FF9異聞/シーン11



 一体いつになったら、夜が明けるのだろう?
 ビビは日の光を探して空を仰いだ。しかし、目に映るのは、立ちすくんだように風を知らぬ木々と、そんな木々に絡むようにしてじっとりと佇む霧ばかり、星空さえも見えはしない。
 静かだ。いつも遊び場にしていた森のような、鳥の声も、虫の羽音さえも聞こえない。じわじわと体熱を奪っていく霧に、耳はとっくに冷え切って、その静けさが刺す様に痛い。帽子を引っ張って耳を覆うと、切るような冷たさがいくらかは和らいだ。
 けれど、肩の辺りのわだかまる震えと強張りは一向に消えてくれはしない。
 樫の樹の杖にすがるように抱き着いて、恐る恐る辺りを見渡す。やっと物の形が捕らえられる程度の暗がりの中、どんなに目を凝らしても見とおせない、染みのように居座る暗闇が、息を殺して自分を見据えているような気がした。
 いや。気だけではないのだ。そのことを、ビビはここまで来る間に、嫌と言うほど思い知っていた。ここは、夕方に尋ねた尖塔の中とは違う。「何かが居そう」なのではなく、「確実に何かが居る」ところ。この静けさは、「静寂」ではなく、「沈黙」。
 腐葉土にめり込んだ足が重い。
 そこら中の暗闇で、爪を研ぎながらビビが身動きするのを待つ視線を感じて、杖を握る手に力を込めた。
 その瞬間。
 右手の茂みががさりと音を立てた。
「ぴっ!?」
 全身を数百の爪で鷲づかみにされる錯覚。小さな悲鳴を上げてビビは凍りつく。
 しかし。
 茂みから現れたのは、爪を構えたモンスターではなかった。
 この暗がりの中でも、かすかに色の判別のつく、金の髪。
「…っと。わりい、脅かした」
 現れたジタンは、軽く手をあげて謝った。
 そのばつ悪げな笑みに、ビビはほうっと息を吐いた。
 冷えた耳に、どきどきとうるさい心臓の音が突き刺さる。懸命に抑えようと胸元を握り締めていると、かがみこんだジタンが、宥めるように細い肩の辺りを軽くさすってくれる。
 爪のない手の平の温かさに、何とか心臓の動悸は和らいでいく。杖を握り締めていた指がしびれている事に気が付いて、ゆっくりと力を抜き、杖を持ち直した。
 一心地ついてから、ビビははっと我に返った。ジタンが苦笑を浮かべていることに気が付いて、慌ててぐっと背筋を伸ばす。
「も、もう、大丈夫…」
 すると、ジタンがにやにやと笑いながら、ビビを覗き込む。
「ほんとかぁ?怖かったら怖いって言ってもいいんだぞ?」
 からかうような言葉に、ビビはぎゅっと唇を結んで言い返す。
「へ、平気だよっ」
 覗きこむジタンを、ビビはぐっと睨むように見つめ返した。
 すると、ジタンは楽しそうに微笑んで、
「そうか」
ぽん、とビビの頭を撫でた。
 じんわり、と。手の平が、帽子越しに染みてくる。
「……」
 立ちあがるジタンを、盗み見るように目で追いながら、ビビはぐっと唇を噛み締めた。
――怖くない。怖くない。
 口の中で唱えながら、たった今ビビの帽子に触れた、ジタンの左手を確かめる。
――怯えてなんかいたら、また…。
 ぎゅうっと、心臓の辺りが苦しくなる。
 その左手のカフスには、今も確かに焦げ跡が残っていた。
 ビビの炎の呪文がかすったためだった。さっきモンスターに遭遇した時、ファングの攻撃に驚いて狙いがそれてしまったのだ。
 ジタンは、『大した事ない、気にすんなよ』と、笑って言ってくれたけれど。
 ビビは、ぐいと帽子を引き下げる。
 崖を降りてから、モンスターに出会った回数は3回。けれど、ビビは一度もまともにモンスターに呪文を当てられていなかった。
 それどころか、崖を降りる時でさえ、自力で自分の体を支えていられず、ジタンの腕の中に入れてもらって、その胸に支えられながらやっと降りたのだ。
 降りてからも、苔むした岩と深い腐葉土の地面に、ビビは足を取られてばかりだった。ジタンがずっと、そんな自分に調子を合わせて歩いてくれていることに、ビビは気が付いていた。
――ボク、役に立つどころかずっと足手まといになってる…。
 夜が明けない。
 これから、お姫様を助けに行かなければならないのに。
『危ない!』
 そう叫んでビビを突き飛ばし、ビビの身代わりになってモンスターに掴まってしまったお姫様。
 どんなに一生懸命引っ張っても取り返せなかった、白い、柔らかい手の平。この両手から、それはあっさりと抜け落ちていってしまった。
 あんなに憧れたプリマビスタのなれの果ての中。船室のベッドの上で見つめた自分の両手は、ひどく小さかった。
 自分がいなければ、こんなことにはならなかっただろうか?
 そもそも自分が忍び込んだりしなければ、プリマビスタは墜落すらしなかったかもしれない。
 そんなことを考えていた時だった。
『今ごろ、お姫さまがおまえを待ってる。早く、助けてやろうぜ』
『行こう、ビビ。オレがついてるから』
 そう言って、ジタンはぱちんとウインクした。
 胸を躍らせて劇を見ていたあの時と、そっくり同じように。
 一瞬、この両手が、何かに届きそうになった気がした。
 でも。
 それは、一瞬だけの幻だったのかもしれない。
 プリマビスタのベッドの上で、この森から連れ出してもらうのを待っていた方が、良かったのかもしれない。
 闇から向けられた視線が、嫌な重みを伴って絡みつく。
『場違いな奴だ』
 腐葉土の地面はいくら足場を探しても、不安定にビビの足を飲み込むばかりだ。
『ただの観客は、主役がお姫様を助け出すのを、大人しく見物していれば良かったんだ』
 そう、そんな役にふさわしいのは、自分ではなくて。
――きっと、ジタンみたいな…。
 ブランクと戦っていたジタンは、颯爽としていた。
 劇の中での立ちまわりの時よりも、もっとずっと眩しかった。
 ひどく、遠いところの人のような気がした。
――どうしてそんなジタンが、ボクに…笑いかけてくれるんだろう?
 帽子に残る手の平の温もりが、少しだけ苦い。
 笑いかけてくれるジタンに、全然応えられていないのに。
 悔しさや腹立たしさが、喉の辺りで、ぐつぐつと煮えるように痛む。
 肩の辺りをぎゅっと強張らせて、ビビは杖を握り締めた。
「ところでさ、あのモンスターの行った方向は分かったんだけど…ビビ?」
 きょろきょろと周りを見渡していたジタンは、話しかけようとしたところで、ビビが固く肩を怒らせて強張っている事に気がついた。
「どうした?寒いのか?」
 覗きこまれて、ビビはぎょっと身を引く。
「う、ううん、大丈夫…」
 俯いて帽子に隠れながら、首を振るビビ。
「ふうん?」
 ジタンが、不思議そうに首を傾げている。
 そんなジタンの様子に、ビビは慌てて話の先を促そうとした。
「そ、それよりジタン、今何言いかけ…」
「ビビ」
 その言葉を遮られて、ビビはぎくりと肩を竦める。
 瞬間。
 急にジタンの顔が近づいて、そのまま視界の端へと通りすぎた。
「ひぁっ!?」
 体にするりと巻き付いた両腕に、思わず驚きの悲鳴を上げる。
「ジ、ジタン!?」
 驚いている内にひょいと持ち上げられて、そのままその腕の中にぎゅうと巻き取られてしまう。
「な、な、な、な、な、何?何?何?」
 突然体を拘束されて、ビビはじたばたと暴れ出した。
 しかし、ビビを捕らえる腕は頑丈だった。握り締めていた杖ごと捕まえられ、両腕の封じられた状態では、いくらもがいてもちっとも緩んでくれない。
 その内、
「こーら。大人しくしろ」
と、ちょっと不機嫌な声が耳元でして、ビビはぴたりと抵抗をやめた。
「あーあ、がっちがちじゃないか。どこが大丈夫なんだよ?」
 ざくりと指摘されて、ビビは竦みあがる。
「ご、ごめ、なさ…」
 震える声を精一杯抑えつけて呟こうとする。しかし、それ以上は喉が詰まって言葉にならない。ビビは、全身をぎしぎしと音を立てそうなほどに強張らせながら、ジタンの次の言葉を待つしかなかった。
 しかし、ジタンは何も言ってくれない。
 代わりに、強張りきったビビの背中に、ぴたりと手の平を当てがった。
「んっ…」
 するりと背中を滑り降りる感触に、ビビはぎゅっと目を閉じる。
 背中で感じるジタンの手の平は、ひどく大きい。手の平は、肩の辺りから背中の半ば過ぎまで滑り降りると、元来た通りに戻って肩の辺りまで撫で上げた。そして再び撫で下ろす。何度も何度も、その繰り返し。
 手の平の感触が5度ほど往復したところで、ビビはようやく自分が何をされているのかということに気がついて、薄くまぶたを開いた。
 この暗がりですら光の色を持つ髪を、視界の端に感じる。
 冷えきった背中を温めるように、丁寧にさする手の平。
 全身くるみ込むような、広い胸。
 肩越しに見える暗い世界が、白く霞んでいく気がした。
 あれほど凍りついていたビビの背中が、じんわりと、解けていく。
「ジ、タン…?」
 戸惑いながらも小さく名を呼ぶと、ジタンがくすりと笑った。
「少しは、落ちついたか?」
「う、うん…」
 ビビが小さく頷くと、ジタンはゆっくり腕を緩め、ビビを地面に降ろした。
 そのまましゃがみ込んでビビの両手を取り、不思議そうに自分を見つめる金の瞳をまっすぐに覗きこむ。
「あのな、ビビ」
 ゆっくりと切り出した言葉に、金の瞳がぱちりと一つ瞬いて、ジタンは小さく微笑んだ。
「頑張ろうって思うのはいいことだけど、あんまり気を張りすぎるな。おまえは1人じゃないんだからさ。もう少し、オレらを当てにしてくれよ」
 ジタンの言わんとすることが、よく飲み込めないらしい。ビビが、小さく首を傾げる。
「つまりな。モンスターが襲ってきても、おまえを攻撃させたりはしない。オレとオッサンが食い止めるから、おまえは落ちついて、どんと構えてりゃいいってことさ」
「で…でも…そしたら、ジタンとおじちゃんが危ない目に遭っちゃうよ…」
「平気だよ」
 心配げに呟かれた言葉に、ジタンは自信たっぷりに即答した。
「だってオレもオッサンもそこそこ鍛えてあるんだから。ファング程度なら、なんてことないんだ。…おまえが、ゆっくり呪文を唱える間くらいはな」
 その言葉に、小さな指先がぴくりとジタンの両手を握る。
 そんな両手を強く握り返して、ジタンは軽く頷いた。
「だからおまえは、落ちついて、呪文を唱えることだけ考えてればいい。おまえのことは、オレとオッサンが守る。おまえを危ない目には合わせない。オレとオッサンのことは、ビビが、黒魔法で守ってくれればいいんだ」
 ビビの両手を包むジタンの手の平は、力強くて、温かい。しびれていた指先が緩んでいく。
 『な』、と、笑う青い瞳に釣り込まれるようにして、ビビは思わずゆっくり頷いた。
 ジタンはそれを確認すると、立ち上がって、ビビの帽子の先端をつんとつついた。ビビがそれにつられて顔を上げると、ジタンが笑顔でビビを見下ろしていた。
「ほれ、そうして顔上げてな。大体さっきだって、おまえの黒魔法のおかげでファングの奴、あっちゅー間に逃げてっただろ。あんなすげえ黒魔法が使えるんだから、びくびくすることなんかないじゃんか」
 ジタンの言葉に、ビビはちょっぴり首を傾げる。
「…すごい…かな…?」
 するとジタンは、
「そうさ」
と、きっぱりと答えた。
「……うん」
 ビビが頷くと、ジタンの口もとの笑みがすうっと深くなった。
――あ…。
 この重たい暗がりの中でさえ、一瞬過ったその微笑みは、ひどく優しい色をしていた。
――…どうして…。
 どうして、そんな風に、微笑んでくれるのだろう?
 船室で、ガーネット姫を助けに行こうと誘いに来た時も、今も。
 ジタンに笑いかけられると、ビビは恐怖も不安もぷつんと忘れてしまう。
 見渡せば、相変わらず染みのように居座って、見とおせない暗闇。その中に潜む息遣いは、今も確かに感じるけれど。
 暗闇が構えていた爪の気配は、溶けてどこかへ消えてしまったような気がした。
 背中や肩に、ジタンの体の温かみが残っている。
 その温かみは、体の芯まで染みてきて、ビビの心臓をことん、ことんと静かに打ち鳴らす。
 両手にも、ジタンの手の感触が残っている。
 ほんの少しだけ、自分の両手が大きくなったような気がした。
――落ちついて、呪文を唱えることだけ考えて。
 さっきまで難しく考えていたことが、吹き払われて消えていく。
――びくびくすることなんか、ない…。
 噛み砕くように、ビビは口の中で、ジタンの台詞を繰り返した。
「ところで、ビビ」
 そこへ、きょろきょろと辺りを見まわしていたジタンから声がかかって、ビビははっと我に返った。
「な、何?」
「今、そっちの方であのモンスターの落としていった体液が見つかったから呼びに来たんだけどさ。スタイナーのオッサンはどこ行ったんだ?」
「…あれ?」
 言われて初めて、ビビはきょろきょろと辺りを見渡した。
 そう言えば、考え事をしていたから気付かなかったけれど、いつの間にかスタイナーがいなくなっている。
 ジタンがモンスターの残した痕跡を探している間、2人で待っているはずだったのだが。
「ジタンが来るちょっと前まで、その辺りで歩き回ってたんだけど…」
 ジタンはビビが指し示した辺りにしゃがみ込んで、その辺りの地面を手の平で確かめ始めた。
「ふうん、ほんとに随分うろうろしてやがるなあ。何か考え事でもしてたかな?」
 密集した足跡で、結構な面積の地面が踏み固められている。その中から少しずつ離れていく足跡がある。近くの倒木の元に置いてあった荷物を拾い上げると、ジタンはビビを手招いた。
「あのモンスターに比べりゃよっぽど追いやすいな。行こう、ビビ」
 その言葉通り、スタイナーの足跡はビビでも見分けられるくらいにはっきりしていた。黙ってその足跡を着けて行くと、ものの数分でスタイナーを発見することが出来たほどだ。
 しかし、問題はその後だった。
 スタイナーの姿を見つけた瞬間、ジタンは短剣を抜いて走り出した。
「ったく何やってんだよオッサン!!」
 そんな台詞を投げつけられれば、スタイナーは『ええい、やかましい』とでも言い返してくるはずだと思われた。
 しかしスタイナーは、言い返すどころかジタンを振り向きすらしない。
 辺りは暗い上、この見とおしの悪い森だ。ジタン達が、スタイナーを発見した時には、ほんの10歩分ほどの距離まで近づいていた。しかもよく通るジタンの声が、この静けさの中でスタイナーに届いていないはずがない。
 それなのにスタイナーは、棒のように突っ立って、身動き一つしない。
 そんなスタイナーに、人ほども大きさのある黒い塊が躍り掛かる。
 ジタンはスタイナーに駆け寄るなり、短剣の柄でその黒い塊を思いきり弾き飛ばした。 
「ギャイン!」
 叫びつつも、黒い塊は空中でくるりと身を翻して着地する。
 その身軽な動き、黒い毛皮に包まれた、人ほどもある体。その備えた爪でしっかりと地を掴み、低く身構える4本の脚。その生き物は、突然現れて獲物を横取りしようとするジタンに、牙をむき出して唸る。
――ファングだ!
 ジタンを追って走り出そうとしていたビビは、ぎくりとその場で立ちすくんだ。
 しかも、唸り声は一つではない。見れば、暗がりに沈むようにして、もう1匹のファングがジタンを睨んでいる。
 殴られた仲間が後退するのと入れ替わるようにして、もう1匹が同時にジタンへ向けて踊りかかった。
 駆け寄り様の攻撃だったために、ジタンはまだ体勢が整いきっていない。
「っ…!!」
 思わずビビはひゅっと息を吸い込んだ。
 が。
「食らうかよっ!」
 ジタンは崩れた体勢を無理に取り戻さずに、そのまま地面に転がる。
 ファングが目標を失って行過ぎたのを見計らい、ジタンは懐から取り出した布袋を、棒立ちになっていたスタイナーに投げつけた。
 布袋はスタイナーの顔面にぶつかると、内側からパンと弾けて、白っぽい粉を撒き散らした。
 途端、それまで凍りついていたスタイナーが、糸が切れたようにがくりと片膝を付く。まるでたった今まで息を止めていたかのように、ぜいぜいと空気を吸い込んでいる。しかし、怪我をしている様子は無い。
 とりあえずの無事に、ビビはほっとする。
 しかし、2人はすぐにたちあがり、それぞれに武器を構えた。
 2匹のファングが、未だ2人に向かって身構えているからだ。
 それを見て、ビビははっと我に返った。
――黒魔法!
 自分もぼうっとしている場合ではない。すぐに詠唱を始める。
 しかし、何故だろう。ジタン達が立ち上がるよりも早く、2匹のファング達は体勢を整えていたのに、何故かやや遠巻きに唸るばかりで襲って来ようとはしない。
「ぬ、盗人、気をつけろ!」
「ああ、分かってるよ」
 スタイナーの台詞に、ジタンが応える。
――『気をつけろ』?
 しかし、ビビにはスタイナーの警告の意味がわからなかった。
 今2人は、ビビから見て、左右から2匹のファングに挟まれる位置にいる。しかし2人は、その2匹のファングのいるどちらの方向でもない、右斜め前の方向へ向けて、武器を構えていた。
 ジタン達の視線が注がれている方向、そこにわだかまる暗闇の中、何か赤い光がちかりと光った。
 呪文を詠唱しながらも、思わず、吸い寄せられるようにその光源を確かめようとするビビ。
 その瞬間、全身がぞっと総毛だった。
 暗闇からにじみ出るように、3匹目のファングが現れる。
 光っていたのは、そのファングの眼だったのだ。
 普通、こんな色の眼を持つファングなどいない。
 全ての色が鈍くなるこの暗がりの中、赤い光は異様に目立つ。目の奥に、鈍い痛みを感じる。縫いとめられたように、視線がそらせない。
 体の表面に、奇妙な震えが走る。震えは、じわじわと体の奥まで染みこんでびりびりした痛みを伴う痺れへと変わっていく。
 舌の動きが鈍くなっていく。呪文を唱える声が途切れる。杖の中に練り上げつつあった魔力が、霧散していく。
――な、なに、これ…!?
 その瞬間、赤い眼のファングが、苦痛の吼え声を上げて飛びのいた。
 ジタンの短剣が、ファングの肩の辺りをえぐったのだ。
 視線が外れた途端、ビビの体から震えがぷつりと消えていた。
「ビビ、眼を見るな!金縛りを使うファングの変種だ!」
 ジタンの言葉に、ビビは自分が危なく術中にはまるところだったことを悟る。
 ジタンは、赤い眼のファングに、さらに攻撃を加え始めた。それを見て、ビビは慌てて、もう一度呪文を唱え始める。
 その時赤い眼のファングが、ジタンの攻撃を避けながら、
「がるう!」
と、唸った。
 それに呼応するように、左右のファングが動き始める。
 一瞬、赤い眼のファングを助けに向かうのかと思われたが、違った。
 2匹とも、目標はジタンでもスタイナーでもない。
 ビビだ。
「おのれ!」
 片方はスタイナーが阻む。しかし、反対方向から来る方まで手が回らない。
 ジタンも遠い。間に合わない。
 呪文より逃げなくては、と言うことに思い当たった時には、ファングは既に後数歩まで迫っていた。
 迫ってくる牙に、再び詠唱の声が途切れそうになった時。
「ガ…ッ!?」
 短い声を上げ、ファングの動きが止まった。
 くわっと牙を剥いたその両目は、既に白目を剥いている。
 ビビよりも大きい、黒い体が、ビビのほんの目の前で、どさりと倒れた。
 見ると、ファングの延髄には深深と短剣が突き刺さっていた。
 ジタンが右腕を振りきっている。彼の投じた短剣だ。
――…ジタン。
 しかし、素手になったジタンに、赤い眼のファングが襲いかかる。
「うおっ」
 短剣を投じた直後の隙だらけのところを飛びかかられて、ジタンはあっさり突き転がされた。そのまま取っ組み合いになる。
――早く…!
 一瞬気が急く。
 今度は呪文の詠唱は途切れなかった。魔力は既に練り上げられて、杖の先端部で魔方陣を作り上げているのだが。
――でも、駄目だ!
「素手だからってなめんなよ、この赤眼!」
 ジタンは喉を食い破ろうとするファングの顎を捕まえ、ファングは両前足でジタンを抑えもうとして、転がり回っている。
 焦れば、取っ組み合っているジタンを、巻き込んでしまう。
 取っ組み合いはまだ互角。
 ビビは狙いを澄ましながら、魔法を手の中で保持するため、呪文の末尾を繰り返す。魔方陣が輝きを増していく。
 詠唱の3度目の繰り返しが、終わろうとした時だった。
「ぐ…っ!」
 ジタンが苦痛のうめきを上げた。先ほどから抑えこまれている左の肩。そこに残る傷が、悲鳴を上げたのだ。その隙に、ファングにまともに覗きこまれて、ジタンの全身が強張った。
 ファングとジタンの動きが、ぴたりと止まる。
――今だ!
 ジタンの危機。しかし、それは同時に好機でもあった。
 ビビは力いっぱい杖を振り下ろした。
 狙いは、確かだった。瞬間、赤い眼のファングが断末魔の悲鳴を上げた。
 黒い体から上がった炎が、辺りの木々をかあっと短く照らす。
 そして、焦げ臭い匂いとぶすぶすくすぶる煙を上げながら、ファングはゆっくりとジタンの上から転がり落ちた。
 スタイナーと対峙していたファングは、それを見るや否や激しく吼えたてて、一目散に逃げ出した。それと同時に、ただの暗闇と思われた周囲から、いくつかの気配が走り、逃げ去っていった。
 ややあって。
「申し訳ございません、ビビ殿!考え事をして歩き回っておったらいつの間にか道に迷ってしまい…!」
「あ、あの、おじちゃん、そんな…」
 ビビの足元に土下座して、平謝りに謝るスタイナー。ビビはそんなスタイナーにどう声をかけて良いのか分からずに、おろおろしている。ちなみに、彼の並べ立てる謝罪の言葉に、ジタンへ向けてのものはただの一言もなかった。
「全く。ビビを一人にして、何の考え事だったんだか…」
 わざとらしく肩を竦めながら言うジタンの台詞に、スタイナーはぎくりと凍りつく。
 しかしジタンは、そんな様子を見て見ぬ振りで、荷の中を探っている。
「ともあれ、薬は多めに持ってきといて正解だったな。この森にゃ、獲物を無力化する力を持ってるモンスターが多いとは聞いてたから」
 その荷の中には、先ほどビビ達が飲まされたポーションの瓶の他、錠剤やら小さな球体やら針やらと、様々な形態の薬が収まっていた。どれも、モンスターから受けた毒や術を解除する効果のある道具だ。先ほどジタンがスタイナーにぶつけた布袋も、そんな道具の一つである。
 しかし、全て消耗品。つまり、使えば無くなる。ジタンは、布袋を一つ取り出して懐に補充した。
 そして、荷袋の口を縛りながら、ちろりと横目でスタイナーを見る。
「ま、多めに持ってきたっつっても、限りはあるんだけどな」
「うぬぬぬぬ…」
 いかにも『これ以上ドジ踏むなよ』と言いたげなジタンの言葉に、スタイナーは反論も出来ずぎりぎりと歯軋りをしている。
 そんな2人の様子に、ビビはとうとう居たたまれなくなって、
「ね、ねえ、2人とももういいじゃない…」
と割りこんだ。
「ね、おじちゃん、もう立って。皆無事だったんだから」
 たどたどしくも、懸命にジタン達をなだめようとするビビ。困り果てた様子に、ジタンとスタイナーは、やや気まずい気分で互いに視線を交わした。
 ビビは、そんな2人をかわるがわる上目遣いに覗きこんで、反応を待っている。
 ジタンはビビに向き直ると、その帽子をぽんと撫でた。
 笑いかけられて、ビビはやっとほっとしたように、息をついた。
「ビビの言う通り、とりあえず結果オーライか。これで多分、しばらく安全に歩けるしな」
 辺りを見渡しながら言うジタンに、未だ地面に正座したままでスタイナーが聞き返す。
「ど、どういうことだ?」
 すると、ジタンは周囲の暗闇を指差して言った。
「崖を降りてからこっち、ずっと付きまとってた気配が、あらかた無くなってる。オレらはずっとあいつらにつけ狙われてたんだ」
「…それはつまり、ここまでずっとファングにしか出会わなかったのも、奴らが妙にあっさり逃げていったのも…」
 スタイナーが首を傾げながら、ここまでのことを思い起こすと、ジタンは頷いた。
「オレらの力を図ってたってとこだろ。呪文を唱え始めたビビを真っ先に襲ったのも、ビビが炎の呪文を使えることを知ってて警戒してたからじゃねえかな」
「ボクを?」
 モンスターが、自分を、警戒する。狙うのなら分かるが、ビビにはひどくぴんと来ない話だった。
 不思議そうに見上げるビビに、ジタンは得意げに頷く。
「そうさ。だからすごいって言ったろ。ファングみたいな獣系のモンスターは、皆炎が苦手だからな。今周りにいた連中も、皆おまえの黒魔法にびびって逃げてったんだ。それに、おまえの黒魔法に」
 ジタンは身をかがめると、軽く握り締めた拳をビビの前に掲げて、言った。
「オレも、助けられた」
 ビビは、きょとんとして、目の前に掲げられた拳とジタンの顔を見比べる。するとその拳が、軽く、とんとビビの杖をつついた。
「サンキュ、な」
 ずきん、と、受け取りなれない言葉が、ビビの中で響いた。ひどく耳の奥に焼きつく一言に、ビビは応える言葉を持たない。
――…『助けた』?
 杖の、ジタンの拳が突付いた辺りを見つめ、ビビは口の中でゆっくりと呟いた。
 見上げると、ジタンがにかっと笑った。
「さあて、そろそろお姫様の元へ向かうとしましょうか?」
 荷物を担ぎ、くるりと踵を返すジタン。
「そうだ、早く姫様をお救い申し上げねば!」
 スタイナーもあたふたと立ち上がり、荷物を担ぎ上げる。
――お姫様を、助けに。
 ビビがその様子を眺めながら、ぎゅうっと杖を握り締めていると、
「ほら、行こうぜ」
ジタンはそう言って、くいと尻尾を振ってビビを招いた。
 その仕草に、ビビはどきりとして胸を抑えた。何か、既視感を感じる。胸に押し当てた指先に、懐の中にしまってある芝居のチケットが触れて、ビビはふとその既視感が何なのかに思い当たった。
 昼間、アレクサンドリアの町に入ったばかりで、人ごみに呆然としていた時。身動きが取れなくなっていたビビを、先導してくれた猫。
 その猫と、そっくりな仕草だった。
 心臓が、芝居への期待でふくらんでいた、あの瞬間を思い出す。
 あの時、自分はどうしてあの猫について行ったのだろう。確証があったわけじゃない。あの尻尾についていけば、何とかなるような、そんな気がしただけ。けれど、ビビはいつの間にか、人ごみを歩けるようになっていた。
 その後、あの猫を見失ってしまったけれど。ずきりと胸を刺す思い出に、ぶんと一つ、首を振る。
――ボクはまだ、頑張れる。
 見下ろした手の平には、ジタンの拳が触れた杖。ビビは、それをくるんと回すと、ぐっと顔を上げた。
 目の前には、尻尾の揺れる背中。少し見上げる位置に、金の髪。
 ビビは、そんなジタンの背中について歩き始めた。
 スタイナーが、最後尾を守ってついてきている。
 腐葉土の地面は、相変わらず歩きにくい。けれど、ジタンが自分に合わせて歩いてくれる。だから、懸命に一歩づつを踏みしめる。
「……」
 そんなビビの気配を背後に感じながら、ジタンは小さく笑った。
――そう、そうやってついて来い。
 まだ、地面に足を取られながらの、頼りない歩き方かもしれないけれど。手を引かれながらでなくては、歩けないかもしれないけれど。
 今はまだ、それでいい。
 倒木に引っかかって、攀じ登ろうとしているビビに、ジタンはあえて手を貸さない。モンスターの急襲に備えて、手を空けておかなくてはならないと言うこともあるけれど。ビビ一人でも乗り越えられる倒木だから、手は貸さない。
 ビビが倒木を乗り越えると、ジタンは再び、ビビがついて来れる早さを計りながら進んでいく。
 ビビを連れていけば、ゆっくり歩かねばならないことは、始めから分かっていた。それでも姫を助けるのには間に合うと踏んでいるから、連れてきたのだ。
――慌てなくていい。ゆっくり歩けるようになればいい。
 プリマビスタで、ビビをバクーに預けることを考えなかったわけじゃない。そうすれば、多分ビビは、安全にこの森から出て、家に帰ることが出来ただろうけれど。
 そうやって守られるだけでは、命は助かっても、この子供の中で何か大事なものが死んでしまう。
 千切られるようにして引き離されるまで、ガーネット姫の手を握り締めていた、ビビの手。
 崖を降りる時、ジタンに寄りかかってしまうまいと、懸命に綱にしがみついて、出来るだけ自力で降りようと努力していた、小さな体。
 さっき打ち損ねた黒魔法さえ、ファングに襲いかかられたジタンを助けようとして、慌てた結果だった。
 この子供の中には、きっと何か、上等なタネが眠っている。
 ただ今は、緊張して強張りきって、固く殻の中に閉じこもってしまっている。ともすれば、冷たく凍りついてしまいそうなほどに。
 どんな芽が出るのかは、本当に分からない代物だけれど、そのタネが死んでしまうのをみすみす見過ごすのは、忍びなかった。
 そのタネが死んでしまえば、この子供はもう2度と笑えなくなってしまうような気がして。
 それが、たまらなく悲しかった。
 ジタンは、今歩いている一歩が、そのタネを揺り起こすきっかけになればと、切に願った。
 ビビが、もう1度笑ってくれますように。
――そのために…掴んでいてやれなかったあの手の平を、一緒に、取り戻しに行こう。

――あいつは、そのために行った。
 薬研の中からすくった粉末が、薬匙から天秤の皿に零れ落ちていく。
 薄明るいカンテラの光の中でその様子を見つめながら、ブランクは考え事をしていた。
 この手から、抜け落ちていった手の平。
 己の爪が、手の平に食い込む感触。空虚と共に染みこんでくる痛み。それは、助けるべき手の平を掴まえられていたら、感じることはなかったはずのもの。
 こんな堅気じゃないことをしていると、そんな経験はいくらでもある。いくらでもあるが、そんな出来事に出会うたびに思うのは、どんな時でもたった一つ。
 そんな爪の感触は、もう2度と感じたくないということ。
 自分の中で、嫌な音を立てながら、大きなひびが入るのを感じるのだ。そのひびを埋めたくて、つい何かを掴もうとしてしまう。
 バクーからガーネット姫救出を命じられた時、始めから当て馬だと知ってはいた。しかし、実は本気で自分が助けに行こうかと考えるところがあったのは、そのせいだ。
 この自分でさえこうなのだ。助けを必要とする手があったなら、何が何でも掴んでやるなんてことを行動基準にしているジタンなら、なおさらの話だ。
――ましてや、あの姫は…。
 バクーが、『ちょっと前までのジタンに似ている』と表した姫。
 アレクサンドリア城でのジタンは、ガーネット姫を追いかけるというより、まるであの足元を見ない突っ走りっぷりに引きずられているように、ブランクには見えた。
――あんな風に苛ついてるあいつなんて、久々に見たな。
 バクーに抗議しに行ったジタンの形相を思い出すに、苦々しい思いがする。
 あんな風に力のやり場を見失った自分を救うための、『行動基準』だったはずだが。それが、一瞬とは言え、完全に頭からすっぽ抜けていた。
 とはいえ、その程度で崩れるほどあの少年は脆弱ではなかったようだ。
――まあ、馬鹿とケムリは高いところだ。
 さすがに、一度助けようと思った者に手を差し伸べる役目を、あっさり人に譲ってしまうほどには、自分を見失ってはいなかったらしい。
『ま、やりたいことは山程あるし…そろそろ行くわ』
 どこか人を食ったような、なのにひどく憎めない、いつも通りの笑い方であいつは言い、そして出ていった。
 掴み損ねた手を、取り戻すために。
 それなら、あいつは大丈夫だろう。単純なりに色々考えてる奴だから、勝算なしで人を巻き込むような真似は絶対しない。余程運が悪くなければ、あいつは死なない。きっと、目指すものを取り戻すだろう。
 なら、当て馬役までやって役目を譲ってやった甲斐があるというものだ。
 自分はいい。どうせガーネット姫はルビィではない。
 それならプリマビスタに残って、他の団員の面倒を見るのも同じことだ。
 そして、今のところは誰1人取りこぼさずに済んでいる。
 天秤の二つの皿が、同じ高さになるのを見計らって、粉末をこぼすのを止める。その際に、ふと自分の腕の包帯が目に入って、ブランクは苦笑した。
――満身創痍だけどな。
 先ほどの演奏中に、腕やら足やら4箇所ほどやられたのだ。もうちょっと無傷でやり過ごせるかと思ったのだが、少々計算違いがあったのである。
 ブランクは、計りとった粉末をポーションの瓶に加え、ふたをして軽く瓶を振った。粉末が溶けきり、中の液体の色が変化したのを見届ける。そして出来あがった薬を、既に20余り並んでいるポーションの瓶の列の最後尾に置いた。
 予想以上に消耗したポーションを、作り足しているところなのである。
 しかし、上出来というべきだろう。とりあえず、楽団員に新たな怪我人は出なかったのだから。
 無事護りきれて、ブランクはとりあえずほっとしていた。
――あの程度のモンスターなら、この森から抜けるのも何とかなるだろう。
 さっきやりあった感触では、この森のモンスターは、コツを掴んでしまえば倒しやすいタイプばかりだった。
――たまに性質の悪いのが混じってやがるが…。
 思いながら、液体に金の針を浸してあるガラス瓶を持ち上げ、漬かり具合を確かめる。
――しかし…何だ…?
 頃合なのを確かめて、箸で1本1本針を引き上げながら、ブランクは首を傾げた。
 何かひどく重要なことを見落としている気がする。
 必要以上に悲観的になるのは、主義ではないはずなのだが。
 さっきから、ルビィが落ちていった瞬間が頭をかすめるのだ。
 神経がちりちりする。
「…っ」
 かつんと、針が1本箸の先から滑って、床に落ちた。
 ブランクは、一度箸を置き、ゆっくりと大きく息を吐いた。
――何なんだ。
 試しに、思いきり不安材料を疑ってみる。
 例えば、あのスタイナーが何か妙なまねをするかもしれないとか。以外と役立たずだったとか。
――ないな。小手先の策を使いこなせるタイプじゃない。正面きって斬りかかられて大人しく斬られるジタンじゃない。とはいえ、あのオッサンがかなり使える方なことは確かだ。
 では、あのビビの方が足手まといになる可能性があるとか。
――…そう言う漠然としたものじゃないんだが…。
 ビビの黒魔法がどの程度のレベルなのか、ブランクは知らないのであるが。
『あいつが持ってるのは、黒魔法だけじゃない。…もっと面白いタネも持ってる』
――…タネ、ね…。
 ジタンの、あの瞬間の顔。
――あいつにあんなカオさせるってのは、一体どんなタネなのやら。
『それに…あいつを「あんな様子」のままで放っとくのは、おまえだって嫌なんだろ?』
「……」
 余計なことを思い出してしまい、ブランクは頭を抱えた。
 とりあえず、そのことは脇に置くとする。
「とにかく、あいつの『やりたいこと』の内には、あのガキのことも入ってるってことか」
 そんなことを呟いた時、ブランクのいる船室へ、ばたばたとした足音が近づいてきた。
 床にあぐらをかいていたブランクが、何事かと扉に向かって立ち上がりかけたと同時、扉を蹴破るようにしてマーカスとシナが飛び込んでくる。
「アニキ、大変っス!」
 血の気の引いたマーカスの表情を見た途端、いつの間にかそれていた思考が引き戻される。
 そして次にマーカスが告げた言葉に、落ちていく手の平の幻がひらめいた。
 その映像は、ひどく強い輪郭を持ってブランクの脳裏に焼きついた。

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山月のはんこ


   こめんと
 とりあえず、今回書きながら思ったこと。
その1:ビビは頑張りやさんだと思います。でもまだうじ虫さんです。
その2:まだ自覚ないんかい、ジタンよ。
その3:うわああああん、ごめんなさい〜、やっぱりスタイナーがワリ食ってるよお〜。がるるるる。
その4:見てみたかった、ブランク兄貴が薬調合してるとこ。

 本当は魔の森脱出する予定だったのにしてないし。ゲーム内容と照らしたら、今回全然イベント進んでません。せいぜいあれですか、ATE『素直になれずに』やったくらいですか。いやああん。どこまでオリジナルつっこむ気だと聞かれたら、「どこまでも」としか答えようがありません。でもオリジナルとは言っても「お約束」多いですけどね。先なんかばんばん読まれそう。まあ、ゲームの流れからは外れないんだから、とっくに先ばれしてるんですけど。
 でも先読みされてようと、飽きられようと、多分懲りずに書くんです、私は。