漢方薬

漢方薬のすすめ

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漢方薬のすすめ


 身体に穏やかで、しかも安全、それでいてしっかりした効き目のあるのが漢方薬です。
おおみや診療所では出来るだけ漢方を使用して治療することにつとめています。
私達の発行している「診療所だより」に毎号、漢方の話を連載しております。

03年1月
●シリーズ漢方
○漢方薬諸々(2)
漢方薬は食前にのむものだということは広く知られています。これは中国2 0 0 0 年の昔から実行されてきた飲み方です。なぜ食前なのでしょうか。それは空腹時にのむ方が効き目があるからです。そもそもどの薬でも空腹時に服用した方がよく効きます。
しかし西洋薬では胃に負担をかけないという意味で食後の服用が多くなっています。これは裏を返すと西洋薬は胃に負担がかかるということです。そして漢方薬はどの薬でも胃に負担のかからない、胃にやさしい薬だという証明でもあります。しかし食前の服用というのは、のむ身になってみると決してのみやすくはありません。のむのを忘れてしまうことが多々あります。忘れたならば、また忘れやすいならば食後でもいっこうにかまいません。ご自分の好きな時間におのみ下さい。


03年2月

葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

この薬は蓄膿症や、慢性鼻炎によく用います。風邪薬として有名な葛根湯にせんきゅう(せり科)とこぶしに似た、たむしば(もくれん科)を加えた処方です。
最近、この薬を風邪をひいて、鼻が詰まる、鼻水が出るという患者さんに処方してみましたところ、大変よく効くことが分かりました。私は鼻水の患者さんには、小青竜湯を処方してきましたが、鼻が詰まるという患者さんにはなかなか良い漢方薬がありませんでした。もちろん西洋薬にもありませんでした。この薬のお陰で、風邪の処方にもう一つ厚みが加わったと喜んでいます。
今後はこの葛根湯加川きゅう辛夷を、鼻が詰まるという患者さんに積極的に使ってみるつもりです。


03年3月

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)


 漢方薬にもいろいろな精神安定剤があります。この薬もその一つです。心臓がどきどきする、眠れない、いらいらする、色々なことが気になる、だるい、体が重いなどなどの症状があるという人に用います。成分は「なつめ、朝鮮人参、海の牡蠣(かき)、生姜や桂の木の皮」など10 種の成分で構成されています。体格の良い人に用いるとありますが、中程度の体力の人にも用います。また、感冒の後で体力が回復せずいつまでもだるい、微熱がある、寝汗をかく、食欲がいまひとつ出てこないという人にも使うこともあります。体力がいまひとつない人には補中益気湯という薬を使います。

03年4月

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)


   先月は漢方薬の精神安定剤として柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)について書きました。漢方薬の精神安定剤は他にもたくさん用意されています。柴胡加竜骨牡蠣湯は比較的体力のある人の薬と書きました。そして比較的体力のない人は補中益気湯もいいですよと述べました。しかしそれほど体力が強くもないが、それほど弱くもないという人が倦怠感、動悸、息切れがして、神経過敏で眠りが浅く、寝汗をかき、食欲がないなどという場合は柴胡桂枝乾姜湯をおすすめします。
 感冒(かぜ)がこじれて微熱、疲労感があるもの、咳がなかなか抜けないときなどに使います。成分は牡蠣(かき)、桂の木、乾燥させた生姜、甘草など七種で構成されています。これも又、中国二千年の歴史のある、試され済みの効果のある良い薬です。

03年5月

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)


 中国二千年の漢方の歴史の中でもっとも代表的な精神安定剤はこの半夏厚朴湯でしょう。この漢方薬シリーズでも何回か取り上げたことがあります。のどに違和感を訴え、なにか物がつかえているような感じがするという人によく用います。特に更年期前後の女性がこのつかえ感を訴えます。中国ではこのつかえ感のことを梅の核が喉につかえたような感じということで梅核気とよんでいます。中国の古い漢方薬の本にもこの喉のつかえ感は記載されていますから、古今を問わず更年期うつ病のような症状はあったのでしょう。この薬は全国の婦人科でもよく使われています。
 成分は朴の木、しそのは、半夏(からすびしゃく)、生の生姜、さるのこしかけ科のきのこ、三島さいこの五種が使われています。気分がふさいで、喉、食道部に異物感があり、動悸、めまい、不安神経症、自律神経失調症ぎみの人はご相談下さい。中年の男性に処方して喜ばれたこともあります。

03年6月

大柴胡湯(だいさいことう)


 体力的に弱々しい人だけが神経症になるとは限りません。体力があり、体格がしっかりしていてもノイローゼになったり、不安神経症になったり、不眠症に陥ったりします。
 そういう人のための精神安定剤としてこの大柴胡湯がよく使われます。頑固な肩こり、頭が痛い、頭が重い、便秘をする、なんだかいらいらして怒りっぽい、みぞおちのあたりがつかえているような重いような感じがするなどという症状がある人に使います。
 主役は柴胡という植物です。そのほかに前号でも述べた半夏(さといも科のからすびしゃく)が入っています。棗(なつめ)が入っているので花粉症などのアレルギー性の疾患にも効くようです。そのほか5 種の成分が入り、全体として8 種の生薬で構成されています。


03年7月

半夏寫心湯 (はんげしゃしんとう)


この薬は安定剤よりもむしろ胃腸の薬として使われる方が多い薬です。しかし5月号の半夏厚朴湯と同じく半夏(さといも科のからすびしゃく)の入った薬ですので精神安定剤といっても決して間違いではないのです。寫という漢字は本来さんずいですがパソコン上ではさんずいが出てきませんでした。
 この薬は体力が弱く、胃腸症状を強く訴える人に使います。みぞおちにつかえ感があり、腹がごろごろ鳴る、いつでも下痢気味である、何となくむかむかする、しかも精神不安がありいらいらしているなどと言う症状を目安に使います。
 成分は半夏他6種が使われています。乾燥させた生姜や朝鮮人参も入っていますので、身体を温めて体力をつけることもできます。
 前述のとおり消化剤としても根強い人気のある漢方薬の一つです。アルコールをのむ前に服用すると悪酔いしないといわれています。二日酔いの予防薬です。口内炎の時にも使います。


03年8月

夏の漢方薬


  待ちに待った夏がやってきました。梅雨もなければ日本人の暮らしは成り立ちませんが、いつもより長い梅雨というのもちょっと困りものです。
  日本の夏は気温が高い上に湿度が高いのが特徴です。世界の船乗りにも嫌われた日本の夏です。しかし暑い暑いと言わずに夏を大いに楽しみましょう。
  それでも夏ばてに体が弱ったら漢方薬です。西洋医学には夏ばての薬というのはありません。しかし漢方にはちゃーんと、そういうときの薬が用意されているのです。
  代表格は、清暑益気湯です。読んで字の如く、暑さを清めて、気を増す薬です。この薬で大抵の夏ばてはのりきれます。成分は朝鮮人参、みかんの皮(陳皮)など九種の生薬で構成されています。これは補中益気湯の変方ですから勿論補中益気湯もいいと思います。そのほかにも昨年の七月号で紹介しました五積散もいいですね。おなかをこわしたら五苓散もいいですね。
  しかし薬にたよらずに夏を大いに楽しみましょう。今年の夏の挨拶は『暑いですね』ではなく『暑くて気持ちがいいですね』にしましょう。


03年9月

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)


 今回も漢方薬の精神安定剤について述べます。
 めまい、たちくらみ、身体が動揺するようなふらつき、心臓がどきどきする動悸、のぼせるような、頭痛がするような、頭になにかかぶさっているような感じ(頭帽感といいます)がする、などというときに使います。神経過敏、気分が不安である、尿の回数は多いが尿量は少ないなどいうのも一つの目安です。  この薬は中国の古典に掲載されています。
 苓はサルノコシカケ科のきのこ、桂はクスノキ科のかつらの木、朮はオケラという植物です。甘は甘草という植物です。
 それぞれの成分の一文字をとって命名されています。体力が比較的弱い人の薬といえるでしょう。頭痛薬にも用います。その他頭がいつも重たい人、のぼせのある人などに用います。


03年10月

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)


 色白水太りの人の漢方薬です。色白でちょっとポッチャリしている人が汗をかきやすく、疲れやすい、身体が重い、膝や足の関節が痛い、肩が凝りやすい、尿量が減少しなんとなくむくみっぽい、それでいて少々口が渇くなどというときに使います。
 不眠の方に使って効果をあげたこともあります。
 中年後の女性で、少々肥満、運動不足の人の諸症状によく効きます。
 お腹を診ると少々出ていますが、押しても痛みはありません。
 成分は防己(おおつづらふじ)、まめ科の黄耆、棗(なつめ)、生姜(なましょうが)など六種で構成されています。
 このタイプであまり肥っていない人は当帰芍薬散がいいのではないでしょうか。


03年11月

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)


 漢方薬には即効性が無いと思っておられる方が沢山おられます。そんなことはありません。漢方薬にも沢山の即効性のものがあります。この 芍薬甘草湯もその一つです。
 この薬は急激におこった筋肉のけいれんと、けいれんによる痛みをしずめる効果があります。手足のけいれん、疼痛、胃けいれん、腹痛などに応用します。急激におこる足の痙攣、いわゆるこむらがえりなどによく処方されます。痛くなったらのみます。一日三度三度のんでいるのではなく痛くなったときに頓服としてのむのです。
 夜中にこむらがえりを起こしやすい人は寝る前に一袋ないし二袋飲んで寝ると良いでしょう。成分は漢方薬ではもっともありふれた芍薬と甘草の二つだけです。この二つを合わせると痛みによく効くと発見した人はたいしたものですね。中国のもっとも古い医学書の傷寒論(しょうかんろん)という書物に出てきます.2000年来ずっと使われてきている薬です。効能抜群だからこそいまだに使われているのでしょう。

03年12月

麦門冬湯(ばくもんどうとう)


 風邪の季節になってきましたので風邪薬を解説します。この麦門冬湯は咳の薬です。
 痰の少ない空咳に用いる薬です。強い咳に圧倒的によく効きます。子供用に出来ているので少々甘さがあります。小さな子供も喜んで服用しています。大人の強い咳には一回に二袋ずつのむように指導します。夜中の強い咳には就寝前に二袋のむように勧めています。コーラスなどをしている方が歌う前に二袋のむと歌っている最中は絶対に咳が出ないと言っています。
  前月号の 芍薬甘草湯にも全くひけをとらない即効性の薬です。成分の中心は麦門冬(ゆり科のじゃのひげの根)です。それに精神安定剤の半夏(さといも科のからすびしゃく)水飴やなつめなど6種で構成されています。おおみや診療所では咳止めといえばまずこの麦門冬湯を処方しています。



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