[2003/9/3]

再インストール

 

 


 「再インストール」


 今回、本当は恋人同士の記念日の話〜私の失敗オモシロ話〜を
書こうと思っていたんですが、ちょっとしたトラブルがありまして、
そのお知らせです。

 といっても深刻なお知らせでも何でもなくて、お盆前にPCがクラッシュ
してしまいました(T▽T)

 Windowsが立ち上がらなくなり、OSの再インストールを余儀なくされた
んですが、その際、すべて白紙に戻るんですね。いやあ、参った参った(^^ゞ

 私の場合、動画なんかはDドライブに保存していたものの、その他の
データ、ソフト、設定は全てCドライブにあったので根こそぎやられました。

 それでもPCを手に入れた最初のころは結構マメにバックアップを取っ
ていたんですよ。だけどそのバックアップを使う機会がない状態が続くと、
1ヶ月に1回、2ヶ月に1回となっていき、今回は1年半前に取ったきり。

 なのでこの1年半の間にダウンロードしたソフトや作成したデータ、
資料や設定などがすべてオジャン。

 といっても実は今、それほどショックでもないんですね。

 もちろんクラッシュした時は「今までコツコツ貯めたデータやソフトがぁあ
あああ」と相当な動揺で、一生懸命どんなデータやソフトがあったか思い
出そうとしてたんですが、意外なことにあまり思い出せないんですね。
これはけっこう新鮮な驚きでした。

 結局、本当に自分が必要としていたソフトやデータなどどれほどあった
のだろうと拍子抜けしてしまいました。

 まあ、メールは偶然にもクラッシュする3日ほど前に気が向いてバック
アップしていたので、少なくとも皆さんからのメールが無事だったことも
ショックが少なかった原因かもしれません。

 ただバックアップしたメールがなぜかず〜っと戻せなくて、それでこの
10日間ほど、大騒ぎでPCに向かってました(←結局大騒ぎしている)

 皆さんのメールアドレスも、皆さんに紹介してもらったHPのアドレス
も全て分からなくなってしまい、こりゃヤバイっちゅうことで、再びメー
ルアドレスを教えてもらうお願いをしようとこの原稿を書き始めたのです
が、何とか3日ほど前にめでたくメールデータを戻すことができました(^o^)丿

 ということで今号は別にお知らせ号でも何でもなくなってしまいました。
勝手に騒いで勝手に終息、一人でバタバタして申し訳ありません。

 しかし何というか今回のことで、PCというのは子育てというか、人間に
似てるところがあるような気がしました。

 私のPCは今、ほとんど赤ちゃん状態で何もできなくて(まあ、この1週間
で最低限の作業ができるようにはしましたが)3年間、まさに手塩にかけて
育ててきた以前の姿にはほど遠い状態です。

 でもクラッシュする直前の状態に戻そうと思ってるかというと、これが
全然思ってないんですね。

 なぜかというと、再インストールした今の状態、すこぶる快適なんです。
最低限のソフトしか走ってないし、データもほとんどないので信じられな
いくらいサクサク動くし、起動も異様に速い。いいことづくめなんです。

 このPCはなにしろ初めてのPCだったので、3年間とにかく色々手を
かけましたよ。

 より役に立つよう、良かれと思うことは何でもして。

 最初の子供と同じく、全てが初体験でぶっつけ本番。様々なトラブルに
も見舞われました。その度、試行錯誤しながら何とか解決していくんです
が、赤ちゃんが泣くがごとくPCが必死に訴えかけてくるエラーメッセージ
も最初は訳が分からず、これはどういうことなんだ? 何かマズイことでも
してしまったのかと、人に聞いたり、本を読んだり、ネットで調べたり。
がんばりましたねえ。

 そしてなるべく「できるマシン」になってもらいたくて、様々なソフトを
ダウンロード、インストールしました。ネットはとても貧乏人に優しく、
フリーソフトの山ですからね。

 画像関係のソフト、動画関係のソフト、ホームページ作成支援ソフト、
ダウンローダー、メッセンジャーソフトetc…。

 そしてそれらのソフトを使ってどんどんデータを処理する、作成する、
溜まる、を繰り返すわけですから、全体の起動はもちろん、各ソフトの
動きがどんどん鈍くなっていき、クラッシュする直前はかなりマシンが
不安定で頻繁にフリーズしてました。

 確かに何でもできる親孝行なPCに育ってくれました。だけど限界だっ
たのでしょう。

 で、今のPCの状態。赤ちゃんのようだと言いましたが、言わば2人目
の子供が出来たみたいなもんです。

 1人目でだいたい要領は分かっているので各設定、ソフトのインストも
それほど戸惑いません。トラブルやエラーメッセージが出ても「ああ、そ
ういうことね」と泰然自若で事に当たれます。

 そしてもう最初の子ほど手をかけないです。本当に必要な作業、必要な
ソフトは何か分かってますしね。

 よく一般論として、長男長女は思慮深いけどノンビリしてて、次男次女
はチャキチャキ行動的、みたいなことが言われるじゃないですか。もちろ
んあくまで一般論ですよ。例えとしてね。

 もしかしたら最初の子供は、親の戸惑いや期待も含めて大量のソフトが
インストールされるのかもしれません。その分、子供の中で大量の処理を
しなければならなくなって時間がかかり、それがノンビリしているように
見えるのかもしれませんね。

 これは一個人でも言えることで、大人になるにつれて行動力や瞬発力が
鈍ってくるというのは、それまでにインストールした、多くの経験やそこから
得られた知恵という名のソフト、作成された悲しい体験や苦しい体験、恐怖
体験という名の大量のデータを処理するのに時間がかかっているのかも
しれません。

 大人は今まで生きてきた中でたくさんのソフトを内に溜め込んでいて、
知恵ソフトなんかもたくさんあるので当然子供より色々な作業ができるの
だけど、その分、子供のようにはサクサクと動かないのかもしれませんね。


 PCというのはメールソフトなどの目に見えるプログラムを、Windowsなどの
目に見えないプログラムが管理・支配しているんですけど、人間でいえば、
目に見えないWindowsというのは無意識に当たるんでしょう。

 私たちは目にも見えず自覚もできない無意識というプログラムに突き動
かされて生きていて、そこから絶えず本当の自分の望みや自分のあり方、
進みたい方向などのメッセージを受け取っていると思うのだけど、たいてい
はそのメッセージに気づかないか、気づいていても見て見ぬふりや、聞いて
聞かぬふりを決めこんでいるんだろうと思います。私がPCに対して取った
態度と同じように。

 だってそのメッセージは明確な形でのメッセージじゃないからよく分か
らないし、だから本格的に考えるのもめんどくさいですし、何より普段の
生活はとりあえず送れてて、しかも忙しいわけですから。

 だけど再起動などでお茶を濁せているうちはいいんでしょうけど、無意
識からのメッセージをずっと無視し続けていると、再インストールを促す
ような事態が必然的に起こるのだと思います。

 よく、自分に起こることは全て正しい、みたいな言葉を聞きますけど、
やっぱり必要だから起こってるんでしょうね。

 成功した人とかがよく「あの事がなければ今の私はなかった」という話
をされることがあります。いわゆる節目というやつです。

 この場合の「あの事」って、結構苦しい経験というか、パッと見、悪いこと
も多いような気がするんですよね。とんでもない失敗だとか、大切な誰か
との別れだとか、病気だとか、失業だとか、離婚だとか。

 それは自分のせいの場合もあるし、不可抗力で降って沸いたように降り
かかってくる場合もあるのだけど、どちらにせよ、もしかしたらそれは一種
の再インストールなのかもしれません。

 やっぱり再起動や再インストールを最初から積極的に望んでる人って
ほとんどいないと思うんですよ。その渦中にいる時はしんどくて「どない
やねん」と思っているんです。

 でもそこで、それまで自分が溜め込んできて本当は不必要なんだけど捨
てるに捨てられなかったソフトやデータ、つまり「本当に望んでいる自分」へ
進む時に邪魔になるであろう経験や体験が強制的に削除されて、新しい
自分へ踏み出すための助けになっているのかもしれません。

 そしてそんな時、最初に書いたように「自分が本当に必要としていたもの
などどれほどあったのだろう」ということを実感するんだろうと思います。

 結局、成功や失敗って、どっちがどっちやねんってよく思うんですが、
生き方が上手な人というのは、たぶんそういったことを普段自発的に、
しかも無意識のうちに行っているんでしょう。

 私もそういう人になれればなあと思っています。

 

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つぎ

 

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