<HDDレコーダー>

  Victor HM-HD1   定価\オープン (交際期間02’11月〜03’11月)

   地上波チューナーと40GBハードディスクを内蔵したHDDレコーダー。

DT-DR1

○主なスペック

  1. MPEG2エンコーダ&デコーダ搭載
  2. 40GBのハードディスク
  3. 追っかけ再生&HDD同時録画再生など、多彩な再生機能

― 画質 ★★★★★ ―

HDDレコーダー自体の解説は、「AV−eye」の「HDDレコーダーがTVライフを変える!」を
御覧頂くとして、ここでは本製品についてレポートする。

本機はMPEG2エンコーダを内蔵し、動画像をA/D変換、圧縮した後にHDDに記録する。
記録形式は可変ビットレート(VBR)であり、効率的な記録が行える。
本機はSP(8.4Mbps)、LP(6.4Mbps)、EP(3.2Mbps)、SEP(2.2Mbps)の4種類の録画モードがある。
SPでは、録画したことを感じさせない映像が得られる。
解像度の劣化はほぼゼロ、安定した映像はデジタル録画ならでは。色純度も保たれる。
MPEGの仕組み上最高周波が削られるので、ザラザラしたノイズが消えて見やすくなる。
音楽番組などで、動きの激しい部分で不安を感じなくもないが、
それは一生懸命になって重箱の隅をつつくような見方をすればのこと、
普通に見ている分には全く問題がない、文句のない映像だ。
地上波ソースを録画する器としては、SPは十分な情報量があると言ってよい。
LPはSPに迫る高画質、大健闘だ。
一般的には最も使われると思われるモードだけに嬉しい。
「プロジェクトX」を録画したが、原画に比べると“きらっ”という感じがなくなるが、
解像度は十分保たれている。ブロック歪などの大きな劣化はないに等しい。
普通に見ている分には、劣化があることを意識せずに見られる。
このようなドキュメント番組なら、SPを使うのはもったいない。LPで不満はないはずだ。
EPは一気に劣化が目立ってくる。
明らかに映像がなまり、解像度の低下は明らかだ。
動きのあるシーンではブロックノイズとまではいかないが、ジラジラしたノイズが見られる。
ただ、デジタル録画の特長で、字幕など静止している画像が安定しているため、
パッと見は見やすい映像ではある。「特命リサーチ200X」を録画したが、
もともとのソースがそれほど高品質ではなく、静止画が多かったせいもあって、大きな不満はなかった。
SEPはEPの印象をもう1ランク落とした感じだ。
動きが少しでもあるとジラジラしたノイズが絡む。小さな画面なら使えるかも知れないが、
ワイドテレビなどでは劣化が気になる。

― 音質 ★★★★ ―

音声記録はMPEG1オーディオレイヤー2、ビットレートは不明だ。
「HEY×3」など音楽番組を録画したが、
低ビットレートのMP3のような圧縮臭さはなく、劣化はあまり感じない。
高音が整理される印象はあるが、ダイナミックレンジが大きく狭まることもなく、
低音などもしっかり出ている。高音のきらめきもきちんと再現、ノイズが絡んだりすることはない。
本機は、非圧縮であるリニアPCM記録には対応していないが、
地上波を録画する上では必要ないのではと思う。
まさかEP、SEPモードでは音楽番組を録画しないと思うが、
バラエティなどでは人の声など中域の聞きやすさを重視しているようだ。

― 操作性 ★★★★ ―

電源ボタンを押して起動してから操作を受け付けるまで10秒程かかる。
それはいいのだが、チャンネルを変える時には、出画するまで3秒程かかる。
録画を開始・終了する際にも5秒程画面が止まる。
これはDVDレコーダーなども含めたディスクメディアのデジタル録画機器に特有の現象で、
本機だけではないが、アナログ機器ではなかった現象であり、やや気になる。
しかしその中では動作は速い方だと思う。
メニュー画面を押すと、録画済みの番組がサムネイル画像と一緒に表示され、
見たい番組を選択して再生すると、すぐに出画。すこぶる快適だ。
サムネイル画像は、デフォルトでは録画開始時の画面が表示されるが、
後で自由に変更可能で、「HEY×3」と画面に出たシーンを採用すれば後で分かりやすい。
録画済みの番組を消去する際も、番組を選んで「消去」を押せば2,3秒で完了。感動だ。
リモコンはよく使うボタンが大きくなっていて押しやすい。

― 特殊再生等 ★★★★★ ―

本機は×1.5、×3、×5、×15、×60、×360と、きめ細かいサーチができる。
サーチ画像はすぐに出画し、しかも出画枚数が多いので滑らかだ。
見たいシーンを探す、あるいは見たくないシーンを飛ばすといった操作が非常にスムースに行える。
特に1.5倍速は音声も出る。その映像は滑らかで、音声も非常に聞きやすい。
この類の機能はいろいろあったが、本機のものは優秀だ。ツカえる。
CMをカットしながら録画する機能はないが、再生時に自動でCMを飛ばす機能がある。
番組がモノラル・二重音声の場合しか動作しないが、CMの存在に気付かない程だ!!
これならCMカットは要らない(というかMPEGの性質上、つなぎ録りが下手なためだろう)。
ステレオ番組でも「CMスキップボタン」があって、30秒単位で映像を一瞬で(!)飛ばせる。
CMというのは30秒単位なのが普通なので、例えば2分のCMであれば、
このボタンをポン、ポン、ポン、ポンと4回押せば、ものの2秒程でCMが飛ばせる。便利!

― 追っかけ再生・HDD同時録画再生等 ★★★★★ ―

HDDレコーダーの特長である機能について。
追っかけ再生は、ある番組を録画中に、その番組をさかのぼって見ることができる機能。
録画途中に帰宅した場合など非常に有効だ。それ以外にも、見逃した、聞き逃したシーンなどを
録画中にもかかわらず戻って再生できるというのは便利なものだ。
また、録画中でも、録画済みの他の番組を再生できる。
以前録りだめした番組を順番に見てる時に、録画したい番組があったら、以前は一時中断しなければ
ならなかったが、そのまま続行できるということだ。
そして、本機は普通にテレビを見ている時でもHDD録画を行っていて、
いつでも一時停止・さかのぼって再生ができる。

過去のデータは、デフォルトではLPモードで記録されているのだが、
その高画質も助かって、今見ている映像が今なのか、過去なのか、注意していないと混乱する。
本機の愛称は「タイムサーフィン」だが、確かに時間を自由に操っているという気がする。

― 編集機能 ★★★★★ ―

他の録画機器を接続して、本機で録画した番組をテープ・ディスク等のメディアに落とすことを
想定した機能が用意されている。「簡単保存ナビ」「簡単編集マルチダビング」だ。
前者は、録画したい番組を、番組単位で指定すればそれを自動的に再生してくれる。
後者は、1つの番組の中で録画したい部分だけを指定して再生してくれる。
その指定も、「から」「まで」の2つを次々と指定していくだけ、分かりやすい。
私はD−VHSデッキを所有しているので、HDD+D−VHSの擬似Wデッキを実現しているが、
この機能を使えば、効率よく、高品質なライブラリの構築が行える。
本機は高画質で、編集機能も充実しているから、「編集のための一時サーバー」と捉えても、
その役割は十分に果たせると言える。

欲を言えば、i−LINKやD端子出力があれば良かった?!

― デザイン ★★★ ―

コストダウンの波を感じますねぇ。というか実際安かったので、あまり文句は言えませんが、
樹脂製の本体はいかにも安っぽい。形状とか、ボタンの配置などはいいのだけど。
マニアにとっては、かつてのアルミパネルの豪華なS−VHSデッキが恋しくなるのであります。
そう、本機の背面には冷却ファンがあり、起動すると常時回っている。
動作音は、TVを見ながらの使用では気にならないだろう。
寝てる間の録画予約など静かなところでは、そりゃあ動作音聞こえるけど、
目を覚ます程ではないし、普通のビデオデッキでも動作音はある訳で・・・

― 総評 ★★★★★ ―

「地上波をメインソースとするユーザーを対象に、自在に録る・見るスタイルを提供する」
という目的は十分達成されている。EPG(電子番組プログラムガイド)や、
ゴーストリダクションチューナー、D端子、i−LINKなどは非搭載だが、
それを要求するユーザーは、また違った製品でターゲットにしていくのだろう。
下手に価格を上げる要因は排除し、現行のビデオデッキから無理なく移行でき、
それでいて今までにない使い勝手の良さを味わえる、という点では
非常にうまいまとめ方をした製品だ。
「HDDレコーダーは、一度使ったらもう手離せない」うむ、確かにその通りだと思う。

― 三ヶ月付き合って ―

HDDレコーダーの便利さにどっぷり浸かっている。
画質については、上記の印象と変わりない。不満はない。
40GBという容量だが、足りないと思うことはたまにある。
だがそういう時は、見ていない番組が溜まってしまった時なので、普段は問題ない。
最近のHDDレコーダーは160GBという大容量になっているが、
結局、容量がいっぱいになって番組を削除するのが後に回るだけだと思う。
ソニーのコクーンのように、「おまかせ録画」機能があるなら別だけど。
取りあえず本機で録画し、その後D−VHSに落とすという使い方が非常に重宝している。
TV番組を残す際に、不要なシーンというのは結構あるもので、ライブラリの構築には大助かりだ。
ただ、録画したデータを再生する際の編集はできるが、データそのものを編集するわけではない。
1時間番組を録画をするつもりが、うっかり停止ボタンを押し忘れて5時間くらい録画してしまって、
容量が逼迫した時は、1時間から後を削除できれば良かったが、本機ではできない。
特殊再生の滑らかさも、改めて感心する。CMはサッと飛ばせるし、
2時間番組でも見たいシーンを探すのはあっという間。素晴らしい。
フリーズしたことが2回くらいあった。
これでジャスト4万円は、お買い得。本当に良い買い物をした。

― 別れた原因 ―

パイオニアのHDD/DVDレコーダー「DVR−515H」を買ったので、使わなくなった。
しかしHDDだけを取ってみると、同じHDDでも本機の方が使い勝手が良かった。
サーチの滑らかさ(出画枚数が3倍は違う?)、レスポンスの良さ、音声付き1.5倍速再生、
360倍速の高速サーチなど、本機ならではの魅力に、比較対象が現れて初めて気づいた。
別れるのは惜しかった。でもHDDが2台あっても困るし、手放したけど。
友人のS・Kさんに売却、愛された。




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