ＡＲＭＯＲＥＤ　ＣＯＲＥ　BATTLE FIELD OF RAVEN

第６８話　　　一企業反乱戦争―End of war―




　「なあ・・・」
　最初に静寂をやぶったのはノアだった。
　「殺さないのか？俺を・・・」
　「殺して欲しいならそうするが・・・」
　「いや・・・やめておく」
　軽く、本当に軽くルシードが笑う。

　「なぁ・・・話を、聞いてくれるか？」
　ルシードが言った。
　こんな言葉を話すのは、始めてだった。
　「いくらでも話は聞くぞ・・・」
　話は、彼の昔話だった。



　「本当に、これでいいの？」
　「大丈夫大丈夫、きっと大丈夫」
　軽く手を上下に振りながらミューアは言った。
　彼女達は限りなく不安だった。
　「でも・・・発射が止められないなら爆破しましょう、なんて・・・」
　「実際他に手が無いじゃない、停止コードも効かないし、他に目標を変更することも出来なかったんでしょ？」
　「まぁ・・・そうだけど・・・」
　「はい、それが分かってるなら手を休ませない、早く起爆装置作らないとここでこのまま心中よ」
　彼女達が作っているのは遠隔操作式の起爆・爆破装置である。

　そして、ミューアの提案は、爆破が止められないのならここで爆破してしまおうという、何とも分かりやすい提案だった。

　「はい、完成」
　カリナが最初に作り上げる。
　「ご苦労様、悪いけど、それをミサイルに取り付けて、で、そのコードをこの装置につなげて」
　作業は淡々と続いていった。

　その作業も終わりを迎えた。
　「じゃあＡＣに乗り込んで、後はここを７分で脱出するのよ、そうしないと施設の爆発に巻き込まれるわ」
　「頼むわよ・・・」
　３人はそれぞれに装置に言った。


　５分後、施設より脱出。
　１分後、ジオ機をパイロットごと回収、のち離脱。



　―――爆発まであと１分



　「へぇ・・・そんなことがね・・・」
　ノアは話を聞いていた。
　「だから、俺は・・・守らなくてもいい物が欲しかったんだ」
　「なあ・・・ルシード、だったな？」
　「ん？」
　「少なくとも・・・俺達は守らなくてもいいはずだぜ」
　ノアの言葉の意図するところが、彼には分からなかった。



　爆発。

　「はっはっは・・・ようやく発射か・・・」
　精神の平行を失いし者は、施設とその運命を共にした。
　「ふはははは！」
　業火に身を焼かれながら、笑いながら・・・


　彼、彼女達もその光景を見た。
　「作戦成功・・・だな」
　「そうね・・・」
　「これで・・・暫くはこのあたりは立入禁止かしら・・・」
　「それを言ったら・・・地上区画は原則的に全て立入禁止よ」
　「へっ・・・そうだな・・・」
　「うっ・・・」
　瞬間ミリアムが呻いた。
　「どうした？」
　「み・・・見て・・・」
　恐怖に彩られた表情で空を指さした。


　原子雲と共に崩壊する施設。
　そこから・・・一基。
　核ミサイルが飛び出した。

　「生きていた・・・」
　「嘘・・・」
　「ぼさっとするな！撃ち落とすぞ！」
　ジオが、満身創痍の機体を操り、核ミサイルに狙いを定める。
　それに続き、その場にいた三機も狙いを定めた。
　そして、ジオの機体の腕部は、そのまま割れ落ちた。



　「ミサイルが射出されたか・・・」
　ルシードはその光景を見ていた。
　「・・・さて、どうする？」
　ノアが静かに言った。
　「何がだ？」
　「お前は守らなくていい物を手に入れられる」
　淡々と語るノア。
　「でも、その守らなくていい物には、守るべき物があるんだ・・・どうする？」
　何が言いたいか、ようやくルシードにも分かった。

　ライフルを無造作に持ち上げ―そうとしか見えない速度で狙いを定め―撃った。


　放たれた弾丸は、核ミサイルを貫通した。
　直後、一発の弾丸が命中し、核がばらまかれた。
　そこはただの無人の広野だった。


　「こう言うことか？」
　「まあそう言うことだ・・・」
　「守らなくていい物・・・俺が欲した物・・・」
　ルシードに安堵の表情が浮かぶ、心なしか声も弾んでいるようだった。
　「ただ〜し、１つ条件がある」
　そこの言葉にルシードの表情が曇る。
　「非常に個人的だが、お前の妹さん、俺に探させるのを手伝わせること」
　「どういう・・・ことだ？」
　「なに、個人的な理由だよ、お前が必死になる妹って奴を、この目で見てみたいのさ」
　「ははっ・・・そういうことか」
　「そういうことさ」
　ノアはにやりと笑った。



出撃数：５
生還機数：６

　奇妙な報告書だが、これは事実である。



　「そういえば、そんなこともあったなぁ・・・」
　「そういえば・・・じゃないだろ・・・そんなに退屈なら・・・行くか？この仕事」
　ラグは乗り気ではない仕事の詳細が書かれた紙を手渡す。
　「どういう仕事だ？」
　「報酬５０００の安い仕事だ」
　「うえ〜、しかも、これ海１つ越えなきゃじゃないか・・・やめとく」
　「だったらアリーナ観戦に行って来い、留守番は俺がしておく」
　「わかった・・・サンキュな」

　こうして彼等の一日は終わる。
　激闘の日々がとても遠くに感じる平凡な日だった。

第６８話　完


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はい、第６８話です。

どうにか週一更新です、明日は小説の更新の時間取れそうもないので〜

サブタイトル『End of war』、『終戦』ですね。


次回の更新なんですけど。
全部を書き直したくなったんですよね。
というか今のところ自分的に破綻は無さそうなんですが、この後書いたら破綻しそうなんです。
それなのでこの回を最後に、もう一度第一話からやり直そうと思うのです。
全面的に。

容量を削って、さらにボリュームを増やそうと思うのです。
オプションとかそう言うのを削ったりして、ですけど。

で、番外編についてはどうしようか悩んでます。
そのままだとなんか嫌だし、かといって削除はもっと嫌だし、書き直す時間はあんまり無いし。、


そんな中で新たに生まれ変わるＢＦＲをよろしくお願いします。