ソニー RDZ−D70       定価\オープン (2005年11月発売、06年4月購入)


 随所にソニーらしさを盛り込んだ高品位ハイビジョンレコーダー

正面


    主な特徴

1.HDD250GB搭載
2.ハイビジョン映像を高画質にDVDにダビング「ダイナミックVBRダビングPRO」
3.ジョグを使った高速レスポンス操作が可能なXMB(クロスメディアバー)
4.HDMI端子装備、1080i/720アップスケーリング機能、金メッキ端子
5.USB、メモリースティック、CD−Rから取り込んだ写真で感動的スライドショーを
  作成する「x−Pict Story HD」
6.HDVカムのハイビジョン映像を取り込める「おまかせHDV/DVダビング」
7.見たい番組を自動録画「x−おまかせ・まる録」、デジタル・アナログ同時録画



    画質   ★★★★

 ハイビジョン放送の録画はストリームの記録・再生になるので、劣化は分からない。
 80インチのスクリーンに投写して見ているが、本当にきれいだ。
 データ量が比較的少ない地デジでも、ブロックノイズやモスキートノイズが
 目立つわけでもなく、「きれいだ」と実感しながら視聴できる。
 ハイビジョン放送・録画については画質の不満なく使える。
 
 本機はフォーマット変換機能がついており、映像をD1(525i)、D2(525P)、
 D3(1125i)、D4(720P)にして出力することができる。
 ハイビジョン放送をLP−Z4に対して720Pで出力するか
 1125iで出力するかでは差異は見出せなかった。
 DVDを1125iで出力すると、映像がなまり気味で鮮鋭感不足を感じた。
 DVDは525iで出力して、Z4でアップコンバートした方がくっきりした映像になった。
 
 DVDへのムーブ画質。ハイビジョン放送をストリーム録画したものを
 ムーブする際には2パスエンコードが適用される。
 1枚のディスクに90分録画できるXSPモードは計算上の平均レートは
 6Mbpsの中ほどになるが、ハイビジョンの解像感を良く残し、
 大きなノイズもなく十分高画質と言える品位。
 120分のSPモードは動きがもっさりする感じが出てきたり、
 観客がたくさんいるスタジオ収録の番組など複雑な絵柄では
 ジラジラが増えてくるが、まあ実用的な範囲に収まっているかと思う。
 2パスエンコードの効果は実感できた。
 本機では150分のLSPモード、180分のESPモードまで解像度が落ちない
 仕様のようだが、物体が動くとさすがに厳しい。
 高解像度を保つということは、それだけ圧縮の際に生じる量子化ノイズに
 手が回らなくなるので、ジラジラやブロックを発生させてしまう。
 最近のDVD業界では「長時間でも高解像度」というのを売り文句にする
 流れになっているが、考えものである。



    音質   ★★★★★

 デジタル放送は音声のダイナミックレンジが広く、やはり高音質だ。
 それを十分に再生してくれていると思う。
 DVDへのダビングではドルビーデジタルになるが、
 180分のESPモードでも圧縮歪は感じなかった。



    操作性   ★★★★★

 本機はXMB(クロスメディアバー)というジョグによる親指操作で
 ほとんどの操作が可能で、また操作が完結する。
 そしてまた動作が高速でレスポンスもすこぶるよい。
 さまざまな機能に対して、それぞれボタンを設けてダイレクトのアクセス性を
 上げるよりは、メニューでジョグの高速動作によって操作性を上げる方を
 個人的には評価したい。おかげで本機のリモコンは他社と比べて
 リモコンがシンプルになっている。
 そして、普段使う部分は中央のジョグ周辺と再生・早送り・スキップぐらいで、
 フタを開けると録画や映像・音声切換などのボタンがあるが、
 まず使わない。非常に扱いやすいリモコンになっていると感じる。
 
 唯一、D1〜D4の出力解像度設定切換だけは本体前面部の
 ボタンでしか変えることができない。
 操作中にメニューを出したり、設定中に画面が切り換わったり、
 何か画面に変化がある時にはほとんどフェードが使われ、
 目に不連続感を感じさせることがないし、うまく高級感を演出している。

 番組表は新聞欄方式で、1画面に最大4チャンネル、3時間分の表示で
 情報量は多くない。

 再生時にはフラッシュボタンがあり、15秒飛ばしと10秒前に戻ることができる。
 CM飛ばしは、録画の時にCMの入りと終わりに自動でチャプターが付くので、
 なんと「次」のボタンを1押しするだけである。またこの自動チャプターの
 精度が高く、まず間違いなくCM明けに飛んでくれる。非常に便利だ。
 番組を再生中に次回予約ができるのが助かる。



    編集・ダビング   ★★★★

 デジタル放送のムーブはプレイリストには対応していない。
 つまり録画データ自体を編集した後にムーブすることになる。
 編集は分割・結合、A−B消去などがあり不自由はない。
 データ量が多いハイビジョンでも編集操作、コマ送りなどの
 レスポンスが高くストレスを感じない。
 
 ムーブ中は画面が固定され、無音。ムーブするコンテンツを再生するわけでもないし、
 放送中の番組を見ることもできない。予約録画すら実行されない。
 今の時期ではデジタルチューナーがレコーダーだけという状況も少なくないと
 思われるが、デジタル放送すら見れなくなるというのは困る。
 長い時間のムーブは寝る前とか、風呂に入る前に開始するとか、工夫しないと
 にっちもさっちもいかなくなる。
 
 タイトル入力は数字キーを使ったいわゆる携帯電話方式だ。
 レスポンスも早く、スムースに入力が行える。



    フォト機能   ★★★★★

 本機はメモリースティック、USB、CD−Rなどから写真を取り込むことができる。
 我が家ではFinePixF10を前面のUSB端子に接続したところ無事認識された。
 写真を取り込まなくても、認識させた状態で見ることができるので、
 要は本機をUSBからD端子/HDMIといった映像信号への変換機としても
 使えるということ。写真をハイビジョン信号に乗せ替えて80インチで見ると
 迫力が増して感動もひとしお、写真の新たな楽しみ方を発見する思いだ。
 画像を調整しているのか分からないが、解像感、色、コントラスト感とも素晴らしい。
 
 取り込んだ静止画から、ムービーを作り出す「x−Pict Story」。
 フェードイン/アウト、ズームイン/アウト、ワイプ、スクロールなどを駆使して、
 32種類の中から選択した音楽に合わせて2分間のムービーが作られる。
 32種類の音楽それぞれで異なる映像効果になる凝り様である。
 これはまさに感動的。これだけで数万円くらいの価値はあるのではないかと思うほど。
 もう絶賛である。自分で撮った写真をもとに、これだけの水準に昇華できるのは驚異。
 さらに、画質はハイビジョンではなくなるが、ムービーをDVDにダビングできる。
 友人の結婚式の写真をムービーにしたら大変に喜ばれた。あげた方としても嬉しい。
 
 ムービーでは写真の一部を切り出して使う場面があり、その切り出し方は本機任せ、
 顔が切れていたり、変なところにズームが当たったりしてしまうこともある。
 その場合は何度かやり直すとうまいムービーができる。
 ただし、写真の取り込みが遅い。3Mピクセル、750KB程度の写真を40枚ほど
 取り込むのに10分くらいはかかっただろうか。



    デザイン   ★★★★★

 光沢塗装がしてあり、手触りも柔らかいフロントパネル。やや角度がついて
 そこにボタンが配されているのもよい。下部が黒、上部がシルバーというのは
 シンプルながら引き締まった感じでよい。
 
 ディスクトレーの開閉も静かでよい。また動作音も静かな部類。
 XMBを配したリモコンも、適度な重さ、裏面には細かな溝が施され、
 塗装も比較的上質。



 ※おまかせ・まる録、HDVとの連携は未使用のためコメントは省略。


    総 評   ★★★★

 本機の価格は、同じHDD容量の他社モデルと比べると若干高い。
 まあ私はそれだけの価値があると踏んで購入したわけなのだが、
 実際に使ってみて、予想以上の満足度を感じている。
 「付加価値」という言葉がよく使われるが、「付加価値をつけて高く売る」という
 ことはどういうことか、まさに本機がそれを体現している。
 ただし、その付加価値のためにコストがどれだけかかって、
 当初の店頭予想価格の半分の値段で利益が出ているかどうかは不透明だが・・・
 
 ハイビジョン高画質、シンプルながら高速な動作、美しいGUI。
 写真やビデオカメラを上手に取り込み、「単なる放送の録画・再生機」で
 終わらせることなく家庭の中で不可欠な存在となり得るところまで持ってきた。
 それを上質な筐体に包み込み、技術と感性とが高い次元で融合した商品に
 仕上がっている。ムーブ中は何もできないという仕様だけが唯一の欠点だが、
 それを補って余りある魅力が本機にはある。






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