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all written by Hikari
Amou
<Side Iruka>
言葉には、ならなかった。
向けられる感情の、その深さに。
買いかぶりすぎだとも、そんな大層な人間ではないとも、云いたかった。
偶像崇拝。
そんな単語が頭に浮かんで、揺れる。
けれど、あんまりにもカカシが、幸せそうに笑うから。
とても云えなくなった。
まがいものだとしても、カカシがそれでいいのなら。
敢えて告げることはないのかもしれない。
ただ、その言葉が、ひどく遠い気がした。
目の前で、向き合っている筈なのに。
それが、哀しくて、もどかしいのだ。
かみさまのて
運悪く仕事が重なって、イルカは仕方なく家に仕事を持ち帰ってきていた。
以前も今もそれを苦に思ったことはなかったが、今は少しだけ一緒にいるひとの視線が痛い。
「何も家でまで仕事することないでしょーが」
「アナタ一人で一体何人分の仕事してるんです? その分給料もらってるんでしょうね」
「アナタが仕事が遅い人じゃないのはよーくわかってます。それなのに持って帰ってくるほど、なんで引き受けちゃうんですか? 絶対手抜きしてるやつらがいるでしょうに!」
などなど、面と向かって云われたことも数度。
そのどれにも言い返せるような言葉はなく、イルカは曖昧に笑うのみで、そのうちカカシの方が呆れたように口を噤ませる。
それでも仕事中は、邪魔してはこない。イルカが酷く嫌がり、かえって時間が少なくなるだけだと身をもって知っている上に、本気で怒らせて追い出されたこともあるからだ。
そうして仕事が終わると、見計らったように声をかけ、時には手が伸びてくる。
今日も数十枚の採点作業を持ち帰ってしまい、小さく詫びて仕事を始めたイルカに、カカシは溜息一つよこしただけで、おとなしくイチャパラを広げていた。
イルカは黙々と仕事を続け、一時間足らずのうちにそれを終わらせた。
けれど今日に限って、採点を終えてもカカシは動かなかった。
気づいていないのだろうか?
いつだって、終わるタイミングを見計らったように声をかけてくるのに。
否、気づいていないふりをしているだけかもしれない。
イルカからの行動を待って。
そんなひそやかな水面下の駆け引き。
戦場と違ってあまりにのんびりしたそれ。
でも、こんな駆け引きも、悪くない。
小さく笑ってイルカは、知らぬ顔で奇妙な体勢で寝転がったままイチャパラを読みふけるカカシに近づいた。
そっと顔に触れて、優しく輪郭をたどる。
イルカの気配が判らなかったわけもあるまいに、驚いたような顔は、むしろいきなり触れるとは思わなかったからか。
そんな反応も嬉しくて、イルカはゆっくりと指先をすべらせる。
言葉はなく、ただ静かに触れていく。
穏やかな優しさで、頬に、唇に、その喉から、すべらせるようにうなじへと降りてゆく指先。
パサリ、とカカシの指先からイチャパラが乾いた音をたてて畳におちる。
スローモーションのように伸びてきたカカシの手が、イルカの肩に触れ、引き寄せるような力とともに背中へとまわされた。
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