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■ ゴムスの谷 フルカ峠から降りた19号線を、ゴムスの谷を通って進む。この地方は約23の集落があり、伝統的なカラマツの板の村々を通過する。その中でもひときわ高い、白色の鐘楼を持つ教会が、村のシンボルとなって絵になる風景を見せてくれる。この谷最大の村、ミュンスター (Munster) を通過すると、ニーダーワルト (Niederwald) の村に入った。ここはツェルマットのホテルで成功した、ホテル王セザール・リッツの生まれた村として有名である。 ■ フィーシュ(Fiesch) やがてこの谷で最大の町、フィーシュ (Fiesch) に到着した。「アレッチ地域」 にある、エッギスホルン氷河展望台行きのロープウエイ駅は、すぐ下に大きなパーキング・エリアが用意されていた。70〜80人位は楽に乗れそうな大型のロープウエイに乗ると、標高1,050mのフィーシュの駅から中間駅のフィーシャーアルプ (Fiescheralp/標高2,212m) まで、わずか8分間で登ってしまう。中間駅からフィーシュの町を見下ろすと、怖いほどの急斜面に白やピンクの花が一面に咲いている。この斜面を利用してハング・グライダーが次々と飛び立っている。ロープウエイを乗り換え、終点のエッギスホルン (Eggishorn/標高2,869m) まではわずか5分で到着した。 ■ 壮大なるアレッチ氷河 (Aletschgletscher) 駅から出ると、足元はガレ場で、壮大なアレッチ・グレーシャー (Aletchgletscher) がすぐ眼の先に見える。皆んな 「ワー」 と云う歓声を上げながら早足で展望台へ進んで行く。右奥遠くにはユングラフ (Jungfrau/4,158m) やメンヒ (Mönch/4,099m) も見え、この壮大な氷河がユングフラウにはじまり♪「川の流れのよう〜に」リーダーアルプとベットマーアルプへ到達するのである。2本のモーレン (推石) と呼ばれる黒色の筋と一緒に、目の前で緩やかにカーブを描いている。かみさんの 「わー凄いわ ! 凄いわ !」 の連発で思わず 「来て良かった!・・」 と亭主は微笑んだ(笑)。 いままで見た氷河の中でも、こんなに壮大な眺めは初めてで、この強烈な印象は生涯忘れられない景観となった。旅はまた素晴らしい感動を与えてくれたのである。 ■ 2本の筋がある壮大な氷河 先のほうに、十字架の立つエッギスホルンの頂上 (標高2,926m) がある。双眼鏡で覗くと4・5人登っているのが見える。かみさんが 「氷河の上に車の跡のような筋が見えるのは・・?」 と聞いてくる。硬い氷河は山裾を削り、その砕石が氷河の上にモーレンの筋を残す。丁度この上流で、右の谷から出た氷河と合流しているため氷河中央に2本のモーレンが寄ったのである。接近するとその表面は大きく波打ち、水の流れそっくりである。この氷河は年間70〜90m移動し、気象条件にもよるが1日平均10〜15cmは流れているらしい。全長は23キロ、厚さ最大900mのヨーロッパ最長の氷河である。「この氷の下はきっとU字谷が形成されているだろう・・」 などと想像しながらアレッチ氷河を後にした。 |
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