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私が書店で本を買わない理由[改訂版]

ここ何年かは,本を買うのはほとんどオンライン書店であり,雑誌はご多分にもれずコンビニで買っていますので,街の本屋さんをほとんど使わなくなりました。そんな状況に至った理由は以下の通りです。


近所の書店には欲しい本がない

聞いた話ですが,比較的小規模な書店に並んでいる本というのは本屋の店主が選ぶのではなく「取次」という名の流通業者(平たく言えば問屋さんです)に選択権がある,とされています。取次では地域別の書籍・雑誌の売上データを持っており,書店ごと(地域ごと)に「確実に売れる本・雑誌」のリストを作成して,その通りの本を書店に渡す,ということをやっているそうです。よって,同じ地域内にある書店は,どこに行っても同じような本しか売っていない,ということになりますし,私の印象もこれに近いものがあります。よって地域住民の平均的な趣味・趣向と自分の趣味・趣向が合わなかった場合,欲しい本が近所の書店に並んでいる,ということはありえません。「欲しい本を近所の書店で買う」ためには,自分の趣味・趣向が地域住民のそれと同じであることをまず確認してから転居しないといけないという非常に面倒な話になります。それ以外にも(委託販売ではない)岩波新書や岩波文庫は絶対に店頭には並ばない,という欠点もあります。
余談ですが,ちょっと前に最年少の芥川賞で話題になった綿矢りささんの「蹴りたい背中」が自宅の近所の書店には1冊もなかったような記憶があります。おそらく私の自宅の近所は「純文学が売れない地域」とされているのでしょう(笑)。(「夢を与える」も見かけません(笑))

(追記:2007.11.04)近所に1軒だけ残っていた書店がついに閉店してしまいました。この書店,駅前にあって,しかも昨今,私の近所では分譲マンションが「雨後のタケノコ」のごとく出現しているということで,決して立地条件などが悪いとは思えないのですが・・・・「純文学が売れない地域」などではなく,本そのものが売れない地域だったのでしょうか?(笑)。よって川上未映子の本が店頭に並べられるのかどうかについては,調べることさえできなくなってしまいました(笑)


大型書店では欲しい本が見つけられない

ということで,街の「大型書店」に出かけることになります。しかし,大きい書店に行ったからと言って欲しい本が必ずあるわけではありません。店員さんに聞いてもお目当ての本がどこにあるのかわからないことが多く,「徒労」になることの方が多かったような気がします。最近は各書店とも「在庫検索システム」というのが整備されてきて,以前と比べると探すのも楽になりましたが,それでも見つけられない場合は少なくありません。しかもこの「検索システム」はその書店の在庫とリアルタイムで連動していないことがたびたびあり,検索では「在庫あり」となるのに,実際には「品切れ」だったということが何回もありました。売上はリアルタイムで把握できるのが普通である昨今では,在庫をリアルタイムで更新することがそれほど難しいことだとは思えませんので,要は書店にやる気がないだけのことだと思われます。あべのの旭屋さんと新阪急ビルのブックファーストさん,および梅田の紀伊国屋さんは深く反省していただいものです。さらに梅田の紀伊国屋さんは,今すぐ在庫検索システムでヒットした書籍がどこの棚にあるかがわかるようにシステムを改良するか,店員さんに対して,どこにどんなジャンルの本があるのかを周知徹底させてください。検索でみつかったけど店員さんに聞いてもどこの棚にあるかわからないというのは「検索」ではありません(笑)。さらに新阪急ビルのブックファーストさんは,在庫検索システムにひっかからない書籍を棚に並べるという暴挙は今すぐになんとかして下さい。在庫検索システムに連動させない意図が理解できません。何をどうしたいんだ?(笑)
ついでに,旭屋さんにはもう一言。以前「旭屋書店mobile」で取り置きを頼んでおいて,あべの店で「携帯電話で申し込んだ本を取りに来たのですが」と伝えると「・・・何ですか,それ?」と言って,私が店員さんに延々とサービスの説明をしたことがあります。旭屋さんは自社のサービスの内容について店員さんに周知徹底するようにしてください。客に店舗のサービスの説明をさせるなんて話聞いたことがないぞ(笑)

(追記:2008.04.05 「旭屋書店mobile」については旭屋倶楽部のサイトから情報が削除されています。携帯電話からは利用できるようですが,PHSから利用できなくなってしまいました)


書店は新刊書籍の予約を拒否する

数年前の話ですが,とある新刊本を予約するために,当時住んでいた埼玉県で県内でそこそこ大きいと思われる書店へ行きました。カウンターでアルバイトらしき店員氏に,出版社とタイトルを書いたメモを渡して予約したい旨を告げたのですが「予約は受けられない」と言われました。そのときの会話は以下のような感じです

私:「では発売日には必ず入るのですか?」
店員:「それはお約束できません」
私:「だから予約したいのですが」
店員:「でも予約は受け付けていないんです」
私:「予約は受けない,発売日には入らないかも知れない,だといつまで経っても買えないじゃないですか?」
店員:「・・・・発売日以降であれば,予約できると思います」
私:「だから発売日に欲しいから先に予約したいんです」
店員:「でも発売日前には予約を受けられないんです。」
私:「・・・・・わかりました。じゃあ発売日はいつですか?」
店員:「・・・ちょっとはっきりした日にちはわからないのですが・・・」
私:「・・・だったら,それこそいつまで経っても買えないことになりませんか?」

と言う感じで会話にならないので,フロアの責任者の人に変わってもらおうかと思ったのですが,ここまで頑なに予約を拒否する以上,こんな書店を使うこともないと思って黙って帰って来ました。しかしどう考えても納得いかないので,予約しようとした本の出版社にこの「トラブル」についての問い合わせ(正確には「クレーム」か?(笑))のメールを出しました。
2日後,その出版社の営業担当の方から「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」で始まる,ちょっと長めの返信をいただきました。その返信によると

ということと,「推測ですが」と前置きした上で今回の「トラブル」については

という事が書かれていました。「面倒くさいから客の注文を受けない」という小売業があるというのは信じられないのですが,上で書いたように「取次」の権限の方が大きいことを合わせて考えると,あながちウソではないようにも思われます。

ということで,売る気がない商店からモノを買わなければならない理由もないため,アホらしくなって書店で本を買うのはなるべく止めることにしました。
とは言うものの,オンライン書店を利用すれば「取次」を利用しないことになるのか?と言えば,そういうことでもないので,結局行動としてはやや矛盾はしているのですが。

(追記:2008.05.14: 今年(2008年)に入ってから,この県内でそこそこ大きいと思われる書店は閉店したそうです。売る気がない商店の末路というのはこういうものです(笑))


オンライン書店はこれらの「欠点」を克服しているのか?

オンライン書店と言っても,取次とは無関係ではありません。私が知る限り,各オンライン書店は以下の取次と関係が深いと言われています。

(Amazon,boox,楽天ブックス以外はそれぞれの出版取次会社の直営,またはそれにに近い形で運営)

Amazonは独自の流通倉庫をもっているらしいのですが,日販関係のAmazon以外の3社の場合,同じところ(埼玉県三芳町にある日販のWeb-Bookセンター)から発送されますので,在庫も共通なのでしょう。トーハン関係の2社についても同じだと思われます。それで,どこの書店にどの本を卸すのか,という権限は相変わらず取次側にあると推測できますので,事情はそんなに変わらないような気もします。ただごく一部(後述)を除いて,在庫検索システムの精度は高くなっていますし,取り寄せを頼むのであればオンライン書店の方が圧倒的に早いのは言うまでもないので,それだけでもオンライン書店だけを使う意味は十分あるものだと考えています。


オンラインでも楽天ブックスを利用しない理由

楽天ブックスでは,在庫ありと表示してあるものを注文しても,「同時期に注文が重複した」という理由で「品切れによるキャンセル」になるということがかなり高い確率で発生します。すでに私もこの理由で10回近くキャンセルにさせられています(笑)。それほど売れ筋とは思えない書籍を,わざわざ私が買うタイミングを狙って買う人がそんなにいるとも思えない ので最初から在庫がないものを「在庫有り」と表示しているのではないか? と度々楽天ブックスに文句言っていますが(笑),いまだに明確な回答はいただいていません。上に書いたように数社と在庫が共通化しているとは言え,私の経験ではboopleや「本やタウン」でこの楽天ブックスのように,いきなりキャンセルとなったことはないので,楽天ブックスの在庫管理システムが機能していない(あるいはそんなものは最初から存在しない)のか,取次がなんらかの理由で,楽天ブックスへの出荷を後回しにしているあたりが理由だとは思いますが,いずれにしろそんな事情は利用者には関係ありません。結局,楽天ブックスは利用者からの注文をよくわからない理由で選別しているとしか考えられず,上で書いた「リアル店舗」と同じく,売る気がない商店からモノを買わなければならない理由はありません。よって楽天ブックスもなるべく利用しないことにしています。別のページで,書店のポイント制度について書いていますが,そこに楽天ブックスのことを一切書いていないのは,こういう理由に拠るものです。

在庫の話とは無関係に,楽天ブックスのデータベースは(これは楽天全体の問題かも知れませんが),キーワード検索の精度が悪過ぎます。原因の多くは勝手に書籍名を改ざんしていること(括弧がないにに括弧つけたり,拗音や長音を勝手に追加/削除している)で,これをやられると正確な書名を入れてもヒットしません(笑)。どうしても楽天ブックスを使いたい場合は,最初からISBNを調べておいたほうが無難です。(これは個人的な印象の域を出ませんが,日販のデータベースよりもトーハンのデータベースの方がキーワード検索の精度が良いように感じています。)

ついでに書店の話とは直接関係ありませんが,楽天はお問い合わせ窓口の担当者に日本語を理解できる人を配置して下さい(笑)。決して私が意味不明のメールを送りつけているわけではないのですが,メールのやり取りで会話が成立しない(こっちのメールの内容を理解できない)ことがかなり高い確率で発生しています。。ウィルコムのサポートよりもひどいのではないか?というのは言い過ぎでしょうか?(笑)

(追記:2008.06.25)2008年6月2日以降,楽天ブックスはコンビニ店頭受取・支払いに対して,手数料300円を取るようになりました。もはやこの書店,先はあまり長くなさそうです
配送料・代金引換手数料について(楽天ブックス・お問い合わせQ&A)

さらに追記:2009.11.03:すっかり無視していましたが,2009年11月まで送料とコンビニ受取手数料の無料キャンペーンやっていまましたが,送料無料キャンペーンは継続,コンビニの方は手数料を260円に値下げ?した模様。Amazonとセブンアンドアイも送料無料キャンペーン実施中。体力勝負になってきたようです。


オンライン書店のもうひとつの「欠点」

オンライン書店の他の「欠点」としては,「取り寄せを依頼できない」ということでしょうか?
通常の書店(リアル店舗)であるならば,出版社名とタイトルを言えば,探してもらえるのですが,オンライン書店の多く(専業のところ)は街の大型書店に平積みになっていても,自社で在庫を持っていなければ,それだけの理由で注文を受けてくれません。

しかしリアル店舗と併せて営業しているところ=旭屋さんとかジュンク堂さん(アウルHon急便)など,紀伊国屋もそうかな?=では,「ご相談カウンター」がネット上にあるような形態に近いので,自社の在庫になければ探してくれるようなサービスもやっています。またブックサービスは出版社に行って集荷している,と言っていますので,Amazonで買えなくても,これらのお店では購入できるということも,少なくないものと思われます。(個人的には何回かそういうケースを経験しています)。と言うことで,オンライン書店も万能ではないということで,使い分けるということも必要なのでしょう。


余談:CDもオンラインで

以上は本の話ですが,私の印象としてはCDも同じような事情のように思えます。特に昨今では売れるCDと売れないCDの差が激しいことと,店の面積が有限であることから,私が欲しいCDは新譜であっても予約なしで発売日に入手することはほぼ不可能です。音楽ソフトの場合は腐った書店などとは違って,新譜の予約を拒否することはありませんが,予約時期が発売日の数日前だと,経験上「発売日には入らない」と言われることも多いので,やはり最近はオンラインだけで購入するようになりました。もっともCDは本などと違って,最初から買う商品がきまっていることのほうが多いため,「24時間営業」のオンラインショップのほうが便利です。
・・・と書いていますが,実は今住んでいる場所の近所にはCDショップ(レコード屋)が1軒もないというのが本当の理由なんですけど。

(追記:2006.02.26)音楽ソフトも出版取次が関係していることのほうが多いようです。上に書いたように音楽ソフトは発売日があらかじめ決まっていて,予約や取り寄せを拒否されることはまずありませんが,なぜこのシステムが書籍に適用されないのかはよくわかりません。


初版2005.05.05/改訂版2008.05.14/最終更新日2009.11.14

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