パイオニア DVR−515H   定価\オープン (2003年10月発売、使用期間03年11月〜06年1月)


 マルチタスク機能・快適操作のHDD/DVDレコーダー!

正面



    主な特徴

1.HDD120GB搭載・最長153時間録画
2.最速24倍速ダビング
3.ダビング中でもHDDの録画・再生が可能なマルチタスク機能


    録画画質   ★★★★

 最高レートのFINEモード。自動的に音声がリニアPCM記録になるため、
 10Mbpsのうち音声は2M、映像には約8Mとなる。
 従って最高画質を得たい場合は、マニュアルレートの31番目に設定すると
 9M程度が映像に割り当てられることになる。
 その画質は、デジタル録画ならではの安定度が高い映像だ。
 録画したものとはまず分からない。不満はない。
 今まで使っていたHDDレコーダー「HM−HD1」との比較になるが、
 動きがある部分でブロックノイズあるいはジラジラしたデジタル特有のノイズが
 少し目立つ気がする。
HD1では最高レートが8Mで、映像が破綻することは
 ほぼなかったのだが、本機では8M以上でも少し気になる場面がある。

 私はプロレス、音楽番組などを主に録画しているが、
 私が満足できる画質だとDVD一枚に80分くらいがメドになっている。
 この場合ビットレートは7Mbps程度の計算になる。
 それ以下になると動きのある部分でノイズが目立ってくる。

 5MbpsのSPモード。動きのある部分でだいぶ映像が崩れる。
 もっとも、字幕などはビシッとしたままで、画面全体の「キラッ」とした感じが
 若干後退するだけで、トーク番組ならば十分に用を足す。
 解像度は2時間20分位まで720×480画素のフルD1のようなので、
 動きが少なければ使い物になる。

 SPより下のレートは使ったことがないので報告できない。120GBもあればFINEしか
 使わないし、DVDも保存するんだったら綺麗なSP以上しか使わないし。



    プログレッシブ画質   ★★★★

 シネマ素材。「マトリックスリローデッド」を短時間見たが、優秀だ。
 字幕のコーミングもなく、精細感もある。使える。
 ビデオ素材。こちらは芳しくない。モタッとした甘い映像になってしまう。
 ただ、映像がクシ状に見えてしまうなどの大きな破綻はない。
 ビデオのI/P変換を上手くやろうとすると、フレームメモリと
 演算素子が必要になるので、やはり高級機でないと無理なのか。



    音質   ★★★★

 FINEとマニュアルの最高(MN32)でリニアPCMが選択され、
 それ以外は256kbpsのドルビーデジタル音声となる。
 スピーカーで聴いてる限り、両者の違いは分からない。
 ヘッドフォンで聴くと、ドルデジにはMP3のような「シュワシュワ」という
 ノイズが聴こえるのだが。ただ私的にはドルデジで十分。



    使い勝手   ★★★★

 HD1と比べると、同じHDDでも違いがあるんだなぁと感じた。
 サーチは4段階あるのだが、出画枚数が少なく、コマ飛ばしのような映像。
 要はDVDのサーチと同じなのだ。HDDならではの転送レートの高さが生きていない。
 再生中に一度「早送り」を押すと、ぎこちない動きの2倍速再生となる。
 音声付きだが、途切れ途切れで内容の把握は難しい。
 HD1で「トリビアの泉」などは1.5倍速で見てたので、残念。
 高速サーチは、目的の場面を探す時に結構使うものだが、出画枚数が少ないので
 目あての場面を行き過ぎてしまうことがしばしば。
 HD1との比較では出画枚数が1/2〜1/3程度という印象だ。
 
 CM飛ばし専用のボタンがあり、1押しで30秒スキップだ。
 HD1にも同じ機能はあったが、本機のはボタンを押してから飛ぶまで
 少しタイムラグがあり、もどかしい。
 モノラルや二重音声で効く、自動CMスキップ機能はない。これも残念。
 
 起動が早い。電源オンしてすぐにHDDの録画済み番組を見ることができる。
 ディスクの読み込みも早い部類。
 
 タイトルリジューム機能が便利だ。録画済み番組を見ていて途中で止めた場合、
 その場所を覚えていてくれて、後で再生した時には勝手にそこからスタート。
 モーションサムネイル。再生する番組を選ぶときに、カーソルを合わせると
 冒頭から再生が勝手に始まり、内容を確認できる。
 
 HDDの録画同時再生だが、本機は外部入力でもOKだ。
 D−VHSの内容をHDDに落としつつ、他の録画済み番組を見れたりする。



    ダビング   ★★★★

 売りとなっている高速ダビング、確かに使うと便利だ。
 DVD−Rに30分程度の内容をダビングするなら、FINEでも7分程度、
 SPでは3分もかからない。
トイレに行って帰ってきたらダビング終了!
 ただし、レート変換ダビングの時は等速になる。
 つまり高速ダビングを使いたければ、HDDに録るときの録画モードと、
 DVDに残すときの録画モードを同じにしなければならないのだ。


 たとえば、2時間番組を録画して、編集せずに残すならSPモードで問題ないが、
 編集する場合は、編集して何分くらいになるか予測して、DVD一枚に入る
 レートでHDDに録画しておかなければならないのだ。
 普通そんなことは事前に分かるわけがないので、私はとりあえず、
 全ての番組をFINEのような高レートで録っておいて、編集した後で
 ディスクいっぱいに合わせる「ジャストダビング」を使うか、
 もしくは最初から妥協して、7M程度の許せる画質でHDDに録って、
 後で高速ダビングをするか、の2パターンになっている。

 またフレーム編集がオンの場合つまり編集ポイントを1フレーム単位で
 選択できるようにした場合も等速ダビングとなる(オフでは15フレーム=0.5秒単位)。

 売りのもう一つ、マルチタスク機能だが、これも制限があり、
 高速ダビング中のみに働く。等速ダビング中は操作を受け付けないのだ。
 さらに等速ダビング中は予約録画すらも実行されないので、注意が必要だ。
 「高速ダビング」「マルチタスク」ともに、使い方に制限がある。

 DVDからHDDへの書き戻しも、自動的に高速ダビングとなる。
 DVDディスクを複製したり、コンテンツを移動したりする時には便利な機能だ。



    編集機能   ★★★★★

 本機はGUIがよく整備されている。といっても私はHDD/DVDレコーダーは
 初めてだし、定評ある東芝のRDシリーズを使ったことがあるわけでもないので、
 他と比べて、という意味ではない。

 ダビングは「ホームメニュー」から行う。プレイリストを作るタイプ。
 録画したデータ自体には手を加えず、カットしたい部分にチャプターを打ち、
 不要なチャプターを消去して再生リストを作る。
 チャプター打ちは、コマ送り機能があるのでやりやすい。
 ただ「HDDの使い勝手」で述べたが、サーチの出画枚数が少ないので
 チャプターを打つ場所を探す時がやや苦労する。

 タイトル入力は、画面上のキーボードをカーソル移動で打つ方式のほか、
 携帯電話方式も使える。しかしボタンの反応が遅く、ゆっくり押さないと
 文字が進まない。携帯電話の素早いクリックに慣れた私にはかなりもどかしい。



    デザイン   ★★★★

 薄いのはいい。けどなんか無機的な感じがするんだよね。
 のっぺらぼうみたいな。具体的にどこがとは言えないけど、なんかねぇ。

 動作音は非常に静か。寝ている時の予約録画も邪魔にならない。
 トレイの開閉がスムーズでよろしい。



    総 評   ★★★

 HDDレコーダーとしての使い勝手がそれまで使っていたHD1よりも大分落ちたので、
 それが不満となっている。HDDとしての基本機能である滑らかなサーチ、
 自動CM飛ばし、また音声付1.5倍速再生も欲しかった。
 画質については、DVD自体の限界かもしれないが、もう少し頑張って欲しかった。
 HDD/DVDのハイブリッドレコーダーとしての使い勝手は良い。
 ただ高速ダビングとマルチタスク機能が意外と制限が多いので、
 真のタイムセービングにはつながっていない気がする。
 本機は「ダビングの便利さ」に重点を置いたモデルという気がする。
 私がハイブリを購入した目的の一つに、「今までのVHS資産をDVD化する」という
 のがあったのだが、その意味では本機を購入したのは最適だった。




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