______________________________________________________________________
☆このページでは、「トリブル」について瑣末な事を。


 トリブルに関するトリビア 
 The Tribute to Tribbles

トリブル(Tribble)

学名: Polygeminus Grex 
  ( poly =「大麦・玉麦」、geminus =「双子」、grex=「大群、群れ」の意味。 適当にラテン語単語を並べただけのようにみえます)
  
起源: Iota Geminorium IV (ふたご座イオタ星4番惑星)
  (『スタートレック大研究IV メイキング オブ スタートレック ディープ・スペース・ナイン』P39の図版による)

歴史:
 惑星連邦は、宇宙暦4523.3(※日本語吹き替え版では "0403.4201")(西暦 2268年)に宇宙ステーションK−7においてトリブルと初めて遭遇した(※)。
 (TOS第42話『新種クアドロトリティケール "The Trouble with Tribbles"』)
 (※『エンタープライズ』では、ドクター・フロックスが治療のためのトリブルをエンタープライズNX-01に載せています/ 第47話『理由なき憎しみ "The Breach"』)


 クリンゴン人たちは、トリブルは生態系にとって脅威であり、疫病のようなものであるとして、撲滅しようと考えた。

 宇宙暦5392.4、クリンゴン人たちはこのトリブル根絶のため、人工的に作った天敵生物「グロマー」を放つ。
 (TAS(まんが宇宙大作戦)第1話『謎の新兵器パラライズ光線 "More Tribbles, More Troubles"』)
 (※吹き替え版ではトリブルは「ピンキー」と訳されています)


 23世紀後半、数百名のクリンゴン兵士がトリブルの母星を探して銀河中を飛び回り、ある艦隊が発見した母星を消滅させ、この時トリブルは絶滅した。
 (DS9 第104話『伝説の時空へ "Trials and Tribble-ations"』、ウォーフの説明による。 必ずしも正確であるとは言い切れません)

 24世紀中期には、惑星連邦の学校では、トリブルの生態について教えられているらしい。
 (DS9 第3話『宇宙ステーション殺人事件 "A Man Alone"』、第11話『宇宙商人フェレンギ星人 "The Nagus"』。 教室の壁面のスクリーンにTOSに登場した生物の図解が映し出されています)


 西暦2373年、宇宙暦4523.3(西暦 2268年)へ時間移動したディファイアントは、数匹のトリブルを載せたまま元の時代へと戻り、これによって絶滅の事実は覆される事となった。
 (DS9 第104話『伝説の時空へ "Trials and Tribble-ations"』)



生態:
 全長3cm〜30cm程度の小さな丸い動物で、柔らかく、柔毛に覆われているのが特徴の温血動物。
 足はないが、ゆっくりと身体を推し進めて移動する事ができる。
 動きはのろく、捕食動物から走って逃げるような芸当は見たところでは不可能。

 外見上は目や鼻、耳などの外部器官は認められない。
 毛色は天然のトリブルはこげ茶・茶色・白のものがほとんどだか、品種改良でほとんどどんな色でも作り出すことができる。
 猫がのどを鳴らすような、多くの人の気分を慰める音(声?)を発する。
 そしてほとんどのヒューマノイドに好まれる。 ただし、クリンゴン人を除く。
 どのような仕組みでクリンゴン人を見分けるのか、不明。

 肉体の半分は子宮。
 雌雄同体で、生まれながらに妊娠していて、どのくらいの食物を平らげるかで出産が決定されることになる。
 高蛋白の食料が自由に摂取できる環境下では、12地球時間ごとに繁殖が可能。 平均して1度に10匹の子を産む。
 エサがない環境では繁殖しない。
 食物の消費量はとても多い。 雑食で、炭素系生物なら穀物も肉も食べる。
 地球産の麦(クアドロトリティケーリー(吹き替え版ではクアドトリティケール))を食べることから、故郷の惑星にも良く似た植物が存在している、つまり地球と大差ない環境で発生した生物である事が推察可能である。
 天敵は母星に住む爬虫類。


解剖図。
『スタートレック大研究IV メイキング オブ スタートレック DS9』P39の図版を模写。

厳密に正確な模写ではありません。
何より問題なのは、どこが何なのかがさっぱり解らないことです (^-^;
この図だと、口らしき部分と胃らしき部分が繋がってないようにしか見えませんね…。
図右上部の空洞が子宮であることと、産道と肛門が共有されているらしい(!)ことは確かなようです。
※下の文字列は、適当に人体の内部器官の名前を羅列したものです。



これだけでは物足りないので、若干の考察を。

 まず食物の消費量ですが、これは体が小さくて熱の放出量が多く(身体が大きいほど熱が逃げにくい)、より多量のエネルギー(熱量)が必要となるため、及び胎児の身体を作るための材料となるタンパク質を摂取するためと考えれば納得できます。
 身体全体が長い毛で覆われているのも熱を逃がさないためだと考えられます。
 糞をしている様子がないのですが、地球の生物よりもかなり高い率で摂取した食べ物の栄養分を吸収できるのだとすれば(つまり無駄なく吸収できるのだとすれば)、糞の量はかなり少なくなる可能性はありますが、「搾りカス」が全く出ないとは考えにくいのですが…。
 地球の哺乳生物の場合、化学反応によって食べた物を分解し、腸壁から吸収する過程には無駄もあり、口にした物の栄養の全てを取り入れているわけではありません。 これは腸内細菌に栄養を与えるためでもあるようですが、トリブルは生命サイクルの短さから、腸内に細菌がいるかは疑問です。

 恐らくトリブルの母星はそんなにエサに恵まれておらず、通常はあの異常なまでの繁殖力も見せる事はないのでしょう。 そして彼らを食べる捕食動物をまかなう程度に繁殖し(逆にいえば食べられても滅びない程度に増えて)、生態系のバランスが保たれているものと思われます。


 ではその増え方ですが…。
 生物学的に理由があるはずです。 まずトリブルは移動速度が遅い。 地球でいうとネズミぐらいの大きさですが、ネズミのように素早く逃げられないし、小さい穴に逃げ込むことも出来ません。 壁に張り付いているシーンがあるので、木を登ったりは出来るようですが、捕食動物から逃げられるようにはとても思えません。
 と言うことはつまり、たくさん食べられても絶滅しないよう、速く多く増える工夫として「生まれつき身ごもっている」という仕組みを獲得した、と考えることが出来ます。
 まあ、トリブルの母星の捕食動物も地球の物とはぜんぜん違うのかもしれませんが。(例えば、トリブルの鳴き声は捕食動物にとって不快なのかもしれませんし、生態系の全体に渡ってノンビリした動物ばかりなのかもしれませんし…)


 雌雄同体で、しかも生まれつき妊娠している、ということになると、問題はDNAのランダム化が出来ないことです。
 地球の生物は、だいたいは個体ごとに異なる遺伝子を持っています(虫なんて見分けはつきませんが、個体ごとに違っているんです)。 これは、環境の激変やウイルスの流行などにさらされても、種の保存のため、全ての個体が死んでしまわないように「保険がかけられている」からです。 そして遺伝子の配列にバラつきを生じさせるため、地球の生物は「性別」というシステムを持ちました。 オスとメスの遺伝子を半分づつ受け継ぐことで、父親とも母親とも違う遺伝体質を持った子が生まれる、という合理的な仕組みです。
 これが出来ないと、種の全個体がなんらかの環境の変化や特定のウイルスの流行に対して抵抗できないと言う状況になった時、一気に絶滅してしまうというリスクが高いわけです。

 しかし、トリブルが生まれた時、すでにその胎内に胎児がいるという事は、この子供は親と同じ遺伝子を持った「クローン子」であるということになり、親が死んでしまうような事態に陥ると、その子供たちも全滅してしまう可能性が高くなります。

 ではトリブルは非現実的なものかというと、これには実は、地球に良く似た例があります。

 地球の雌雄同体の生物の例としてナメクジがいますが、彼らは動きが鈍く、パートナーに出会える可能性が低いため、相手にめぐり合えない時のための予防線として、パートナーなしでも子孫が残せるように工夫された結果、雌雄同体という機能を獲得したものです。
 「動きが鈍い」「雌雄同体」という共通点から、トリブルも同様の理由から同じシステムを持つ結果にたどり着いた可能性は高いと思います。
 つまり、彼らも異性間交渉が可能な状況では、パートナーとの子供を作るのでしょう。 もちろん、生まれた時に妊娠していた子供を出産したあとで、ですが。
 ということは、ひょっとすると最初に産む、生まれた時に身ごもっていた子供は捕食動物の目をくらませる囮で、その後に異性間交渉で産む子供が種の保存のための「メインの子供」なのかもしれません。 たくさんいる子供に「クローン」(生まれた時に身ごもっていた子供)と「バラバラのDNAを持った子供」が紛れていれば、その半分が喰われても、バラバラのDNAを持った「正統な」子孫が生き延びる可能性は十分にあることになる訳ですから。


 とりあえず判っている範囲の情報からいろいろ考えてみましたが、こうしてみると、実はトリブルはST史上でもかなりリアリティのある異星生物なんじゃないか、と思えますね。
 無茶な設定のようで、地球の生物に当てはめてみると理解できるところがあります。

 しかし残念ながら、母星の環境や天敵がまったく不明のままだと、これ以上考察を深めるのは私には無理です。 ENTなどでもっと詳しい設定が… 出ないかなあ(笑)。








文責・茶月夜葉 ( Earthdate:0501.22 )


もどる

阿佐ヶ谷村公民館 ______________________________________________________________________