論理哲学論考 1-7 4.011-4.016
      
4.014 ひとつの音盤とその音楽的思考とその楽譜とその音波の総ては、互いに、言語と世界の間に存立する例の写しの内的関係にある。
それらの総てに共通しているのが論理的構造だ。
(あの昔話の二人の若者と彼らの二頭の馬と彼らの二株の百合のように。それらは或る意味で総てひとつのものだ。)
4.0141 それによって音楽家がひとつのスコアから当の交響曲を察知することができるような或る一般的規則が存在して、それによってひとがひとつの音盤の溝からその交響曲を、そして最初の規則に随ってまた当のスコアを抽き出すことができること、まさにこの点に、それらの見かけは全く相異なる構造体の内的相似性が在る。そして、件の規則は交響曲を楽譜言語に射影する射影法則だ。それは楽譜言語から音盤言語への翻訳規則だ。