上方浪曲ニュース最新号
2007.6-8
知事表彰受賞の四郎若祝う
道頓堀ホテルで祝賀パーティ

 大阪府知事表彰文化功労賞を受けた松浦四郎若を祝おうと、ファンの有志が六月二十四日大阪ミナミの道頓堀ホテルでパーティーを開いた。この会は、なんば新歌舞伎座裏で浪曲教室の稽古場を提供しているスナック同想会の坂本実千子さんらが計画したもの。開催は四郎若が固辞したため、本人には知らせずサプライズパーティーとして参加者を募ったところ、かねて四郎若ファンの西村真悟代議士夫妻はじめ、叶麗子ら通天閣の歌手、浪曲界からも京山小円嬢、泉和子、三原佐知子、春野ココ、菊地まどか、春野恵子、沢村さくら、中田萬夫ら一部有志、政財官芸能界から四郎若の人柄が偲ばれる約七十名が参加して、盛大に開催された。
 祝賀会とは知らず会費を払って参加した四郎若は、開会冒頭舞台の看板が裏返され「おめでとう松浦四郎若さん」の文字が表れてびっくり仰天、ファンの鈴木美恵子さんから記念に楽屋のれんが贈呈され、出席者全員から金一封が贈られた。西村代議士の祝辞、協会中田地事務局長の発声で乾杯して開宴。この後、沢村さくらの三味線で、恵子、まどか、小円嬢がお祝いの一節を披露、浪曲教室の龍田、橋本両氏も一節唸り、四郎若もお礼の一節を披露するなど、浪曲パーティー一色になった。
 後半は参加した歌手らが次々に歌で会を盛り上げ、四郎若を挟んで西村代議士らが腕を組んで「同期の桜」を歌うなど、尽きぬことなく宴は続いた。

地元ゆかりの「吉岡訓導物語」
菊地まどかが吹田濱屋敷で口演

 室戸台風で生徒をかばって殉職した教師の実話をもとにした「ああ吉岡訓導」を、舞台となった豊津小学校の地元、吹田市の歴史文化まちづくりセンター「濱屋敷」で開催された浪曲の夕べで、菊地まどかが口演した。会場は、吹田市に保存復元された昔の庄屋屋敷で、四つの座敷を打ち抜いて約八十名に観客で超満員となった。前半は芦川淳平が浪曲に馴染みのない観客に浪曲の歩みを実演をまじえて語るトークショーしみじみ日本浪花節」、第二部でまどかが吉岡訓導物語を口演した。この作品は、戦前宮川左近が時事ネタとしてレコーディングしており、これをもとに筑波武蔵が改作して京山小円嬢が吹田市民会館で口演したもの。まどかはこのネタが好きで小円嬢に付けてもらいよく語っている。当時同小学校で実際に被害に遭った人も来ており、悲劇の歴史に悲しい想い出を呼び起こして涙をぬぐっていた。

堺新風亭ひとまず最終回
新人三人に初舞台踏ませ

 堺市のラウンジ歌の広場風で毎月開催されてきた、堺新風寄席が、六月公演でひとまず休演することになり十五回の幕を閉じた。この寄席は、堺の芸能文化発信の場にしたいとオーナーの歌手京乃光さんが持ちかけて若手の道場として開席、春野ココが中心になって運営してきたもので、若手新人の勉強の場として実績を残してきた。ことに春野恵子、春野一、泉敏榮はここで初舞台を踏んでデビューした。
 六月十七日の最終回は名残を惜しむように大入りで、第一回目の昨年三月初舞台を踏んだ春野恵子が五席目のネタ「田宮坊太郎」ネタ下ろしして一年半の成長の成果を問い、地元の松浦四郎若がゲストで締めくくった。

一心寺寄席お盆公演盛況
猛暑に負けぬ場内の熱気

 一心寺八月公演は、十一日から三日間行われた。お盆期間中とあって一心寺は墓参の人でごった返し、周辺道路も大混雑。折しも連日三十五度の猛暑が続いたが、熱心なファンが詰めかけ連日六十人の入りとなった。出演は、松浦四郎若、天中軒月子、真山誠太郎、春野恵子の四人で、猛暑を吹き飛ばす熱血の舞台を披露した。

雑誌「上方芸能」が浪曲特集
浪曲人名鑑など盛りだくさん

 雑誌「上方芸能」が百六十五号で、七年ぶりの浪曲特集を組んで発売している。「浪曲が動く〜再生なるか」と題して、各界論客が浪曲のいまを分析、加えて、真山一郎春野百合子両巨頭へのインタビュー、若手新宣組の聞き書き、関西浪曲人名鑑など盛りだくさん。
 同誌の浪曲特集は、二十二号、四十八号、六十一号、八十八号、百三十六号についで六度目。そのつどその当時の浪曲の現状を映しだして記録してきた。ことに浪曲人名鑑は六十一号から毎回更新されており、関西浪曲界の唯一のデータベースとして各種メディアはじめ多方面で参照されている。
 特集内容は次の通り。「ようこそ浪曲桃源郷へ〜ここ三十年の動きと現状をもとに」芦川淳平、「関東浪曲界の現状と展望」布目英一、「浪曲世界の入り口と奥行」真鍋昌賢、「上方浪曲の明日に向けて」熊谷富夫、「ブームの兆しは未来を呼ぶか」大西信行、「おはよう浪曲からのエール」上田博章、インタビュー「真山一郎にきく」「春野百合子にきく」「浪曲新星新宣組若手にきく」、各界十二氏が綴る「今こそ復権〜浪曲へ寄せる想い」大西ユカリ、大野正雄、落合博、桂文福、くまざわあかね、小竹哲、勢井亮度、橋本正樹、林幸治郎、久松邦夫、松本昇三、吉矢正之
 価格は千五百円。注文は主要書店か発行元上方芸能編集部(電話〇六−六四四一−三三三七)へ問合せのこと。

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