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パナDMC-LX2使用レポート
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(2007.9.3) |
「ねぇ、俺のFinePixと君のデジカメを交換してみない?」 先日、友人N口氏にそう切り出したところ、OKをもらった。 N口氏のデジカメはパナソニックのDMC−LX2である。 私のFinePix F31fdと、40日間ほど交換して使うことになった。
昨年から、デジカメ画像を大画面で見ることの楽しさにハマっているが、 (→「デジカメとAVが融合する日」) 私の場合の“大画面”とは16:9アスペクトのプロジェクターである。 その画面に映し出す画像はやはり16:9がいいに決まっている。 一般的な4:3、あるいは3:2というアスペクトでは左右に無画部分が 残ってしまい、多分にもどかしさを感じてしまうのだ。 16:9アスペクトで撮影できるモードを持つデジカメも増えてきたが、 標準が4:3で、16:9撮影の時は上下をカットして対応する機種が多い。 その点、このDMC−LX2はCCDから16:9にして、これを標準に据えている。 4:3撮影をするときには左右をカットして対応するという、 「オラは16:9で行くんだ!」という明確な意思を感じる機種である。 CCDから16:9にしているのは、あまたあるデジカメの中で 目下この機種シリーズだけである。 おまけに、28mm広角レンズも採用しているんだからすごい。 CCDからワイドになっているのに、広角レンズとくれば 16:9ワイドアスペクトを生かした写真が撮れる。 DMC−LX2は16:9アスペクトでの撮影を考えるならばまさに最適な機種だ。 私がここ2年間使ってきたフジのFinePix F10、F31fdという高感度シリーズとの 比較にて、そのパフォーマンスをお伝えしようと思う。
レンズは繰り出し式の光学4倍ズーム。 レンズ部はOFF時でも本体から2cm程度出っ張っていて、カバンへの収まりは あまりスマートではない。取り出す時には引っ掛かるときがある。 レンズキャップも手動での取り外しで、面倒だ。 本体は金属で剛性が高く、コンパクトデジカメというカテゴリーの中での 高級機種の位置づけにふさわしい造りになっている。 撮影アスペクトを16:9、3:2、4:3から選ぶ、 フォーカスをオート、マクロ、マニュアルから選ぶ、 いずれもメカニカルスイッチがレンズ鏡筒部に設けられているのは マニア心をくすぐる仕掛けだ。
電源を立ち上げ、液晶モニターを見てすぐに実感できるのが、 「画角広っ!!」 今までの経験から来る感覚で、「ここで構えると大体この範囲がカメラに収まる」 という感覚を2回りは上回っている。正直驚かされた。 まあそうだ、広角レンズだけで一回り画角が広がっているのに加えて ワイドCCDで左右が広がっているのだから。 その様子を上の写真で見てほしい。下段の写真の方が左右にも上下にも 広い範囲が写真に収まっていることが分かるだろう。 横長のアスペクトともあいまって、迫力があり臨場感の高い写真になっている。 また、人間の視界は横長で、かつ180度近い視野角があるため、 16:9かつ広角で撮った写真は、自分がその場にいた時の感覚を より鮮やかに思い出させてくれる。 大画面で見ると、その魅力は倍増する。 80インチのワイドスクリーンぴったりに映し出されるワイドな写真は、 もう素晴らしいの一言だ。旅行の写真を見ると、その時、その場所での 風や暑さまでもが蘇ってくるような気すらする。 一度この快感を知ってしまうと、16:9×広角は病み付きになる。 そして、右端にいる人が上段では画角からはみ出して消えてしまっている。 画角に収めようとすれば、撮影位置をさらに後方にしなければならない。 しかし、後ろに下がろうとしても下がれない時がある。 柵があったり、崖だったり、人がいたり、室内では壁があったり・・・ そんな時でもLX2は十分に対応できる。 特に威力を発揮するのは大人数での集合写真の時だ。 カメラの位置が近くても撮影範囲内に楽に収めることができる。
と、昼間の屋外ではLX2は非常に素晴らしいパフォーマンスを示した。 しかし、光量が不足する屋内では様子が違ってくる。 AUTO撮影の場合、屋外ではISO100〜ISO200程度で撮影が可能だが、 屋内ではISO800程度に上がる。この場合の撮影画像はノイズが多い。 もともとISO200程度でもノイズが多いかな〜という印象なのだが、 それがISO800だと目立って、ザラザラ、ボソボソとした画像になる。 平坦部では色ムラのような色ノイズも目立つし、 ディティールも曖昧になって、なんだか眠い絵になる。 ISO800の絵は個人的には使えないと感じた。 かと言ってマニュアルでISO200に固定して撮影したりすると シャッタースピードが1/10秒、1/6秒、1/3.2秒とかになって、 手ぶれがひどくなってしまう。ここまでシャッタースピードが遅いと 光学手ぶれ補正の補正量を超えてしまうのだろう。
そして、人物のような「動く被写体」の場合、このシャッタースピードの 遅さが「被写体ブレ」を引き起こす。この被写体ぶれは予想以上に大きく、 かなり半端な写真が何枚も撮れてしまった。 画質の点でISOを上げたくない、シャッタースピードを早くしたい、 と思って苦しまぎれにフラッシュを焚くと、見事に白飛びしたり、 白みがかってその場の雰囲気が残らない写真になってしまう。 「暗いところで写真を撮るのは難しい」というのはLX2にもやはり当てはまる。 それから、屋内ではホワイトバランスがイマイチ合わなかった。 白熱灯下ではどうも緑がかった画像になってしまって、 その場の雰囲気が残せなかった。
上で述べたことは、FinePix F31fdでは見事に解消される。 CCDから作りこんだ高感度であるから、ISO800でも十分な画質が維持されている。 各種ノイズが少ないし、それでいてディティールが細部まで残っているのは 感動的ですらある。F31fdのISO800は、LX2のISO200と400の間くらいの感覚だ。 ISO800ではシャッタースピードは遅くても1/10秒、普段は1/30〜60秒程度。 だからひどい手ブレも発生しないし、被写体ブレも最小限に抑えられる。 ISO200でも、LX2に比べれば数倍速いシャッタースピードになっている感覚だ。 シャッタースピードというのは鮮明な写真を撮るためには非常に重要な要素で、 例えば1000万画素のカメラで撮っても、その画像がボケていたら それは1000万画素の情報量を持っていない。 300万画素のカメラで撮ったのと同じになってしまうのだ。 1000万画素のカメラは、手ブレ・被写体ブレが0の時だけにしか1000万画素の パフォーマンスを発揮できない。そんな状況は快晴の日の屋外にしかない。 F31fdは630万画素だが、シャッタースピードを早くできる分、 630万画素の情報量をどんな場面でも発揮しやすい。 LX2は1020万画素、F31fdは630万画素。数字上ではLX2の圧勝なのだが、 屋内で撮れる写真はF31fdの方が圧倒的に鮮明で情報量が多かった。 F31fdでもシャッタースピードが1/10秒ではさすがに手ブレ・被写体ブレも 分かってくる。そこでフラッシュを焚くのだが、F31fdは「iフラッシュ」という、 フラッシュ光量を調節してくれる機能を搭載している。これが、結構ツカえる。
上はメーカーサイトの引用だが、実撮影画像もこれに非常に近い パフォーマンスだった。これならフラッシュを焚くこともあまり 思いとどまらなくてもいいかもしれないと感じる。
ワイドCCD+広角レンズ+16:9液晶モニターを持った唯一のデジカメ、 DMC−LX2はずっと気になっていて、それを借用することができたのは 非常に嬉しかった。そしてそのパフォーマンスは期待通りだった。 LX2は屋外での撮影にはまさにもってこいの機種だった。 720×480画素/30fpsで撮影できる動画も、これまた素晴らしいものだった。 光量が不足する屋内では、ワイドで広角という長所以前に基本的な 撮影能力が問われるため、LX2は力を発揮できない。 そこはCCDから作り上げた高感度画質が売りのフジのまさに独壇場だ。 シャッタースピードを確保しながら情報量の多い画像が撮影できる、 フラッシュを使っても自然な画像が撮れる、これはこれでやはり素晴らしい。 屋外撮影ならばLX2。風景は雄大に撮れるし、集合写真もラクラク。 屋内撮影ならばF31fd。特に結婚式やムーディーな飲食店では最強。 デジカメを2台持って、使い分けられたらいいよね。 そう思ったら、LX2オーナーのN口氏はF31fdを購入していた! さすが金使いが荒い・・・いや男らしい決断をするN口氏! でももっと思うのは、 「ワイドで広角で高感度に強いデジカメないの?」 それには松下が高感度画質を強化するか、フジが広角に対応するか、 どちらかである。それが出たら速攻購入間違いなしなのだが。 |