上方浪曲ニュース最新号
2005.3-4
二十代の新人期待のデビュー
小円嬢門下の菊地まどか

 久々の二十代の新人菊地まどかが、一月二十八日の森ノ宮浪曲元気亭でデビューした。大阪で二十代は六年前の幸いってん以来。
 まどかは、昭和六十年小学校二年生の頃、一時浪花小町を名乗ってデビューしたことがあるが、父の病気など事情で廃業していた。成長してからは病院の医療事務の仕事をしていたが、幼心に味わった浪曲の魅力に抗しがたく、昨年改めて京山小円嬢に入門。芸名を小円嬢の前名の菊地容子の「菊地」を亭号に小円の「円」をかな読みした「まどか」と付けてもらった。昨年末親友協会に入り、今年一月には仕事も止め、浪曲一本で行くことを決意、この日の初舞台となった。一風亭初月の三味線で「田宮坊太郎」を語ったが、子供のころから音感もよく、よく伸びる声で嘱望されていただけに、この日も途中ネタを忘れて、べそをかく初々しさも御愛嬌。とても初舞台とは思えない声フシに、観客からも楽しみな新人が出てきたと、大きな声援が送られていた。

二月も大入りの一心寺
若手出演で舞台に活気

 二月の一心寺寄席は、十二日から十四日まで、京山幸枝若、京山倖若、幸いってん、菊地まどかの出演で開かれ、正月公演に継いで、三日間で二百五十人を越える大入りとなった。
 先に初舞台を踏んだ菊地まどかの一心寺初出演も人気の原因となったようで、もう一人の幸いってんととともに若手の舞台で会場も華やいだ雰囲気となった。まどかは「田宮坊太郎」「愛情乗合い船」の持ちネタ二席を披露、三日目が読み返しとなっただけに、早くも新しいネタを次々に手がけてゆく必要に迫られている。
 先輩達も負けられぬとばかり、幸枝若はオリジナル曲の「弥太っぺなさけ節」を取り入れた「関の弥太っぺ」を初めて披露、倖若も「谷風の情け相撲」で新しい芸風を模索する気概を見せた。


高野山の節分豆まき
境内あふれる人だかり

 二月三日の節分会に、浪曲塔のある大阪築港高野山寺では、恒例の豆まきが行われ、親友協会の有志一同が参加した。住職による家内安全、芸道向上の祈祷の護摩がたかれた後、本堂の特設舞台から檀家に交じって協会の法被に身を包んだ浪曲人が一斉に豆まきをはじめた。今年は例年にもましての人だかりで、「福は内、鬼は外」威勢よくまかれた福豆福餅を我先に奪い合っていた。


 社団法人浪曲親友協会総会
新年度事業計画・予算承認


 社団法人浪曲親友協会は、二月二十五日、大阪市天王寺区の月華殿で総会を開き、平成十七年度の事業計画と予算を審議、満場一致で可決承認された。予算総額は前年比約十%増の一二四六万円。事業費に八八〇万円を計上し、一心寺、ゑびす座、森ノ宮の三ヶ所の定期公演などを運営するとしている。

藤信初子に芸団協功労賞
東京会館で晴れの授賞式


 平成十六年度芸団協芸能功労賞が贈られた曲師の藤信初子は、三月八日東京会館で授賞式に臨んだ。今年の受賞者は藤信師のほか、曲師の吉野静師の夫君翁家和楽さんら各ジャンルから合わせて五名、河合隼雄文化庁長官の臨席のもと、芸団協の野村萬会長より、賞状と記念の盾、金一封が贈られた。
 会場には大阪から松浦四郎若、中田萬夫が随行、東京の協会からも昨年同賞を受賞した東家栄子、前会長の東家浦太郎、副会長の澤孝子、事務局長春日井梅光、国本晴美の各師はじめ多くの浪曲人がお祝いに駆けつけ、浪界からの受賞の喜びを分かち合った。

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