サラワク・コラム
〜サラワクで考えたこと・感じたこと・気づいたこと と 写真〜


【 7 2010.02.04 】 「200人以上がホームレスに・・・」
200人以上がホームレスに
マレーシア・サラワク州の熱帯林に暮らす先住民族に共通して見られる村の形態が「ロングハウス」である。日本で言う「長屋」であるが、平均して30世帯、全村人が「ひとつ屋根」の下に暮らす共同住居である。彼ら/彼女らにとって「村=家」なのである。きびしい熱帯の環境では相互扶助が欠かせず、こうした住居の形態が生まれたものと想像する。

このロングハウスでの最大の課題のひとつが「火災」である。伝統的なロングハウスは木造で高床式になっており、風通しがよいようにつくられている。ひとつ屋根なので、ロングハウスのどこかで出火すれば、瞬く間に全体に炎がまわり、ほぼ全焼してしまう。ロングハウスに暮らす人々は、銀行に貯蓄している人は少なく、火災保険に加入していることもない。火災にあうということは、全ての蓄えを失うということに等しい。ロングハウスは広大な熱帯林に点在しており、消防車がたどり着くことは不可能に近い。何よりも出火しても消防署に連絡するすべがない。たとえ連絡できても、ほとんどが1時間以内に全焼するので、たどり着いたとしても手遅れである。

こうしたロングハウス、つまり「村」が全焼する火災がサラワクでは頻繁に起きている。私の知り合いのロングハウスも6つほど燃えている。ロングハウスという構造や立地に問題があるのは確かであるが、タバコの火の始末や、ガスコンロの扱いなど「火を出さない」という防火意識が低さが大きいと感じている。今このロングハウスの火事をいかに防ぐのか、いろいろ考えているところである。

写真は私の知り合いのロングハウスで、2年前に全焼した。写真はそのときの様子が報道された新聞。



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