ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の四拾八

〜姿勢と挨拶



私の父は姿勢と挨拶に厳しかった。幼い頃、山田家では 徹底的に注意された。
結果、兄は背筋は伸びているが挨拶はいいかげん、私は 挨拶はきっちりしているが猫背。
彼の教育は半ば成功<失敗>したといえるだろう。
さて挨拶についてだが、私は他人がどうであれ気になら ない。
「あの野郎アイサツ無しに帰りやがった」なんてダサい 台詞は吐かない。
ただ”礼”と”詫び”に関してだけは別だ。
この二つは人と人が上手く長く付き合っていく為には絶 対に必要な潤滑油だと思う。
”喧嘩する程仲が良い”という言葉がある。その通りだ と思う。
何度も喧嘩出来るって事は、すれ違い争ったとしてもそ の都度許し合いニュート
ラルな関係に戻れるから。だから又懲りずに喧嘩出来る のだ。
”ごめん””すまん”が如何に大切か。
なんだかんだ言ったって人は”見返り”を期待する。
親切は決して押し売りするモノではないが、受け取った 時には喜びを伝えるべきだろう。
”ありがとう”が如何に素敵か。
時折”詫び”ない人がいる。”礼”しない人はそんなに いないけどね。
絶対に謝らない人。私には意味が分からない。いつだっ て自分は悪くないのだろうか。
謝ると金でも無くなるのだろうか。謝ると死んでしまう のだろうか。
どちらにしても滑稽。
私の知る限り、そういう人の廻りからは自然と人が離れ てゆく。
秋の夜長に”父の教えは正しかったなあ”と猫背で感じ ている今日この頃である。
言っとくけど私は決してモラリストなんかじゃあない よ。
御機嫌よう。



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