OLIVEOIL流DIYメンテ特集 No2

プロペラシャフトの交換

UP DATE 2006.10.06



はじめに

 

 

 永年使用したプロペラシャフトが電蝕で赤銅色化してきた。著者のHP「防蝕亜鉛の検証」に記した様に黄銅は、銅と亜鉛の合金で電蝕が進むと亜鉛成分が抜け出し銅色に変化する。
亜鉛が溶け出した後がスポンジ状になり、残ったシャフトは銅単体の金属と成るので強度は大幅に低下し最悪、船の最重要部品であるプロペラを失なったという話もきいているので交換する事を考えた。
勿論、私の信条であるDIYで交換することを目標とし、交換作業に際して考えられるあらゆる問題点をリストアップしDIYで対応出来るか否か検討した。


検討項目
















1.
素人がDIYで交換がはたして可能であろうか?

2.交換するプロペラシャフトはどのように手に入れるのか?

3.プロペラシャフトの材質はステンレスにするか、黄銅にするか?

4.プロペラの交換は必要か?

5.何処で交換作業を行うのか?

6.工程はどのように成るのか?

7.所用時間はどのくらいかかるか?

8.人数は何人必要に成るか?

9.必要な工具は何か?

10.その他予想外の問題点は何か?

結  論






各項目を検討するに当り、肝心のシャフトの製造メーカーを探し技術担当者に問合せしたところ真に親切に教えて頂きシャフト交換がDIYで充分に可能であることを確信した。
しかし、理屈では可能であっても自動車等の陸上の機械修理と違い海に浮かべている船の場合、錆付きや、潮膠着により部品の脱却が出来ない事が多く、実際の作業に入るとなかなか思い通りに行かぬことが多いので全体の作業工程表を作り、問題に成りそうな工程に対して対応策を二重三重に用意して、手順必要な部品、工具、SST(特殊工具)を調べその工具の正しい使い方などを調べ準備した。
特に、錆び付きや、潮膠着で部品が外れないことにぶち当たる事を想定し幾つかの方法を事前に検証して万全を期した。

実施日 2004年7月26〜28日


検 討 結 果       
1.素人がDIYで交換がはたして可能であろうか?

 ・プロペラシャフト回りは単純な構成になっており部品が錆や潮で膠着していなければシャフトは容易に抜く事が出来る。

 
・もし、錆や、潮が頑固に膠着している場合には部品の取り外しに難渋する場合があり相応の技術力が必要と成る。

 ・シャフトを抜く際に抜いたシャフトがラダーに当り抜けない艇もあるようだ。その場合はラダーを抜く工程が増える。

 ・人間が入れたものは「必ず抜ける」「必ず入れられる」と信念を持ってアタックすること。

 ・結論として機械修理に興味を持たれる方なら充分にDIYが可能である。


2.プロペラシャフトをどのように手に入れるのか?

 
・小型船船尾装置の80%以上のシェアーを専門メーカーである轄もV製作所が占めている。

 ・シャフトは船毎に寸法が異なり完全にオーダーメードでその船の現物を持参すると現品を採寸し制作してくれる。

 ・製作時間は極めて短時間で作ってくれる。東京営業所では午前持込で翌々日の午前中には同社に届く。

 ・問合せにはとても親切に教えてくれる。

 ・但し、販売は同社と取引口座を開設している業者を通じて販売される。ユーザー直売及び取りつけは行なっていないので、
  行き付けのマリンショップや、修理業者に取り次ぎを依頼する。


3.プロペラシャフトの材質はステンレスにするか、黄銅にするか?

 
・電蝕の比較⇒電蝕から考えると黄銅の方がステンレスよりイオン化傾向は低いので電蝕が起き難い。
           ステンレスの電蝕は深部に虫食い状態で入り込むので油断が出来ない。
           黄銅の場合は電蝕により脱亜鉛現象で強度低下が起きる。


 ・強度の比較⇒小型船舶検査機構では ステンレス<黄銅 と、黄銅に軍杯があがっている。

 ・価格の比較⇒ステンレス>黄銅 で黄銅が安価である。関東はステンレス、関西は黄銅に人気があると言う。

 ・詳細は、OLIVEOILのHP「防蝕亜鉛の検証」 を参照ください。


4.プロペラの交換は必要か?

 
・現在使用のプロペラと艇とのマッチィングは?・・・・MAXでスカンピの仕様書通り6ノット出るので適合している。

 ・電蝕やキズの状態は?・・・電蝕、キズ共に問題なく良好であり当面交換の必要はなく、現在使用しているプロペラを
  そのまま使用する事にする。


5.何処で交換するか?

 
・こればかりは水に浮かんだ状態では作業が出来ないので上架が必要である。

 ・OLIVEOILは年一回、夢の島マリーナで3日間上架するのでその時期に合わせて作業をすることにした。

6.工程はどのようにするか?

 ・作業全体表を作る。(上架予定、必要部品、工具、特殊工具、潤滑油等の資材、予算、扱い業者探し)


 ・工程表を作る。(作業手順、タイムスケジュール、シャフトオーダー、シャフト搬入)

 ・シャフトのオーダーと、出来上がったシャフトを搬入する手順を最短タイムスケジュールを検討。


7.所用時間はどのくらいかかるか?

 
・一般に上架日数に応じて船台使用料等に料金が掛かるので日数を決めて作業する。

 ・私の場合、夢の島マリーナに上架し、最短3日間で仕上げる様目標を立てた。なお、船底掃除&塗装と合わせ小生を
  含め2名で仕上げるタイムスケジュールを立てた。

  -----------------
   9:00 上架場に移動
   9:20 上架⇒洗浄場所に移動
   9:30 船体洗浄開始
   10:30 洗浄完了
   10:35 整備場所に移動&固定⇒シャフト脱却30分⇒車に載せる。
       この間に残った一人が第一回船底塗装を完了させておく。
   11:20 メーカー持込み⇒採寸&発注、納品日時を確認する。
   12:00 マリーナに戻りプロペラ下地処理⇒エッジングプライマー塗装。
   15:30 第二回船底塗料開始、16:00までに完了させる。
   16:30 第一回ペラクリン塗装。
   16:55 第一日目作業完了。
  -----------------
   注:プライマーと船底塗装の上塗り時間をメーカーの指定を守った。時間との勝負と言う事になる。
     全てを一人で行なうには4日間を予定すればゆとりを持って行なえると思う。


8.人数は何人必要に成るか?

 ・30feet艇の船底掃除は一人でも約一時間で可能であるが二人いれば楽勝であろう。

 ・プロペラシャフト脱却時にシャフトを支えるサポート要員一名が欲しいところだ。

 ・メーカーへの持込及び引き取りに一人が行っている間に残った一人が船底掃除〜塗装を行なう。

 ・取付けは一人でも可能であるが、サポート要員一人いれば楽勝である。


 ・要員は初日に2名、二日目は1名、三日目2名で行なう様に計画した。

9.必要な工具は何か?

 
眼鏡レンチ10mm〜20mmまでのセット。ヤンマーYS8には13mmのレンチが必須である。

 ・プラスドライバー、ハンマー、プラスチックハンマー、プライヤー

 ・SST(特殊工具) 

     シャフトナット外し:シャフトとフランジを固定する”隠れナット”外しは高澤製作所製の場合はシャフトに付属して
                 いるので艇に備わっている場合もある。
                 但し、錆や潮で膠着している場合には付属工具では歯が立たないので車のタイヤレンチを
                 デスクサンダーでナットの溝に合わせ削り自作したものを用意した。

     プーラー      :シャフトからフランジを脱却するSST(プーラー)はDIY店の建築金具売場で見つけた金具の
                  両端のネジ穴をヤスリで広げ、17mm×60mm相当のインチネジを付け自作したがプーラーと
                  して立派に使えた。

     回り止め     :バイクのフライホイル外しに使う回り止め。L金具で自作も可能である。

 ・ダイアルゲージ     当初予定していなかったが後日購入した。
                 芯出し調整用測定器 ミツトヨ社製中古品1,000円で購入、新品2,400円〜


                   
10.その他予想外の問題点は何か?

 
シャフトのブレが納まらず、後日必要とわかって芯出し調整の重要性を判明した。

 フランジ取り付けにシャフトの芯が真芯に成る様に取付ける専門用語で「芯出し」と呼ばれる
作業がある。

 芯出しの精度はミクロン単位の精度を要するのでダイアルゲージと言う測定器が必要になる。
 


実際の工程 (事前準備)

 1.事前手配

 @シャフトメーカーを決め(小生は前出の高澤製作所にお願いした)て注文の手配をしておく。


  ・どのようなシャフトを発注するか?(スカンピは、材質が黄銅、径22mm、大よその長さ2.5m)

  ・現在使っているシャフト現物を持ち込む日時をメーカー営業所に伝えておく。(重要)

  ・シャフトが出来上がり工場から営業所に届く期日を確認する。

  ・シャフトメーカーの営業所までの道順を確認しておく。

  ・シャフトが運べるサイズの車を手配しておく。

 A工具の準備

 B作業のシュミレーションを実施し作業イメージを掴んでおく。




一日目の工程 (シフト脱却〜発注まで)

1.上架〜船底掃除

 @夢の島マリーナの営業は9:00スタートである。朝一番に上架したいので前日から上架用桟橋に係留し船中泊した。


 A上架当日、一番に上架し船体水洗場に予定より早く09:30前に移動し船底掃除を開始した。高圧洗浄器のお蔭でスムースに清
   掃作業は進み、ゆとりを持って
清掃を完了した。

 B洗浄後直ちに、船台を作業エリアに移動し固定されたのが10:15と予定通り作業は進んだ。

2.シャフトに付いている付属品の脱却

 @シャフトに付けてある防蝕亜鉛を取り外す。

                           


 Aグランドパッキン装置(高澤製作所製のTMマークが見える) 水に浮かべパッキン交換はこちら
                


 Aグランドパッキン蓋の開放。グランドパッキンを締め付けている真鍮製のWナット2組を2本のレンチで外す。(容易)

               


 BWナットを外しパッキン蓋を引き出す。と中にグランドパッキンが入っている。
               


 C中のグランドパッキンを千枚通し(タコ焼返し)の先を少し曲げたものを使って掻き出す。(容易)
                


 Bスカンピはバウ側にエンジンがある場合は長いシャフトの中間に支面材があるのでこれも開放する。
  支面材は白いベアリングでデルリン製であるがスカンピ(マークU)では写真のマスト支え下にあるフレームの貫通穴辺りにある。

  (容易)

                


3.フランジ脱却

 
@エンジン出力軸フランジと、シャフト側フランジを接合する4本のネジをメガネレンチで取り外す。(容易)

 Aシャフト側フランジのシャフト側に付いている位置決用Wナットを緩めておく。(容易)

 Bシャフト&フランジを船尾側に10cmほど移動し、フランジに回止めをセットし、シャフトナット回わしをフランジの中にいれナットの凹
  溝に合わせ時計回りで外す。YS8の場合は逆ネジと成っているので時計回りでナットを取り外す。
(注1:錆&潮膠着をしている場
  合があり外れないかったケースも報告されている)

 Cシャフトとフランジの脱却は、自作プーラーをフランジ対角ネジ穴に2本のネジで止める。
  ・次に、回り止めをフランジのネジの対角線のネジ穴にセットしプーラー側のナットを時計回りで締めて行く。(容易)
  ・きつく成ったところでシャフトの頭に木材を当てハンマーで軽く叩いてやると「ポンッ」と言ってシャフトからフランジが抜ける。
   もし、抜けない場合はプーラーネジを増締し再度ハンマーでシャフトを叩く作業を繰り返す。

 注1:この場所が潮を被っている場合は錆や潮膠着でシャフトナットが回らぬ場合が考えられるが、この様な場合は
   @軽い膠着の場合はCRCなどを吹きかけて油分が浸透するのを待つ方法もあるが時間がかかる。
   A自動車のタイヤレンチを改造した自作のシャフトナット回しは強力なのでこれで挑戦する。
   Bどうしてもダメな場合はナットをバーナーなどで炙り緩める。(狭場所で作業するので断熱材等を囲んで注意深く炙る)

4.シャフトの船体からの脱却

 @船尾にサポート要員を待機させ、プロペラシャフトを船尾側にゆっくりと抜き出す。(容易)


 Aシャフトは意外に重いので船尾要員は心して取りかかるべし。

 B船内側はスムースに抜けるか監視する。お互いに声を出し合い抜き取る。

 Cオーダー時にエンジンが右回りか、左回りか確認するためプロペラは付けたまま持参するのがよいだろう。
  (高澤製作所の担当者はそんなことは充分にご存知でしたが、念のためです・・・^^)

 Dシャフトが抜けたら運搬係りは直ちに車に乗せてメーカーに届ける。(江東区冬木にあり15分位で行けます)


5.高澤製作所でシャフトを発注する。

 @上架3日間で仕上げるためには、上架第一日目の午前中発注が重要なポイントに成る。

 A現物シャフトを持参すれば全てメーカー担当者が現物を測って大阪工場に発注してくれる。


 B納期を確認して何時に取りに来るか伝えておく。

 C発注の間にプロペラをシャフトから抜いておく。(プラハンマーで丹念にペラ中心部を回し叩きすると抜ける)


6.上架場所に戻りプロペラの塗装を行なう

 @夢の島マリーナに戻り、取り外したプロペラの清掃と、塗装下地作りを行なう。
  当日の気温は30℃近くあったのでプライマー塗装後、乾燥時間を4時間経過した後にペラクリンを塗装しなくてはならないので、
  ここでも時間との勝負に成ります。

 Aプロペラに付いた貝類を紙ヤスリで丁寧に取り除くが、前回塗ったペラクリンが中々取れないので時間が掛かる。
  100円ショップで購入した電気ドリル用塗装はがしの真鍮ブラシで取るとキズも付かず早く取れる。

 Bフジツボを除去した後に800番位の水ペーパーに水を付け磨いて仕上げする。

 C船底塗装は残った一人が進ませてくれているので同時進行となる。・・・・船底塗装は別ページで紹介します。

 D12時までにプロペラにエッジングプライマー(真鍮やアルミ等の低接着性金属の接着下塗材)を塗り終える。
  エッジングプライマーは一回塗りで出来るだけ薄く塗るのが肝要とされている。

 E12:30に昼食となる。

 Fプライマーの乾燥時間を4時間確保し、16:30に第一回目のペラクリンを塗って本日の作業は終了する。



二日目の工程 (船底塗料、ペラクリン塗装)

 1.第2回目船底塗料を塗る。

 @第一回目の船底塗料を塗ってから充分な乾燥時間を設けているので直ちに2回目を上塗りする。

 Aスルハル穴に船底塗料を塗る。

  塗料を重ね塗りする場合はそのときの気温に応じメーカーが指定する乾燥時間を守る事が大切である。

 2.第2回目ペラクリンを塗る。

 @同様に第2回目のペラクリンを塗る。

 3.水面下各部点検・ハル磨き

 @カットラスベアリング(プロペラシャフトを支えるブラケットに付いている支面材)の点検

 A
スケグ、ラダー、ブラケットの点検

 Bハル磨き

 本日は時間が余ったので普段出来ない船底の点検をのんびりと行なった。



三日目の工程 (シャフト受取、取付、芯出し)

 1.シャフト引取り
 @10:00に高澤製作所に出向きシャフトを受け取る。

  車中のラジオで朝のニュースを聞き嫌な予感が! 
  当日の早朝、東名高速に大きな事故が起きて登り車線が全面通行止めになったそうな。

  大阪工場から出発したトラック便がこの事故に遭遇し足止めされ 9:30 分に到着すべきシャフトが届かない!
  着々入る運送会社からの情報では、大井川から一般道を走って東京に向かって 11:00 頃には届くとの事である。
  工程が遅れて、マリーナの閉店時間までに作業が間に合うか否か冷や汗が噴出した。焦る!焦る!
  12:00にトラックが到着し注文したシャフトが届いたので、
そのまま急いでマリーナに運ぶ事と成った。
 2.マリーナに移動、直ちに開封、部品点検。

 @マリーナ到着。それ以後は技術オリンピック選手の如く、形相は鬼の如く時間との勝負に成った事は言うまでもない。

 A開封:
シャフトは、丁重に梱包され木枠に納まっていた。開封すると、中から黄金色に輝いたシャフトが顔を出した。

 B部品点検:プロペラを止める ”キー”、”Wナット”、”太銅線”、”フランジ固定ナット”が付いているか確認する。
  後で判明したが、本来付いているはずの「フランジ側シャフト止めナット回し」が欠品であったが、既に自作して持っているので
  必要なしと判断した。

 3.シャフト挿入
 フランジ固定ナットを外してから船尾のブラケットのカットラスベアリングから挿入する。重いので2人で持ち上げ挿入した。
   
     
 4.船内作業 
  一人が船内に入り部品取りつけを行なう。外の一人は船内からの合図でシャフトを出し入れする。

  
船内作業は、
  @グランドパッキン蓋の挿入。
  Aフランジのキーの取りつけ。
  Bフランジを取付け、シャフトナットで取り付ける。
  Cエンジン側フランジとシャフト側フランジをカップラーを介して仮止めする(ネジは緩く止めておく)
  Dグランドパッキンの組込みとパッキン蓋を黄銅のボルトとナットが磨り減っていたので全て新品に交換し取りつける。
   この場合、くれぐれもきつく締め付けず下架してから調整しながら締め付けること。
  
 5.プロペラ取付け

 @キー取付け

   シャフトに開けられているキーホゾにキーがなかなか入らなくて時間がかかり焦ったがキー挿入部をやすりで少し削っ たら
   今度は素直に入った。

 Aプロペラを取り付ける。
  ・キー溝に合わせてプロペラをシャフトに挿入、プロペラWナットを取り付け、太い銅線でナット緩み止めを付ける。
   昔はステンレスの割りピンを使っていたが異種金属で電蝕が発生するとの事で太い胴線に変わっている。
  ・このとき、プロペラの塗装に触らぬ様に注意する。滑るので注意が必要だ。

 Bジンクの取り付け
  ジンクは、次年度に上架が出来ない事もあるのでジンクを2年分余分につけておいた。

 6.下架

 全ての作業が完了し16:30マリーナの方々には残業に成る事も快く承知して頂き閉店時間きぎりぎりで下架する。


 7.簡易芯出し

 「芯出し」とは、回転するシャフトの芯がずれていると回転によりブレが生じ振動が発生し振動音と異常な振動が生じて周辺の
 機器を壊す事に成るので、シャフトの中心が真円の中心になる様に取りつけ位置を微調整し回転ブレを無くす作業を行なう。
 当初、OLIVEOILにはエンジン側フランジとシャフト側フランジの間にゴム製のフレキシブルカップラーが付いており厳密な芯出
 し調整は不要だと考えていたので簡易芯出しで調整する事にした。
 然し、意外にも時間が掛り最終点を見つけられないうちに20:00を過ぎたので大よそのところで手を打ったが、
当然、シャフトは
 ブレながら回転して、当然、振動も発生した状態である。

 8.深夜の回航

 生憎と風は東南風で船橋へは登りとなったがシャフトがブレながらの機帆走では回転を上げる訳にも行かずデスニーランドの
 花火見物をしながら01:00の母港帰港となった。

 

芯出し調整について

 1.芯出し

 小生は、「芯出し」を少し甘く見ていた。
 回転するシャフトの芯がずれていると回転にブレが生じ、それが振動となり回転を上げると更に異常な振動が生じて周辺の機器
 を壊す事に成るそうな。
 本船などでは、異常振動でシャフト回りが破壊されるのでミクロン単位での微調整を行い回転ブレを極限まで無くす作業を繰り返
 すと聞く。このときの精度は10ミクロン以内と言う事になるので調整には長時間掛かる様だ。

 そこで、OLIVEOILも本格的に芯出しをすべく近くの中古機械屋でダイヤルゲージを購入しチャレンジする事にした。


 @測定方法は、まず、フランジ外周にダイアルゲージを当てゲージをしっかりと固定する。
  (私は、フランジ付根のプロペラシャフト外周に直接ダイアルゲージを当て測定している)
 Aエンジンの手振ハンドルでクランクをゆっくり回し、シャフトを8分割した回転角度毎にダイアルゲージの値を読取って回転角度
  毎のダイアルゲージの値を記録 して行く。
 Bダイアルゲージの数値が最大に成る回転角の反対方向にシャフト側フランジをハンマーで軽く叩きフランジのナットを締める。
 C再度ダイアルゲージで@からBを何度でも繰り返し測定し芯出し精度を高めて行く。
 D以上の作業を何度か繰り返しミクロン単位まで芯出しを得たらフランジの取付ボルトを本締めし芯出しは完了する。


 2.回転テスト

 @舫ったままエンジンでプロペラを回すので艇をしっかり舫う。
 Aエンジンを掛け、前進にクラッチを入れシャフトを回転させシャフトのブレを見るて芯出しが出来ているか確認する。
 B上架中に芯出しをすると、水に浮かべた後にハルが変形する船も有るので芯出しが若干変わる場合があると言う。
  その場合は再度芯出しが必要に成ると言われている。幸い小生の場合は水に浮かべての調整であったので狂も無く芯出しは
  完了したと判断した。
 C結果、回転するシャフトがあたかも静止しているかの状態でエンジンの回転を上げても振動は少なく芯出しは完了とした。




 

 

ご感想、ご意見をお待ちします

oliveoil@sky.zero.ad.jp

 

 


Menuに戻る


Olive Oilのホームページに戻る