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■ 早朝の4時半に起床 前日に、熱気球フライトで有名な、レージング・サンダー社 (Raging Thunder Pty.Ltd.) に電話予約したバルーン・フライトは、なんとホテル・ピックアップが早朝の5時だと言う。バルーンは最も風の安定した早朝にフライトするためで、前夜は4時半のモーニング・コールをリクエストして早めに就寝する。翌朝丁度玄関に下りたところで、女性スタッフが迎えにきた。マイクロ・バスにはすでに1組の若いカップル乗っていて、朝の挨拶を交わしながら乗り込むと、次々にホテルを廻る。中にはなかなか起きて来ないホテルや、遅れて慌てて乗り込んでくるカップルなどがいる。 「すいませ〜ん。1度目覚ましで起きたんですが・・・大分待ちましたでしょうか?」 と皆にお詫びや言い訳などを言って乗る人など、人それぞれで面白い。乗客はほとんど日本人で、しかも20才前後の若い女性が多い。何でも興味の持つ我々夫婦が最高齢者のようであった。 ■ バルーンの大きさに仰天 バルーンの出発地は暗くてハッキリしなかったが、昨日ドライブしたアサートン高原の 「マリーバ」 南付近で、到着すると、すでにスタッフが地上に広げた3基のバルーンに、プロペラ付きのエンジン・ブロワーで空気を送り、時々横倒しのゴンドラから強烈なバーナーを点火して徐々に気球を膨らませている。やがて薄明かるくなったころ、1号機のバルーンが浮き上がり、目の前の空が見えなくなるように立ち上がった。見ていた皆んなが 「うォー!でか〜い!」 と歓声を上げてしまう。【写真2】 ■ 乗客16人乗りのゴンドラ 横倒しになっていた長さ6m、幅2mほどの大きなゴンドラも、やっと水平に起き上がり、気球らしくなってきた。ゴンドラの中は3つのエリアに分かれ、中央部分がコックピットでパイロット1名が乗り、中には大きなLPGガス・ボンベが6本も積み込まれている。その頭上にはジンバル・マウントで自由に向きが変わる強力な4基の大型ガス・バーナーが装着されたバルーンの中枢部分がある。その左右が乗客エリアで、前後に仕切りがあって4人ずつ8名、左右でなんと16人のパッセンジャーが乗れる 「大熱気球」 である。スタッフの合図とともに上からゴンドラへ跨いで乗り込む。【写真3】 ■ 夜明けを上空で迎える まだ朝日の見えない夜明け前に 「ファースト・フライト」 が始まる。4基のガス・バーナーが全開で点火されると、少しタイミングが遅れて、まるで高速エレベーターで上るように 「スィ〜と」 垂直に引っ張られて上昇を始めた。皆んな思わず 「わ〜ぁ!スゴ〜イ!」 と歓声をあげる。ゴンドラから真下を覗くとどんどん地上が離れている。ゴンドラの周りは胸の高さの位置まであって、少しも怖さを感じない。2号機、3号機も引き続き上昇を始めたようだ。やがてコックピットのアルチメーターが高度800mほどを指示した辺りで、アサートン高原の幻想的な朝を迎えた。振動や揺れが全然なく最高の乗り心地である。ただ時々点火する強烈なバーナーの音と、少しはコントロールは出来るが、自由に思った方向へ進めないのが最大の欠点で、飛行船との相違である。でもまたそれがたまらない魅力でもあるようだ。【写真4・5・6】 |
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■ アサートン高原の全貌 夜が明けると、アサートン高原の全貌がだんだんと見えて来た。遠くの山並みは霧が掛かって雲海のような神秘的な広がりを見せ、眼下の広い牧場の中に小さく動く牛の群れや、美しい扇状のカーブを描く畑、 (散水機によって扇状に水が撒かれる畑)美しく反射する素敵な湖が見える。ドライブでは味わえなかった素晴らしい景観である。やがてアルチ・メーターが高度1,040mを示した後、そのまま水平に飛行する。パイロットはさかんに無線でグランド・スタッフと連絡している。かみさんが 「このままオーストラリア大陸を横断できたらいいのにね!・・」 と囁く、同感である。でも2週間以上かかるかも?・・・【写真1・7・8】 ■ 着陸はスムーズ 数キロ移動した後、やがて徐々に降下を始めた。どうやら牧場の一角に着陸するようである。パイロットの合図で、バスの中で教わった進行方向へ背を向け、両手をフックを握って腰を屈めた着陸姿勢をとると、ゴンドラは転倒することもなく、若干地面を引きずりながらスムースに接地した。バルーンはそのまま空に膨らんでいる。追いかけて来た、セカンド・フライトの人達16人を乗せたトレーラーが、牧場入りバルーン横に到着した。スタッフの話では、この地域の地主には、年間契約であらかじめ着陸の許可を頂いているのだが、中には 「乳牛が驚き、ミルクの出が悪くなるから・・・」 と許可が貰えないエリアもあってパイロットの苦労も大変らしい。着陸すると使い切ったLPGボンベや、記念写真のデジ・カメ用のメデァをスタッフが手際よく交換をしている。乗客も数人ずつ入れ替わり、 (全員が1度に降りるとバルーンが浮き上がってしまうため) セカンド・フライトの出発となる。【写真4・5】 ■ 最後は シャンペン・ブレック・ファースト セカンド・フライトが終わると、皆んなでバルーンを折りたたんみ、ゴンドラをトレーラーに乗せる最後の仕事が待っている。着陸地点の状況が良い場所なら問題はないのだが、最後はなんと腰まで伸びたブッシュの中に着陸してしまった。さあ!その収納が大変である。あの大きなバルーンは、空気を抜くと実に厄介な代物でとても重いのである。それを折り畳むのは大変な重労働で、ブッシュはまだ夜露で濡れていて履いていたズボンは、全員べとべとに濡れてしまった。「高いフライト料を支払って何故こんなことまで・・」 とつい愚痴も出ようと言うもの。やっと収納が終わりバルーン基地に集まると、お待ちかねの 「シャンペン・ブレック・ファースト」 が始まった。最後の収納作業で、すっかりお腹が空いていて、食べたビーフカレーが美味しかったこと・・・。日頃はお酒はあまり飲まない自分だが、甘くて口当たりの良いシャンペンを3杯も飲んでしまった(笑)。それにしてもあの最後の収納作業は、良い体験ではあるが重労働である。か弱い女性の乗客にやらせるのは可哀想な気がする。当然給料を頂いているスタッフのやるべきワークのような気がするのだが・・・。その分フライト料金がお安くなっているのであろう・・・?。【写真8・9】 |
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