上方浪曲ニュース最新号
2002.11
吉田大和之丞ゆかりの
春日大社で奉納浪曲会

 10月27日、奈良の春日大社で、奉納浪曲会が開催された。
 春日大社は、二代目吉田奈良丸が、昭和四年二月門人の一若に三代目を譲った際、春日大社から大和之丞の名前を拝命、同時に妹小奈良も元女の名前を賜ったゆかりがある。このため大和之丞は、春日大社の秋の大祭にあわせて奉納浪曲を生涯にわたって開催し続けて、没後は門人の吉田朝日が師匠の遺志を引き継ぎ続けてきた。さらに朝日亡き後は鶴子夫人が夫の志しを引き継いでいる。このほか奈良の三輪神社、京都山科の大石神社でも同様の奉納浪曲会が大和之丞以来面々と受け継がれて続いている。”浪曲の父”二代奈良丸の篤行は、一人吉田家のことではなく、関西の浪曲人が毎年交代で参加協力している。
 今年は、五代目吉田奈良丸、京山宗若、春野冨美代が出演した。
 写真は、昭和三年十一月三十日、大和之丞の拝命式で大和之丞、初代百合子、元女、三代奈良丸の衣冠装束姿。

芝居の母屋を奪った棚読み
近松劇場で松浦四郎若熱演


 十一月八,九の両日大阪北浜のコスモ証券ホールで開催された近松劇場「博多小女郎波枕」で、棚読みを務めた松浦四郎若と藤信初子のコンビが絶讃を浴びている。
 表淳夫の台本、筒井庸助の演出で関芸の若い俳優達が演じる近松悲劇で、四郎若・初子は舞台上手の棚に文楽の義太夫同様並んで座り、約二時間出ずっぱりでちょぼを務めた。九十六年から毎年出演し今回七本目になるが、今やこの公演になくてはならぬもので、ひさしの棚が母屋の舞台を奪ったかのよう。すでに来年もぜひと日程が押さえられているという。

小円嬢「第九」を歌う
地元合唱団のコンサート


 京山小円嬢は、十二月十八日午後七時から大阪市平野区民センターで開催される「ひらの第九合唱団第二回演奏会」にコーラスの一員として出演し、ベートーベンの「第九」の歓喜の歌を唸った、ではなく歌った。
 活動的な小円嬢は、趣味でスイミングスクールに通ったり、地域活動の一環として、カラオケ教室の講師を務めたりしているが、このほど地元の合唱団に参加、おなじみの「フライデケイネルゲッテルフンケン・・・」とベートーベンを歌うことになった。日頃独り舞台の浪曲が大勢のアンサンブルの一員として、どんな名調子を聞かせてくれるか、この年末聞き逃せない舞台である。
 会場は平野区長吉出戸5-3-58。入場料は前売り二千二百円。チケットぴあ、ローソンチケットでも発売している。
BACK NUMBER