上方浪曲ニュース最新号
2004.4~6
満開の桜に酔い美酒に酔う
築港高野山で恒例桜まつり

 四月八日築港高野山寺で、親友協会の桜まつりが開かれ、浪曲人とファンら約六十人が参加した。今年は暖冬の影響で桜の開花が早まったが、お釈迦さんの誕生日にあわせて開催された八日は、境内の桜は満開状態、汗ばむほどの好天のなか、さわやかな春風に花びらがはらはらと舞いかかる風情に恵まれた。
 浪曲塔でのお勤めの後、参加者達は桜の木の下にてんでに陣取り真山会長の挨拶で花見の宴が始まった。飲んで食べて酔いが回るほどに、誰からともなく自慢ののど自慢が飛びだし、おなじみになった日吉川秋水の踊りも、格好の舞台を得てひときわあでやかに引き立った。

超満員の期待と声援受け
二代目京山幸枝若誕生

 五月八日、大阪なんばグランド花月で二代目京山幸枝若襲名披露公演が開催された。当初四月二日に予定されていたが、直前に福太郎が急病で倒れこの日に延期されたもの。会場は立ち見がでる満員盛況で、新幸枝若への期待の大きさを物語っていた。
 幸いってんが前座を勤めた後、真山一郎会長、春野百合子前会長はじめ一門や先輩が並んで口上。真山会長が代表して新幸枝若誕生を観客に報告激励した。(写真)
この後お待ちかねの幸枝若の第一声。先代十八番の「会津の小鉄〜賀茂の河原」を、この日のために構成された藤信初子と岡本貞子の二丁三味線、京山幸光のギターの伴奏により、力いっぱいの熱演で聞かせた。
 なんば花月での公演となったのは、幸枝若がこの機会に吉本興業に身柄を預けたからだが、この劇場らしく第二部は新喜劇のメンバーにおばに当たる華ゆりなどが加わっての新喜劇「元祖ハチャメチャなにわ男」を上演、さらに歌謡ショウで吉本タレントが次々にお祝いに駆けつける中、新曲の「浪花華しぐれ」「弥太っぺなさけ宿」などを披露した。
 吉本入社を機に、これまでの形にとらわれない新しい浪曲を目指したいという幸枝若に、観客は熱い期待の声援を送っていた。
 なお、幸枝若は、4月23日名古屋市民会館で行われた「豪華浪曲大会」にも出演し、このとき中京地区のファンにはひと足早く幸枝若として御目見得している。(口演写真)

ゴールデンウイークの演芸特選会
日替り豪華メンバーに連日大入り

 五月の連休中を通して国立文楽劇場小ホールで演芸特選会が開かれた。浪曲からは、百合子、佐知子、四郎若、小円嬢、真山一郎が日替わりで、また春野美恵子が通して出演、「番町皿屋敷」を語った。豪華メンバーに連日大入りで、中には補助椅子がでた日もあった。

天龍三郎、入魂の「吃又」連続読み
名古屋から月子も来演の一心寺寄席

 五月の一心寺寄席は、天龍三郎が「師匠鴬童を偲ぶシリーズ第三弾」として「吃又」の連続読みを聞かせた。風邪をひいて声を痛めたという天龍だが89歳の現役最長老の迫真の口演は、当代においてはもう無くなってしまった寄席の浪曲の楽しさを満喫させてくれるものだった。「大津絵」「蟹」と続き、三日目は40年ぐらいやったことがないという「桑名の富士」。吃又自体用語の問題から今日ではまず聞かれなくなっただけに、いずれも新鮮で、常連客も連日通い詰めていた。
 また今月は名古屋から天中軒月子が初出演、熱心なファンの黄色い声援も飛び、「今後親友協会の会員として度々寄せてもらいますのでどうぞよろしく」と関西での活動拡大を宣言した。
 ほか、京山幸枝丸が久しぶりに出演、また真山一門から、初日、広子がはじめて浪曲で「番場の忠太郎」を語り、二日目、三日目は大五郎、龍太郎と地方に本拠を置く出演者が駆けつけ真山節を聞かせ、花っ客には目新しい三日間となった。

親友協会総会で役員改選
副会長に松浦四郎若選出

 社団法人浪曲親友協会は、五月二十四日、天王寺区の月華殿で総会を開いた。平成十五年度の事業報告と決算を承認した後、役員の改選選挙を行い、全役員を再選した。この後理事会を開催し、正副会長、常務理事の役職を理事の互選で選び、次の通り選任した。
 会長 真山一郎
 副会長 京山幸枝若、松浦四郎若 
 常務理事 春野百合子、京山小円嬢、京山倖若
 理事 日吉川秋水、京山幸枝栄、筑波武蔵、三原佐知子、大林静子、泉和子、真山広若、京山宗若、天光軒満月、京山幸枝丸、大友康亘、道庭富太郎、高辻八男
 監事 新川節雄 芦川淳平
 なお、新入会員として、唐木恵子(春野百合子門下)、古木セツ子(真山龍太郎夫人)、真山裕子(真山誠太郎夫人)の入会が承認された。

長谷川公子知事表彰受賞

 大阪府恒例の知事表彰(文化芸術功労)に、浪曲界から長谷川公子が選ばれ、五月十日大阪府知事より表彰状が贈られた。
 長谷川公子は、昭和二年生まれ。昭和十八年東光軒宝玉に入門、玉千代を名乗り、同年天満国光本席で初舞台。昭和三十八年長谷川公子に改名。現在も一心寺寄席などに元気に出演している。

十周年の一心寺寄席
一門会で覇を競う

 一心寺門前浪曲寄席は、六月公演で百二十回満十年を迎え、七日から九日迄各日日替わりで一門会を開催した。
 初日は京山一門会、幸枝若が襲名後初御目見得となり、兄弟子の倖若、幸枝会一門の幸枝栄、幸枝若門下のいってんが出演した。
 二日目は春野一門会で、百合子、美恵子、冨美代、ココ、三日目は真山一門会で、一郎、広若、広子、誠太郎が出演した。
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