上方浪曲ニュース最新号
2001.9
 どしゃ降りの中の盆踊り
 築港高野山の浪曲まつり


 この一年間に亡くなった浪曲関係者を築港高野山寺境内の浪曲塔に合祀する浪曲まつりが、今年も八月三十日開催された。
 今年合祀されたのは、次の各氏(カッコ内は没年月日)。芙蓉軒麗花(十一・十一・二十五)、京山小吾一(十二・七・十一)、真山十郎(十二・十・十)、四代目吉田奈良丸(十二・十二・一)、小池菊江(十二・十二・三十)、二代目京山幸枝(十三・五・十三)、三代目広澤駒蔵(十三・六・二十二)、二代目京山幸城(十三・七・二)、吉田丸若(十三・七・二十八)。
 この日はあいにくの空模様で、多くの浪曲人を失った悲しみの涙雨が、そぼ降る中、僧侶が読経し参加者一同焼香した。
 このあと奉納浪曲に吉田奈良丸と京山倖若が出演。日もとっぷり暮れてからは、供養の盆踊りが始まったが、雨はますます降りしぶき、どしゃ降りになってきた。それでも、京山幸枝栄、幸いってん、京山小円嬢、松浦四郎若、春野美恵子、天光軒満月、真山広若、京山福太郎、京山宗若が入れ替わり立ち代わり、予定通り音頭を熱唱した。

 残暑吹き飛ばす一心寺寄席
 八・九月とも連日大入り

 猛暑が続いた今夏だが、一心寺寄席は、八月九月両公演とも大入りが続いた。
 八月公演は、三原佐知子・吉田奈良丸・京山幸枝栄・真山誠太郎。三原佐知子は、豪州公演の成功に気を良くしての帰朝報告をかねた出演だった。
 九月公演は、日吉川秋水・京山福太郎・長谷川公子・真山広若。秋水は「水戸黄門」の続き読み、福太郎は、前回に続いて今回も新ネタで「関取千両幟」を披露するなど意欲を見せた。

 上方演芸殿堂に富士月子師

 大阪府上方演芸資料館が毎年選ぶ「演芸の殿堂」に今年は、浪曲から故富士月子師が選ばれた。お披露目式は来年3月2日ワッハ上方で。
 月子師は明治三十一年生まれ、十六歳で東京に出て修行、二十二歳から大阪で松島女流団成美会の一員として富士月子を名乗って活躍、初代百合子らと女流浪曲の女王として覇を競った。昭和五十一年、七十八歳で亡くなった。
 演芸殿堂入りは、三代目奈良丸、梅中軒鴬童、京山幸枝若に次いで四人目。
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