上方浪曲ニュース最新号
2002.3
 上方演芸殿堂お披露目
 浪曲から冨士月子さん

 大阪府上方演芸資料館が毎年実施している上方演芸殿堂に今年新たに三人の上方演芸人が選ばれ、三月二日お披露目式が行われた。今年殿堂入りしたのは、浪曲の冨士月子と落語の桂枝雀、漫才の市松・芳子。浪界からは、三代目奈良丸、鴬童、幸枝若に次いで四人目。
 お披露目式では、月子さんの愛娘飯田節子さん、天竜三郎、芦川淳平が演芸ホール舞台上で、成瀬国晴さんの似顔絵額の除幕を行い、月子師の芸と人柄の思い出を語った。
 飯田さんは「母は、舞台に上がってお客さんから拍手と声援を受けることを何よりの生きがいにしていた人でした。亡くなって二十五年こうしてまた再び皆さんのご声援を戴けることをあの世から喜んでいることと思います」と語っていた。
 このあと、難波利三氏の司会による殿堂入り三氏の芸と人を語る座談会、月子師そっくりの操り人形が月子師の「村松三太夫」のテープに合わせて語るマリオネット劇場が披露された。
 なお同資料館では、六月十一日まで今回の三師にまつわる資料を展示した殿堂入り特別展を開催している。

 

京山福太郎後援会春の集い

 

京山福太郎の後援会が、三月三日天王寺区の天王殿で恒例の春の集い「福太郎を囲む会」を開催、ファンら百数十名が参加し、福太郎の浪曲と歌を楽しんだ。
 福太郎はまず「会津小鉄〜名張屋新造」を熱演。後援会長小川義雄氏の挨拶、来賓のNHK熊谷富夫、「おはよう浪曲」勢井亮度の両氏と芦川淳平による祝辞の後、京山企画小椋隆光社長の乾杯で宴会に入った。三原佐知子、泉和子の両師も応援に駆けつけ、弟子の幸いってんや出席者のカラオケのど自慢、浪曲教室の会員による節劇などでにぎやかに春の一日をすごした。福太郎は参加者全員に酌をして歌を披露、掃除機の当たるじゃんけん抽選会で幕を閉じた。

 春野百合子ディナーショー
 中村美律子の司会・共演で

 春野百合子は三月九日、心斎橋の中村美律子の店「人生乾杯」でディナーショーを開いた。約70席の同店は中村美律子が経営し、日ごろ彼女を含めて歌謡曲のディナーショーは開催しているが、浪曲は初めて。美律子が師匠の百合子に是非やって欲しいと持ちかけて実現した。
 中村美律子が司会を買ってでて、芦川淳平とともに前説。百合子は満席の客を前に「樽屋おせん」を熱演した。このあと、師弟で吹き込んだ「渡り鳥姉妹」を二人で歌い、アンコールに美律子のヒット曲「壺阪情話」を熱唱した。美律子ファンの観客も多く、「美律子さんの浪曲入りの歌が好きだったけど、その師匠の本格的な浪曲を初めて聴いて浪曲ファンになった」という声もきかれ、美律子も「これからも機会を見つけて浪曲の会をやってゆきたい」と語っていた。

 一心寺寄席空前の大入り
 連日立ち見舞台まで観客

 三月の一心寺寄席は、大阪府の助成公演ということもあり普段より一人多い五枚看板の公演。三原佐知子、京山福太郎、真山広若、京山幸枝丸、幸いってんが出演(三日目のみ松浦四郎若が福太郎の代演)、連日百名を越す大入りとなった。
 会場の一心寺シアターは通常椅子席は約五十、補助椅子を全部出しても足りず、舞台を奥の壁際まで下げ舞台横まで座布団をひいて観客を入れた。
「昔を思い出すような光景」と、関係者一同大入りを喜んでいた。出演者も意気に感じて初日京山幸枝丸は「矢頭右衛門七」、真山広若は「俵星玄蕃」と新ネタを初口演、二日目も三原佐知子は新作「恋と武士道」を披露し、観客の期待にこたえる意欲を示した。
 終演後は出演者一同劇場前で観客を送り出し感謝を示した。なおこの三日間東京の太田ももこが勉強に通い熱心に大阪の浪花節を研究していた。

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