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えっ、万歳は右足半歩前? ニセ「太政官布告」出回
「万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を高々と」―。「万歳三唱令」と題した「太政官布告」が全国的に出回り、自治体などから国立国会図書館に問い合わせが相次いでいる。実は真っ赤な偽物で何者かの手の込んだいたずららしく、同図書館の担当者はうっかり信じないよう呼び掛けている。
文書は「施行明治十二年四月一日 太政官布告第百六十八号」として万歳の趣旨や姿勢、手の挙げ方を細かく書き、片仮名を使って当時の法令に見せ掛けている。該当する布告はなく、形式も当時の法令とやや食い違っているが一般の人には分からない出来だ。
国会図書館には三年前から問い合わせが始まり、北海道から九州まで数十件の照会があった。ある政令指定都市の三役は市美術館の事務室で文書を目にし、市長や関係者に写しを配布。知人の弁護士の指摘があるまで「偽物とは思わなかった」と打ち明ける。
宿泊施設などに「布告」が掲示され、不審に思った人が行政に問い合わせた例も。文面は各地で微妙に差があり、国会図書館の担当者は「『不幸の手紙』のように広がっているのではないか。だれが何のために文書を作ったかは分からない」と困惑している。
君が代・日の丸が法制化されたことも儀礼を気にする空気を強めているようで「警察、消防など礼式にうるさいところの問い合わせもある」という。
今秋には宮内庁に文書の真偽について自治体から照会があったが、ベテラン職員は「足を出して手を挙げるなんて聞いた事がない」とあきれ顔だ。
太政官布告は明治初期の法律。「万歳」の発声の由来ははっきりせず、一八八九(明治二十二)年の旧憲法発布の際に学生の間で始まったとする説もある。
[共同通信 1999-12-11-08:10]
もっともらしい怪文書 形式に弱い心くすぐる
「万歳三唱令」のタイトルで全国に出回っている偽物の太政官布告は「細部実施要領」として手順を細かく解説し、形式やマニュアルに弱い日本人の心をくすぐるもっともらしい工夫が凝らされている。
怪文書は条文で「音頭を取る者は気力充実、態度厳正を心掛けるべし」「唱和する者は全員その心を一にして声高らかに唱和するものとす」と心構えをうたい、細部実施要領へと続く。
まず「基本姿勢は直立不動」で「両手指を真っすぐ下方に伸ばし体側にしっかりつける」のが第一段階。
次に「万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を垂直に高々と挙げるべし。この際両手指が真っすぐに伸び、かつ両手を正しく内側に向けておくことが肝要なり」。そして、発声終了と同時に素早く直立不動の姿勢に戻る。
この一連の動作を「節度を持ちかつ気迫を込めて」三回繰り返すのが手順としているが、試してみるとかなり奇妙な万歳ポーズで、実行すれば周囲の目を引くことになりそうだ。
[共同通信 1999-12-11-08:11]
”真っ赤な偽物”の「万歳三唱令」布告出回る 鹿児島では実践例も
「万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を高々と」―。「万歳三唱令」と題した「太政官布告」が全国的に出回り、自治体などから国立国会図書館に問い合わせが相次いでいる。実は真っ赤な偽物で何者かの手の込んだいたずららしく、同図書館の担当者はうっかり信じないよう呼び掛けている。
「万歳」の「太政官布告」らしき文書は鹿児島県内でも一部、県議などに出回っている。11月末、鹿児島市内であった大学の合同同窓会で「布告」にのっとった万歳の作法を披露し、列席した会社社長ら約60人に”唱和”をお願いした県議は、偽物の報に半信半疑の様子。「書面にはちゃんと御名御璽(ぎょめいぎょじ・天皇の印)も付いていますよ」という。
同県議に文書のコピーを渡した同僚県議によると、手元にある作法を表した文書は、「明治十二年四月一日施行の太政官令」のほかに、日付のない「御名御璽のついた勅令三十五号」。
同県議は「以前から、両手を単に挙げるだけで降伏した格好の万歳が気になっていた」ところ、昨年11月、別の県議から万歳の”正式な作法”を記した”法令”のコピーを見せられたらしい。その後、昨年末に元陸上自衛官からコピーをもらったという。
[南日本新聞 1999-12-12-01:28]
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