2006/9/4    2日に横浜・舞岡公園のすぐ近くの金子ふぁーむ・喫茶アトリエに絵の展示に行きました。つくづくいいところです。ひろーい園内には田んぼや茅葺きの古民家、沼なんかがあって、家族連れが楽しげに遊んでました。この喫茶アトリエの梅ジュースがうまい。地元の方たちがかわるがわる、やってきては、ちょちょっとおしゃべりしてコーヒーのんで帰って行きます。まわりが緑の多いせいか、なんとなくスデにいい感じなのです。梅林もきれーに手入れされてます。うちにも4本あるんで、今度、剪定のやりかたなんぞ聞いてみよう。                      
 さて夕方6時、国道一号を西へ、小田原から箱根を越えて御殿場に向かいました。富士山に登ろうと思って・・。コンビニで百円のおにぎり8つと半熟と固ゆでのゆでたまご2つ買って、御殿場から北へ向かう国道138号線を左に折れて、いよいよ須走登山口へと車は坂を登りはじめます。両脇は樹海、まさしくミドリの海なんですが、自衛隊の演習場、立ち入り禁止の札が立っていて、ときおり花火を打ち上げるような音が聞こえて来て、ちょっと不気味です。
 夜9時半、須走口駐車場はほとんど車でいっぱいです。ひともわんさか、若者のグループがはしゃいでたり、熟年のグループもヘッドランプをつけて、にぎやかに出発して行きます。なんとか空いてるところに車を止めたものの、あまりの騒がしさにかなりメゲそうになりましたが、まあ、とりあえづ、ちょっと寝るべ、と思って車の後ろに寝袋ひろげて寝てしまう。半月が少しふくらんだくらいの月の明かりで、ずいぶんあかるくて、山小屋の大きなヒカリが3つ4つ、ひとの懐中電灯がチラチラいっぱい、まっ黒なシルエットの富士の表面を動めいています。11時を過ぎると、急にあたりは静かになりました。みんなご来光に合わせて出発した模様です。車の窓から、またたく星たちをみながら、うつらうつら、七色のひかりが、ネズミ花火のように、まぶたのうらを舞ったりする。これも高度2000mのなせるわざか、などほとんど眠れぬまま、いつのまにか早々と空はシランできたのである。ご来光である。けっこう車に残ってたらしい人々が出てきている。うわさに聞いてたとうり、雲の果てのラインの、ちょっと手前から、まんまるの球体として、線香花火の最後のポッテリさんのようなのが、ズイ〜ンとでた。すんばらしい、振り返れば富士山はまっ赤だ。いやー、よかった。朝5時半、そそくさと荷物をまとめて出発だ。
 明るいというのは、頼もしい。シラカバの山道、早くも木漏れ日の中、歩き始める。まだ登山者もちらほらだ。60代とおぼしきひととしばらくならぶ、聞けば日帰りだと言う。急に気が楽になる。山小屋の予約してないし・・。すぐ熱くなってきて、3枚着てたのが、Tシャツ一枚になる。一時間もしないうちに、シラカバの林がおわって、カンカンでりの砂ジャリ道となる。人目を気にしてスニーカーだったのを、やっぱりこっちのほうがいいやと、地下タビにする。慣れてるし、すべらないし、足の裏がやわらかく地面をつかむし、あらためて素晴らしい。ビルマあたりでは、これをはいた協力隊の青年を、現地のひとは、「黒豚の足を持つ男」と呼んだらしいが、そんなことはどうでもいい。さっきのおじさんは、「タビの人も結構みますよ。」と言ってたけど、結局最後まで見なかった。でもたまにはやっぱり愛好者がおるのだろう。
 なんつったって空がまっつぁおだ。チベットの青ほど深くはないかもしれんが、相当十二分に青い。ゴミもほとんど落ちてない。振り返ればすでにソートー高い。山中湖が腎臓みたく光ってる。6合目、7合目と山小屋がある。アルバイトと思われるなかなかかっこいい若者がフトンを干したりしている。インドやネパールからそのまんまといったような、タビカサなる洗濯で、あわーくうすーくサメヌイた、ピンクの土色の服がすてきなねーさんがいる。ただ山小屋のあたりだけ、昔なつかしの肥だめのにおいがすごい。まあ、しかたないか。
 7合目を過ぎたあたりで、おにぎり2個とゆでたまごを食べる。10分ほどじっとしてると、Tシャツ一枚だと、ちと寒い。薄手のトレーナーを着るが、歩き出すとすぐ暑くなって、脱ぐ。8合目、なんだかキラキラしてくる。立ち止まると心臓がバクバクしてるのが、よくわかる。頭かかえてじっとしてる人や酸素を吸ってる人もちらほら、たゆまずぐいぐい登る。振り向くとケッコーな傾きに、ふらっとする。瞳孔が少し開いているのだろう、見えるものが妙に美しい。3500mあたりからは、かなり急なイワバでみんなの歩みも止まりがち。自分の腕や爪が黄色がかって見える。酸素不足か?それでもかまわず、よいよいっと3776m、9時半、頂上着。5合目から、4時間。
 頂上にはお店があって、薄黒く山焼けしたチベッタンみたいなにいさんやねえさん、それにオッチャンがいてた。富士のトップは噴火口になってて、かなりでかくて深い。ヒョーって感じである。お鉢めぐりをする。遠く伊豆半島、沼津千本浜あたりの海岸線も見える。天城が1300mくらいだったか、ぜんぜんひくーい感じ。今は無人となった富士山頂測候所の展望台からは、北アルプスの峰ミネが雲の上にどーんと並んでいる。関西系のおじさんが、あれが北岳、あれが焼岳なんて仲間に説明してる。結構関西弁聞きましたな。ほとんど登ったなんて言ってる。今度はオラもいったろう。いろんな楽しみがあるんだなと思いました。火口の少し平らなところに、ひかりで白く光る石を並べて、名前やらLOVEやらPEACEやらかいてある。どこかの新聞で、もってのほか!みたいに書かれていたけど、さすがに公衆便所みたいなえげつないのもないし、おもしろいしいいんじゃないかなとか思いました。この白く光る石のかけらをポケットに入れて、下に降りてから見てみたら、どうも輝かない。不思議です。
 てっぺんを一周したところで、いっぱい400円のココアを飲む。なんともうまい。ラーメンは800円だったけど、きっとうまいに違いない。お鉢めぐりに2時間。高度と疲労のせいか、なんだか変だ、フワフワしてて妙にうれしい。さて降りだす。下りは楽だ、ずんずん降りる。しばらく行くと、登りルートの横に下り専門、直滑降、かなり急な砂ジャリの道、通称「砂走り」に出る。大股にジャンプするように「走る」とザックザックと降りれる。調子に乗って、誰よりも早く300mくらい下ったところで、膝が痛くなる。急にカメのようになる。抜いて来た人々に追いつかれないように、なんとかヒョコヒョコ最後の30分頑張る。下り2時間で駐車場着。
 往復8時間で、すんげーおもしろかったんですが、膝がガクガク、けっこーヘトヘトになりました。もう登ることもあるめぇなど思ってたのが、一週間たつと、また来年登ってもいいななんて思うんです。やっぱり3776mは高かった。それと、てっぺんのあのトンだような感じ、何とも言えません。今回3人で行く予定が、二人の都合で単独行になりましたが、一人の方もたくさんいました。わいわいいくのも楽しそうですが、ひとりはマイペースで行けるのがいいですね。
 須走登山口のすぐ近くに温泉ランド(?)天恵なる施設があって帰りにはいってきました。休日だったのでなんと1500円!もとられました(平日900円)。でも仮眠できる立派な部屋があって、深夜2時までいれるそうなので、夜来る人はここで仮眠して、富士に向かうというのもできそうです。
 なにはともあれ、おおいに気がすんだ富士山でした。                                     
2006/8/27   
  これはお盆のころ、ハスの花咲く棚田で行われたお祭りの出店。竹伐ってきてひもでしばって、フランス人のnicoと作りました。竹っつのは、軽くて手軽で、やっぱりスンバらしいなと思った。いろんな連中がやって来て、いい感じ、みんなで海の秘境ツアーにも行ってきました。イカの子がむれてました。このごろタコを見ません。エイがひらひら飛んでました。マッサオなコバルトスズメが美しい。喰いつ喰われつめぐっております。
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