『ねじの回転』    
the Turn of the Screw

 ヘンリー・ジェイムズの小説。心理描写の先駆者ジェイムズの代表作で、英米文学の中でも重要な位置を占める幽霊話です。
 田舎のお屋敷に住む幼い兄妹のもとへ、主人公である若い家庭教師ジェニーが赴任する。屋敷で幽霊を目撃した彼女は、幽霊が子供たちに憑依しているのではないかと疑いだすのだった。
 この物語の特徴は、2人の幽霊が結局何をしようとしているのかわからないという点です。それどころか、幽霊はどんなことをしたのか、幽霊になる前の2人は果たして本当は人間だったのか、そもそも本当に幽霊はいたのか、などなど不明な点が山のようにあります。話はもっぱら主人公一人の主観で語られ、邪悪なものを感じ、幽霊を目撃した気がして、勇気を出してそれを退治したと思う、というだけのことなのです。そのため、これらの疑問は読む人それぞれが違う答えを出してきました。2度目の映画化である『妖精たちの森』などはそういう解釈の一例です。
 執筆された当時はどうあれ、現代の読者にとっては語り手ジェニーの性格はどうもいただけません。感傷に流されやすく優柔不断で文章は冗長。読む人に嫌悪感を与えるので娯楽作品としては落第です。

映画化作品(年代順):
 『回転』
 『妖精たちの森』
 『ホワイト・ナイトメア』

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