ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の壱百弐拾弐
〜本来の自分〜



2011年は実に多忙な年であった。

スケジュール帳を見返して見れば、仕事のないOFF日は年間で25日程度。

ナマケモノの私にとって驚くべき労働日数である。

にもかかわらず金は無い。【貧乏暇無し】が真実である事をよ〜く知っているのは、私だ。

何でこんなに忙しくなってしまったのか、私自身よく分からないのだが、

しばらくはこの忙しない日々を抜け出せそうにない。波に逆らえない。“ナガレ”である。



そんな私にも、12月30日の恒例盆暮れサンジャック独り舞台が終わり、

大晦日〜元旦にかけて、スケジュール空白の二日間が訪れた。



寝た。睡眠時間14時間のボヘミアンの復活である。



愛猫ベラミーはここぞとばかりに私にべったり。一時たりとて離れようとしない。

何もしない。莫迦になる。世界のはずれで、呆ける。無駄むだムダ。

おお、そうであった。これぞかつてのガレージシャンソン歌手の人生だ。

………ここまでのんびり出来るのが、あまりに久し振りの事なので、何だかしっくりいかない。

ダラダラしていられない。目的を探してしまう。驚くべき事に靴が履きたくなってしまう自分を発見!

やばい、知らず知らずの内に働き者にでもなっていたというのか。

労働は美徳とでも言うのか。汗や根性に価値を見出すとでも言うのか。



こりゃまずい。



という訳で【万座温泉湯治プラン1カ月コース】を真剣にチェックしている。

ある日、姿を消したらごめんよ、マネージャー。

でも本来の自分を取り戻すためだからね。

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