![]() シャモニのサン・ミシェル教会 (Eglise St. Michel) |
■ モンブランの初登頂の物語 今から215年も前の話になる。長い間 悪魔の住む山として恐れられていたヨーロッパ最高峰のモンブランに、ジュネーブに住む自然科学者で、名士のソシュール (H.B.Saussure) が、征服に夢を託し懸賞を設けて応援していた。当時は高山での野営技術がなく、何人もが挑戦しては失敗を繰り返していたが、シャモニ村の25才の猟師ジャック・パルマ (J.Balmat) は、氷河の山中で夜を過ごし野営方法を模索していた。 その頃医者で登山家の ミシェル・パカール (M.Paccard) と知り合い、1786年8月8日早朝4時ごろ、2人はモンブランをめざして出発したのだ。 当日は好天に恵まれ、一気に山頂をめざし、およそ14時間に及ぶアタックの末ついに18時23分、人類未踏の山頂に立ったのである。その途中ジャック・パルマの野営技術が生かされ、無事に元気な姿で下山した。この成功がヨーロッパ中に知れ渡り、このフランスの片隅にあったアルプスの寒村が一躍有名となったと言われている。以来大勢の登山家や、その山を一目見ようとする観光客が次々に訪れるようになり、現在に至っているのである。 ■ パルマ広場のパカールの像 シャモニの駅前のミシェル・クロ通り (Av.Michel Croz) を真っ直ぐ進み、アルヴ川 (L'Arve) の手前を左に入ると、大勢の観光客が集まっているパルマ広場がある。そこには初登頂したパルマと、応援した発起人ソシュールの2人の像が立っている。パルマの指差す先には丁度シャモニの頂上が見え、その手前には青白く輝くボッソン氷河 (Glacier des Bossons) がすぐ下まで流れている。でも一緒に初登頂したはずの、パカールの姿がないのはどうしたことか?誰もが抱く疑問であろう。像を見ると初登頂を影で支えたはずのソシュール像が大きく、初登頂を成し遂げたパルマはその横で小さくなって見える。名士のソシュールとシャモニ村の25才の猟師パルマは、銅像になってもその立場は変わることがなかったのだ。その像から少し離れた位置に1人だけのパカール像があった。何故か初登頂から200年もたった後で、やっとパカールの像が出来たのである。【写真1・2】 ■ 美味しいアイスクリーム パルマ広場に座り、氷河からの雪溶け水で流れが早いアルヴ川 の水音を聞きながら、かみさんが買ってきたアイスクリームを食べる。ひとくち食べ 「とっても美味しいわよ~」 と笑顔で話す。食べると乳脂肪がたっぷり入っていて確かに美味い!。よく見渡すとあちこちで同じように食べている人が大勢目についた。ひょっとしたらここのアイスクリームは有名なのかも?・・。【写真3】 ■ サン・ミシェル教会 アルヴ川を渡った道路の先には、正面にサン・ミシェル教会 (Eglise St. Michel) がある。シャモニの教会らしく、ステンドグラスが珍しいアルプスのデザインで、結構観光客が訪れている。この教会の手前にはシャモニ・バス・ターミナル (Gare Routière) や、昨日お世話になった観光局のインフォメーションセンターがあり、日の丸のマークと 「日本語観光案内所」 の表示が心強い。 「ベルナデット・津田」 さんが常駐しており、ホテルの予約から観光案内、山のガイドとしても活躍されているのである。【写真4・5】 |
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■ エギーユ・デ・ミディ展望台 モンブランの展望台、エギーユ・デュ・ミディ (Aiguille de Midi/3,842m) に登るため、町の南外れにあるロープウエイ乗り場に向かう。朝の8時前に到着したが、乗り場は一杯の人だ。天気は良いが下から眺めると霧があり心配したが、頂上の 「モンブランの視界は良好」 のインフォメーションが出ていて安心する。80人位は一度に乗れそうな大型のロープウエイは満員で、中間駅のプラン・ド・レギーュ (Plan de I' Aiguille/2,317m) までの第1区間を垂直に近い感覚でグイグイと引き上げられる。 森林の下にシャモニの町がどんどん離れ、右手に広いモンブラン山地と、丸い頭の山頂を持つモンブラン見え始めた。左手奥には、切り立った岩山シャモニ針峰郡 (Aiguilles de Chamonix) がどんどんと迫って来る。 「これはすご~い!」 などと興奮気味でかみさんと話していると、 中間駅までの標高差1,287mを8分で到着してしまった。 プラン・ド・レギーュの中間駅から第二区間を見上げると、目もくらむような高い絶壁から、黒光りした数本のロープがここまで伸び、なんとこの区間には支柱が1本もないのである。 「おー!あそこまで行くのか・・」 と見ていても身のすくむような高さに展望台がある。その区間を、およそ時速40kmのスピードで登ってしまうため、中には高山病の症状を起こす人もいるらしい。ほんとはこの中間駅で、少し周りを散歩してから山頂を目指すのが良いのであろうが、ここまで来ると、早く山頂に登りたい一心で、中々それをする人は少ないようである。【写真5・6】 |