上方浪曲ニュース最新号
2004.2
天龍三郎「紀伊国屋」連続読み
一心寺寄席二月公演も盛況

 二月の一心寺寄席は、九日から三日間開かれた。最近めきめき実力をつけてきた真山誠太郎、河内音頭でも新機軸のスタイルを開発して意気上がる京山宗若、相三味が西崎恵美子から岡本貞子に代わり心機一転一層のの飛躍を目指す京山小円嬢、と魅力的なメンバーが揃う中、注目はやはり今年八十九歳の天龍三郎。昨年十月の出演で「伊達騒動」の連続読みで、寄席の楽しさをファンに思いださせてくれた天龍は、今回は師匠譲りの「紀伊国屋」の連続読みを聞かせた。初日の「船出」は、梅中軒鴬童が十八番にしていただけに、天龍は若い頃にやったきりだったという。前半の船頭集めの場面など、聞き馴染みの鴬童の筋運びとは一味違った展開で、寄席芸の楽しさを再現した。藤信初子の三味線に乗って、年齢が信じられないほど声も節もよく出て、観客は驚嘆していた。「明日も続きを聞かねば」と入場者も尻上がりに増え、二月にもかかわらず好成績を上げた。次回は五月に出演とのこと。

襲名十五周年の天光軒満月
420人集め記念ディナーショー


 四代目天光軒満月は、今年襲名十五周年を迎え、記念のディナーショーを二月十五日、リーガロイヤルホテル堺で開いた。大宴会場満員の四百二十人の観客が集まり、満月の十五年間の人脈拡大の成果を物語っていた。
 ショーは、まず満月が、「父帰る」を口演、継いで特別ゲストの春野百合子が「樽屋おせん」をたっぷり語って、食事タイム。後半は京山宗若の音頭やゲスト歌手、本場阿波踊りを交えながら、満月が一時間余りの歌謡ショーで歌いまくった。
 満月は、昭和二十三年徳島市に生まれ、五十一年先代満月に入門。その際「四代目は自分が継ぐので、師匠の前名である菊月をください」と宣言し、師匠の度肝を抜いた。その宣言通り、平成元年師匠の三回忌とともに浪花座で四代目を襲名。その後歌謡曲にも力を入れ、平成十三年には親友協会理事に就任した。
 この不景気に大規模な記念イベントを堂々成功させたバイタリティには、関係者も高く称賛を送っており、今後ますますの芸道の飛躍を期待する声が高まっている。

福太郎が二代目幸枝若襲名
披露公演はNGK花月で

 京山福太郎が、二代目幸枝若を襲名することになり、四月二日大阪難波のNGKグランド花月で披露公演が行われる。
 福太郎は、先代十三回忌が昨年滞りなく終わったことを受け、作曲家村沢良介氏らの勧めもあって、長く固辞してきた二代目襲名を決意。関係者の賛同を得て、襲名の運びとなった。
 襲名を機に、新しい分野での活躍を目指したいと、吉本興業に身柄を預ける事になり、今回の襲名も吉本の主催で行われる。従って通常の浪曲の襲名興行とは異なり、浪曲は、真山一郎、春野百合子、筑波武蔵と京山一門が並ぶ襲名口上のあと、福太郎改め二代目幸枝若が「会津小鉄〜賀茂の河原」をたっぷり演じる他は、弟子の幸いってんが前座で出演するのみ。その代わり吉本新喜劇のメンバーに交じって「幸枝若物語」の芝居と様々なゲストが祝辞に駆けつける「歌謡ショー」と、さながら幸枝若リサイタルの形式をとる由。「新しい時代の新しい幸枝若にふさわしいスタイルを作ってゆきたい」と意気込む福太郎の熱意の表れだ。
 開演は午後7時、入場料は五〇〇〇円。
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