* あまやかな解体 *


やさしく　やさしくして
あたしを無に返すこの作業

「解体」

機械で出来たこの身体を
無機質なゴムの手袋を嵌めた手で
ひとつひとつ部品を抜いて
導線を切って

全てが過剰な　この視界から　聴覚から
開放してよ　はやく


少女であるあたしの身体
やわらかで白くて　金の糸の髪を纏ってた
誰かが言ってくれたっけ
「春の香りがする」


今あたしの身体から立ち上るのは
錆びた金属の臭い
あたしの身体はいま
醜いかたまり

だから

開放して　開放してよ、　はやく
その無機質な手で
あの日あの人に春だった　あたしのからだを！



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