2004-11-07

第五話「自分の居場所とアヒルの焼き肉」

 
いかがお過ごしですか。
前のメールを送ってから今までの間、
地震に台風にと日本はノストラダムスの大予言状態でしたね。
こちらでは、そんなことが信じられないくらい穏やかな秋を迎えています。
 
しかし最近私は少し停滞期というか、思い悩む日々が続いていました。
「自分の居場所を自分で作る」ということが(特に異国において)どれほど難しいことかを、身にしみて感じました。
所属は日文科でありながら専門は文化人類学、というあいまいな存在。
外国人で、しかも韓国語がまだうまくないという特殊性。
82年生まれでありながら4年生ではなく3年生であるという特殊性(韓国では日本と比べ物にならないくらい、年齢がものすごく意識されるのです)。
 
これらのことは、日文科のひとたちとも文化人類のひとたちとも仲良くなれる、とか
3年生とも4年生とも仲良くなれる、というメリットもあると同時に、
どっちつかずで、特に親しくできる友人ができない、というデメリットもあるのです。
それで、誕生日を一人で過ごすはめになったり、
日文科所属なのに日文科の劇の発表会ではどの学年にも入れてもらえなかったりして、
一体私はどこに居場所があるのだろう、と思いました。
そしてその思いを誰かに話したいと思ったとき、誰もいないことに気付いたのです。
 
挨拶してちょっと世間話をする程度の友達は沢山いるけれど、
大切な話を聞いてもらったり聞いてあげたりする友達がいない。
日文科でも文化人類学科でも、私は「お客さん」にすぎない。
それで今までの過ごし方を振り返り、考えて、
居場所は自分で開拓していくしかない、
やはり自分から「ここでこの人たちと仲良くしたい」と決めて、
長い時間をその人たちと過ごすようにしなければダメなんだ、と思いました。
それで、実行に移すべく、文化人類学の学科室に毎日顔を出すようになったところです。
まだ「お客さん」ですが、その意識は徐々にしかなくなっていくものではないので、今はこらえどころです。
こうやって書いてみると、なんだか中学生の悩み相談室みたいですよね。
いやはや。しかしこんな経験こそが大切なんじゃないかなー、という気がしています。
韓国と日本の人間関係の作り方や考え方の違いも骨身にしみて実感できたことですしね・・・。
 
ところで、昨日今日と、文化人類の院生と学生に誘われて、3人でセマグムというところに行って来ました。
セマグムでは、諫早湾の何倍もの規模で干拓事業が進められています。
海を閉じる水門の長さは33kmに及び、今は31kmまで出来上がっています。
完成すればものすごく広大な土地が誕生するわけですが、
その完成を食い止めようとする市民運動があり、現地調査が月一回あります。
そこでは、干潟の生態、文化などのチームに分かれて調査をするのです。
院生と学生は文化面の調査をするために毎月参加しているのだとか。
私はまだ早口の韓国語が聞き取れず、知らない単語も多いので、
調査についていっても、今何を調べているのかよくわかっていない状態がほとんどでした。
それでも、昔は繁栄していたというのに今はただただ荒廃してゆくその町を歩きまわり、
その町でくらしているひとの話に(聞き取れないながらも)耳を傾け、
埋め立てのために大きな山をごっそり削り取って今はススキ野原になっているという場所に立って、
これもまたひとつの韓国の顔なのだなあ、と思いました。
そして昨日の夕食で食べたアヒルの焼肉と、今日の昼に食べたボラの刺身の味も印象深いものでした☆
 
それでは、また長々と書いてしまいましたが、このへんで失礼します。
季節の変わり目、体調に気をつけてお過ごし下さい。



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