上方浪曲ニュース最新号
2000.8
 猛暑をものともせず熱演続き
 一心寺寄席八月も大入り盛況

 連日三十五度、三十六度の猛暑が続く大阪で、八月の一心寺寄席は熱心なファンで連日四、五十人の観客で賑わった。
 一心寺シアターは、地下鉄最寄り駅から歩いて十分以上離れており、その間は日差しを遮るものもない。高齢者が多い浪曲公演は、暑さ寒さや天候に左右されやすいものだが、一心寺寄席は、関西浪曲のいわば砦だけに、ファンもこの牙城を死守するために毎回熱心に訪れている。
 この声援に、出演者は熱演でこたえていた。今回は、三原佐知子、長谷川公子、松浦四郎若、京山幸若の出演。
 初日のトリ京山幸若は師匠譲りの十八番小田原相撲。二日目のトリは三原佐知子で大作「鶴八鶴次郎」を久しぶりに聞かせた。松浦四郎若は「伊達騒動」などに十八番に加えて「瞼の母」に挑戦、これまでの様々な台本を聞き比べて四郎若流に練り上げた一作を聞かせた。長谷川公子は鴬童譲りの「三河長者」など得意ネタを手堅く口演した。

 三原佐知子大阪後援会の集い
 さっちゃん支えるファンの熱気

 三原佐知子の大阪後援会の集いが七月三十日、大阪ミナミのミュンヘン南大使館で開かれた。熱心なファン百五十人が参加して三原の浪曲歌謡ショーを楽しみながら、交流を深めた。
 三原佐知子後援会は、昭和五十三年、小松千鶴から改名したときに発足し、毎月一回ローオンレコード社長加藤精一氏が経営する民謡酒場春日で開催していたが、春日がなくなってから中断していた。この間三原は、新作を次々に発表し芸境も格段に進歩関西浪界の中枢をになう看板になった。京都後援会は定期的に開催していた集いだが、本拠地の大阪でも是非復活させて欲しいとのファンの声にこたえて昨年から再開することになったもの。
 二回目の今年は、ファンの他にも京山福太郎、真山広若が応援に駆けつけ、花を添えた。三原は月の栄譲りの「異国の母」を口演。場内にすすり泣きの声が洩れる中、気分一新して乾杯し、後は陽気に歌謡ショウ、出席者のカラオケのど自慢などで和気あいあいの時を過ごした。
 三原佐知子は「私を育ててくれた恩人たちは次々と亡くなっていきましたが、たくさんのファンの皆さんがいつも支えてくださるのを励みにここまでやってこれました。これからも、皆さんに喜んでいただける浪曲を勉強しつづけ、ファンの皆さんに恩返ししてゆきたいです」と語っていた。

 演芸殿堂入りの京山幸枝若を語る
 ワッハ上方でミニ講座

 七月二十九日、大阪府立演芸資料館・ワッハ上方で、この春演芸殿堂入りした京山幸枝若の芸と人を開設するミニ講座が開かれ、幸枝若ファンや資料館来館者約三十人が参加した。講師は芦川淳平。幸枝若の芸歴をたどりながら、その歴史が培った芸風や人となりを解説。十八番の会津小鉄について初代幸枝と幸枝若を聞き比べながら芸風の違いを説明し、参加者は幸枝若の懐かしい声に耳を傾けながら故人をしのんでいた。

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