<D−VHSデッキ>HITACHI DT-DR1 定価\オープン (2001年9月発売、使用期間02年8月〜04年1月)BSデジタルと切り離し、アナログソースの録画に絞ったハイC/P・D−VHSデッキ。 ○主なスペック
― 画質 ★★★★★ ―本機は、「D−VHS=BSデジタル録画」というイメージを崩し、i−LINKを省略してMPEG2エンコーダ&デコーダを搭載、 地上波&アナログ入力の録画のみを行うビデオデッキだ。 本機の地上波チューナーはGRTではないが、3次元Y/C分離を搭載していることもあり、 ノイズが非常に少なく、素直な描写だ。解像度は普通か。 STDモード。 これは、はっきり言って、画質云々を議論する余地はない。 何が言いたいのかというと、「録画したソースの映像と同じ」なのである。 入力ソースをそっくりそのまま録画、そっくりそのまま再生しているのである。 そこに録画・再生というプロセスが入っていることを感じさせない、 まったくクリーンな映像だ。完璧である。 エッジには微塵の揺らぎもない。エッジノイズもない。 コントラストが後退することもない。解像度も落ちているようには見えない。 またVHSのように色信号を低域変換することもないので、 広い面積に色がついている部分でもザワつきがない。色の純度が高い。 こうもあっさりと高画質が得られてしまうと、何だか拍子抜けという気もしてくる程だ。 MPEGが弱点とする動きの激しい画像、明滅する画像でも、ブロックノイズは全く気にならない。 NTSC映像を受け止めるには、12Mbpsは十分な情報量だと言えるだろう。 続いてLS3モード、「ミュージックステーション」を録画してみた。 エッジの安定性はデジタル録画の特長だろう、字幕は安定している。 解像度の低下は「多少」の範囲に収まっていて、許せる範囲内だ。 トークの場面のような静止画の多い映像を見ている限り、 ジラジラしたノイズがないので、大きな不満は感じない。 そして動き&明滅の激しい画像だが、途端にジラジラしたノイズが増える。 特に絵柄が複雑な部分が動くと、ジラジラが目立つ。しかしいわゆるブロックノイズという感じではない。 LS3はSTDモードに比べると情報量は1/3なのだが、 連ドラやバラエティに対象を絞れば、十分な器だと思う。 解像度の理論値はSTD=500本、LS3=400本。 STDの情報量の多さは、この解像度100本分と、動きの激しい部分などで 破綻を来たさないための余裕として使わていると言える。 なお、ドロップアウトなどによる画面の乱れは現在の所皆無だということを付け加えておく。 ― 音質 ★★★★★ ―本機は通常ではMPEG2オーディオレイヤー2、384kbpsの音声記録を行う。本機は、スペックではCD以上の音質を誇るリニアPCM記録に対応しているが、 まずはリニアPCM記録を“オフ”とし、地上波の音楽番組を録画してみた。 ん・・・・??これが圧縮音声なのかと耳を疑う。不満がないのだ。 パソコンで聴くMP3のような、いわゆる“圧縮臭さ”は感じない。 低音から高音まで伸びのある音、パワーもある。 これではリニアPCMの出番がないのでは??BSの音楽番組なら使ってもいいかも。 リニアPCM記録を行うと、映像に与えられるビットレートが11.3Mbpsから9.4Mbpsへと、 約2Mbpsも減ることになることから考えても、普段は圧縮音声記録で間違いないだろうと いうのが私の感想だ。 ― 操作性 ★★★★ ―まず、GUIがキレイである。様々な設定も、カーソルで動かして決定ボタンという流れでスムーズ。メニューも非常に充実しており、分かりやすい。ヘルプ機能まである。 テープナビは、ラベル貼って中身に何が録画されてるか紙に書いて・・・ という整理癖がない人にとっては重宝するだろう。 私は整理癖があるので、テープナビは使わない。 リモコンはボタンがやや小さいか。 ― 特殊再生等 ★★★ ―D−VHS(というよりはMPEG2か)の規格上、再生ボタンを押してから絵が出るまでには2〜3秒程かかる。私はD−VHSテープを使っているので2〜3秒だが、 S−VHSテープを使うとこれが遅くなるらしい。 サーチは、解像度が落ちた画像がパラパラと表示される。 サーチを始めて絵が出るまでには時間があり、絵が出た時には30秒位進んでたりする。 以上から、レスポンスではアナログビデオが上だということが言える。 CMカットしながらの録画をしてみた。つなぎの部分では、絵が2秒程フリーズしてつながる。 本機の自動CMカットは、番組がモノラルか二重音声でCMがステレオの時に作動する。 自動CMスキップは、番組がステレオでも動作する!これはすごい! D−VHSは特殊再生がぬるいと言われていたが、あまり気にならないと感じた。 ― デザイン ★★★ ―10年前のビデオですか?くらいの勢いだねこりゃ。製品的には時代の先端を行くデジタルビデオなんだから、先進的なイメージが欲しかった。 ただ、質実剛健的な感じが出てるのはいい。 ― 総評 ★★★★★ ―BSデジタルを切り離し、従来のS−VHSデッキの高画質版という位置付けで、低価格のD−VHSを出してきた日立には、潔さと、D−VHSを広めたいという思いを感じる。 4万円でこの高画質は、誰しも文句は言わないだろう。 圧縮音声のクオリティの高さは、リニアPCMに頼ることなく、高画質録画にも貢献している。 充実のGUI、テープナビ、CMスキップ・・・本機の完成度は高い。 特殊再生に目をつぶることができれば、本機は間違いなくお買得機だ! ― 別れた原因 ―時代の波に呑まれ、DVDレコーダーに乗り換えた。D−VHSの方がランニングコストがかからないが、 DVDの省スペース・ランダムアクセス・劣化がほぼない・ドロップアウトが皆無 といった点が魅力となった。私は保存版にする番組も少ないので、 ランニングコストが高いのはそれほど気にならなかった。 D−VHSで不満だったのは、ドロップアウトだった。 アナログと違って、画面が2秒程度フリーズしてしまうのが興ざめ。 それとDVDはディスクに入っている内容をサムネイル表示できるのもよい。 画質は本機では文句なかった。1年半の間、貴重な映像を安価に高画質で 保存するのに役立った。感謝している。 DVDレコーダーは画質を妥協するのを覚悟で購入した。 Yahoo!オークションで売却。 |