名がなんじゃ! By Any Other Name |
Enterprise [エンタープライズ] (事業、企業、冒険) ラテン語 inter( 〜の間、〜の中で。 「インターネット」「インターナショナル」のインター)+ pris(つかむ)で「中に入ってつかむ」→「進むのが困難な場所へ入って」富や名声を「つかむ」というところから「冒険」の意味になったようです。 また「欲しい物を手に入れる(→ために企てる)」→「企業」の意味になります。 まあ、事業を営むのはそれ自体が冒険であるとも言えると思います。 ちなみに「牢獄」の prison は「つかまえておく所」の意味、「賞品、戦利品」の prize も「つかんだ物」の意味で同源です。 さらに「驚かせる」の surprise も sur(上方)+pris で「上から襲いかかって捕まえる」が原義でやはり同源です。 pris は prehendere の短縮された形で、これは pre(先に)+hend(=hand、手でつかむ)から成ります。 この原型は英語の comprehend(理解する←意味をつかむ)などに見られます。 日本語の「把握する」も、字だけ見ると「(手で)つかむ、握る」という意味なのに、意味や状況を「理解する」という意味でしか使われないのとそっくりです。 Bird-of-Prey の prey も同型だそうです。 「獲物」←つかまれるもの、という意味です。 「エンタープライズ」と「牢獄」と「獲物」がどれも「つかむ」を原義にした共通の語源を持っているとは、調べるまで思いもしませんでした。 Defiant [ディファイアント] (挑戦的な、公然と反抗する) de(=dis)+ ラテン語 fidere(信用する)、fides(=faith(信仰))から、「信仰しない」→「不信心である」→「(教会権力などに)反抗する」という流れでしょう。 ほぼ同型の、英 defy(信仰から離れる)がいいヒントになりますね。 confide は con(完全に)+fidere で「完全に信じる」→「信頼する、確信する」となります。 Voyager [ヴォイジャー] (旅人、航海者) ラテン語 via(道、〜経由)+ age(こと、もの{抽象名詞化})から「道を通って〜へ行くこと」→「旅」。 判りやすいですね。 ちなみに trivia(トリビア)は「三叉路」の意味で、ラテン語が使われていた古代ローマでは「三叉路には三方から人が来る」→「他愛ない世間話が行われる」→「取るに足らないこと」となったものだそうです。 trivia が tri + via =「三叉路」なのは想像がついても、語源を知らずに現代日本人の感覚で考えてたら意味が判らないですね。 またスポックの口癖のひとつ obviously(明白な)は ob(〜に面して)+via =「道に面する」から「よく見える」→「明白な」となったそうです。 森の中から道に出ると現在地や方角が「はっきりわかる」というイメージでしょう。 Valiant [ヴァリアント] (勇敢な) ラテン語 val, vail(力がある)+ ant(形容詞化)で「力がある、価値がある」の意。 力がある人=頼れる立派な人→勇敢な人、と言った感じでしょうか。 そういえば、日本の桃太郎のシンボルが「桃」なのは、実の形や色が心臓に似ているところから「生命力・力強さの象徴」となり、「男らしさ、勇敢さ」を表すようになった、という由来があるのと似てますね。 val, vail は現代英語の value(価値)、prevail(優勢である)、available(役に立つ)などに残っています。 Excelsior [エクセルシオ] (〔New York州の標語〕更に高く、一路向上) ラテン語 ex(外) + celsus(そびえる)の比較級 cellere→「他より高くそびえる」→「(他を)しのぐ、卓越する」という意味になります。 excel(〜に勝る、しのぐ、卓越する)、excellent(素晴らしい、優秀な)もそのまんま同源語です。 Intrepid [イントレピッド] (恐れを知らない、勇気のある) ラテン語 in(否定) + trepidus(心配な、震えて)→「恐れない」→「勇敢な」という意味になります。 trepidus の原型 trepidare は to be agitated(戦慄する、おそれおののく)という意味です。 接頭辞 in- (b, m, p の前では訛って im- に、l の前では il- に、r の前では ir- になる)は「中に」の意味の同型の接頭辞もあるのでややこしいですが、insane(正気でない)、incredible(信じられない)、impossible(不可能な)、スポックの口癖 illogical(非論理的な)、セブン・オブ・ナインの口癖 irrelevant(無関係な)などの in-/il-/im-/ir- がこれと同じものです。 enemy の en- もこれが変形したもので、+ emy(友達)→「友達ではない」→「敵」となったそうです。 オマケで、 Trek [トレック] (〔長い骨の折れる〕旅行) 南アフリカ入植者集団の「牛車での旅」が語源。 17世紀、最初に南アフリカに移住したのはオランダ人だったそうですが、18世紀にイギリス人がやってくるとオランダ系アフリカーナーは追いやられ、牛車で奥地に向かうことになった、この時の長く苦しい旅を trek と呼んだそうです。 |
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