エディがAV(オーディオ・ビジュアル)やホームシアターに関して熱く語る


ハイビジョンレコーダー想2006春

(2006.4.2)


 地上デジタル放送のパススルーが開始されたことを受け、
 急遽ハイビジョンレコーダーを購入したことの報告と、
 HD−DVDプレイヤー発売に関するコメント等を語る。




    ハイビジョンレコーダー購入

 その知らせは、突然やってきた。
 3月中旬頃、現在住んでいるマンションのCATV業者から通知が来た。
 「4月1日、地上デジタル放送パススルー開始。」
 これを読んだ途端に心拍数が上がり、諸手を挙げて喜んだのであった。
 それと同時に、ハイビジョンレコーダーの購入が決定した。
 
 ハイビジョンレコーダーについては、2005年末に特集を組んだ。
 (「ハイビジョンレコーダーはどれを選ぶ!2005年冬」
 その時は結局東芝・パイオニア・ソニーの3つが残り、
 最終的にはコストパフォーマンスの高さが決め手となり東芝を選んだ。
 今回は実際に購入するということで、店頭で実機を見て&触れてみた。
 
  

 まずパイオニア。操作レスポンスがよろしくない。
 番組表、ホームメニュー、画面表示、全てがリモコンボタンを押してから
 0.5秒以上のラグがあり、なんとももどかしい。
 またデジタル放送コンテンツのダビングの際にはチャプター編集ができない。
 私は結構ダビングを行う方で、しかもCMカットやシーンを抜き出すなどの
 編集をマメにやる方なので、これは痛い。
 
 続いてソニー。XMB(クロスメディアバー)の操作レスポンスは素晴らしく、
 種々の操作がまさに“ストレスフリー”。番組表の表示も速いし、
 随所にフェードイン・フェードアウトが盛り込まれたGUIが美しい。
 XMBをインターフェースの中心に据えたことで、リモコンのボタン数も
 少なくなっており、操作のしやすさの点でも良い。
 2パスエンコードがあったりフォトスライドショーができたりと機能満載だが、
 ダビングの際にマニュアルで録画レートが設定できず8種類のレートから
 選ばざるを得ないのが、ダビングをよく使う私としては残念。
 
 最後に東芝。一見してリモコンのボタン数が多く、しかも小さい。
 操作レスポンスはパイオニアよりは良い。
 驚いたのが、「番組表」ボタンがない。「番組ナビ」を押してから「番組表」を
 選ぶという2アクションが必要だ。メニュー操作からオンエアに戻る時に
 「戻る」を押しても戻らない時があり、この時は「終了」ボタンを押さないといけない。
 この辺りは直感と異なるところで分かりにくい。
 相変わらず東芝のコストパフォーマンスはすごい。
 東芝XD91は400GBで72000円前後なのに対し、
 ソニーD70は250GBなのに80,000円前後(価格.com調べ)と、
 「価格はハードディスク容量に比例する」という定説を覆す状況である。
 
 価格.comの掲示板を見ると、ソニーの不具合の少なさが目立つ。
 価格が違うため購入者数も異なるが、東芝は比較するとやや多い。
 「録画できてなかった」とか、「ダビング失敗」とかの事態は避けたいところである。
 
 結局、XMBの操作性、高画質ダビング、安定性を重視し、
 値は少し張るがソニー「RDZ-D70」を選んだ。
 ヨドバシで91,000円のポイント21%と、価格.com以下の値を出していたので
 ヨドバシで購入した。



    コピーワンスは最低

 ハイビジョンレコーダーを選ぶ時に、HDD容量はいくつにしようかと
 頭を悩ませたわけだが、ここでコピーワンスが非常に重要というか
 うっとおしい存在であることに再び気付かされた。

 DVDドライブを搭載したハイビジョンレコーダーでは、
 HDDに録画したハイビジョンコンテンツをDVDに移すと
 当然ながら画質はSDレベルに落ちてしまう。
 しかもDVDには「ムーブ」という形で、HDD上のデータは消去される。
 だから、ハイビジョン画質を楽しむためには、大容量のHDDを
 搭載したレコーダーを選んで、DVDにはダビングしない、
 という使い方が最も良い方法ということになる。
 
 しかし、HDDは「壊れることが前提」のシロモノであり、
 しかもその壊れる「時期」がいつだか分からないという、
 非常に不透明なものである。だから一般には、
 HDDに録画したコンテンツは早めに外部メディアに移すことが望ましい。
 そういう意味では、HDDは録画コンテンツの言わば「仮住まい」的な
 場所であるから、あまり大きな容量は必要ないとも言える。
 
 ここまでで、矛盾する要素があることはもう明らかだろう。
 HDDに録画したコンテンツをずっとハイビジョンで楽しみたいと思えば、
 HDDがクラッシュして録画ライブラリが泡と消えるリスクをはらむ。
 それが嫌でDVDにダビングするとハイビジョン画質ではなくなる、というジレンマである。
 
 これを解消する方法はいくつかある。
 まずデジタルチューナーを2つ搭載したHDD/DVDレコーダーを買うことである。
 2つのデジタルチューナーで同じ番組を録画する。
 1つは早めにDVDにムーブしたとしても、もう片方がHDDに残るので
 ハイビジョンを楽しむことができ、仮にHDDがクラッシュしてもDVDは残る。
 ただ、HDDがクラッシュした時点で、ハイビジョンで見ることはできなくなる。
 Wデジレコーダーはシャープと日立が出しているが、どちらも比較的値が張る。
 
 あとはBlu−rayディスクレコーダーを買うという手がある。



  安心してハイビジョンが楽しめない 

 ハイビジョン放送をハイビジョンのまま保存できるBlu−rayレコーダー、
 ソニー、松下が単体機を、シャープがHDDとのハイブリッド機を出している。
 しかしどれも20万くらいするし、ディスク自体も1枚が4桁(今いくらになってるのかな?)
 するし、まだ黎明期でマシン自体が洗練されていないし、
 何よりHD−DVDとの規格争いがある状況では手は出しにくい。
 
 その他、D−VHSにムーブする方法。D−VHSは統一規格であり、
 安価なテープを使ってハイビジョン画質のライブラリが作れるが
 D−VHS機市場自体は小さく、今やビクター1社が最後の砦を守るのみ
 といった状況で、いったいいつまで再生機器があるか分からない。
 
 こうやって考えてみると、ユーザーが安心・手軽にハイビジョン放送を保存できる
 方法は現在ないのである。2000年にBSデジタル放送が始まり、
 2003年に地上デジタル放送が始まり、ここにきて全国に普及してきているという
 状況なのに、今でも安心・手軽にハイビジョン録画ができないというのは
 冷静に考えると腑に落ちない事態である。
 
 こうなってしまったのは、技術的うんぬんよりはコンテンツ製作者、
 まあ具体的に言えばハリウッドの強権発動や、
 Blu−ray×HD−DVD戦争に見られるメーカーのエゴが原因だろう。
 そこには「消費者不在」の議論しか存在しない。
 ハリウッドの圧力によって生まれたコピーワンスの仕組み、
 規格戦争によって市場に複数のメディアが出回る、
 このような消費者に不便を強いている状況は、新規格の普及が
 遅れるなどして結局は自らの不利益になっていくのではないだろうか。
 かつてのVHSのように、共通規格で、多くのメーカーが作ることで
 消費者の選択肢が広がり、安価に手軽に楽しめる、そういった状況を
 メーカーが協力して作り出していかなければならないと思う。



    HD−DVDプレイヤー発売

東 芝
HD-XA1


(売価 90,000円前後)


世界初「HD−DVD規格」準拠のプレイヤー

 そんな中で遂に発売されてしまったHD−DVD陣営初のマシン。
 これでハイビジョンディスクの規格が市場に2つあるという状況になり、
 これをきっかけにBlu−rayとHD−DVDの激しい陣取り合戦の
 火蓋が切って落とされることになるのだろう。
 
 XA1は再生専用機で、ソフトもまだ2つしかないということで、
 陣取り合戦の先行きは全く不透明だが、正直私としては白けてきている。
 もうBlu−rayでもHD−DVDでもそれ以外でも何でもいい、
 どれでもハイビジョンが録画できるディスクなんだから統一してくれと。

 それに、DVD−RAMとDVD−RWの争いを見れば容易に想像が付くが、
 いずれBlu−rayとHD−DVDが両方再生できるコンパチブルドライブが
 出てくるだろう。そうなると、もはや2つの規格があること自体に意味がなくなる。
 同じ12cm径ディスクだから、Blu−ray、HD−DVD、DVD−RAM、
 DVD−RW、DVD+RW、DVD−R、DVD+R、DVD−DL、DVD+DL、
 それにCD−R、CD−RW、全部使えます!ってことになって、
 消費者としてはダチョウ倶楽部の上島のごとく、帽子を叩きつけて
 「いい加減にしてくれ!」
 と叫びたくなる事態になるのだ。考えれば考えるほどため息が出る。
 
 ひとまず、私はしばらく傍観する。
 信頼の置けるメディアとして再生互換性の高いDVD−RWを選び、
 コンテンツを保存していこうと思う。