<DVDプレイヤー>

  Victor XV-PZ330  定価\オープン(2002年6月発売、交際期間2002年8月〜05年1月)

   低価格ながら高品質なプログレッシブ出力とスタイリッシュなデザインを合わせ持つ“才色兼備”なプレイヤー。

XV-PZ330-1
↑明るい部屋での表情。

XV-PZ330-2
↑暗い部屋での表情。

○主なスペック

  1. 映像10bit/54MHz D/Aコンバーター
  2. デジタル・ダイレクト・プログレッシブ
  3. 音声192kHz/24bitD/Aコンバーター
  4. MP3・JPEGファイル再生に対応

― 画質 ★★★★ ―

本機の映像DACは10bit/54MHzで、いわゆるオーバーサンプリングを行うものだ。
DVD本来のサンプリング周波数は13.5MHzだから、54MHzだと4倍オーバーサンプリングになる。
オーバーサンプリングという技術自体は目新しいものではなく、
CDプレイヤー等のオーディオ機器ではかなり前から用いられている。
オーバーサンプリングを行うと、高域の折り返しノイズを除去できるので、
その分高域の信号を確保することができる。つまりはノイズが減り、解像度が上がる。
最近は108MHz、8倍オーバーサンプリングを行うものもいくつか出てきたが、
4倍とどれ程の差があるのかは分からない。
それと、本機ならではの特長は、「デジタル・ダイレクト・プログレッシブ」である。
映画を収録したDVDには、映像信号がプログレッシブの状態で記録されている。
一般的なDVDプレイヤーでは、それを一旦インターレース信号に変換、
その後複雑なアルゴリズムを用いて再度プログレッシブ信号を生成している。
2−3プルダウンを用いる手法なら変換ミスは少ないが、
2−3パターンが崩れる場合も少なくないようで、この場合には変換ミスが発生し、
ジャギー(走査線のギザギザ)やチラつきとなって画像品位を落とす。
これに対し本機は、収録されているプログレッシブ信号をダイレクトに出力する。
理論的にはI/P変換のミスが発生せず、経る処理も少ないことから、
ピュアなプログレッシブ信号を出力できる
というものだ。
そしてその副作用(+の意味での)として、字幕のスダレ現象が発生しない。
一般的なI/P変換では、前後のフィールドを合成してプログレッシブ信号を生成することが原因で、
字幕の出現時・消え際に、字がくし状に見えてしまう。
これを解決できるのは、今の所「ダイレクト・プログレッシブ」だけである。

さて、前置きが長くなりましたが、画質のインプレッションです。
まずはフィルム素材から。最初インタレース出力を見て、少ししてプログレ出力にすると、
映像がシャキッとする。まず、色純度が高い。プログレにすると色の濃さ自体が上がるので
だまされてる感もするが(笑)、色づきが非常に良い。
そして、前彼女の「DV−S5」との比較では、画面全体のノイズ感が少なく、
解像度も若干高い印象を受ける。横並べ視聴をした訳ではないので、あくまで“印象”である。
ジャギー、走査線の不自然な挙動、チラつきは見受けられず、非常に安定した映像。
とにかく、画質的には一級品だ。
字幕のスダレ現象も皆無。これで気が散ることなく安心してプログレ映像を楽しめる。
続いてビデオ素材。
他社のDVDプレイヤーでは、ファロージャの「DCDi」等を搭載して、
ビデオ素材の高画質をアピールしている三菱などもあるが、
本機はビデオ素材についてはアピールされていない。
ビクターのディスプレイでは、そのI/P変換アルゴリズムは業界最高レベルだが、
そのアルゴリズムは本機には使われていないようで、説明書にも
「ビデオモードでは前後のフィールドを合成します」としか書かれていない。
実際の映像。映像が甘く、のっぺりしている。
人が動いたりすると、走査線がモタつく印象。
ノイズ感は少ない。
プログレ出力からインタレース出力にして、ディスプレイ側でI/P変換を行わせると、
途端に映像がシャッキリ!動きがある部分も自然だ。
「本機は、ビデオ素材のI/P変換は下手だ」と言うべきか、
「ビクターのディスプレイのI/P変換が上手いのだ」と言うべきか、どちらか迷うが、
少なくとも本機は、ビデオ素材よりもフィルム素材に重きを置いていると言ってよいだろう。

― 音質 ★★★★★ ―

音声DACは192kHz/24bitに対応した、ビクター独自のPEM・DDコンバーターを搭載。
だが、私はアナログ出力は使わず、デジタル出力しか使わない。
デジタル出力では、私には音の違いが分からない。
とにかく、音質に関しては不満はないので、★は5個にしとく。

― 操作性 ★★★★ ―

ディスクの読み込みは速い。DV−S5との比較では差が歴然。
リモコンは持った感じは安っぽいが、ホールド感はいい。
ボタンの大きさにも差がつけられていて、まずまずの操作感だ。主なボタンは蓄光式。
本体のボタンは上から押すタイプ、正面からではどれが何のボタンなのか分からない。
でもまあ本体を操作する機会も少ないし、POWERとイジェクト、再生ボタンだけ
分かればいいから気になりませんが。
本体前面にはインジケーターがあり、プログレ出力を使用している時に点灯する。
しかもフィルム素材では緑、ビデオ素材では赤に点灯するので便利だ。

また、プログレッシブ出力とインタレース出力がリモコンで切換可能。
他社では背面の切換スイッチで切り換えたりするが、本機は便利だ。
ディスク再生中に本体に近づいてみると、動作音がほとんど聞こえない!!
「ホントにディスク回ってんの?!」と疑りたくなる位だ。
CDプレイヤーとして使う際、ランダム再生はメニューで指定せねばならず、
テレビをつけなければならない。ちょっと残念。

― デザイン ★★★★ ―

本体はアルミなどを使っている訳ではないが、一見してあまり安っぽくなく、スタイリッシュだ。
ボタンを押した感触だと、本体の剛性はあまり高くない。
トレイの開閉が、安っぽいのが残念。ただトレイの開閉スピードは速く、速くするために
トレイを軽くした結果だとしたら止むを得ないかなと思う。
それにしてもブルーのイルミネーションがまことにキレイ。\(゜∇゜)/
明るい部屋での表情と、部屋を暗くした時の表情の変化がシビれる。
なお、イルミの明るさも変えられる。この辺も芸が細かい。

― 総評 ★★★★ ―

収録された信号をダイレクトに出力するという手法は最も素直で、ピュアな信号を確保できる。
字幕のスダレ現象を解決する唯一の手段でもある。
ビデオ素材では詰めの甘さを露呈したが、まあこの価格帯では難しいか。
それに私の場合はディスプレイのI/P変換が優秀なので、ビデオ素材はインタレース出力にすれば済む。
俊敏さと静けさを両立した動作、インジケーター、リモコンでのI/P出力切換など、実用性も高い。
そしてこのデザインは大きな武器だろう。部屋の雰囲気さへ変えてしまう力を持っている。
さらに2万円を切るという低価格!すごいぞビクター。
映画を見るためのDVDプレイヤーとしては、イチ押しだ。

― 三ヶ月付き合って ―

画質についてだが、映画を見る分には全く不満がない。高画質。
ただ、ビデオ素材のプログレ出力はやはりいただけない。
ホントに単純に前後のフィールドを合成しているだけと見えて、動きがある領域で走査線がモタつく、
あるいは絵柄が走査線状に残ったり(字幕のスダレ現象のようだ)する。
ビデオ素材のソフトはあまり見ないと思っていたが、映画DVDの特典映像はほとんどビデオ収録。
その度にリモコンでインタレースに切り換えて見ている。
プログレ出力を持つDVDプレイヤーとしては、“片手落ちである”と言わざるを得ないだろう。
映画ソースを完璧に見せてくれるのはビクター製だけなので、ビデオ素材の手落ちが余計に口惜しい。

デザインは相変わらずシビれる。

最近JPEG・MP3ファイルを再生する機会があったのでその報告。
JPEGファイルは、上から画面を走査するように1ラインずつ画像が出てくる。
2,300KB程しかない画像なのに非常に遅くて、1画面出るのを待っていられない。ツカえない。
MP3は、画面でフォルダ状況を見ながら選択できるので選曲しやすい。
が、タイトルは英数字の半角のみ、日本語が入った曲名は「TRACK**」と表示されてしまう。
これはどこのDVDプレイヤーでも同じだが、残念。
それと、特定の曲がスキップされて再生できない現象が発生。原因は不明。
またMP3再生では、早送り、プログラム、ランダム再生等は不可。
MP3再生機能はおまけとして考えた方がよい、というかやはりPCで聴くものなのだろうか。


DVDレコーダー導入後はCD専用機として活躍、その後友人Kさんに愛された。




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