どうやら、けっこう勘違いされてる方がいるらしいのが、スタートレックに出てくる英語。
「英語」なのに、エイリアンの言葉や固有名詞だと思っちゃってたり。
いや実際、紛らわしいのもありますね。
以下、とりあえず思いついた物についていくつか。
Dominion(ドミニオン);
英語です。
英和辞典によると「支配、支配力、支配権、主権、統治、統治権」、また「領土、領地、自治領」などの意味があります。 VGR吹き替え版でドミニオンが「自治領」と訳されたのは有名な誤訳ですね。
これはラテン語 Dominus(主人)が語源で、同じ語根を持つ英語に dominance(支配、優勢)、dominant(支配的な、優勢な)、dominate(支配する)、domination(支配する事、優位を占めること)、domineer(支配する、暴威をふるう)、domain(領地、領域、ドメイン)、さらにドメスティック・バイオレンスで知られるようになった domestic(自国の、家庭内の)などがあります。 全て「主人が支配する」、また「支配が及ぶ範囲」という意味ですね。
kingdom の -dom もそうで、これは「王が支配するところ」という意味になります。
(注: freedom の -dom は偶然同じ形なだけで、別語源のようです)
またキリスト紀元をあらわす A.D. は Anno Domini の略で、これは「主の年」という意味です。
(ちなみに、B.C. は Before Christ(キリスト以前)の意味です)
「ドミノゲーム」の Domino も見てのとおり同語源ですね。
Dominion は、西洋の文学ではしばしば「神(ヤハウェ)」や「キリスト」を指す表現として使われます。
それを敵対勢力の名にしたのに違和感を覚えるかもしれませんが、「主人が支配する」という言葉には、善や悪に限定するようなニュアンスはないんですね。
「聖書に登場する天使の名前」が由来だという誤解もあるようですが、これは間違い。 聖書には天使の名前なんてほとんど出てきません。(読めば解ることですが…)
天使の階級などの「設定」は聖書より何世紀も後のヒマな神学者によって作られたもので、彼らの妄想としか呼べない勝手な創作物です。
一般的に有名になったのはミルトンの『失楽園 "Paradise Lost"』(1667)からでしょうか。
Pah-wraiths(パー・レイス);
Pah はおそらくベイジョー語ですが、wraith は英語です。
「霊、死霊、亡霊」という意味で、DS9吹き替え版では1回は「パーの亡霊」と訳されていました。
ファンタジーRPGでは「レイス」というカタカナ訳の敵モンスターとして時々登場するので、ご存知の方も多いと思いますが、吹き替えで「パーレース」と一息に言われると気付きにくいかも。
Obsidian Order(オブシディアン・オーダー);
「オブシディアン」、読みは「アブシディアン」の方が近いと思うんですが、それはともかく「黒曜石」という意味のれっきとした英語です。
頭文字の O で頭韻を踏んでるだけで、結局なんか意味があるのか判りませんでしたね。
Order は守備範囲が広い単語で、「指令、命令」から「順序、序列」、「整頓、秩序、治安、体制」、「修道会、騎士団、勲爵士団」、「勲章」や、はては「為替」などの意味もあります。
オブシディアン・オーダーの場合は「騎士団、勲爵士団」の意味が当てはまるでしょう。
考えすぎかもしれませんが、「秩序(order)や体制(order)を維持する騎士団(order)」のような含みがあるのかもしれません。
Locutus(ロキュータス);
そのまんまの英単語はありませんが、 locution 「(特定の地域・集団に特有の)語法、言葉づかい、言い回し」という単語があります。 なんで英語なのかは判りませんが、ロキュータスは「代弁者」として同化されたわけですから、無関係ではないでしょう。
ラテン語 loquor(=to speak「話す」)が語源となっています。
elocution(演説法)、prolocutor(司会者、議長)、ventriloquism(腹話術)などが同語源で、どれもロキュータスに関連付けできそうですね。
Nexus(ネクサス);
「絆、つなぎ」という意味で、れっきとした英単語です。 まあ『ウルトラマンネクサス』をご存知の方はST固有の単語じゃないんだな、とお判りでしょうけど。
やはりラテン語の nectere(=to tie, bind「結ぶ」)が語源になってます。
annex(付加する、添付する)、connect(つなぐ、連結する)が同語源です。
他にも、何かあったら追加します。
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