<AVアンプ>

  YAMAHA DSP-AX530   定価\52,000 (2002年3月発売、使用期間02年5月〜04年7月)

最新の高性能32bit浮動小数点演算方式LSI“YSS-938”を搭載したヤマハAVアンプの新ラインアップ。

DSP-AX530


○主なスペック

  1. 全チャンネルディスクリート構成のアンプ、定格出力75W×5
  2. 計23種類の音場モード、圧倒的な臨場感を創出するフルスペック・シネマDSP
  3. 6.1CH対応(バーチャル)、ドルビープロロジックU、AAC等に対応
  4. ヘッドホンでDSP効果が楽しめるサイレントシアター

― 音質 ★★★★★ ―

基本的な音質は良好です。 前モデル、DSP-R795と比較すると低域がやや落ちたかなと
いう気はしますが、安いモデルだからという音の安っぽさは感じません。
今は部屋が狭い(6畳)、スピーカーはブックシェルフなので、それで不満を感じないのかも?
部屋が大きくなってきたらスピーカーのドライブ能力に不満が出てくるかもしれないですね。

シネマDSP。 これは今さら言うまでもありませんが、素晴らしい。
映画など、ストレートデコードではスピーカーに音が張り付いている感じなのですが、
DSPをオンにするとフワッと音が広がり、 心地よい音空間ができあがります。
もうDSPなしには戻れません。
特に部屋が狭い時は有効だと思う。

ドルビープロロジックUですが、 まず「Movie」モードについて。
ストレートデコードに比べ、音場感が広がります。
音楽が画面の奥に広がり、リア側も広がり感が出ます。
シネマDSPと比較すると、演出傾向があります。
シネマDSPの方が安心して聴いていられる、という人もいるかも?
サッカー中継などでは「TV SPORTS」よりプロロジUの方が 歓声などの効果が大きいか。
プロロジUは、オンキョー等、DSPを持たないアンプではかなり有用でしょう。
次に、「Music」モード。
2CHの雰囲気を残したまま、自然に5CHに広がります。
センターにあまり音を分けていないので、前方はメインスピーカーの音が残ります。
リア側にも音はあまり回っていません。「Movie」モードと正反対に、
演出は控えめといった感じで、 長時間聴いていても疲れることはまずないでしょう。
私、好きですこのモード。
また、2CH派の方でも「これなら5CHで聴く気になる」かも?しれません。

リアスピーカーがなくてもサラウンド効果があると話題の 「バーチャルシネマDSP」、
私には必要ないんですが、バーチャル音源技術がどれ程なのか試してみました。
フロントLRとサブウーハーのみを使用することにし、「U−571」「マトリックス」 を視聴してみました。
オンにすると、確かに多少とも広がり感が得られます。
しかし、後ろから音が聴こえてくる訳ではない。
フロント2本のみで、包み込むような感じ を出しているようです。
ただ、以前のバーチャルにありがちな逆相感(不自然な感じ)はなく、
これはオンにしていて間違いないと思いました。
2CHとの差は劇的なものではなく、従ってフロント2本の
スピーカーによる音を磨いておくべきでしょう。
テストが終わって、5.1CHの音を聴いたら、やはり明確な音の定位、立体感!
バーチャルはあくまでバーチャルか・・・まあ必要ないからいいけど。

次に、本機では6.1CH系への対応としてバーチャル6.1がある。
2本のリアスピーカーの真ん中にリアセンターの仮想音源を定位させるというもの。
まずドルビーデジタルEX収録の「A.I. 特別版」で視聴。
結論から言えば、差が分からない。もっともA.I.はドラマ性の高い内容であり、
リアに大きな音が回ること自体あまりない。よって、
DTS−ES収録の「グラディエーター」の戦闘シーンを中心に視聴してみた。
結論から言えば、やっぱり差が分からない。
6.1にすることで音質が劣化するとかでもないので、6.1収録ソフトではONで間違いないけど。
6.1自体が意味がないのか、バーチャルだから意味がないのか、それは定かではないが、
とにかくこのアンプの“バーチャル6.1”はあってもなくてもいい?!

― ヘッドフォン ★★★ ―

ヘッドフォンを使用する時には、スピーカー設定に注意しなければならない。
ヘッドフォンにはフロントLRの信号が出力されるのだが、
フロントLRの「LARGE」「SMALL」設定がヘッドフォンの音質に反映するのだ。
フロントのスピーカー設定を「SMALL」とすると、ヘッドフォンの音も90Hz以下の成分が抜けて、
軽い音になってしまうのだ。これはヤマハAVアンプの悪い伝統なようである。
ヘッドフォンの音を「SMALL」で聴く訳がない。
ヘッドフォンでは自動的に「LARGE」設定になるようにするべきだ。
しかも本機では、ヘッドフォンを挿したまま「LARGE」「SMALL」を切り換えても、
それが音に反映されない!これでは低音が出てないとは知らずに「なんか軽い音だなぁ」と思って
不満を持ちながら使っている人もいるであろう。(実際私はなかなか気付かなかった)
さてフロントを「LARGE」に設定したその音は、なかなか力強い音で、良好である。
ヘッドフォン専用のトーンコントロール機能はヤマハ独自の機能、重宝する。

ヘッドホンをしていてもDSP効果が得られると話題の 「サイレントシアター」、期待していました。
DSP効果は、確かに通常のヘッドホンの聴こえ方とは違うが、 スピーカーで聴いてる感覚とはまた別。
オンにすると立体感が出るような気はするのだが、 逆に音の鮮度がなくなってしまう・・・。
正直、「ツカえない」!!
私はヘッドフォンで聴く時はサイレントシアターはOFF、普通のヘッドホンの音を 聴くことにしようと思う。
「ドルビーヘッドホン」は、 ホントにスピーカーで聴いてるような音がして驚いたものだったなぁ・・・

― 操作性 ★★★★ ―

本体は必要最小限のボタンを配置。まあリモコンしか使わないからよいだろう。
本体のディスプレイは表示される情報が多く、分かりやすいと思う。
ただ、本機は電子ボリュームのため、ボリュームのノブの位置では音の大きさの 目安がわからない。
よって、急に大きな音がしてびっくりすることがある。
ボリュームの目安は本体のディスプレイに小さく表示されている。
さてリモコン。ヤマハAVアンプの新シリーズから、リモコンの形状が変わった。
以前は横幅がないスリムなデザインだったが、それがある程度横幅がある一般的なものに なった。
ボタンが少し大きくなって、押しやすくなったと感じている。
入力機器、音場プログラムには独立してボタンが与えられていて、これも◎。
他、特に不満はない。

― デザイン ★★★ ―

本機の外観は低価格だけあって、アルミパネルとはいかない。
それは残念だが、それを求めるのは酷というもの。
あ、でもONKYOのTX-SA500(\43,000)はアルミフロントパネルだった。
本機はアルミではないが、見た目のバランスはいい。
シンプルなデザインだけに、それほど選り好みもないだろう。

― 総評 ★★★★ ―

音質について言えば、低価格化の弊害は感じられなかった。
シネマDSPの効果は絶大、 重度のAVマニア(俺は違う?)とか、
ごっつい広い部屋でAVやってる人でもなければ不満はないのではないか。
最新の音声フォーマットにもきっちり対応し、 多くの音場プログラムを楽しめる。
サイレントシアターは期待外れだったが、それを除けば不満はない!




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