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GOGOゾウさんのつぶやき

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GO!GO!ゾウさん
STOP PRESS1999保存版

1999.12.24  クリスマスイブの更け行く夜半に、隙間風がひとしお身に染む編集部にて

人事案件通過で先行きは吉か凶か
諸事結末の出た年末に捧げる総括

 ◎しばらく沈黙を守ってきましたら、はや年の暮れ。年が改まる前に人は色々なことに決着をつけたがるから、十二月はどうしても気ぜわしいのだが、折しも、このコーナーに書いてきたことも、それぞれ決着を見たようなので、今年の締めにそれを総括しておきたい。
 ◎「見ていてご覧、十二月に同じ人選で出て、こんどはそのままGOとなるから・・・」と書いた監査委員選任同意をはじめとする人事案件。まさにその通りになった。予想されたとおりとはいえ、やっぱりか、と思えば、嘆かわしいというか、情けないというか、むなしいね。
 ◎ただ21日の最終本会議に上程された教育委員や他の人事案件は全会一致で承認されたものの、問題ありの橘英一元市議の常勤監査委員選任については、共産党の八議員、自民クラブの浦、平田、夢創の高田、垣内、大沢の五氏が、反対を意志表示、小林議員が退席、残りの議員が賛成の起立をした。すなわち採決に加わらなかった議長と小林議員を除くと19対13というきわどい承認だったわけだ。
 ◎人事案件は全会一致が通例。認めないとはっきり意志表示した議員がこれだけおり、それも、特定の政党会派ではなく、市会四会派の内の三つから出たということは、まさに異例中の異例。それだけ、疑問を投げかける人選だったということでもある。
 ◎監査委員は、二名の非常勤が議員の中から選任され、二名の常勤監査委員は、一般的に公認会計士、弁護士といった専門的識見、公益、中立、独立の立場の人物を選ぶことになっている。常識的な人間なら、そこに、元特定政党の政治家で、しかも市の指名業者に再就職していた人物を選ぶことに首をかしげるのが当然だ。
 ◎監査制度の充実は、行政に求められている大きな課題である。しかも、八尾市の場合、先頃出された監査請求に委員の意見不一致で適法か適法でないかの結論が出せなかったというケースまであり、今後住民訴訟に発展する可能性のある問題を抱えているほどなのだ。
 ◎その注目される常勤監査委員に、何故、あえて元公明党市議を選任せねばならなかったのか、その説明は誰が出来るのだろうか。古い常識を打ち破るために様々な行政機構を百八十度転換しようとするのは、大いに結構だと思うが、それには一般に通用する道理が要る。
 ◎同じく前回見送りとなり今回推挙される運びだった西辻前市長の名誉市民称号贈呈は、ご本人の辞退によって見送られた。これについてもこの欄で、疑問を呈したが、つい先日も西辻氏がご来駕の折もその話をし、市長をやったら名誉市民などというような発想では、成熟した民主主義制度は確立できないという点で、意見が一致したのだが、今回自らその筋を通して辞退された西辻さんの識見には敬意を表したい。
 ◎全会一致で推挙されても、筋の通らぬものは辞退するほどの人物もある反面、三分の一を越える元同僚の議員が反対している職につくことを甘んじて受ける人物もいる。世の中様々ではある。
 ◎人物が適任か否かとは別の、もう一つの問題点は、この人事案件が九月市会で一旦議案化して、公式機関である議会運営委員会に諮りながら、本会議当日、提案した市の都合で取り下げたものを、そのまま再び出したということだ。自ら取り下げるというのは、その議案に不都合があるから自信を持って審議しては貰えません、という意志表示だろう。それを手直しすることなく堂々とまた出すというのは、いかなる理屈か。これも大きな疑問点だ。
 ◎このように、二重に大義名分なき案件が、議会に出され、しかして、数の論理で通過したのである。出した方も出した方だが、ほいほい通した議員もつまらぬ。議論の場で論理が無視される、実に嘆かわしい状態ではないか。
 ◎しかしながら、この件の成立で、柴谷市長のメンツは保たれ、力は誇示できた、と胸をなで下ろすむきもあるかもしれないが、それは間違いだ。市長の改革への熱情を支持する立場から敢えていうなら、この件は否決されていた方が、柴谷さんの人気は高まっただろう。出すだけは出して努力したけど議会が意地悪して通さなかった、となれば、柴谷さんの義理も道理も傷つかず、判官びいきの市民感情はぐっと引き寄せられるのだ。
 ◎逆に通ってしまったために、当面の面子は立っても、こんなに反対されるような道理の通らぬことを権柄づくで押し通したという印象を抱かしめる結果になる。人気は落ちるし、一つ大義名分なき実績をあげてしまうと、次ぎに一つまた一つと力づくの政治を次々と進めるしかなくなる。
 ◎伝統的にお上の権威権力に弱い東京と違って、大阪の人間は、権力の光がちらつくとたちまち拒否反応を起こす。辞任に追い込まれたノックさんが、良いお手本じゃないか。
 ◎総野党で、あれだけ議会から意味なきいじめを受けて、弱い知事を装っていたときは微動だにしなかった人気が、議会がなびいてきて、人事案件でもなんでも思いのままにやり出した途端、がらがらと人気は落ちていった。
 ◎だいたい女の股座に手を突っ込もうが突っ込むまいが、そんなことには、大阪の人間は寛容なんだ。だからセクハラそのものについて雄叫びをあげるのは、ある種の運動家だけで、大多数の市民は、しゃあないやっちゃな、で、むしろ同情的になる。現に当初は「運動員言うたらノックが好きでやってるねやろ、その男に愛されたら喜ばないかんやないか」というのは些か極論としても、概ね身内に裏切られたかわいそうなノックというのが一般論だった。
 ◎前にも書いたが、それが大転換したのは民事裁判不答弁を発表した途端だ。ぞうさんも「公務専念」を理由に持ち出したのを聞いて、これはもうあかんな、と思って「もうこの男に知事の資格はない」と断言したのだが、案の定そうなった。セクハラをやった、やらんは、人間の名誉の問題、そのために裸で闘う姿を見せると、結果はどうあれ、大衆は支持する。
 ◎その「私」を「公」にすり替えて、逃げを打ったところで大衆は離れた。人間としてのノックが支持されて当選しているのであって、その一番大切な部分が傷つけられているときに、公を持ち出すのは、「俺はノックやない、知事様や」といわんばかりに権力を築いた思い上がりがあると、庶民は敏感に見る。
 ◎そんな公私を使い分けて理屈を言うなら、法の厳正にして忠実なしもべであるべき公務員の長が、司法制度をないがしろにするような態度でいいのか、と正攻法で責められるのは当然のこと。ここに判断のミスがあった。ミスというより、そういう判断を下したこと自体慢心があったのだ。大義名分なき行いは、政治屋の取り引きの世界では通用しても、人心には通用しない。
 ◎東京発の報道は、「そんな破廉恥な人間は最初から東京では知事に当選しやしねえよ」というものだった。大阪では、「青島みたいな唯我独尊の文化人は通るかえ」と言い返せた。権威権力志向の東京と違って、大阪は、漫才師でもというより漫才師だからこそ、エリート官僚や大臣病の政治屋よりは知事にふさわしいと思うのである。その根本を知事の権力で役人はおろか、議員たちまでなびいてくる日常で忘れたからこうなったんだと思うな。
 ◎もっとも、二月の知事選、誰が出るの?現職の代議士で、この大阪の風土にマッチしたものはいそうもないけど・・。
 ◎話は戻って、柴谷市長、ノックさんのこの転落の軌跡をよく噛みしめて、同じ轍は決して踏んで欲しくないものである。狡猾にして愚昧なるごますり名人の取り巻き役人は、役人の飯を何十年も食ってきた胃袋の丈夫な連中、いやいやそんなこと全て分かって利用しているんだ、というつもりでいても、いつの間にか逆に利用されて、一番大事な人間としての魅力を傷つけられてしまいかねない。くわばらくわばら。
 ◎今年はこれで打ち止め、虚しさが先に立った年の瀬だったが、黙っていては誰も言わないでは、後世に申し訳がない。誰も他にするものがいないなら、折に触れ来年も憎まれ口の嫌われ役をするしかないな、とおもっている。皆さんどうぞ良いお年を・・・。

                

1999.10.26

最初から予定通りだった依存体質
今さら責任の押しつけは酷な話し
〜FMちゃお再建に野津新社長〜

 ◎昨日25日の夕方、一通のファクスが突如届いた。電話はたいてい前触れがあってかかってくるものではないから、突如でいいのだが、内容が突如だった。
 ◎発信元は八尾コミュニティ放送株式会社(FMちゃお)代表取締役青柳貞夫氏である。「御礼」と題する短い文章の内容は、10月29日の取締役会で同氏が社長を退任すること、公認候補には野津昌巳氏が就任する予定であることを述べたものだ。
 ◎野津さんに決まったらしいということは、一週間ほど前にも聞いていたのだが、役員会前に予告通知とはちょっと珍しい。ここらへんがこの会社の行く末をめぐっての様々な駆け引きと混乱の跡を物語っているようではある。
 ◎で、翌日、即ち今日の読売の朝刊に大々的に記事が出た。これを見て、ははん、またやりやがったな、最近の八尾市お得意の一社リーク戦術だなと思った。というのは、この記事でかかれている見方が、あまりにも一方的で、市長のコメントまで入れて、経営危機は、すべて現経営陣の依存体質にあり、八尾市には一切責任がなくて、そのケツ拭きに経営陣を刷新してリストラ、再建を図るんだ、と書かれているからだ。
 ◎書かれていることは、ゾウさんも認識している事実に共通するものには違いないが、それだけでは、あまりに片手落ち、現経営陣の浮かぶ瀬もない。
 ◎そもそも、このFMちゃお、設立計画の段階から、経営が成り立つ見込みを持っていたいた人は、おそらく誰もいない。社長になった青柳さんらとて、我が町のラジオを作ろうと言うロマンの世界で発起していたものだった。市の関係者だって、この設立には危惧を抱き、後々お荷物になるよと言う声ばかりだった。
 ◎それを敢えて完全に市の主導で設立したのは、市制50周年の記念事業になんにも目玉になるものがない、箱モノを建てる程金を食わずに、2500万円の出資で作れるラジオは丁度うってつけと、消去法の中からぎりぎりの復活予算で日の目を見たものだった。
 ◎であるからして、当初から、八尾市がおんぶしてゆくのは覚悟の前だった計画なのである。年間4000万程度はね、広報媒体として活用しようと言うことだったのだ。で、担当は市の広報即ち市政情報課ということになり、スタート後の直接の責任者は課長の大西順一氏だった。
 ◎そういう意味では。最初から市への依存体質のもとにスタートした放送局であり、純民間のような自由な報道が保証された機関ではなかったのは周知の事実である。ひも付き放送局だから、番組は自己規制がかかって、面白くないし、あえて聞こうという気にもならないものだったというジレンマを抱えていた。
 ◎経営責任を一手に押しつけられている現経営陣とても、役員は無給のボランティアだし、機材等のリース物件には青柳さんが個人保証をしているとか聞いたことがある。
 ◎しかも、地元経済界はしぶしぶの出資には応じたものの、我が町のラジオとして育ててゆくことについては、全く非協力的だった。曰く「市が勝手に作ったもんや」「社長がなんであの人やねん」。足引っ張りの伝統が脈々と息づいていた。結果スポンサーに恵まれず、僅かな売り上げを上げるために、文化催事の紹介にまで請求書をつけるというようなケチなやり方が知れ、一層敬遠される悪循環を呼んだのだ。
 ◎だから、経営に携わった以上、経営責任が免れるわけではないが、そうかといって、すべてを経営陣に押しつけて、市がほう被りしていい代物ではない。
 ◎市側の責任者である大西氏と会社経営陣の間にはコミュニケーションの疎通を欠くいろいろがあったそうだが、その間の事情は双方に理屈があること、今さら蒸し返すも言い逃れでしかないのであって、新市長の方針としては、当初、整理解散を目指していたのだった。
 ◎しかしながら、関釜フェリーの倒産で下関市長が責任を問われ、裁判で負けた前例もあり、市が一旦作ったものを壊す法的な責任問題とリース物件の違約料、他の出資者への責任問題などがからみ、このまま金をつぎ込み続けるリスクとを天秤に掛けた結果、元市議で、有功者会会長、しかも市長の選挙の番頭役として采配を振るった超大物野津昌巳氏を社長に送り込み、再建を図るという方針を決断した。
 ◎この百八十度の方針転換は、八尾市がFMちゃおについては、少なくとも現政権においては積極的に責任を持つという宣言でもあり、潰したときに問題になったであろう設立者たる西辻前市長は、その責任を回避できたわけだ。
 ◎このうえは、八尾市の全面的なバックアップのもと、人脈が広く人望も厚い野津新社長が辣腕を振るい、一日も早く、経営が立ち直ることを期待したいものである。
 ◎そこで一つ提案、ゾウさんも酒席で何度も同席させていただきいろいろ教えていただいたことがあるのだが、政治家として、あるいは情報通として蘊蓄あるおもしろいお話が得意な野津先生が折角社長になられるのだから、此処はぜひ自らマイクの前に立って、八尾市の政局を分かりやすく解説する時事放談のような番組を作っていただきたいのである。そうすれば、リスナーはうんと増えること請け合いなのであるが、いかがだろうか。

1999.10.24

持てる権力は行使したがる思い上がり
政治家の「公務」と「私務」のけじめ

 ◎セクハラ知事の逃げ答弁で終始した府議会の成果は、水道値上げの凍結という、まあいたずらな時間の浪費の印象しか残らない後味の悪いものだったね。
 ◎実は、今度の議会ではじめて本会議の傍聴をした。というのは、今度当選したばかりの田中誠太府議が、いきなり登壇して質問をするというので、誘われていったのだが、この日は後援会の傍聴バスツアーも実施されていて、地元から観光バス二台で80人が参加したそうだ。だから傍聴席は、誠太ファンで立ち見がでる満席状態、議長が「田中誠太君」と呼び出しをかけると、傍聴席から出喝采が起こるぐらい。御贔屓とは有難いものである。
 ◎府会の本会議の質問は、個人質問といえどもしたいものが誰でも出来る市議会と違って、総出演人数が決められていて、会派ごとに割り当てになっているから、なかなか新人議員にはお鉢が回ってこない。それでもなんとしてでもやりたいと意欲満々の誠太先生は、他会派の先輩議員に枠を譲ってもらって、晴れて初登壇を果たした。その熱意や良しとしよう。
 ◎議員の本分は議場での質問という形での主張が第一番。議場という公の場で声を発し、行政側の考えを質す、それこそが開かれた民主主義の眼目であるのだが、現実には質問も答弁もすべてシナリオが出来ているのであって、形骸化してるという批判は免れない。
 ◎いわば、各国の代表が好きに喋る国連演説みたいなものではある。ではあるが、どうせ形式的なものなのだから、と悟り切って、実効は裏交渉にあり、と市民府民の見えないところで条件交渉を重ねて実利を得るのが、自慢になるのか、と言えばそうではあるまい。そのやり方が議会の存在自体を益々軽くし、ひいては議員なんてもっと少なくていいと言う主張につながり、議員は自らの首を絞めている。
 ◎もっとひどいのは、議会での質問を自分の主張を通すための行政に対する脅しの武器に使うことだ。「これなんとかしたれや」「いやなんぼセンセのお話でも、これはちょっと無理でんねん」「あそうか、それやったらええわ。これとは別の件やけどな、あれを今度、俺、議会で質問するさかいな、あんじょう勉強しときや」。質問通告をして、職員が走り回って、いろんな筋が「まあまあまあ、何とかセンセの顔立てさしてもらいまんがな」、となって質問は取り下げる。老獪なベテラン議員が長年の議員学校で学んできてよく使うやり方だ。
 ◎はっきりいって、現在の議員は政治家ではなくロビイストと言った方がその仕事振りをよく表している。それが、議員のみならず、市長や知事、大臣なんかまでその感覚しかないと言う町や府県、国は悲劇だ。そこに公務と私務の感覚の差がある。
 ◎なんでこんなことを思いついたかというと、ノックが女学生に手を出して訴えられた事件で、裁判で争わぬと決めた理由に「公務」に支障が出ると啖呵を切ったのを聞いてだ。ノックが悪さをしたか、せなんだか、は知らぬし、よしんばしたんだとしても、まあそれぐらいのことはするやろなと思うのが、大半の市民であり、それ自体でスキャンダラスに騒ぐ輩に与する気はない。
 ◎何ぬかしとるんや、と思ったのは、お手上げバンザイの理由に公務を持ち出したことだ。アメリカの大統領でもスケベーで裁判に引き出され、あれこれさらけ出されるのに耐えながら、まあしゃあないなあ、と言う結論になったじゃないか。大阪の知事はアメリカの大統領より公務に忙しいのか、となる。
 ◎裁判を受けて立っても勝ち目はないと判断したのか、下手に出て行くとまだ明るみになっていない旧悪が次々露呈するから却ってまずいと判断したのか、それはそれで仕方がないとはおもうよ。でもその理由、自らの政治的ダメージの問題は公務ではなく言うなれば私務だ。知事としての公務というなら、多さか府民を代表する長としての名誉を守るために闘うことこそがそうではないか。守るべき名誉がないからそんな判断をするとしか思えない。これで即ち知事として存在する資格は、この男にはない。泥だらけになってでも闘う男の姿を見せたら人気は益々でるのが、芸人のくせにわからんのだろうか。
 ◎二期目の選挙もぶっちぎりで通って、庁内でも議員でもなびくものが増え、持てる権力を行使して人事も好きにやり通した、そこに生まれた権力者の思い上がりが、公務を錦の御旗にすれば何でも通ると言う錯覚を生む。新聞記者が取材やと言えば何処でもただでは入れると思ってるのと一緒だ。
 ◎これは、この人に限らず、市長も大臣も皆体験する錯覚であろう。大臣になった途端にいらぬことを言って槍玉にあげられ、椅子を棒に振るのがしょっちゅうあるが、これなんかも、議員にはない権力に嬉しくなってしまってついつい思い上がるからこうなる。こっちでは逆に私見であるなどと断ればそれですむと思うのだが、その考え方自体が思い上がりなのである。
 ◎山脇元市長と話していて、確かに権力は大きいが、それだけに気をつかうんや、といっていた。あればあるほど権力は行使してはならないのである。権力を傘に着なくても人は権力でやったと見るものなのだから、ここらは、帝王学の第一章であるが、勉強せないかん人がいるはずである。
 ◎この問題をチェックする側の府議会もおそまつだったね。不信任や問責決議に乗って共産党に利するのは嫌や、とか、ひょっと無実やったらどうすんねん、とか、結局何もようしなかった。ワイドショーでは、恥を知れと言って、傍聴席からつまみ出されるおっちゃんを映して「府民の声」と紹介していたが、議会で府民の声を代弁するのが、議員の公務じゃないか、党利党略や後の御難を考えてしりごみするのはこれまた、私務である。
 ◎いかに市民のためとか府民のためとか言って大演説をしても、議員の政治活動の大半は、特定の市民の頼まれごとの処理であり、これは天下国家のためのご奉公という公務とは言えないのである。だから政治家ではなくロビイストだという。
 ◎見ていてご覧、この前飛ばした、八尾市の監査委員の件でも、これという議員の個別の別件の腹いせがすっとしたら、次回はおんなじ内容がすんなり、通るよ。これ即ち、議会の程度はそんなものということを自ら証明したことになるんだけど。あほらし。
 ◎それにしても、府議会の傍聴で成程と思ったのは、あのムードある議場で、なんとおそまつな傍聴席の椅子なのだろう、ということ。
喫茶店が客の回転を早くするのに、わざと落ち着かぬ椅子にするというのがあるが、そんなわけでもあるのかな。
 ◎利点は、一つあった。あの退屈な質問答弁を聞きながらでも、とても居眠りが出来ぬということ。それにひきかえ、ふかふかの椅子にふんぞりかえってる議員さんは、スヤスヤとお休みでしたな。ざっと見るとこ、四人に一人ぐらいは。傍聴席には、双眼鏡でそれをチェックしてるおっちゃんがいて、克明にノートを取っていました。衛視がやってきて双眼鏡を取り上げたのも規則とはいえ、具合の悪いことはさせぬように議員本位の決まりが出来てるということ、ここらへんも思い上がりの一環でしょうかね。

1999.10.6

情報公開のお題目は唱えても
建前とは裏腹のお寒い本音

 ◎このSTOP PRESS、試しに公開してみたところ、別に宣伝もしないのに、なかなかの注目を戴いてるようで、流石は今はやりのインターネットである。新聞の夕刊よりも早いのが値打ちだね。

 ◎もっともいくらはやりとは言っても、インターネットを情報源にしている人は年齢層にも片寄があるし、絶対数はたいしたことはないのだが、全く見知らぬ人がこそっと見ていたり、プリントアウトしたコピーが出回ったり(これはほんまはあかんねんで!)と言う広がりがあるから、まあテストは上々としなけりゃね。

 ◎メールで戴く反応も、なかなか面白い。これも匿名の気軽さか、こんな話しもあんねんで、といったものがある。匿名の場合は、事実関係を確かめるまでは、ゾウさんの腹に納めているが、情報提供は、みんなで世の中のおかしいことを何とかしようや、と言うことになれば意味がある。

 ◎その結果憎まれるのは、ゾウさん一人だが、まあそれが商売だから仕方がない。皆さんも大いに利用してください。手っ取り早く、言いたいことを言える掲示板をこのホームページに作ってという声もあるが、現時点では誹謗中傷のために利用されても、管理が出来ないので、ちょっと控えている。

 ◎前のUPから十日余り経って、また何か書いてるのと違うかと、毎日チェックしていただいてるファンもいるとか、これにかかりきりではないので、そうそう毎日書いてられないが、ご期待にこたえて、後日談というか、ちょっと軽いネタをひとつふたつ。

 ◎今朝テレビのワイドショーを見ていたら、ジャニーズの新しいグループが出来たそうなが、常時二百人から子供を抱えていて、社長がおもいつきで、お前とお前とお前で、明日から○○というグループ作ると宣言して、できるのが、SMAPじゃの何じゃのというここの会社のやり方らしい。

 ◎オーディションがあったりと言うような、制度的な抜擢のシステムがないから、その子らもマスコミに出てはじめてへえ、今度あいつが売り出すの、と知るんだそうな。なんで、こんな話を持ち出したかというと、コンピュータをいじくるような若手や中堅の職員には、このページに出た議会の成り行き話が唯一の情報で、へえそうなってんの、と知ることが出来たそうだ。なんか似てるな、とふと思った。

 ◎庁内だけにしても、情報の流れはシステム的なものではなく、口から口への囁きの噂ばなししかないということ。それは、知らせたいことと知らせたくないことが、知らせることと知らせないことにイコールになっている世の中の現状なのだ。その知らせることと知らせないことの区分けはほんの一部の人の判断で為されている。

 ◎知られたくないけど知らせなければならないことが、世の中にはたくさんあるのだ。今より何かを良くするためにはここに重要な情報がある。これが積極的な情報公開の値打ちなのだが、同じ仕事をしている職場でも知らされないようでは、市民が重要なことを知るまで行くのはなかなか先だろう。

 ◎そういう意味で前回書いた顛末は、知らせられていない人々にとっては値打ちがあったようだ。記者クラブなんてあっても記者は常駐していないし、日刊紙にはまるで載らないんだから。議運や会派総会などの現場にいたという人にその後何人か会ったが、「見ましたで、あの通りですわ」と裏づけしてくれている。その後河内新聞の小山さんも同じようなことを書いて、この人も知らせなければならんという使命感か、新聞折り込みまでしたそうだ。

 ◎ところがね、中には知らせたくない側の人もいるわけで、大いに御立腹とか。腹立ってるのやったら知らぬ仲やないねんし、直接言うて来たらエエのに、方向違いで大いに吠えまくってるという、からけったいやね。誰が書いたんや、あいつとちゃうか、とか、誰かにスパイの烙印を押したがっているそうだけど、悲しいじゃないか、ゲシュタポみたいな生き方は。

 ◎第一、役所に俺よりうまいこと悪口書ける奴おるか、居ったら明日から代わったるわ、といいたくなるけど、これは自慢のクソは犬も食わぬ、と言うからお聞き流しください。

 ◎可愛そうに人望がないから、その曰くが四方八方からすぐ伝わってくる。VOXなんかまだつぶれへんのんか!とのお尋ねのようだが、確かにつぶれそうではあるけど、クビの皮一枚まだひつこくやってます。もちょっと待ってください、そのうちご期待に沿いますから、とでもお答えしておきましょうか。

 ◎そういえば、創刊以来、ポケットひっくり返しても小銭もない状態になれっこで続けてきたけど、今月で本誌は創刊五周年なんです。なんぼかくれ、といただきに回るようなことはしませんが、心ある方からのお志は有難く頂戴しますので、よろしくどうぞ。

 ◎余談はさておき、この一連の話題で成程と気づいたことがある。片方の手では情報公開せなあかん、市民の声をきかなあかん、とお題目を唱えながら、それが知らせたくないこととなると、たちまちそんなことはプライバシーの問題や、と持ち出す。都合の良い使い分け方である。

 ◎この感覚には笑ったね。市民の代表として公職をお願いする人を選ぼうとして、この人をと議会に投げたんだろう。それがどういう人であり、託された議会がどういう判断をするかに注目するのは、当然のことじゃないか。この考え方は、決まってしまうまではそっとしておいてくれ、決まった後なら何をほざこうとあとの祭じゃ。まさに密室感覚にどっぷり浸かっていることを、端無くも露呈したに他ならない。

 ◎こういう感覚の人には、情報公開なんて言うのはもとより、スポークスマンとしての資格もないね。ついこの間の新聞に、吹田市が在日外国人に地域振興券を支給したと言う記事が出ていた。その本文中に、八尾市で既にやっているとあったのを見て、八尾市が最初だったのなら、何でその時に新聞発表しなかったのか、と言う疑問がわいた。

 ◎金額は僅かで、議会に掛ける必要のない予備費で実施した事業だが、国の制度に洩れた人の一部を市が救済したなら一歩前進じゃないか。逆に言えばそれにたいする批判も当然あっただろう。要求団体との関係であえて公表はしたくなかったと言う説明だが、これなどまさに議論を呼ぶ可能性があることは知らせたくない、という勝手な理屈に他ならない。柴谷市長の「府下初」の決断と言う実績もまたこれで葬り去られたのだから、これを判断した人の忠臣ぶりはとんだ的外れだったのではないか。

 ◎柴谷市長は知らないのかな。きのう中国から帰ってきて、同行した議会の幹部とも仕切り直しの良い機会を持てて、心晴れ晴れ帰ってこられたのだろうから、澄んだ目でよく実情を見ていただかないと、柴谷改革イズムを浸透させないまま、庁内はガタガタになってしまうのではと危惧する。

1999.9.22

とんだ甘読み、与党反対で人事案件全部撤回
一夜明けて西辻さんの名誉市民もお預け・・

 ◎昨日の続報。結論からいえば、議運に出された人事案件は、すべて撤回され、今日の本会議は何事もなく終了。九月議会は閉会したのである。

 ◎きのう午後の自民クラブと夢創の会派総会が、市長側の予想を裏切って厳しいものになったためだ。数多く出された人選のうち、議会が難色を示したのは、主に、橘英一元市議の常勤監査委員就任の件だった。

 ◎自民クラブでは、論功行賞のような人選は認められないと言う声や、俺も反対やと言う声は上がったものの、市長に近い西野議員が長老として控えており、人事案件ぐらい認めたれや、となって、まあ、心情的には反対だが、人の問題で敢えて火の粉はかぶりたくはない、と言うどっちつかずの結論だったようだ。

 ◎ここらは、市側の読み通りだったのだろう。つまり、自民クラブはそんなところ、夢創は与党、公明は自分ところのOBだから、これで行けるがな。共産党は反対だろうが、そんなもんほっとけ、ぐらいの読みだったのだろう。これは、事前に全特別職が、全議員さんを回って根回ししての感触から判断したようだが、これが甘かった。

 ◎まず、当の公明が、自分ところのOBなのに、他会派に対して、頼むと言う動きを積極的にしなかったというのだ。これで、他会派も公明の本音は、必ずしも歓迎ではないのだな、と判断したという。

 ◎そして、決め手となったのは与党会派 夢創の反対。垣内幹事長、実質上のリーダー高田議員共に、認められぬと明言したという。これを受けて、幹事一任の自民クラブも反対派が色濃くなった。慌てたのは理事者側だ。外出中の市長の帰りをまって、夜、撤回を余儀なくされた。

 ◎与党の旗色を鮮明にしている会派が、市長提案の人事案件を蹴ったというのは、就任以来強気一辺倒でやってきた柴谷市長にとって大きな痛手となったことは間違いないが、与党でさえ反対せざるをえぬほど、如何にその人選が常識的に見ても拙いもんだったかということに尽きると言えよう。

 ◎その理由はきのうも書いたとおりだが、部外者でさえ、聞いただけで「それはおかしいんちゃうの」と思うような、人選を平気で思いついた感覚を、ちょっと疑いたくなる。さらに、それは拙いんじゃないの、と忠告した人もあるだろうに、突破を図って議会に出したというのは、如何にも議会なんて、と軽く見た感覚で、これもちょっと甘過ぎるな。

 ◎もっとおそまつなのは、それは無理です、ダメです、と体を張って殿に諌言できなかった、取り巻きの程度、と言うか、常識感覚の欠如が悲劇的だね。市民生活に直接影響のない案件だったのは、せめてものすくいだった。

 ◎この一件で議会が、踏みとどまり、その権能を果たしたことは、今後の健全な市政運営に、かろうじて一縷の望みの糸を残せたと言えよう。一方市長側の救いを一点あげるとすれば、「何事も市民にオープン」の公約通り、明らかに表舞台に出して、そこで、議会側の判断を求めたという潔さだ。これはいいことだと言える。

 ◎さて、通常、こういう場合は、次の議会までほとぼりを冷まして、議員さんを個別に懐柔することになるのだが、今回もきっとそうでしょうね。次の議会でおんなじ案件が出されて、一点すんなり言ったとすれば、懐柔作戦が功を奏したということで、この時こそが、政策は、所詮舞台裏で決まることを天下に明らかにすることになる。従って、今議会で示された市長議会双方の誉められた点が台なしになることで、そうあらぬ事を祈りたい。

 ◎無理に議員OBなんかをそんな職に付けないでも、府議時代は警察委員を長くやってた柴谷さんじゃないか、謹厳で公正な経歴を持つ、警察や検察、裁判官のOBのような適材を探せばあるだろうに、と老婆心で言っておく。

1999.9.21

またも、あっと驚く人事案件

 ◎柴谷市長は、人事に関しては、大向うをあっと驚かすのがお好きらしい。

 ◎明22日の九月議会最終本会議に上程される人事案件が、21日午前の議会運営委員会で明らかにされた。西辻豊前市長が名誉市民に推挙される。これで、市長をやれば、誰でも名誉市民と言うことが決まったようなものだから、名誉市民=前市長程度の値打ちと思えばいいということを発表したと理解すべきだ。

 ◎アメリカの大統領は、やめたその日から普通の人、というのが、いかにも民主主義国の自由平等の象徴のようで、何となく粋ななあ、と思っていたが、八尾の民主主義は、やめた人にもなんかの権威を付けなければ気がすまん、脆弱さがあるのだろうか。西辻さんは、市長を辞めて肩の荷を下ろし、普通のおじいさんとして、好きな山歩きやコンピュータや歴史研究やらをやって居られると聞いていたが、ロボタンの勲章みたいな重荷をまたクビからぶら下げられたのは、他人事ながらお気の毒のような気がするね。

 ◎教育委員には、山田富三さんの代わりに角田禮三・大工大教授を選任する。角田さんは養護学校の校長先生をつとめていたが、それより議会や役所が注目するのは、角田禮子・女性団体連合会会長のお兄さんであられるということ。
それがお気に召さぬ向きもある。即ち教育委員も選挙の論功行賞できまるのかと。

 ◎ただこの人選は、もう選挙直後から、広くウワサされていたことで、今さら驚くに値しないけど、びっくり箱は常勤監査委員の橘英一氏である。これは論功行賞とはまるで逆、市長選では露原陣営で、公明党票の取りまとめ役を買って出ていたとされる人物。長年公明党議員として活躍され、議長も務めた実績に何不足はなかろうが、常勤監査という独立した役職に党派色があり、しかも先輩議員として議会にしがらみも持つこの人がふさわしいのか、となると疑問が残るのは当然だろう。まして橘さん、議員退職後は、市の指名業者でもある某建設会社に幹部として再就職して居られたという経歴もあるのだ。ちょっとね、と首をかしげる議員がいるのは、好き嫌いは別にして、良識の発露と言うべきだ。

 ◎もう一人非常勤監査委員は、公認会計士の北山諒一氏。他は、公平委員に徳谷浩氏、固定資産評価委員に辻村昇氏、共に市のOBである。

 ◎議運委前の根回しでは、議会側の感触は必ずしも良い物ではなかったようだが、明日の本会議を前に、見切り発車で提案したというところだろう。議運では、委員の反応は冷ややかなもので、聞き置きましょう、とのことだったという。

 ◎早速各会派は、目下この件の対応を会派総会で協議中だが、いかに結論を出すのか、共産党はまあ反対せざるをえない人選。自民クラブや夢創は、中に認めたれと主張する議員もいれば、横になる議員もありで一枚岩とはゆかない。公明党は辛いけど、自分ところのOBが選ばれてるのに表立って反対はしづらかろうね。

 ◎今夜は長い夜になりそうだ。そしてすべては明日の本会議で、どんな駒が出るかなのだが、市長側としても、議会が一枚岩では反対できないという読みを狙って敢えて出してきたのだろうから、これは議会と市長に力関係の今後を占う試金石になるのかな、と言うところである。

1999.9.16

 ◎八尾市議会九月議会は、16日総務委員会が開かれ、いよいよ大詰め。本会議の個人質問に十何人登壇するなど、柴谷新市長の市政刷新ぶりに、対決姿勢を深める議会の熱意が表れた今市会。

 ◎といえば、聞こえはいいが、山脇・西辻の二十四年間に、オール与党の名のもと牙を抜かれ、その実オール野党でお前待ち待ち蚊帳の外におかれていた議員さんたちが、柴谷新体制になって、もうそんなことはゴメンと、柴谷さんが庁内で権力を確立するまでに、荒肝を取っておきたいということか。

 ◎いやいや、折角市長が替わって、擦り寄っていったのに、いっこも要求を聞いてくれぬから鬱憤を晴らしてるんだ、というきつ〜い声も。

 ◎まあ、本音が何処にあろうと、なれ合いを排して、議会が議会の見識で、市民の前で行政を厳しくつくのは、市民にとっていいことだ。厳しい監視の目がないと、人間のやる仕事は必ず腐敗の方向へ向かうのは、歴史の教訓なのだから。

 ◎文教産業委員会の焦点は、来年出来るゴミ焼却場の余熱利用の温水プールの管理を市直営でやるという案件だった。経費節減から施設管理やサービス業務は民間委託や三セク委託が世の流れで、今まで直営でやっていたものも学校給食、警備と軒並み委託化を進めているご時世に、何で、プールの管理が直営やの?と疑問が出るのは当然だろう。

 ◎安全性とか何とかでノウハウがいると言うのが説明だったそうなが、先に出来て、このプールとはセットで考えられていた体育館でも体育振興会に委託してるじゃないか。この苦しい理由付に説得力があんまりないのは、議員さんたち先刻ご承知の上で、質している。当初委託の方向で進めていた行政内部もだが、これは市長の意向で直営になったという。

 ◎ならばなぜか。体育振興会の会長が、市長選挙で対抗馬だった露原前市議の後援会最高顧問の北畑金治さんだからだ、というのが、専ら言われていることだが、まさかそんなことが理由で行政が左右されることはないはず、と柴谷さんの名誉のためにも信じたい。

 ◎文産委員会、途中休憩して、プールを現地視察に及ぶという熱心な審議ぶりだったそうな。森教育長、集中放火の災難の一日、お疲れさまでした。おかげで、産業関連ちょっとおざなりだったのでは。問題にせないかんことなかったのかな?

 ◎祝日あけの今日は、総務委員会。本会議の質問が人事異動のオンパレードだっただけに、満を持しての総務委員会でありましたが、出ました。垣内議員、本誌最新号の「GO!GO!ゾウさん」を片手に、「今をときめく大西次長、改革委員会に応募した市民にことわりを言いに行ったそうなが、ちゃんと全員にいったんか」と質問。

 ◎大西さんは正直なから、「いや電話で済ました人もあります」とこたえて、そんな差を付けるなと叱られたとか。垣内さんエライ!。ゾウさんがお役に立ててよかったです。