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ウルトラマンメビウス外伝 RAYGA

  第9話  次郎とジロウ その9

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
 新マンが攻めあぐねているのは、アイハラ・リュウにもわかった。
「おいおいおいおい、苦戦してるじゃねえか!? 昔戦った相手なんだろ!? なんでぱぱっと倒せねえんだ?」
「ブレスレットですかね、おそらく」
 イクノ・ゴンゾウは渋い表情で告げた。
「ブレスレット? ……ああ、悪島ん時とかの。あのビックリドッキリオドロキブレスレットか」
「ウルトラブレスレットです。過去のドキュメントを確認しましたが、前回の戦いでは変形させたウルトラブレスレットから放った光線で倒しています。ですが」
 画面上、戦っている新マンの左手がズームアップされる。
「ごらんの通り、彼の腕には今、ブレスレットはありません。別のことに使用中なのか、他に理由があるのかはわかりませんが……いずれにせよ、そのため苦戦しているのではないかと」
「つまり、とどめがさせねえってことか。くそ、あのなりでとんだ曲者ってわけだ」
「実体化というハードルを越えるため、中性子めいた体組成に目を奪われていましたが……」
 メインパネルで展開されている戦いを見つめる表情は険しい。
「実体化してみれば、今度はあのアイアンヘアーが想定以上に厄介なんです。ただ振動しているだけではなく、振動周波数を変えることも出来るようですし……それに、高周波振動の防御を突き抜けてダメージを与える手段が、今のところ肉弾戦だけなので……」
「なに? 肉弾戦だと通じるのか?」
「光波熱線やビーム弾、炸薬弾、バルカン砲よりはまし、という程度ですが。理屈は単純なものです。高速振動している触毛ごとぶん殴る。無論、接触する側の肉体にもダメージが返って来る諸刃の剣。それも、コンクリートを粉砕する高速振動に耐えうるウルトラマンの肉体があればこその戦法です」
「文字通り身を削られながら戦ってるってわけか……」
「でも、スペシウム光線ですら防がれてしまった以上、彼にはもうそれしか方法がない」
 深刻に眉間を寄せたミサキ・ユキの目が、アイハラ・リュウに向けられる。
「そして、こちらから援護しようにも、GUYSの兵器でスペシウム光線を上回る打撃力を持つ兵器は……」
 それに対し、アイハラ・リュウも頷き返す。
「インヴィンシブル・フェニックス・パワーマキシマムか、シルバーシャークGによる集中砲火、ってところっすね」
「ですが、前者はガンウィンガーが墜落し、いまだクモイ隊員の意識が戻っていません。発動不能です」
 言いながらシノハラ・ミオの指がコンソール上を走る。
 メインパネル端に新マンによって安置されたガンウィンガーが映った。さらに、コクピットの中で、がっくり首を折ってうつむいているクモイ・タイチの姿も。
「それから、シルバーシャークGもここからでは射線が取れません。万が一射線が取れたとしても、距離がありすぎて……ヤマシロ隊員なしでは作戦のていをなさないでしょうし……何より、どちらも必ず通じるとは保障できかねます」
「くっそ! 八方塞がりか!? こんな時こそ、俺たちが突破口を開かないといけないってのに!」
 アイハラ・リュウは拳をデスクに振り下ろした。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

「――停めろ!」
 窓から身を乗り出して後ろを見ているシロウの叫び声に、しかしヒサヨは変な顔をしただけだった。
 再度、今度は身体を車内に戻し、ヒサヨの横顔を見ながら叫ぶ。
「ジープを停めろ! ここで降ろせ!」
「え? ええ?」
 困惑しながらも、ブレーキを踏むヒサヨ。
 止まりきる前にシロウはドアを開け、ジープから降りていた。
「シロウ? どうした? なぜこんなところで?」
 怪訝そうに首を傾げる後部座席のオオクマ・ジロウ。
 後部座席の窓枠に左手を掛けたシロウは、大きく一つ深呼吸をした。
「……アニキ、頼みがある」
 話しながらも、その目はジープの後方――サータンと新マンの戦いを睨んでいる。
 オオクマ・ジロウは目をぱちくりさせていた。
「……シロウ、お前、今……アニキって……」
「かーちゃんに伝えてくれ。ごめん、って」
「なに? ……おい! それは一体どういう意味だ!? お前、何を」
 シロウの横顔に微塵の揺るぎもない。微笑すら浮べず、ただ淡々と続きを紡ぐ。
「何かの偶然ってやつが、万が一、奇跡的に積み重なって、無事家に帰れた時には拳骨何十発でも受ける、ってのも付け足しといてくれ。言えば、わかる」
 じゃあな、と軽く窓枠を叩いて、歩き出す。
 オオクマ・ジロウは窓から顔を出して叫んだ。
「おい! シロウ!? お前、何やらかす気だ!? 冗談じゃないぞ、ちょっと待て! おい! 兄の言葉が聞けないのか! おい!!」
 その声に、一度は大人しくなっていたノブヨが再び腕の中で泣き始める。
 慌ててオオクマ・ジロウは顔を戻し、あやす。
「おおお、ごめんなー。お父さん大声出してごめんなー、でもお前のおじさんがなー……」
 言いながら、再度振り返る。子供をあやしつつ、弟も気になるため、前を向いたり後ろを振り返ったりとせわしない。
 運転席で窮屈そうに身体をねじったヒサヨも、何が起きているのかわからぬていで、歩き去る義弟の背中を呆然と見送っている。
「……あなた、あの子……一体……?」
「俺に聞くな。俺にも何がなんだか――」
 その時、二人の視界に光があふれた。
 燃え尽きる寸前のように、揺らめき瞬く蒼い光が。
 シロウは――義弟の背中は、その光の中に溶けてゆく。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 ずかずかとアスファルトを踏みしめて歩く。
 その歩みに一片の惑いなし。躊躇いなし。
 これがおそらく最後の戦いとなるであろうことは、容易に想像できた。また、力の限りと言えるほどの力が既に残っていないことも。
 それでも、行かねばならない。
 恩? 違う。
 借りを返す? 違う。
 借りを作らない? 違う。
 信念? 全く違う。
 義理? 全然違う。
 正義? 断じて違う。
 平和? 決して違う。

 理由? わからない。いや、どうでもいい。

 ただ、そうしなければならないと、心が欲するままに。
 あの時張った意地を、愚か者の虚勢にしないために。
 愚かと笑わば笑え。
 愚かと泣かば泣け。
 愚かと怒らば怒れ。
 愚かと哀れむならば、哀れむがいい。
 それでも、あの時吐いた言葉を守るため、あの時の、過去の自分を嘘つきにせぬために――この惑星で積み重ねてきた時間と絆が、間違いでなかったと証すために。

 懸けるのは命ではない。
 意地だ。

 かつて、メビウスはレゾリューム光線の暗黒波動に飲まれ、消滅した。
 それでも、地球人と積み重ねた固く強い絆によって、奇跡を起こし、甦った。
 半端者のレイガに同じ奇跡は起こるまい。

 それでも、やってやる。
 オレがオレであるために。

 全身から蒼い輝きを放ちながら、歩みを止めず――握り締めた右拳を前に突き出した。

「レイガァァァァァッッッ!!!」


 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 蒼い光とともにウルトラマンレイガが出現した。

 サータンはすぐ反応した。
 片膝をついて肩を大きく波打たせている新マンを無視し、新しい敵に向き直る。
 そして、威嚇するように甲高い声で吼えた。
「ダアアッ!? 【レイガ……ッ! 何故来た!? お前はもう――】」
 顔を上げた新マンの言葉を聞き流し、そのまま左拳を胸の前に握り締め、右手刀を前に突き出すいつもの構えを取った。
 その上空を、ガンローダーとガンブースターが旋回してゆく。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 ガンブースター・コクピット。
「くっそぉぉぉぉっっっ!!!!」
 およそ女性らしからぬ叫び声でキャノピーを震わせたヤマシロ・リョウコは、さらにそのキャノピーへ拳槌を叩きつけていた。
「なんで出てきちゃうのさ、レイガちゃん!? 君、もう戦えないはずでしょ!? なんで? 何のため? 君が命を懸ける必要が、今、ここのどこにあるってのさ! ――くっそぉぉぉぉ!!」
 もう一度、拳でアームレストを叩く。
「不甲斐ない!! 情けなさすぎるよ、こんなの!! あたしは――あたしは友だち一人、平和に過ごさせることも出来ないなんて!!」

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 ガンローダー・コクピット。
「レイガが応援に? ――あれ!?」
 セザキ・マサトは目を疑った。
 カラータイマーが、青であるべき胸の輝きが、既に赤く点滅していた。しかも、新マンより早く。
「いきなり消耗してる!? どういうこと?」
 クモイ・タイチからもヤマシロ・リョウコからも話を聞いていないセザキ・マサトには、何が起きているのか理解できない。
 その時、モニターに通信ウィンドウが開いた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
 レイガの登場に呆気に取られている一同の前に、通信回線に割り込んで姿を現した者がいた。
『――なにやってンのさ、CREW・GUYSジャパンは!!』
 メインパネルに映る――そして、ガンローダー、ガンブースターのモニターにも映っている――のは、白衣姿の若い女性。その目には火花を散らすような光が宿り、一同を睨んでいる。
「アサミ――いえ、フジサワ博士!?」
 驚くミサキ・ユキに、女博士は鼻息を一つ鳴らした。
『はン、フジサワ博士? ……じゃないわよ、ユッキー!! なにやってンの、あんなブサ面怪獣相手に!!』
 アイハラ・リュウはたちまちむっとした顔になって言い返した。
「こっちだって必死にやってるよ! けど、あいつには通常兵器もメテオールも、ウルトラマンの光波熱線さえ効かねえんだぞ! ガンウィンガーも墜とされて――」
 フジサワ博士の眉がぴくぴくっと蠢き、目が細まった。
『ったく、これだから力押ししか知らない男はさぁ。――ガンウィンガーなんかいらないさ。ガンローダーで十分だってーの!』
 一同は意味がわからず、顔を見合わせる。
 苛つきを隠さず、腕を組むフジサワ博士。その口から大きなため息が一つ、落ちた
『あー、ちょっとそこのめがねっ娘……もとい、なんちゃって女教師。スペシウム光線及びスペシウム弾頭弾炸裂時の衝撃波の固有振動周期ぐらい、データあるっしょ?』
「あ、はい」
 シノハラ・ミオの指が動いて、メインパネルの隅に周波数サンプルグラフのウィンドウが開く。
『ほ〜らぁ、あるじゃん。――いい? あいつはどうやってかその振動周期を見抜き、位相を逆転させた振動周波数をぶつけることで、こちらの攻撃を無効化している。いわゆるノイズキャンセラーヘッドフォンと同じさね』
「それぐらい、わかってます!」
 ばん、とデスクを叩き、シノハラ・ミオは立ち上がった。
「だから苦労してるんですよ! どうやってその防御を貫通させるか。無効化を無効化する方法を!」
『……あんた、アホ?』
「は? ……な、なんですってぇぇ!!」
 東京に暮らす人間にとって、アホは最上級の罵倒である。
 知ってか知らずか、フジサワ博士は呆れ顔で続けた。
『もしくはその目は節穴かい? 無効化なら既にしてんじゃんかさ!』
「は?」
『あのね? スペシウム光線が通らないんじゃなくてさー、スペシウム光線で相手の防御を無効化してるんだっつーの』
「……………………」
 ディレクションルームに沈黙が漂う。誰も、フジサワ博士の意図を理解できずにいた。
『ったく。なんでこんな簡単なこともわっかんないかなぁ? お互いの振動を打ち消しあって平衡状態になっているところへ、別の固有振動周波数のエネルギーを放り込んでも、あいつは対応できるかっつーことよ』
「あ……そうか」
 イクノ・ゴンゾウがポン、と両手を打ち合わせた。
「アイアンヘアーで打ち消せるのが、一種類の固有振動周波数のエネルギーだけだとすれば――」
 続けてシノハラ・ミオも手槌を打って頷いた。
「なるほど。異なる振動数の攻撃を同じ箇所へぶつければ、守りきれないかもしれない。もしこちらの攻撃に反応すれば、もう一つの――異なる固有振動周期のウルトラマンの攻撃が通ってしまう……」
「二つでダメなら三つ、三つでダメなら四つ……」
 ミサキ・ユキも自信を取り戻した表情で頷く。
『そういうこと♪ 通るかどうかはぶっつけ本番だけど、まだやれることは残ってる。Do You understand?』
 出来の悪い生徒がようやく公式を理解してくれたのを喜ぶかのような笑顔で頷くフジサワ博士。
 しかし、すぐにシノハラ・ミオが顔をしかめた。
「あ、でも……別の振動周波数の攻撃をぶつけると言われても、手段が……」
『はあ? あんた、マジ!? それ、マジで言ってんの?』
 途端に、フジサワ博士の笑顔は消し飛び、まなじりが吊り上がった。
『ったく、よくそれでGUYSの管制なんか務まるもんだわ。あんた、一体何のためにそこに座ってんのさ!? てめえンところ戦力把握も出来てないわけ!?』
 たちまちシノハラ・ミオは頬を紅潮させた。
「戦力把握が出来ているから、手段がないと申し上げているのです! だいたい、相殺されている最中の箇所への攻撃なんて、出来るわけが――」
 頭痛をこらえるように、こめかみに指を押し当てるフジサワ博士。
『あんたねー……ガンローダーのビーム砲・バリアブル・パルサーの名前の意味を、今さら説明しなきゃいけないってか?』
「……あ」
 さっとシノハラ・ミオの表情から興奮の赤みが消える。
 撃ち出す粒子ビームの出力を変えることが出来る。ゆえにバリアブル(可変の)パルサー(周波数砲)。使い方によっては、対象物に電気エネルギーの供給も出来る。(ウルトラマンメビウス第7話にて使用)
 フジサワ博士はそのまま続けた。
『もしくは、各機体のコクピットブロックになってるガンスピーダー、主兵装のフォノンメーザーはどうよ? 水中でも威力減衰の少ない超音波砲っしょ? どちらも出力周波数の設定をいじってやればいいんじゃん? 目安になるスペシウムの固有振動周波数は把握してるわけだし? ――これでもまだ、あのひげもじゃは無敵の盾だと言い張るかい!?』
 口をパクパクさせたまま、答えられないシノハラ・ミオ。
『わかったんなら、さっさと動く!』
「は、はい!!」
 まさしく教師にしかられた生徒のごとく、座席に腰を落として通信回線を開くシノハラ・ミオ。
「こ、こちらフェニックスネスト! セザキ隊員、応答してください!」
『はいはーい♪』
「――シノハラ隊員、周波数変更の設定データはこちらで」
 連絡を取り始めたシノハラ・ミオに、イクノ・ゴンゾウがフォローを入れる。
「お願いします! ――ああ、セザキ隊員。実は、今すぐバリアブル・パルサーの設定を……」
 切羽詰った声でセザキ・マサトとのやり取りを行うシノハラ・ミオを傍目に、呆れ顔でまたため息をつくフジサワ博士。
『やれやれ……世話が焼けるったら』
「でも、ありがとうアサミ」
 微笑んで頭を下げるミサキ・ユキ。隣りのアイハラ・リュウも、黙って頭を下げる。
『じゃ、あとは見てるから。あんまし不甲斐ないと、次は本気でヤキ入れるかんね? しっかりガンバんな』
 不敵な笑みとともに軽く拳を見せつけ――通信画面は閉じられた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

「【――ごちゃごちゃお小言を聞いてる時間はねえ! やるぞ!】」
 叫ぶなり、レイガはサータンに襲い掛かった。
 振り下ろされた長い鼻を左腕で払いのけ、右拳を握り締める――その拳が青白い光に包まれる。
 岩石をハンマーで叩いたような硬質の音が轟き渡り、レイガの拳が弾き飛ばされた。サータンもたたらを踏んで二、三歩退がる。
「【づぁ……っ! なんだ、こりゃ!? こいつ、バリアでも持ってんのか!? 触る前に弾かれたぞ!?】」
 痛みの走る右手を大きく振りながら呻く。
「【似たようなものだ】」
 レイガがサータンを引きつけている間に、新マンはすっくと立ち上がった。右拳を胸の前に握り締め、左手刀を前に突き出すいつもの構え。
「【こいつにはスペシウム光線も通じない】」
「【らしいな。見てた】」
 右手を振り終わったレイガは、再び背筋をピンと立て、新マンと鏡写しの構えに戻った。
 そこへ、サータンが突進してくる。振り回される鼻を両手でつかみ取り、大きく振るって進行方向を新マンへ向ける。
 新マンは、タイミングを合わせてサータンの腹部に飛び蹴りを命中させた。
 その威力に再び後退るサータンの背中に、レイガも飛び蹴りを入れる――足に尋常ではない反動が返って来た。かろうじて体勢を崩さずに着地する。
「ジュアッシュ! ――【くそ、これでも返って来るのか……なら、ジャック! ブレスレットを】」
「【それはできない】 ――デュア! ヘアッ!」
 即答だった。前へつんのめるサータンへチョップを入れながら。
「【迷いなしかよ。理由は……聞くまでもねえか】」
「【ウルトラブレスレットは万能兵器と呼ばれてはいるが、同時に二つの機能を発揮することは出来ない。今、サータン相手にブレスレットを使えば、お前は――…………宇宙警備隊隊員ですらないお前を、犠牲には出来ない】」
「【ふざけ、やがって!】 ――ジェアアアアッッッ!!」
 レイガはサータンの尻尾をつかみ、振り回し始めた。
 最初よたよただった動きが少しずつ速度を上げ、3週目を回る頃にはサータンの足が地面を離れた。
 そのままさらに3回転して、尻尾を放り出す。
 宙を飛んだサータンはそのまま腹から落ちた。爆発でも起こしたかのような土煙が舞い上がる。
「ジュワッ! ――【だったら、その気兼ねと心配、なくしてやる】」
 両足を肩幅に開いて左腕を立てたレイガは、その手首に右手をかざした。
 新マンがウルトラブレスレットを使う時のポーズ。
 そして、そのまま両腕を右へ水平に差し伸ばす。それは、いつものレイジウム光線とは逆のポーズだった。
「【レイガ!?】」
 新マンの止める声も聞かず、右から左へ光を集めながら水平に回し――立てた左腕に右拳を押し当てる。
 蒼い光の奔流が、舞上がる土埃を蹴散らして、その中に立つ怪獣を撃った。
 だが、サータンはびくともしない。
 地球怪獣にさえ通じなかったレイジウム光線の威力の弱さゆえか、それともアイアンヘアーの高周波振動防御の強さのゆえか。
「【……………………!!】 ――シュワッ!!」
 新マンは躊躇なく再び腕を十字に組んだ。
 レイジウムとスペシウム、二つの光流が途中で一つになり、七色の輝きを放ってサータンを撃つ。

 それでも。
 なお。
 サータンは崩れない。
 合体光線の圧倒的奔流を受けながら、大きく身体を揺らして吠えている。

 やがて、レイガの身体に異変が起きた。
 もはや半身ではない。
 全身から立ち昇る黒い霧。
 その深さ、濃度で、レイガの姿さえ見え辛くなるほどの。
 それでも、レイガは撃つのを止めない。
 
「【レイガ……ッ!! もう止めるんだ、お前はもう――】」
「【……オレは、ウルトラ兄弟になりたいわけじゃねえ】」
 ボソリと漏れてきた声に、そこに込められた強い意志に、新マンは思わず継ぐ言葉を失った。
「【だからって、ここで逃げ出すような男になりたかったわけでもねえんだ】」
 光の奔流が放たれてゆくごとに、闇は広がり、レイガの姿は薄れてゆく。
「【レイガ……】」
「【バカ言ってんのはわかってんだよ。かーちゃんにもクモイにも師匠にも怒られるってな、重々承知の上だ。命あっての愉快な人生、それも承知の上だ! けどな、俺の中にあるこれがないせいで、お前が負けるなんてことだけは、絶対に許せねえ。役立たずならまだしも、足手まといなんぞ! 死んでもお断りだ! そんでもって、お前が受け取らねえってんなら、意地でも受け取らせてやる!】」
 左腕がほのかに、白く輝き始める。それは、レイガの腕から放たれる光の奔流を包み込み、収束させてゆく。
「【持っていけ、俺の全部!!】」
 レイガの身体から立ち昇る黒い霧は、もはや渦を巻いて燃え盛る炎のようだった。自然界では絶対にありえない、漆黒の、禍々しき炎。
 その中で燃え落ちてゆく、光の命一つ。

「――たとえ行き止まりでも、オレの道はここにしかねえ!!!」

 レイガの輪郭が失われゆく。闇に飲まれてゆく。
 その時。
『その道がどんな道かは知らないけど――』
 届いた声は、セザキ・マサトのもの。
 続いて、ヤマシロ・リョウコも。
『――あたしたちも行ったげる!!!』 
 新マンとレイガ、それぞれの脇を風のように飛び抜けるガンローダーとガンスピーダー。
 両機は同時に合体光線目掛けてそれぞれのバリアブル・パルサーとフォノンメーザーを放った。
『二人の合体光線を防いでいる今なら!』
『こちらの攻撃は抜ける!! はず!!』
 その宣言通り、サータンの胸で爆発が起きた。そして、初めてあがる悲鳴の咆哮。
 次の瞬間、合体光線がサータンを貫き―― 

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 フェニックスネスト・ディレクションルーム。
 歓声が沸いた。
「うぉっしゃああああっっ!! 抜けたぜ!!」
 喜びの余り、拳を掌に打ち付けたアイハラ・リュウ。ミサキ・ユキも密かに拳を握る。
「計算どおりです」
 シノハラ・ミオが光る眼鏡をズリ上げて、にんまり笑う。イクノ・ゴンゾウと目線を交わし、頷き合う。
「流石です、シノハラ隊員。サータン本体ではなく、アイアンヘアーを攻撃、破壊するとは」
「私なんかより、あんな無茶な精密射撃の指示をやってのけた二人を褒めてあげて。それに、ウルトラマンたちの攻撃がなかったら――」
 その時、メインパネル上に二人の通信画面が開いた。
『そ。ウルトラマンだけでも、地球人だけでも成り立たない作戦さ』
 メインパネルに開いた通信ウィンドウの向こうで、不敵に笑うフジサワ博士。
『ついでに言うなら、誰かの功績じゃなくて、あんたたちみんなでもぎ取った勝利だよ。ま、とはいえ、ねぇ――』
 少し倦んだようなため息が漏れる。
『仮にもGUYSのオペレーターなら、このくらいは自分で気づいてやってくれないとねー。日本の防衛を任せられてるんだからさ』
 シノハラ・ミオはそっと立ち上がり、深々と頭を下げた。
「さっきは……かっとなってしまって、暴言、本当に申し訳ありませんでした」
『ん。いいさ。――でもさ、ウルトラマンの合体攻撃に乗っかって、とっさにアイアンヘアーの破壊っていう、より勝率の高い作戦に修正した閃きっぷりは褒めてあげるよ、シノっち。よくやった』
「あ、はい。ありがとうございます。でも、全てフジサワ博士のご助言のおかげです」
 ほんのり頬を染め、再び頭を下げるシノハラ・ミオ。
 満足そうに頷くフジサワ博士のウィンドウの背景で、ゆっくり後方へと倒れたサータンが大爆発を起こしている。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 戦い終わった戦場に、カラータイマーの音が鳴り響く。
 新マンの胸で点滅する、赤い輝きの音だけが。
 黒い霧は、既に消えていた。
 その中にいたはずの、ウルトラ族の青年ごと。
 今、彼が立っていた場所には、鈍く輝く一つのブレスレットが転がるのみ。
 星を模した飾りのついたその腕輪を、新マンはうなだれているような姿勢で、じっと見下ろしていた。
(……確かに、返したぜ……)
 消えた者の最後の思念は、風に吹き散らされる砂絵のように流れ去る。
「……ジェア」
 新マンが左腕を立てる。
 きらりと輝いたブレスレットは、次の瞬間その左手首に――あるべき場所へと戻った。
 そして、新マンは両腕を広げ、空の彼方へと飛び去った。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 ウルトラブレスレットがあった地点へ、新マンと入れ替わりにガンスピーダーが墜落するような勢いで着陸した。
 中から駆け出してきたヤマシロ・リョウコは、辺りを見回し、声を限りに叫んだ。
「レイガちゃーーーーん!! シロウちゃーーーーーん!! どこーーっ!? どこにいるのさーーーっ!! 出て来てーーーっ!! 返事をしてよーーーーーっ!!! お願いだから、いなくなったなんて……消えたなんて言わないでよーーーーっっ!! シロウちゃーーーーん!!!」
 走り回りながら、必死で叫ぶヤマシロ・リョウコの声だけが空しく響く。
 空は残酷なほどに青く、広く――太陽が無言でその姿を見下ろしていた。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 霊園。
 シノブは坂田次郎と談笑していた。
 話題は、今は亡き人たちのこと。
 シノブは夫の、坂田次郎は兄と姉の。
 過ぎ去りし日々の輝かしき軌跡と、彼らから受け取ったもの。それは尽きることなく続く。

 やがて――霊園駐車場の出入り口の渋滞が解消され、警備員の誘導によって順次、車が出発できる段となった。
 バス停で来ぬバスを待ち続けていた妊婦と赤ん坊連れの母子に声を掛け、最寄の開通している駅まで送ることになった坂田次郎も、それぞれを助手席と後部座席に乗せた。
「それじゃあ、オオクマさん。私は――おっと」
 別れの挨拶を交わそうと車から降りたところで、坂田次郎は背広の内ポケットから携帯を取り出した。
「ああ、オオクマ君だ。――はい、坂田です。大丈夫だったかい、オオクマ君。……ふん……ふん…………そうか。二人とも無事か。それはよかった。実は、こっちもちょうどお母さんと別れるところで……え? ああ、いいよ」
 坂田次郎はにっこり笑って携帯をシノブに差し出した。
「息子さんからです。奥さんと娘さん、無事だったそうですよ」
 シノブは笑顔で携帯を受け取る。
「まあ、ありがとうございます。じゃ、お借りしますね。――もしもし、ジロウ?」

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 人気のない街中に停まったジープの脇。
 携帯を耳に当てているオオクマ・ジロウの後ろで、ヒサヨは赤ん坊をあやしている。
「……ああ。ヒサヨもノブヨも、家に居た。来てみてよかったよ。ノブヨは泣き疲れて寝てる。色々あったからね。いやでもさー、あの天使の寝顔を見てたら、ほんと、生きてて良かったって思うよねー。かわいいよねー。あいらしいよねー。あー……しやわせだわー……。――あ? ん? ああ、それは大丈夫。マンションに被害は出なかったから。うん。この後はジープを郷さんに返して、歩いて避難所へ向かうよ。それと……」
 オオクマ・ジロウは緩みきっていた表情を引き締めて、ちらりと後ろのヒサヨとノブヨを見やった。
「んー……シロウのことなんだけど。…………ああ。それはね。まあ、ちょっと信じ難かったし、今でもまだあれなんだけど……。まあ、そっちはおいおい聞かせてもらうとして――あ? いや、ここにはいないよ。あ、うん。さあ……どこへ行ったのか。いや、それでさ。あいつから母さんに伝えてくれって言われてさ。うん。なんか、ごめんって。それから、奇跡が起こって帰れたら、拳骨何十発でも受けるとか言ってたぞ? 意味わかる? ……母さん?」
 母の声が途切れ――オオクマ・ジロウは顔をしかめた。
 思わず携帯の画面を見る。アンテナは三本立っている。
「母さん?」
 もう一度、聞き返す。
 電話の向こうで、シノブはただ、わかった、とだけ答えた。オオクマ・ジロウが聞いたことのない、深刻そうな声で。
 電話の相手はすぐに坂田社長に変わった。
「あ、社長。え? いえ……わかりました。はい。それではまた」
 携帯を閉じたオオクマ・ジロウは、吐息を一つ落とした。
「どうしたの、あなた?」
 腑に落ちない表情を消せないオオクマ・ジロウを心配して、ヒサヨが寄って来る。
「あ、うん……なんだか、母さんの様子が変だった。シロウの言葉を伝えたら……」
「あれって、なんだか別れの言葉のようだったもんね……」
「あいつは仮にもウルトラマンだ、死にやしないだろ」
 ぶっきらぼうに言って、携帯をポケットに入れる。
「やっぱりあの子、ウルトラマンだったの?」
「ああ。母さんもそう言ってた。……やれやれ、弟が宇宙人だなんてなぁ。複雑だな」
「でも、あたしは宇宙人を息子にしてしまえるお義母さんの方がすごいと思うわ。懐が広いってどころじゃないと思うけど」
「あれは父さん譲り。母さんはいまだに父さんにラブラブだからな。父さんが生きてたらそうしたろうって、そう思って行動しただけだろうさ」
 呆れ気味のため息を一つつく。そして、ふとヒサヨを見て、顔をしかめた。
「……何だよ、その顔は」
 ヒサヨは微笑んでいた。最近では見たことのない、愛しげな――俗に言う生あったかい眼差しで。
「ううん。あなたがお義母さんをそんな風に言ったり、お義父さんのことを話すのって初めて聞いたから」
「そうだっけ……?」
 胸の内を探るように、うつむく。
「そうよ。いつだって、偉大な母親だけど俺は2番目なのに3番目だとか、普通の父親だった、とか。お兄さんの話はするなって言うし、サブロウさんにはキツいし。正直、家族へのコンプレックスが深いのかなーって、思ってたけど……なにかあった?」
「……ん。まあ、な」
 オオクマ・ジロウの耳の奥に、シノブの言葉が蘇る。 

「ご存知の通り、昔から頭の良さを鼻にかけて口は悪いし、協調性はないし、頑固だし、不器用ですけど……なんだかんだで家族思いで、一番面倒なこと、一番大事なことを見抜いて、自分から背負う子なんです。ほんと、そういうところは死んだ父親にそっくりで」

「俺は……父さんに似てるんだって。色々と。母さんに、初めてそう言ってもらった」
 我知らず、弛む口元。
 ヒサヨは、その肩に頭を預けた。
「そっか……。よかったわね。常々俺は父さんには似てない、って拗ねてたものね」
「すっ、拗ねてなんかないっ! ……ただ、俺が気づいてなかっただけだ」
「ウソよ。いつもその話するとき、あなた唇がこーんなになってたもん」
 唇をすぼめて突き出すヒサヨに、オオクマ・ジロウは顔を赤らめて首を激しく振る。
「そ、そんな顔してるもんかっ!!」
「してたわよー。いつも私、あなたのそういうところ、子供みたいって思ってたもーん」
「こ、子供って……シロウじゃあるまいし、いい年した大人をつかまえて子供扱いするなよっ!」
「いいじゃなーい。……そういう子供っぽくて、一度言い出したら聞かない頑固なとこ、嫌いだけど好きだもん」
 オオクマ・ジロウの胸に預けた笑顔が弛んで、安堵の表情に落ち着く。
「ありがとう、ジロウさん。助けに来てくれて。……最高の旦那さんね、あ・な・た」
 見上げる妻の目が、潤んでいる。
「当たり前だろ……」
 オオクマ・ジロウは黒ぶちメガネをさりげなく外し、その顔へ、唇へ――
「……ふゃあ……」
 二人の胸に挟まれた形のノブヨの声。それは、泣き出す寸前の――その瞬間、二人は父と母の顔に戻った。
「あー、ごめんごめん。パパとママのお胸の間で苦しかったー? ごめんねー」
「ああ、うん。うん。お父さんが寄りすぎたねー、ごめんねー」
 メガネもウルトラアイより素早く装着されている。
 二人がかりでノブヨをあやしながら、二人はちょっと頬を赤らめて――微笑を交わした。

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

「こんなの……こんなのってないよ……レイガちゃん……」
 レイガの消えた地点。
 四つん這いになって、その地面を叩き続けるヤマシロ・リョウコ。
 傍らに立つセザキ・マサトは困惑しきった面持ちで、彼女の脱ぎ捨てたヘルメットを抱えている。
「いやー……だからさー、りょーこちゃん。いつもと消え方が違ったってだけで、別に死んだって決まったわけじゃ……」
「違う! そうじゃないっ! 違うんだよっ!」
「だからぁ、なにがなのさぁ」
 困ったなーと呟きつつ、空いた手で自分の首の辺りを撫でさする。
「シロウちゃんは……もう、いないんだよ。闇に飲まれて……」
「まあ、確かに最後のあれはそういう感じに見えなくもなかったけどさぁ。でもだからって、あのレイガがさぁ」
「――レイガが……来たのか」
 ドスの利いた低い声。
 二人が見やれば、そこに片手にヘルメットをぶら下げたクモイ・タイチの姿。
「クモっちゃん!? 大丈夫なの!?」
「……タイっちゃん」
「そうか……あのバカめ……」
 足を引きずるように、二、三歩進んだその姿は、格闘選手がグロッキー状態にあるかのように弱々しく、ふらついている。よほど受けたダメージが深いのか、顔色は青ざめ、目も空ろ。まるで死人が立っているようだった。
「タイっちゃあん……ゴメン、あたし……あたし……」
 崩れかかるヤマシロ・リョウコの顔を見て、クモイ・タイチは唇を歪め、笑った。
「いい……言う、な。……言わなくても…………わかる。なにが、起きたか。……そうか、俺たちは…………負けたのか」
 その言葉を聴いた途端、ヤマシロ・リョウコは歯を食いしばり、再び四つん這いになって泣き喚き始めた。
 セザキ・マサトだけが状況とセリフの意味を理解できず、取り残されたていで首を捻る。
「えーと……? 負けた? 誰が? どー見ても大勝利じゃん。サータンは倒したし、新たな被害は出さなかったし、クモっちゃんも無事だったし」
「……ああ……ごふ」
 クモイ・タイチの歪んだ唇を割って、鮮血があふれ出した。
 そのまま両膝が砕け、がくりと落ちた体は、糸が切れた操り人形のようにのけぞり倒れる。真っ赤な糸をいくつも虚空に引いて。
「ちょ……クモっちゃん!!!!????」
 セザキ・マサトはヤマシロ・リョウコのヘルメットを投げ捨てて、クモイ・タイチに駆け寄った。
 取りすがり、上体を抱え起こす。
 既に意識を失った首は力なくぐらりと傾き、口の端から新たな長い血の糸がまた一本、滴り落ちた。
「え、衛生兵――じゃなくて、医療はーん!! 医療班はまだー!?」

 ―――――― ※ ―――― ※ ――――――

 オオクマ・ジロウ宅のあるマンション前。
「……とりあえず、郷さんが戻るまでここで待つか」
 ジープのエンジンを切ったオオクマ・ジロウは、ふとウルトラマンが立っていた方向を見やった。
 ここからでは裏山の雑木林が邪魔で戦場は見えない。
 だが、そこに確実に弟が変身した蒼いウルトラマンが立っていたのだ。郷秀樹が変身したウルトラマンとともに。
「あなた……本当にシロウさん、大丈夫なのかしら」
 後部座席からヒサヨは、声をかけた。ノブヨを隣の座席に寝かせ、その胸を軽く叩いている。
「あの挨拶、それにあの……黒い炎みたいなもの? あれって、見ていてもなんだか嫌な感じしかしなかったわ。もう一人のウルトラマンとは何もかもが違ってたし……。最後、姿が消えてしまった時だって、まるであの黒い炎に食べられちゃったみたいに……」
「大丈夫さ」
 オオクマ・ジロウは戦場の方角を見つめたまま断定的に言った。
 ヒサヨの言っているレイガが姿を消す瞬間については、自分も見ていた。自らの身体から立ち昇る黒い竜巻のようなものに包まれ、そのままその中から姿を表わさなかった。実際、自分も闇に喰われた、と感じた。

 しかし。

「あいつだってオオクマ家の男。母さんが認めた男だ。……オオクマ家の男ってのは、みんなたちが悪くてな」
「?」
「諦めが悪いんだよ。どうにもならないって状況に追い込まれれば追い込まれるほど、燃えて気迫が漲る。病気の時の父さんがそうだった。大学時代の兄さんもそうだった。サブロウだって…………俺だってな。だから、シロウも、必ず」
「うふふ……今日会ったばかりの弟さんなのに、なんだか昔からの兄弟みたいに言うのね。ほんと、あなたったら、いつまでも男の子なんだから」
 すがるように空を見上げているオオクマ・ジロウ。その背中を見つめるヒサヨは目を細めて微笑していた。


【第10話予告】
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