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ウルトラマンメビウス外伝 RAYGA 第一期 あとがき


 ということで、終わってしまいました。
 前書きであれだけえらそうな能書き垂れておいて、結局、市井の人の視点というのがあんまり書けなかったような気がします。
 でも、ウルトラブレスレットを使う新マンを山ほど書けたからいいや。
 
 あと、SFってむずかしー。
 理屈の整合性は頭捻ればいいんだけど、雰囲気が難しい。
 改めて、ウルトラセブンがSF作としても高い評価と支持を受けている理由がわかりました。

 以下、各話の解説などをつらつらと。

第1話
 ウルトラマンって、品行方正なエリートばっかりじゃん。
 という点に反感を抱いたマサボンが、不良っぽいのを主人公にしてみようと始まったシリーズですが、連載途中でよもやゼロなる暴れん坊キャラが本家に登場するとは。侮りがたし、円谷。
 登場怪獣はペスターとタッコング。
 ペスターは原作で見せた打たれ弱さから、レイガの噛ませとして十分と判断して登場。
 タッコングについては、新マンリスペクト枠。
 あと、隊長以外メンバー一新したCREW・GUYSの面々が失敗をやらかしながらも勝てる相手、ということで。

第2話
 スペシウム光線といえば、ウルトラマンの代表的必殺技。それが効かないというのは、強さの証明でもあるわけです。
 テロチルスはその容貌といい、強さといい、新マンの怪獣の中ではもっとも印象に残っている敵ではあるんですが、なぜか強敵怪獣としての評価は聞かないですね。対抗馬になるバードン(の話)が色々な意味で強烈過ぎます。
 また、テロチルスを出すと考えた時点で、原典当時の世相を織り込んだ設定(吐く糸が亜硫酸ガスと結合すると赤い毒ガスになる)をうまく使えないかと思っていましたが、調べてみると現在の大気って相当綺麗になってるんですね。スゴイや日本。
 てなわけで、ないなら作ってしまえばいいじゃないということで登場したのが亜硫酸ガスを吐くケムラー。
 しかも、初代マンのスペシウム光線が効かなかった相手。おあつらえ向きに、弱点丸出しで人間でも倒せる仕様。
 ウルトラマンと人間の共闘を描くには、これ以上ないコンビでした。

第3話
 色々な意味で衝撃回。まあでも、一番の衝撃は今のテレビでは絶対に描けない、ヒロイン真っ二つかな。
 でも、一番書きたかったのは社長室でふんぞり返るメトロン星人だったり。

 前回こてんぱんに負けたレイガですが、まあこの手合いはそんな一回や二回の負けで反省するほど頭が良くありません。そこで、徹底的に反省してもらうべく、暗殺宇宙人に登場していただき、好意を寄せる人を失いかけてもらいました。

 クモイ・タイチがツルク星人を圧倒しているのは、決して地球の武道武術が技術的に宇宙でも劣るものではないはず、との思いからです。(無論、無重力状態では対応できないでしょうが)
 実際の武術や武道を見ていると、地球人はこと肉弾戦においてそれほどひ弱な存在とも思えないんですよね。無論、装甲甲殻を持たないので人外レベルの打撃には弱いのかもしれませんが、それは肉体の耐久力の話であって、敵を打ち倒す技術としての総合的な評価と混同して考えるべきではないでしょう。むしろ、千年単位で練り上げられた武術というのは、宇宙でも結構稀有な技術ではないのかと。
 そして、新マンvsツルク星人。
 武道の技術、身体能力的には(おそらく)レオに及ばない新マンですが、経験面では相当な蓄積があります。当時の現役キックボクサーとも対戦してるし(負けたけど)。ウルトラマン(である郷秀樹)を叩きのめすキックボクサーがいた、という事実も、宇宙人より強い地球人がいる、という今回の話の下敷きになっているのは言うまでもありません。

第4〜6話
 対機械文明三部作。
 レイガを始める前に、設定として似た者宇宙人を集め、それらの襲撃を兄弟の組合せで迎え撃つプロットを考えていました。
 ロボ連合、寒冷宇宙人連合、原地球人連合、怪獣養殖連合、異次元人連合、知略宇宙人連合、暗殺星人部隊、不死身怪獣軍団、宇宙王者統一戦(様々な王を名乗る星人怪獣が、地球のとある島でバトルロイヤル)などなど。
 今回はその中からロボ連合をチョイス。
 ついでに、『なぜ宇宙人は地球侵略時に圧倒的戦力で征服しようとはせず、少なすぎる戦力で行おうとするのか』という問いに真っ向から応じてみました。
 レイガの成長と、大規模地球侵略を同時に描くという荒業のため、二話で終わる予定が三話もかかってしまいました。
 しかし、だからこそ逆に生協、ジャパン以外のCREW・GUYS、ヤマシロ・リョウコの活躍に、フェニックスネスト発進、新マン最大の必殺技、メビウス最終回を下敷きにしたブレスレットの新形態、光の国の描写などなど、次々出て来るアイデアをこれでもかと詰め込んだお値段異常のスペースオペラ的大作になりました。
 その一方で、レイガが抱え込んだ弱点が、この先作者を苦しめることになります。

 敵は諸々。
 ロボットであることをメインに寄せ集めましたが、全部が全部敵に回すと話の起伏がなくなる上に、収拾もつかなくなりそうだったのでメシエ星雲人、バルタン星人には味方側へ来てもらい、ザタン星人は本星で酷い目にあっていただきました。
 この他出してないのといえば、ガラモン、アンドロイド少女ゼロ・ワン、アイアンロックス、恐竜戦車、エースロボット、メカギラス辺りでしょうか。
 それぞれ特殊な設定のため、今回の侵略戦争では出せませんでした。

第7話
 恋する娘の大妄想。
 最初から全13話構成は決めていたので、この回は折り返し&サービス回の位置づけで遊ぶことを考えていました。
 あと、オリジナルの敵にすることも最初から決まっていました。
 『夢民』はこれが初出になってしまいましたが、実は、別のオリジナル話で考えていた設定ではありました。当分そちらを書く予定はないので、こちらで使ってしまいましたが、夢の世界からの侵略ということでなんとなく実相寺監督っぽさを狙ったのはナイショ。

第8話
 スチール星人をライバル扱いって、誰得だよ。
 レイガでは、新マンに出てきた敵はもちろんのこと、各ウルトラ兄弟の敵も必ず一体は出す、と決めていました。しかし、エースの敵の扱いには困りました。エースの敵といえば、何度叩いても蘇えるゴキブリ並みの生命力を誇るヤプールですが、レイガの前史とも言えるメビウスで一旦滅んでいます。(OVAのゴーストリバースで復活してるようですが、あれは遠い未来の話)
 たった数年で再び蘇えらせるのは、あまりに『宿敵』としての重みに欠けるように思えたため、ヤプールとは関わりなさそうなスチール星人に、このような形で登場いただきました。
 話を作り始めた時には、こんな男前な話にするつもりはなかったんだけどなぁ。
 手前味噌ですが、マサボン自身お気に入りの作品です。

第9話
 『帰ってきたウルトラマン』における、最有名怪獣といえばベムスターでしょう。おかげで、その前後を固めたテロチルス、サータンも相当な実力派怪獣であるにもかかわらず、印象が薄れてしまっているように思います。
 原作第19話で登場したサータンは、マサボンのトラウマ怪獣の一つで、あの痩せた像みたいな姿は当時、不気味以外のなにものでもありませんでした。
 実力もすごい、と思ったのはそのトラウマを払拭すべく、サータンを新マンとレイガに倒してもらおうと思った後でした。
 おかげで、別のトラウマが……科学的考証の辻褄合わせに最も頭を捻った怪獣です。なんてものを作るんだ、円谷。

 お話としても、新マンのレギュラーだった坂田次郎くんのその後が本編(メビウス)ではついに描かれなかったため、こちらで作ってしまいました。
 それにしても、お墓参りの話を書いている最中に南隊員の訃報を受けるなんて、なんの巡り合わせなのでしょうかねぇ……。

第10話
 ウルトラマンといえば、ニセモノ。
 しかし、新マンとタロウでは登場してないんですね(レオはアストラのニセモノ)。
 というわけで、ニセモノ話です。ただ、普通のニセモノのパターンは平成シリーズを含めて、やり尽くされている感もあったので、ちょっと捻って本物のニセモノ、というややこしい設定にしてみました。

 この辺から、ちょっと第二期を意識し始めています。
 ちなみに、オマケに出てきたのは『超ウルトラ8兄弟』に出演していた、あれです。

第11話
 似た者シリーズ第二弾。今度は怪獣シリーズで。
 ウルトラマンシリーズの話には、過去に封印されたとか倒されたという設定が時折出てきます。しかし、ウルトラマンもおらず超兵器もないのに、どうやって封印したり倒したりしたのだろうと不思議でした。その疑問に対する、マサボンなりの解釈です。
 ここで新たに出てきたマケット怪獣二体ですが、実際に遠い未来で運用されているゴモラはともかく、スノーゴンは使いどころが難しいだろうと思います。あたり一面、全部凍りづけだもんなぁ。

 コダイゴン・ザ・サードはエンマーゴからの閃き……ではなく、てっちゃんたちをメインストーリーと絡ませるために必要な演出でした。だもんで、グロテス星人はあっさりエンマーゴに叩っ斬られちゃいました。
 何しに来たんだ、お前。

第12話
 初代から80までの期間に存在せず、今は一般的なものといえば携帯、そしてゲーム。
 携帯は通信機器として色々ネタに使いやすいのですが、ゲームというのはなかなかウルトラではネタになりません。ダイナであったくらいかな? それもゲームの世界から侵略、ゲームを使って侵略、と言うのではなくゲームを使って強力な怪獣を作る、というネタだったので、今ひとつ危機感に乏しかった覚えがあります。(それでも、子供が自分の作った怪獣でウルトラマンを攻撃して喜ぶ、という絵柄はうそ寒いものがありましたが)
 というわけで、ゲームを使った本格的地球侵略を真面目に考えてみよう、と思い立って作ったのがこの話。
 ネット関連のゲーム知識には乏しいマサボンのため、弟のタケポンにも協力を仰ぎました。
 侵略ネタとしては、色々使いやすいと思うんですけどね〜。ゲームって。

第13話
 というわけで、第一期最終回。
 この話を考えるまで、メビウスオリジナルの怪獣を出していないことに気づいていませんでした。
 というわけで、メビウスオリジナル怪獣の中でもなかなか素敵な設定をお持ちのディノゾール。群れで渡りをしたり、1オングストローム×1万mの舌を持っていたり、頭が吹っ飛ばされても尻尾に頭ができて復活したり。
 そのまんま出すのもあれなので、タイラントとか出してみましたが……身体がでかいって設定を生かしきれなかった……orz

 ストーリー的にも『進路・別れ』を前に出して描こうとしてたんですが、なんだか空回りの感が否めない……。
 サコミズ・シンゴ役の田中実氏の死亡を知り、どうしようかと思っていたんですが、結局退官はさせませんでした。やはりGUYSジャパンのトップは、あの爽やかスマイルの似合うサコミズさんしか考えられないです。
 改めて、謹んでご冥福をお祈りします。

 正直なところ、もうシロウくんに学んでもらうことはないような気がします。
 細かい知識はともかく、生き方という点ではもうほぼ固まってるんじゃないかな?



というわけで。
レイガの話は、これにて一旦終了します。
第二期は(あるとしたら)お祭り的な方向で。四天王復活とか、別の世界からアレとかアレとか呼んで来る、みたいな。

それがいつのことになるかは、ちょっとここでは明言できませんが、またいずれ。


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