情を汲み取るという意味になった。
【例】
あまりにも悲惨な境遇を思えば、情状酌量の余地がある。
生生世世 (しょうじょうせぜ)
生まれ変わり、死に変わりして経験する世。つまり、永遠のことをいう。
【例】
この愛は生生世世、変わらない。
精進潔斎 (しょうじんけっさい)
神仏を祭る前に、酒や肉を断って行いを慎み、心身を清めること。「精進」は、一心に仏道修行に励み、心身を清く保つこと。美食・肉食を避け、粗食・菜食をするという意味もある。「潔斎」は酒や肉を断ち、行いを慎み、心身を清めること。
【例】
このような不始末をしでかしたからには、精進潔斎して反省の日々を送りたい。
【類】
斎戒沐浴
正真正銘 (しょうしんしょうめい)
まったく嘘いつわりがないこと。間違いなく本物であること。「正銘」は由緒正しい銘があるということから、本物・真実を指し、「正真」と同じ意味。
【例】
鑑定した結果、正真正銘、鎌倉時代の仏像であることが分かった。
小心翼翼 (しょうしんよくよく)
気が小さくてビクビクしているさま。本来、細かく気を配り、慎み深いという意味だが、現在はこのような使い方をすることは少ない。「翼翼」は慎み深いという意味。
【例】
気が弱いとは思っていたが、これほど小心翼翼とした人物だとは。
【類】
細心翼翼
掌中之珠 (しょうちゅうのたま)
最愛の妻や子供。また、自分が最も大切にしているもの。「珠」は宝玉のことで、手のひらの中に入れた宝物という意味から来ている。
【例】
娘は私にとって掌中之珠です。
情緒纏綿 (じょうちょてんめん)
感情がまつわりついて離れないこと。「情緒」は怒り、悲しみ、喜びなどの感情や雰囲気を意味し、正しくは「じょうしょ」と読むが、現在は慣用音として認められている「じょうちょ」が一般的。「纏綿」は、愛情が深く細やかで離れにくい様子、まといつくことの意。
【例】
情緒纏綿たる文章。
諸行無常 (しょぎょうむじょう)
この世のものすべては常に変化し、消滅していく。永久不変なものはないという意味の仏教語。「諸」は宇宙のありとあらゆるもの、「行」は変転流動するという意味。「無常」は、生あるものは必ず滅びるという意味で、「無情」と書くのは誤り。
【類】
有為転変、有為無常
初志貫徹 (しょしかんてつ)
最初に抱いた志や信念を変えることなく、最後までくじけずに貫き通すこと。
【例】
君の志は壮大だ。困難にぶつかることも多いだろうが、ぜひ初志貫徹してほしい。
諸説紛紛 (しょせつふんふん)
1つの問題について、いろんな学説や意見に分かれてしまい、収拾がつかないこと。また、いろんな噂が飛び交い、真実がつかめないこと。「紛紛」は糸が乱れて、もつれる様子の意。
【例】
この問題については諸説紛紛としていて、結論が出るまでには相当な時間がかかりそうだ。
【類】
議論百出、甲論乙駁
枝葉末節 (しようまっせつ)
物事の本質から外れた些細な部分、重要ではない物事のたとえ。枝の葉っぱも末のほうにある節も、樹木の中心である幹から外れていることから来ている。
【例】
枝葉末節にこだわるあまり、本当に大事なことを見逃している。
【類】
枝葉末端
白河夜船 (しらかわよふね)
ぐっすり寝込んでいたため何が起こったのかまったく知らないこと。また、知ったかぶりをすること。
【故】
昔、京都を見物してきたと嘘を言ったところ、名所の白河について質問された。てっきり川のことだと思い、夜中に船で通ったので分からないと答えたという話に基づいている。
【例】
彼の言うことはどうも怪しい。白河夜船じゃないのか。
私利私欲 (しりしよく)
自分だけの利益や欲求だけを追い求めること。公益よりも個人的な損得を優先させること。
【例】
私利私欲に目がくらむ。
支離滅裂 (しりめつれつ)
言うことに統一性がなく、めちゃくちゃなこと。また、文章や色、形などにまとまりがなく、訳が分からないこと。「支離」は分かれて散る、「滅裂」は破れて裂け、形がなくなるという意味。
【例】
こんな支離滅裂な文章では、とうてい理解できない。
【類】
四分五裂
思慮分別 (しりょふんべつ)
物事を深く考えた上で適切な判断を下すこと。また、それができる能力、知恵のこと。「分別」は社会人として求められる理性的な判断のこと。
【例】
もう三十代になったのだから、思慮分別を持ちなさい。
【類】
熟慮断行
四六時中 (しろくじちゅう)
一日中。いつも。常に。「四六時」とは、4×6で24時間の意。
【例】
昨日出会った素敵な人のことが四六時中、頭から離れない。
神韻縹渺 (しんいんひょうびょう)
芸術作品が優れていて、奥深い味わいがあることのたとえ。「神韻」は人間業とは思えない優れた趣。「縹渺」は果てしなく広いさま、かすかではっきりしないさま。
【例】
神韻縹渺の境地に達した名画。
人海戦術 (じんかいせんじゅつ)
ある目的を達成するために大勢の人を動員すること。「人海」は、大勢の人が集まって海のように見えるさま。
【例】
思わぬアクシデントで作業が大幅に遅れた。人海戦術で遅れを取り戻そう。
心機一転 (しんきいってん)
あることをきっかけに、気持ちを切り換えて出直すこと。よい方向、明るい気持ちへ変化するときに使う。「心機」は心の働きや気持ちの意。
【例】
昨年は不運なことが続いたが、年も改まったことだし、心機一転、飛躍の年にしてみせる。
【類】
気分一新
神機妙算 (しんきみょうさん)
神様が行うような絶妙のはかりごと。とうてい常人には思いつかない優れたはかりごと。
【例】
神機妙算の作戦にやられた。敵ながらあっぱれだ。
深山幽谷 (しんざんゆうこく)
人が足を踏み入れていない静粛に包まれた自然。「深山」は遠く人里は慣れた奥深い山、「幽谷」は山奥の静かな谷のこと。
【例】
深山幽谷に入り、しばし俗世間のことを忘れる。
参差錯落 (しんしさくらく)
物が一様でなく、いろいろ入り混じっていること。「参差」は物が不揃いなさま、「錯落」は入り混じることの意。
【例】
参差錯落とした大都会。
人事不省 (じんじふせい)
気絶すること。こん睡状態に陥って意識不明になること。「人事」とは人としての意識の意。
【例】
車にはねられ、人事不省のまま病院に運ばれた。
【類】
意識不明、前後不覚
唇歯輔車 (しんしほしゃ)
お互いの利害が結びついていて助け合う関係。持ちつ持たれつの関係。切っても切れない関係。「輔車」は、車輪を補強する添え木と車で、唇と歯同様、密接な関係がある。
【例】
彼とは唇歯輔車の間柄です。
【類】
唇亡歯寒
神出鬼没 (しんしゅつきぼつ)
不意に現れたり消えたりして、居どころがつかめないこと。「神」「鬼」は不思議な力を持つ神霊のことで、鬼神のように自在に出没することからきた語。
【例】
神出鬼没の怪盗。
【類】
神出鬼行、神変出没
尋常一様 (じんじょういちよう)
ごく普通の当たり前のこと。他と変わりがないこと。中国の周の時代、「尋」は8尺(1.84m)、「常」は1丈6尺(3.68m)で、ごくありふれた長さだったことからきている。
【例】
あのときの恐怖は尋常一様ではなかった。
信賞必罰 (しんしょうひつばつ)
功労者には、その功に見合う賞を、罪を犯した者には必ず罰を与えること。賞罰を厳格に行うこと。そのような人使いの心構えをいう。
【例】
信賞必罰を実行してこそ人はついてくる。
針小棒大 (しんしょうぼうだい)
針の頭ほどの小さなことを棒のように大きく言う。物事に尾ひれをつけて大げさに言うことのたとえ。
【例】
彼の話は針小棒大だ。
新進気鋭 (しんしんきえい)
ある分野に登場した意気込みの鋭い将来性豊かな新人。
【例】
新進気鋭の諸君に存分の働きを期待している。
【類】
少壮有為
人心恟恟 (じんしんきょうきょう)
世の中の人々が恐れおののくこと。「恟恟」は恐れておののくさま。
【例】
凶悪な殺人事件が連続して起こり、人心恟恟に陥った。
人心収攬 (じんしんしゅうらん)
たくさんの人の心を上手につかんでまとめること。人々の信頼や人気を集めること。「収攬」は収め、まとめるという意味。
【例】
人心収攬の術にたけているだけに次期社長と目されるのも当然だ。
人跡未踏 (じんせきみとう)
今までに人が足を踏み入れていないこと。また、人が手をつけていない分野のたとえ。
【例】
人跡未踏の秘境に分け入る。
【類】
前人未踏
迅速果断 (じんそくかだん)
素早く決断し、実行すること。「果断迅速」ともいう。「果断」は思い切りがよい、決行が素早いという意味。
【例】
好機を逃さず行動した迅速果断さは見事だ。
進退両難 (しんたいりょうなん)
進むのも退くのも困難なこと。動きが取れず、にっちもさっちもいかなくなること。
【例】
情勢が激変したからにはこの事業を中止したい。しかし、すでに多額の投資をしていることを考えると、進退両難ここにきわまった。
新陳代謝 (しんちんたいしゃ)
生命を保つために必要なものを取り入れ、不要なものを排泄する作用。これが転じて、古いものが少しずつ新しいものに入れ替わっていくという意味にも使われる。体制や人事を刷新する場合にもいう。
【類】
物質代謝、新旧交替
心頭滅却 (しんとうめっきゃく)
どんなに苦しく、つらいことであっても、心を無にすれば、それを感じないでいられる。つまり、雑念を消しなさいという教え。
【例】
心頭滅却すれば火もまた涼し。
【類】
無念無想
深謀遠慮 (しんぼうえんりょ)
物事を深く突きつめ、将来のことまで見通して考えること。用意周到に計画を練ること。必ずしもいい意味では使われないことが多い。「深謀」は深い謀。「遠慮」には慎み深いという意味があるが、この場合は遠い先々のことまで見通した考えのこと。
【例】
自分が有利になるよう、常に深謀遠慮を巡らす人物。
【類】
深慮遠謀
人面獣心 (じんめんじゅうしん)
人の顔をしているが、心は獣であるということ。冷酷で無慈悲な人、人から受けた恩や情けを感じない人、人情のない人をいう。
【類】
人頭畜鳴
森羅万象 (しんらばんしょう)
この世に存在するありとあらゆるもの、この世で起こるすべての事柄をいう。「森羅」は、森の樹木のように無数に連なること。「万象」は、あらゆる物事、いろいろな形のこと。
【例】
森羅万象に通じた博学の士。
【類】
一切合切、天地万物
辛労辛苦 (しんろうしんく)
とてもつらい目にあい、苦労すること。「辛労」「辛苦」ともに、非常に苦しむという意味。「心労」と書くと心づかいや精神的疲労の意味になるので誤り。
【例】
父親が莫大な借金を残して亡くなったため、辛労辛苦をなめてきた。
【類】
艱難辛苦、千辛万苦
酔眼朦朧 (すいがんもうろう)
酒に酔い、目の焦点が定まらなくなって、物がはっきり見えないこと。酔ってぼんやりしている様子。
【例】
昨夜は酔眼朦朧としていたが、ちゃんと帰れたのか。
【類】
酔歩蹣跚
随喜渇仰 (ずいきかつごう)
深く仏に帰依し、厚く信仰するという仏教語だが、ある物事に進んで取組むという意味でも使われる。「随喜」は喜んで仏に帰依すること。心からありがたく、うれしいと思うという意味もあり、「随喜の涙」という言葉がある。「渇仰」は渇すれば水を思い、山へ向かえば高みを仰ぐという意味から深く仏を信仰することをいう。
【例】
本人の希望で職場を変えてみたら、随喜渇仰して仕事するようになった。
水魚之功 (すいぎょのこう)
魚は水の中でしか生きていられない。このように、互いに離れることができないほど親密な間柄。非常に仲がよく、固く結ばれている友情。「すいぎょうのまじわり」とも読む。
【故】
三国時代、蜀の劉備が自分と諸葛孔明との親密さを功説明したという。
【類】
管鮑之交、刎頚之友
酔生夢死 (すいせいむし)
酒に酔い、夢の中にいるような心地で生涯を終えることから、有意義なことは何1つせず、ただぼんやりと無駄に一生を過ごすことのたとえ。
【例】
親の遺産があるから酔生夢死でいられるのだろうが、それでは生まれてきた意味がないぞ。
【類】
無為徒食、遊生夢死
翠帳紅閨 (すいちょうこうけい)
美しく飾った高貴な女性の寝室。貴婦人の豪奢な生活のたとえとしても使う。「翠帳」は、翡翠(かわせみの異称)の羽で飾った帳(カーテンのこと)。「紅閨」は赤く染まった婦人の寝室、居間。
【例】
彼女は翠帳紅閨で育った正真正銘のお嬢様。
水天髣髴 (すいてんほうふつ)
遠い沖合いの海を眺めると、空と海の水との境が見分けられないことがある。そのようなさまをいう。「髣髴」は「彷彿」とも書き、はっきりせず、ぼんやりしていること。
【例】
春霞のたなびく水天彷彿の眺めに、しばし見とれる。
【類】
水天一色、水天一碧
酔歩蹣跚 (すいほまんさん)
酒に酔って、ふらふらとおぼつかない足どりで歩く様子。千鳥足。「蹣跚」は「ばんさん」とも読み、よろめくことの意。
【類】
酔眼朦朧
頭寒足熱 (ずかんそくねつ)
読んで字の如く、頭は涼しく、足は暖かくしておくこと。寝るとき、これとは逆に頭が暖かく足が冷たいと、なかなか眠れない。頭が暖かいということは、血液が脳にたくさんあるためで、一種の興奮状態というのが東洋医学の考え方。足を暖めれば脳の血液は下がっていき、興奮状態が治まるとされている。つまり、健康法の1つ。
[←先頭へ]寸進尺退 (すんしんしゃくたい)
一寸進んで、一尺退く。一寸は約3センチ。一尺は約30センチなので、少し進んで大きく退くという意味。転じて、得るものが少なく、失うものが多いということのたとえ。
【例】
新製品の開発は寸進尺退で、展望が開けない。
寸善尺魔 (すんぜんしゃくま)
世の中にはよいことが少なく、悪いことが多いというたとえ。また、「好事魔多し」と同じ意味で、よいことというのは妨げるものが多く、なかなか成就しないことをいう。
【例】
もう一歩のところまでいっていたのに邪魔が入った。寸善尺魔とはよく言ったものだ。
青雲之志 (せいうんのこころざし)
立身出世を望む心や功名心。また、俗世間を超越して高潔であろうとする思い、俗世間から逃げ出したいという願望をいう。立身出世を願うという意味で使うことが多い。「青雲」は青空を流れる雲で、これが転じて学問や道徳、また高い位を表す。
【例】
青雲の志を抱いて上京した。
【類】
凌雲之志
晴好雨奇 (せいこううき)
山水の景色の見事さは、晴れた日はもちろんのこと、雨の日でもまた違った趣があって味わい深い。景観が晴れの日、雨の日、それぞれに素晴らしいことをいう。
[←先頭へ]晴耕雨読 (せいこううどく)
田舎でのんびりと暮らすこと。自然に逆らうことなく、心穏やかに暮らすこと。農家の人は晴れた日に田畑を耕す。それができない雨の日は家で本を読んで過ごす。このように自然のありようとともに生活することからきている。俗世間から離れた生活や、老後の理想的な生活の意味で使われることが多い。
【例】
退職後は実家に帰って晴耕雨読の生活を送るつもりだ。
生殺与奪 (せいさつよだつ)
生かすのも殺すのも、与えるのも奪うのも思いのままであること。相手を自分の思いどおりに支配することのたとえ。「殺生与奪」ともいう。
【例】
生殺与奪の権を私が握っている以上、わがままは許さない。
【類】
活殺自在
西施捧心 (せいしほうしん)
むやみに人の真似をして笑い者になることのたとえ。
【故】
中国の春秋時代、西施という美女がいた。彼女は胸の持病のため、時折り胸を押えて眉をひそめることがあったが、その様子がまた美しかった。それを見た醜い女が西施の真似をしたところ、村人たちは恐ろしがって逃げたという。
誠心誠意 (せいしんせいい)
うそ偽りのない心。私心を捨てて誠実に物事に取り組むこと。
【例】
彼のように、他人のことでも誠心誠意、面倒をみる人は珍しい。
正正堂堂 (せいせいどうどう)
卑怯なことをせず、態度や手段が正しくて立派なこと。また、後ろ暗いところがなく、自信に満ちているさまをいう。
[←先頭へ]生生流転 (せいせいるてん)
万物が絶えず生まれ変わり、状況や境遇が移り変わっていくことをいう。また、定めがないこと。「生生」は「しょうじょう」とも読み、ものが絶えず生まれ、活動するさま。「流転」は、あらゆるものが因果に支配されて種々の境界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道)をめぐること。
【例】
これまで何度も浮き沈みを経験してきた。人生はまさしく生生流転だ。
【類】
生死(しょうじ)流転、万物(ばんぶつ)流転、流転輪廻(りんね)
清濁併呑 (せいだくへいどん)
きれいな川も濁った川も受け入れる海のように、善悪の区別なく、物事をあるがままに受け入れる度量の広さをいう。現在では、「清濁併せ呑む」という表現が一般的。
【例】
政治家には清濁併呑の器量が必要だ。
井底之蛙 (せいていのあ)
「井の中の蛙(かわず)、大海を知らず」と同じ意味。自分の狭い知識にとらわれて、広い世界のことが見えないことをいう。世間知らず。
[←先頭へ]青天霹靂 (せいてんのへきれき)
「寝耳に水」と同じ意味で、思いもよらないようなことが起こること。「霹靂」は急に聞こえてくる雷の意で、よく晴れた空に突然、雷が鳴ることからきている。
【例】
私が次期社長に指名されるとは青天霹靂だ。
青天白日 (せいてんはくじつ)
青く澄んだ空と白く輝く太陽。つまり、よく晴れ渡った天気を指し、これが転じて、後ろ暗いところ、やましいところがないことをいう。疑いが晴れるという意味もある。
【例】
彼のように青天白日の人間を疑うとはとんでもない。
【類】
清廉潔白(せいれんけっぱく)
清風明月 (せいふうめいげつ)
すがすがしい夜風と明るい月。転じて美しい自然をいう。自然を相手にした風流な遊びの意味もある。
【例】
今夜は清風明月を愛でながら酒を酌み交わそう。
【類】
清風朗月(せいふうろうげつ)
精力絶倫 (せいりょくぜつりん)
元気がよくて活動的なこと。人並みはずれた行動力があること。また、そのような人をいう。「精力」は気力、「絶倫」は他に比較するものがないほど優れていることで、必ずしも性的なことを意味しているわけではない。
【例】
徹夜明けとは思えない元気さは、精力絶倫の評判どおりだ。
【類】
精力旺盛(せいりょくおうせい)
勢力伯仲 (せいりょくはくちゅう)
互いの力にほとんど差がないこと。「伯」は長兄、「仲」は次兄を意味し、これが転じてよく似ていて格別の違いがないことをいうようになった。
【例】
この試合は勢力伯仲のチームが戦うから面白い展開になるぞ。
精励恪勤 (せいれいかっきん)
仕事や勉学にいそしむこと。精力を傾けて励む様子。「恪」には慎むという意味があり、「恪勤」は職務に忠実に勤めるという意味。
【例】
子供の頃から精励恪勤していた彼のことだから、今日の成功も当然というものだ。
【類】
精励勤勉(せいれいきんべん)、刻苦勉励(こっくべんれい)、奮励努力(ふんれいどりょく)
清廉潔白 (せいれんけっぱく)
心や行いが清く正しく、後ろ暗いところがまったくないこと。「廉」は、いさぎよい、行いが正しい、私心がないという意味。
【例】
私が疑われているようですが、私は清廉潔白です。
【類】
清浄潔白(せいじょうけっぱく)、青天白日(せいてんはくじつ)
積薪之嘆 (せきしんのたん)
あとから来た者が優遇され、永年勤めてきた者が冷遇されてしまうことの嘆きをいう。古い薪(まき)の上に新しい薪が積み重ねられていくため、下にある薪はいつまでたっても使われないことからきている。
【例】
人事にあたっては、積薪之嘆を抱く社員が出ないように心がけたい。
積善余慶 (せきぜんのよけい)
よい行いをすると、その報酬として子孫に至るまで幸福でいられるということ。「積善の家には必ず余慶あり」の略。「余慶」は、功徳の報いが一代に止まらず、子孫にまで残るという意味。
【例】
両親の積善余慶があればこそ、今の私がある。
【類】
善因善果(ぜんいんぜんか)
是是非非 (ぜぜひひ)
よいことはよい。悪いことは悪い。このように公正無私に正しく判断すること。道理によって客観的に価値を論じること。「是非」を強調した言葉。
【例】
是是非非の態度で議長を務める。
切磋琢磨 (せっさたくま)
友人や仲間が互いに競い合い、励まし合って、学問、技術などが共に向上すること。玉や石を細工するとき、刀や斧で切り、やすりで磋(みが)き、ノミやツチで琢(う)ち、砥石で磨(みが)いて美しく仕上げることからきており、もともとは自分の人格をみがくことを言った。
【例】
大学時代から切磋琢磨してきた親友。
切歯扼腕 (せっしやくわん)
非常に悔しがること。悔しくて怒り狂うこと。「切歯」は歯ぎしりすること、「扼腕」は激しく意気込んで自分の手首を握りしめること(「腕」は漢文では手首の意)。
【例】
もう少しのところで大物を釣り落とし、切歯扼腕した。
【類】
残念無念(ざんねんむねん)
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