オンキョー TX−L55    定価\70,350 (2004年7月発売、使用期間04年7月〜05年12月)


 高音質&落ち着いたデザインの薄型デジタルアンプ




    主な特徴

 1.デジタルアンプ採用、薄型ながら80W×6chを確保
 2.大型電源トランス、アルミパネル採用
 3.ダブルバス回路、シネマフィルター回路など多彩な音質調整が可能
 4.あらゆるサラウンドフォーマットに対応


    音 質   ★★★★

 まずソースダイレクトの2チャンネル再生から。
 ケミストリーを聴く。声がはっきり聞こえる気がする。
 低音のインパクトも十分。締まりのある低音で、
 ウーハーをしっかりコントロールできているようだ。

 高音の響きも問題なし。スピッツ、中島美嘉などは不満なく聴けた。

 私は本機が初めてのデジタルアンプなわけだが、
 アンプの増幅方式うんぬんにおいて、差があるとは思えなかった。
 すくなくともアナログ方式に比べて悪いということはない。

 本機には「ダブルバス回路」が搭載されており、
 メインスピーカーに加えてサブウーハーからも低音を再生する
 モードがある(ヤマハの「BOTH」設定と同様のようだ)。
 サブウーハーのクロスオーバー周波数が60・80・100・120・150Hz
 と選択できるので、これと合わせれば低音が不足気味な時に効果的だ。
 シルバースタジオ1が優秀なのもあって通常では必要ないが、
 平原綾香やオーケストラなどはダブルバス回路をONとした方が良かった。

 続いてサラウンド再生。
 「ラストサムライ」「グラディエーター」「モンスターズインク」などを見たが、
 力強い再生音で、見た目から来る不安感などはない。
 本機は音場処理を加えないストレートデコード再生なわけだが、
 確かに音場の広がりはヤマハより狭いものの、直接音がストレートに
 飛んでくる感じは良い。まあこの話は音場処理の是非であって
 アンプ自体の評価とは別問題だと思われるので、ここでは止める。
 ソースがPCMでは使えるのに、ドルビーデジタルやAACでは使えない
 音場プログラムがある。Neo:6やオーディオ系プログラムがそれにあたる。
 大した問題ではないかもしれないが、気にはなる。

 「シネマフィルター回路」が装備されている。
 劇場用に高域が強調されたソースをなめらかに再生する機能だが、
 ON/OFFしても差は僅か。高音が耳についたらONにすればよいと思う。

 トーンコントロールは−12〜+12dBまで2dB刻みの調整。
 2dB刻みというのは少々粗くて使いづらい。
 調整の質もあまり良くない気がする。まあ使ってないから良いが。


    デザイン   ★★★★

 アルミパネルを使った前面パネルは剛性が高そうで高級感がある。
 下部が微妙に手前にラウンドしているのも好きだ。
 その代わり天板がベコベコなのはいただけない。
 もっともアンプだから、天板はフタの役割だけなわけで、まあ大目に見る。
 ボリュームノブも金属製で、感触も適度な重さがあって良い。

 インプットセレクタと音場セレクトボタンが光っているが、
 まあ悪くはない。ライトの明るさは3段階に調整でき、
 最も暗くするとセレクトボタンのライトが消える。
 ディスプレイ部の字はオレンジ系が多いが、ブルーなのは良い。


    操作性等   ★★

リモコンがデカイ。そしてボタンの数が多過ぎ。
ここまでボタンが多いリモコンは初めて見た。
まあ普段使うボタンは限られているとはいえ、
もうちょっと減らせたのではと思う。
そのくせよく使うインプットセレクトや
音場プログラム選択ボタンが小さい。

リモコンで他社製の機器が操作できるのが普通だが、
本機ではテレビとDVDプレイヤーに限定されるのが残念。

本体表示部には、普段は入力ソースと音量が
大きく表示される。ソースダイレクトや、ドルデジ、
プロロジUといったプログラム名もその上に表示されているが、
文字が小さく、30cmくらいまで接近しないと読めない。
こんな程度では表示の意味がないのでは?と思ってしまう。
 本機の入力は「DVD」「TV」「VIDEO1」「VIDEO2」「AUX」
 となっている。「CD」「MD/TAPE」といった名前はない。
 今はCDを聴く時は「VIDEO1」を選んでいる。
 細かいことかもしれないが、何とも気持ち悪い。


    その他   ★★

 本機は発熱がかなりある。アナログアンプ以上だ。
 ボリューム付近が特に熱く、触れていられないほどになる。
 AVアンプとしての評価に直接響くことではないが、少々不安になる。
 ファンをつけなかったのは良いのか悪いのか。
 なお動作音などは一切聞こえてこない。

 初期設定時は「スピーカーディテクト機能」がある。
 どのスピーカーが接続されているか瞬時に検知して
 各chのスピーカーの有無を設定してくれる機能だ。
 ただ当然各chのラージ・スモール設定は後で行う必要があり、
 結局各chのスピーカー設定をすることになる。
 二度手間で、あまり役に立ってない気がする。

 スピーカー端子は、メインのみネジ式であとはワンタッチ式だ。
 ネジ式といっても安っぽく、少しグラグラする。ちょっと心元ない。
 ワンタッチ式の方はスピーカーケーブルを差し込む口がかなり小さく、
 私の使っているケーブルはギリギリだった。要注意である。


    総 評   ★★★

 薄型アンプを選ぶにあたって本機に決定した理由は、
 ONKYOブランドということで高音質だろうという信頼、
 高級感のあるデザインの2点であった。
 音質に関しては、パワフル再生音で満足だ。
 デザインも予想通り高級感があってしびれる。

 しかしその他の点では詰めの甘さが気になった。
 本機には、パイオニアやビクターの自動音場設定機能も、
 デノンのバーチャル再生機能も、ヤマハの豊富なDSPがあるわけでもない。
 それだけに、スピーカー端子の剛性や操作性という、
 ベーシックな部分の完成度の高さが欲しかったという気がする。




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