![]() 1、スカイ・レール側の展望台から見た バロン・フォール (Barron Falls) |
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■ 水量豊かなバロン川 キュランダの交通機関としては、鉄道の他にスカイ・レール (Skyrail) と呼ばれる世界最長7.5kmのロープウエイが、広大な熱帯雨林の上を通って、高原の下にあるカラポニカ・レイク・ステーション (Caravonica Lakes Station) まで通じている。あまりにも長いため、途中2箇所の乗り換え駅があり、その駅の周りを探索できるコースも作られている。ゴンドラは景観を考慮し、丸みをもったグリーンのデザインで、6人位は楽に乗れそうな大きさだ。スカイ・レールのキュランダの駅は、キュランダ鉄道の駅前にあり、出発するとすぐに雨季で真茶になった大きなバロン川の上を通過する。この水がすぐ先に待ち構えるバロン・フォールへ落下するのである。【写真2・3】 ■ バロン・フォール駅 キュランダからの最初の駅は、キュランダ鉄道にもあった 「バロン・フォール駅」 でちょうど川を隔てた反対側に位置する。駅から4〜5分歩くとバロン・フォール展望台に到着した。展望台は熱帯雨林の林の中から見るような感じで、ダイナミックな滝はすぐ目の前にあり、風があると水しぶきが来そうな距離である。展望台から見る滝はあまりにも近すぎて全体が見えない為にまた違った印象を受ける。【写真1】 ■ 森の香りまで漂う 延々と続くこのスカイレールは騒音が少なく、すぐ下の熱帯雨林からは、川の流れる音、鳥の鳴き声、森から漂ってくる香りまでが入ってくる。よく観察すると背丈の伸びた樹木には、モスマン渓谷で見た、鳥の巣のような着生シダ 「バスケット・ファーン」 があちこちに見える。やがて次のレット・ピーク駅 (Red Peak Sta) に到着する。ここでは熱帯雨林の中のボード・ウオーク (木の板で浮かして作られた歩道) をゆっくり歩き、およそ15分ほどで一周する。終点のカラポニカ・レイク・ステーションに到着したのは、キュランダから約1時間半であった。【写真5】 ■ スカイレール建設物語 スカイレールの建設には、この素晴らしい景観に極力影響を与えないよう考慮し、工事用道路は新設しない徹底ぶりで、建設資材や、ルート上の36本のロープウエイの支柱はすべてヘリで運搬し、工事スタッフは、連日道なきジャングルを歩き、現場にたどり着いたと言う。駅の周りの遊歩道を歩くと、木立の間をジグザグに道が付けられ、展望台も木の隙間から覗くような感じで、極力木を切らない徹底ぶりが伺える。建設には環境調査から始まり、実に7年の歳月をかけ1995年に開通した比較的新しい乗り物である。 |
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■ アボリジニの文化を体験する スカイレールの終点 「カラポニカ・レイク・ステーション」 の脇には、ケアンズ近郊に古代4万年前から生活してきたアボリジニの一部族ジャプカイの文化と歴史の一部をパーフォーマンスで紹介する 「ジャプカイ・アポリジナル・カルチュラル・パーク (Tjapukai Aboriginal Cultural Park) と言う舌を噛みそうな長い名前のテーマパークがあり覗いてみる。建物の中は大きく3つに分かれており、最初に部屋は色々な 「石器や壁画の展示室」 で、次の部屋の階段状の 「ヒストリー・シアター」 に入ると大スクリーンに映像が映り、現代文明が与えたアボリジニ生活への影響や、ジャプカイの物語を、今では話せる人が少なくなったジャプカイ語を使って語られる。ヘッドホーンからは日本語で解説が流れるのでよく理解できる。 ■ ディジュリドゥーの本当の響きを聞く そして 「野外ダンス・シアター」 の半円形ステージでは伝統のダンスや歌、木の棒を擦りあわせて火を起こすパーフォーマンスを見せたりする。一番興味を持ったのはアポリジニの伝統的な楽器で、世界最古の木管楽器と云われているシロアリが開けた空洞の筒、ディジュリドゥー (Didgeridoo) の演奏で、ここで初めてその本当の響きを聞くことになった。まだ若いリーダー格の男性が奏でるディジュリドゥーは、いままであちこちの店先で聞いた音とは全然違った澄みきった音で、いつまでも心に残る何とも云えない音色である。【写真6・7・8】 ■ ブーメラン投げを体験して このショーのあとは、野外広場でブーメランやヤリ投げ、ディジュリドゥーの演奏などを体験させてくれる。すべてトライしたが見ているのとは大違い、ディジュリドゥーはなかなか難しい。ブーメランには、左投げ用と右投げ用があることをここで始めて教わる。手首のコックを利かせると、やっと一週して戻るようになった。その後、素敵なデザイン・アートが入ったブーメランをお土産に購入したのはここでの体験が動機となった。 |
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