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キーウエスト

〜この橋を渡るために〜

TVか雑誌の広告、あるいはカレンダーだったかもしれない。
20代始めの頃、私はこの写真を見てしまった。

セブン・マイル・ブリッジ
セブン・マイル・ブリッジ(後に映画「トゥルー・ライズ」の舞台にもなった)

この世界のどこにあるのかもわからない、この長い長い橋。
私は
「絶対にここを渡る!」
と決心した。
その後あらゆる手段で調べた結果、この橋はアメリカ最南端の小島「キーウェスト」へと
続く道だと知り、

「行くしかない!」(またかい・・・?!)

と相成った。
バハマやオーランド と共に、マイアミも卒業旅行のコースに組み入れたのは、単にこの
セブン・マイル・ブリッジを渡るためだけだったのである。

この橋を渡るには、とにかく空や海で移動してはならない(当たり前・・・)。
車を使わねば。
しかし私は、慣れない土地で運転する勇気の無い小心者なので、マイアミでいわゆる
「オプショナル・ツアー」を申し込んだ。
飛行機ならマイアミからわずか30分のキーウェストだが、車だと5〜6時間はかかる。
ホテルロビーの集合時間は朝5時だか6時だか・・・とにかくめちゃくちゃ早い時間であった。
しかもっ!
待てど暮らせど迎えの車はやって来ない。せっかく早起きしたってのに!

さすがにおかしいと思い、前日予約を入れたホテルのトラベルカウンターに確認しにいく。
とはいっても、9時にならないとカウンターは開かないため、私と友人は数時間も待たされ
たのだから本当に可哀想である。
結果、手配したカウンターのばかたれおやじ(あ、失礼)の手違いで、日にちを間違えられ
翌日に予約されていたことが発覚。

ふふふざけんなっ!
こっちは眠い目こすりながら起きたってのにっ!

マイアミ滞在が5日間あったから、日にちを間違えられても問題なかったけれど、これが
2日間や3日間だったりしたら、日程的にキーウェストに行かれなかったかもしれないでは
ないか!
私は大してマイアミなんかに興味は無い、すべてはセブン・マイル・ブリッジのためだった
んだから、しっかりしとくれ〜!!

てなわけで、翌日もう一度早起きさせられた私達。
「今日こそ、あの橋を渡れるんだろうね・・・」
不安な私達を迎えに来てくれたのは、ドイツ系のガイドさんであった。

〜そしてついに!〜

ガイドさんはもちろん英語も達者だが、一緒になった観光客数人もすべてドイツ人であった
ため、狭いバンの中はドイツ語ばかりが行き交う。
私も即座に覚えた「ナイン!(スペルは・・・Neinかなぁ。わからないです)」つまり「いいえ」
とかを使ってみたりして。
フランス語だったら、もうちょっとスムーズに話せたかもな〜。

そんななごやかムードの中、バンはひたすらマイアミの道を走り抜けていく。
そう、移動時間6時間のうち、セブン・マイル・ブリッジ自体を走るのはわずか30分にも
満たないのだ。
長いドライブに耐える・・・それもすべては「あの写真の場所に行く!」ためである。

太陽がすっかり昇り、真っ青な空が映え渡る時間になったとき、私は夢にまで見たセブン・
マイル・ブリッジの上にいた。

セブン・マイル・ブリッジを行く
セブン・マイル・ブリッジを行く1991年2月

右を見ても左を見ても、そこは青い青い海。
目の前にはまっすぐに白い道が続いている。

「私は、あの写真の橋の上を渡っているんだ。
私は、夢の一つをかなえたんだ!」

生きているんだと、体全身で感じた。
生きてる喜びを、体全身で感じた。
オーバーだって思うかもしれないけど、本当にそうなのだ。
「行きたいと思ったところに行ける」・・・こんなすばらしいことってあるだろうか。

〜キーウェスト〜

キーウェストに着くと、まずはアメリカ最南端ポイントでの記念撮影。
街の中は、本当にどこを切り取ってもカラフルで可愛らしかった。
しかしここでの写真はすべて「画像の3分の1を私が占拠」というスナップ写真ばかり・・・。
仕方ないので雑誌の切り抜きをスキャンしたので、イメージだけでもどうぞ。

キーウェスト
キーウェスト

私はここがとても気に入ったため、その後たびたびカリブ海を訪れる際には必ず寄るように
なった。
というのも、カリブ地域は大抵成田を出るとマイアミを経由する。
行きはその日のうちに最終目的地にたどり着けるのだが、帰りには必ずマイアミで一泊
しなければならない。
半日以上マイアミで過ごす時間があるときは、飛行機でひとっとびしてキーウェストに行く
のだ。東京から箱根へ日帰り旅行する感覚である。

キーウェストには有名な「キーライム・パイ」がある。
日本人にとっては甘すぎる感が否めないが、私はたまに食べるこのパイが大好きである。
キーウェストに寄ってキーライム・パイをおやつに食べれば、翌日には日本に帰らねばなら
ない寂しさを少しでも紛らわすことができる。

〜ビーチ情報〜

そんなキーウェストにもビーチがある。
私は世界のビーチの砂をコレクションしていたため、ある時タクシーの運転手に
「砂を取ってきたいので、ビーチで少し止まってください」と頼んだ。
すると彼は
「ここの砂は輸入してきたものなんだ。自然にできたビーチではないよ」
と言う。
そういえば、何となく異臭が漂う気もしたが・・・本当のことなのかは不明だ。

輸入だろうがなんだろうが、しっかりと砂だけは持ち帰った私である。