ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の伍拾九

〜厄落とし



地下鉄を降りたらバックのポケットが半開きになっていた。

嫌な予感…案の定財布が失くなっていた。
現金の他に免許証、保険証、クレジットカード、キャッ シュカード、
会員証…諸々が入っていた。いやあ、困った。
すぐさま駅の紛失物窓口に届け出た。
かなりずさんな担当職員の対応に呆れた。ちなみに銀座 駅。
二日後財布が見つかったとの連絡が入った。
駅からではなく大丸デパートからであった。
八階の男子トイレのゴミ箱に捨ててあったとの事。
私の電話番号が分かる紙切れが入っていた為、
わざわざ御丁寧にも連絡して下さったのだ。
おまけに見つかった財布を郵送してくれた。
素晴らしい!大丸百貨店。今度買い物に行くぜ!
失くなったモノは現金のみで、
免許証その他諸々は全てが手付かず、不幸中の幸いであ る。
現金に関しては一円残らず、大入り袋の中の五円玉まで が抜かれており、
その五円玉に結ばれていた赤い糸と、
大入り袋はキチンと折り畳まれて残されていた。
気持ち悪い…。ゾッとしたぜ。
きっとこれは一種の厄落としであろう。
そう言えば厄年だったんです、私。
翌週川崎大師に出向いた。
これにて厄除け完了。

めでたしめでたし。

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