上方浪曲ニュース最新号
2004.8

猛暑を吹き飛ばす熱演続く
八月の一心寺とえびす座寄席


 記録的な猛暑のなか、今月も一心寺寄席が二日から四日まで、お盆を挟んで、十七日から十九日までえびす座寄席が開催された。
 一心寺は日吉川秋水、三原佐知子、筑波武蔵、幸いってんが出演、いってんの若さあふれる熱演、久しぶりにギターの弾き語りで聞かせた筑波武蔵、三原佐知子はネタ下ろしの「母ちゃん死ぐのいやだ」をはじめ、たっぷり涙を絞り、秋水が、薮井や水戸さんで笑わせるというバラエティ豊かな番組に、観客は泣いて笑って拍手してと忙しいこと。
 お盆開けのえびす座は、客席こそ涼しかったが、春野ココがお伽浪曲を三日間、知事表彰受賞の長谷川公子が得意の三席を読み、京山倖若はケレン味たっぷりのネタで気を吐き、筑波武蔵が貫録の読み込み(中日のみ松浦四郎若が代演)で舞台の方は台風も吹き飛ばす熱演続きだった。
 えびす座はまだなじみが薄いうえ、劇場に入るまでに館内入場料が必要となるなど、悪条件が多いが、道頓堀の浪曲寄席死守に、協会実行委員らは定着に知恵を絞っている。

また新しい口演の場が
森ノ宮げんき亭を開始

 大阪森ノ宮の府立成人病センターに隣接して開設された府民の健康づくりの拠点となる大阪府立健康科学センター「ゲンキープ大阪」で、浪曲寄席「森ノ宮げんき亭」が始まった。
 8月28日第一回が開催され、真山一郎、京山小円嬢、京山倖若が出演、ロビーフロアーに特設された会場に地域の人々約五十人が来場した。
 このセンターは、生活習慣病の予防など府民の健康づくりをすすめるための教育研究施設で、寄席は、センターの積極利用の呼び水と浪曲を聴いて心と身体をリフレッシュしてもらおうと開設されたもの、今後二ヶ月に一回程度開催を予定しており、次回は11月25日の予定。

台風横目にエヤコラセー
築港高野山の浪曲まつり


 台風が直撃した8月30日、大阪築港高野山で、恒例の物故者供養浪曲まつりが予定通開催された。今年合祀されたのは岡本紅梅さん。午後五時から遺族らが参列して供養式が挙行された。
 風が出て、雨が降り始める中、浪曲と河内音頭の盆踊りは予定通り進行。浪曲の部は、幸いってんと京山小円嬢が出演、音頭の部は会員総出で河内音頭江州音頭を歌った。毎年境内一杯の人出でごった返すこの催しだが、今年は台風のため、踊り子も観客も例年の四分の一程度、それでも雨に濡れながら、踊りの輪が広がっていた。
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