Diary 2.5 映画館でデート。
フランツVer.


〜4月××日・水曜日・晴れ〜

今日、サファイアから
「父に映画のチケットを貰ったから、今度のお休みに一緒に行かない?」
って電話が来た。
サファイアのお母さんが、手料理もご馳走してくれるらしい。
彼女の両親…か。ちょっと緊張する…よな。
でも、あそこのうちは、暖かくてとても好きだ。
あの子がどんな風に育ってきたか、すぐにわかる気がする。

僕の親ってどんな人だったのかなぁ。。。って思ったりして。

♪─────────♪─────────♪─────────♪────────♪

〜4月××日・日曜日・晴れ〜

いつも通り10分前に着いた。
よし、大丈夫。まだ来てない。

「ごめん、寝坊した!」
「もう、ひど〜い。いっぱい待っちゃったぁ」
ぷん!と隣の女の子が拗ねてる(笑)…あんなサファイアを一度は見たいと思うけど、
他の男に声掛けられるリスクを考えたら僕が先に来ていた方が良い。

「フランツ?こんなところでどうしたの?」
見たことあるお姉さまの二人連れ。
うーん。誰だったっけ???
「お友達と待ち合わせ?」
「付き合わない?御馳走してあげる♪
お友達も一緒にね。」
野郎と一緒なら有難い申し出だけど、今日はそんな状況じゃない。
って言うか、こんなところ見られたら、何を言われるか。。。
丁重にお断りして、お引取り頂いた。

ほっとしてたら
「あら!フランツじゃない! 」
うわ〜、又かよ。ああ、夜見る顔だよなぁ。。名前なんだっけ???
「ねぇ」
と言いかけるのを
「御免、これからデートだから、邪魔しないでくれる?」
はっきりお断り&お願いした。
「ん。今度、私ともデートしてね!」
わかった…って手を振って別れて、もう頼むから僕の知り合いは来ないでくれ!

「おはよう♪」

5分前。にこにこと笑顔のサファイア。今日も可愛いなぁ。

ん?新しい服だ。ちょっと胸元が気になるぞ。丈だって短くないか?
「サファイア、新しいワンピースだね、似合うよ!
…だけど、その服、胸元がさ」
言いかけたら、首を傾げながら、悪戯っぽく笑って
「何?ドキドキしちゃう?」
だと〜!?

全く!このお嬢ちゃんは、自分が周囲にどれだけ見られてるか
全然わかっちゃいないんだから!
そんな可愛い顔で見上げて、僕を殺す気か!?!?

「否、不用意に屈むとお臍見えちゃうから、注意したほうが良いよ」
釘は刺しておかないと。
「ちゃんと、下着付けてるから、お臍は見えません!!!」
ツンと横を向いて、膨れっ面。
無茶苦茶怒ってる…ヤバイなって思うけど、そんな顔も可愛いんだよねぇ、
困ったことに。。。

♪───────────────────────────────────────♪

「飲む物とか、買って来ようか?」
「いらない、フランツ欲しかったら自分のだけ買えば」

映画館に着いても。まだまだご機嫌斜めか。。。
そろそろ、仲直りしないと辛いかな。

「この辺で良い?」
ほぼ中央。悪くない席だと思う。
大人しく掛けたサファイアがなんだかバタバタしてる。。。
ん?こらこら、その脚!見せ過ぎだよ。やっぱり丈短いだろう!!!

「掛けたら?結構冷えるよ」
ジャケットを脱いで差し出したのに
「汚しちゃったらいけないし、フランツだって寒いかも」
なんて、遠慮だか何だかわからないことを。

僕だけが見るんなら良い!でも。
サファイアの隣…は女の子のグループ、これは関係ない。
問題は僕の隣。女連れなんだから人のモノに興味示すな、ルール違反だぞ。

「僕以外の男に脚見せちゃ駄目だよ!」
囁いたら、耳まで真っ赤になって上気した顔で僕を見る。
だから、そんな可愛い顔は二人だけのときにしてくれ〜!
…とりあえず、さっさと脚は隠そう。

映画は、思ってたより面白くて、結構夢中になって観た。
SFアクションだったけど、結構話も面白かったよ、うん。
サファイアのお父さん、有難う。

「そう、あの爆発のシーンがさ…」
喫茶店で、面白かったねって言ってみたんだけど…。
サファイアはそうでもなかったのかな?
今ひとつ、反応が鈍い。アクション嫌いじゃないはずなのに。
それでも、僕の話を一生懸命聞いてくれるのが嬉しくて、
やたらと喋ってしまった。

♪───────────────────────────────────────♪

ちょうど夕食タイムにサファイアの家に着くようにした。
「座って待っててね♪」
白いエプロンを付けたサファイア、キッチンのお母さんを手伝うって
いなくなってしまった。
「普段はあんなことしないんだが」
お父さんが苦笑してる。
エプロン姿は慣れてない感じで、そこが可愛いかな。
お嫁さんにしたらあんな風か…。
口元が緩みそうになったけど、お父さんの姿を目の端に認めて、慌てて引き締めた。

沢山の手料理が並んだ食卓。
「お口に合うと良いけれど」
お母さんに優しく言われて、
「とても美味しいです」
流石にちょっと緊張する。何度会っても美人なんだよねぇ。
サファイアとは違ったタイプ。それでも、雰囲気は似てるから不思議だね。

「サファイアが作ったのもあるのよね」
お母さんの言葉に、何だか慌てた様子のサファイア。
「…多分、サラダですよね?」
なんとなく不揃いな野菜といい、目一杯の飾りつけといい、他に無いと思う。
当てたら、むっとしてる。あははは。自覚ありだ。
そこへお父さんが
「味は悪くないよ」
なんてフォロー。
いけない、いけない。僕も褒めなきゃ。
「うん、とっても美味しいよ、サファイア」
って言ってるのに目許が怒ってる。美味しいのは本当なんだけど。

帰り際、ご馳走様でした!と挨拶すると
「また遊びにいらっしゃい」
と笑顔で言われて、ああ、やっぱりサファイアに似てる。
勿論もっと落ち着いた感じだけど。
大人になったらこんな風に微笑うのかな???

‘バス停まで送る’って?
何を危険なことを…。こんな夜に危ないでしょうが。
門まででいいよ、勿論。さっさとおうちに入りなさい。
「それじゃ、お休み、また明日ね」
手を振ったら、手招きされた。
ん?言われたとおり屈むと
え!?な…なんだ。今、頬に。。。?

「今夜、他の女の人の夢を見たら許さないから!!」

真っ赤になりながら、怒ったように言うサファイアを呆然と見てしまった。
とりあえず、返事しなきゃ。
「…善処するよ」
聞いてるのか、聞こえてないのか、視線を合わせないまま
「お休みなさい!」
言うなり、家に駆け込まれてしまった。

ちょっと待ってくれよ。。。いきなり頬にキスするか???
あー、駄目だ。参った。。。 
多分、このままバスに乗ったら挙動不審者になるな、顔が緩みっ放しだよ。

♪───────────────────────────────────────♪

家に帰ってからも、今日のサファイアが目にちらついて…
朝、あのワンピースの時点でやばいと思ってたけど、胸とか脚とかさ
怒ったり、恥ずかしがったり、笑顔だったり…。
…あの最後のキスは効いたよなぁ…。

どーしてあのお嬢ちゃんは、いきなりあんな大胆なこと、しでかすかなぁ。
迂闊に目を離しちゃいけない、うん。絶対。
とりあえず、次のデートでちゃんと牽制しよう。。。


ん!?もう3時じゃないか!明日1限テストだぞ!
さっさと寝る!もう寝るったら寝る!!!


おしまい♪♪♪



<Diary2.5 映画館でデート。 おしまい♪>



解説
 
 Diary2.0のフランツサイドの話。最初のタイトルは‘2匹目の泥鰌’でした。      
 フランツはフランツで結構頑張ってるんですよね。でもサファイアにはその辺が分かってません(笑)
フランツがわざと見せないようにしてる…からね。
そんな風に見栄張っちゃう男の子は好きです、shanz♪



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