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エディが選ぶ!注目製品2005年秋
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(2005.10.10) |
私は薄型AVアンプ党である。重くてデカくてダサいAVアンプに別れを告げ、 薄くてスマートなAVアンプと一蓮托生なのである。 大きいことで圧倒的な音質差があるならいざ知らず、比較試聴した結果 私が聴いた限り音質差を感じ取ることはできなかった。 そこで満場一致で薄型AVアンプ党に入党したわけである。 (「アンプ、デカイの薄いのどっちにするの」) その薄型AVアンプ、1年前は各社から一気に新製品が発表されていたが、 今年はまだ静かだ。そこにビクターから期待の新製品が発表された。 最大の特長は、「CCコンバーター」の搭載だろう。 これは入力された音楽信号の周波数帯域を最大4倍、ビット数を最大で 24bitまで拡張する技術だ。今までは「AX−V5500」といった高級機に 搭載されるのみであったが、やっとのことで普及価格帯に下りてきた。 思えば今は圧縮音声全盛の時代である。デジタルオーディオプレイヤーの 爆発的普及に伴って、MP3やWMAといった圧縮音声ソースが幅を利かせ、 DVDにはドルビーデジタルやDTS、デジタル放送ではAACが使われている。 圧縮音声は人間の聴覚特性を利用してうまく「だます」ことでデータ量を 削減しているとはいえ、劣化が確実に起きている。CCコンバータはこれを CD相当の音質まで引き上げる。CD等のリニアPCMソースに対しては サンプリング周波数・ビット数をさらに引き上げるのだ。 DVDに対しての効果を以前に試聴したことがあったが、予想以上の音質差に 驚いた記憶がある。CCコンバータをON/OFFすると、 圧縮音声が薄っぺらく聴こえ、それに肉が付き、スケール感が上がり、 低音から高音まで一枚ベールが剥がされたような印象だった。 2つ目の特長はHDMI端子と、ファロージャ製I/Pコンバータの搭載だ。 10万円以下のAVアンプにHDMI端子が搭載されたのは 松下の「SA−XR70」以来2機種目となるが、XR70はHDMI端子を 備えた機器との連携を想定しており、入力される映像信号をそのまま スルーさせているだけだった。D701はコンポジット、S端子、D端子からの 入力をHDMIに変換してくれるうえ、インターレース信号をプログレッシブ信号に 変換する際にはファロージャの定評あるDCDi技術を使うとのことで、 高品位な映像信号をHDMIで伝送することができるようになる。 現在使用中の液晶プロジェクター「LP−Z2」のI/P変換が下手なので、 AVアンプで上手く変換してくれて、さらにHDMIで出してくれる本機は 非常に魅力的だ。 他にも、Ver.3に進化した独自のデジタルアンプ技術「DEUS」の搭載で 薄型の筐体ながら130W×7chという大出力を確保した。 iPodやPCからの音楽をデジタルのまま入力・再生できるUSB端子、 拍手一発で瞬時に各チャンネルのレベル調整が完了する「スマート・サラウンド・ セットアップ」、センタースピーカーの音像を持ち上げて画面中央に定位させる 「センターチャンネル・アライメント」、ヘッドフォンでもサラウンド効果を楽しめる 「3Dヘッドフォン」、TI製64bitDSPにて圧縮音声のデコードや音場プログラム などの処理を高精度に行えるなど、まさに盛りだくさんの内容だ。 筐体も薄過ぎず適度な厚みがあり、青いノブ、アルミパネルと、デザインも良い。 私の中では既に購入が決定している。
現在のデジカメ市場で注目されているのが「高感度」という言葉である。 その発端となったのは、「光学式手ぶれ補正」を武器に躍進を果たした 松下のLUMIXシリーズである。光学式手ぶれ補正の重要性というのは 各所で語られていることかもしれないが、改めて触れさせてもらう。 画像がボケるのは、カメラと被写体の位置関係が変化することで 隣接しているCCDの画素の間で情報のクロストークが生じるからで、 このクロストークは画像にローパスフィルタをかけることと同じである。 ローパスがかかるということは画像の細部の情報が削られることになる。 つまり、500万画素のカメラで撮った画像がボケていたら、それは500万画素の 情報量は持っておらず、300万画素、ひどければ100万画素相当のカメラで 撮ったことと同じになってしまうのである。高画素のカメラの方が 情報を記録する能力が高いことは間違いないが、その能力を十分に生かす ことができるかどうかは、ボケのない画像を撮れるかどうかにかかっている。 カメラと被写体の位置関係がズレやすいのは、シャッタースピードが遅くなる 時である。レンズを通った光をCCDが受け止めている時間が長いほど、 ズレの影響を受けるリスクが高まる。夜景、室内はもちろん、屋外でも曇りの日は シャッタースピードが遅くなり、ボケ画像を撮ってしまうことが多くなる。 フラッシュを焚けばシャッタースピードが速くなるが、画像が白っぽくなって 色合いが不自然になるし、手前の物体が明るく、背後の物体は暗くなってしまう。 被写体が遠ければフラッシュが届かず無意味だし、そもそも フラッシュは電池の消耗が激しいので多用もできない。 フラッシュを使わず、ボケずに画像が撮れれば最高である。 ボケが生じる原因には、手ぶれ、被写体ブレの2つがある(ピンボケは除外した)。 松下は手ぶれにメスを入れた。手ぶれの動きを相殺するようにレンズを 動かすことで、カメラと被写体の位置関係のズレを低減させることに成功した。 しかし、カメラが動かなくても、被写体が動いていたら効果がない。 そこで、手ぶれ、被写体ブレの両方に効くのが「高感度」なのである。 感度が高いということは、光量が少ない夜、室内、曇りの日でも シャッタースピードが遅くなりにくく、ブレの根本原因である 「カメラと被写体の位置関係のズレ」が起きにくいのである。 「高感度」を謳ったカメラはFUJI以外からも登場してきているが、 確かに明るくブレずに撮れているものの、ノイズが多い。 FUJIは独自のハニカム状CCDを搭載しており、これが効いて 高感度ながらノイズの少ない画像を実現している。 画素数は630万画素、液晶モニタも2.5型、500枚撮影可能なロングライフ バッテリーの採用と、デジカメに求められる要素を全て満たしているのでは? というほどのモデルだ。前モデルのF10とF11との差は僅かだと思われ、 私はF10を買おうと思っている。
ビデオカメラ市場において、確実に進んでいるのが「脱・テープ」である。 高画質とコンパクトを低コストで実現するのが難しく、今までDVテープが メディアに君臨し続けてきた。 現在、その牙城を崩しているのがDVD、HDD、SDカードである。 最も普及しているのがDVD(8cm)タイプ。 録画の際に頭出しが不要で、録画したものはすぐにDVDプレイヤーで再生できる。 欠点は高画質モード(9Mbps)で片面20分しか録画できないこと、 ディスク読み込みが遅いことなど。 次いで普及しているのがHDDタイプだ。HDDタイプで今まで一人奮闘してきた のがビクター、そしてMG70は9月に発売されたばかりのモデルだ。 本体に1.8インチ30GBのHDDを内蔵、高画質モード(9Mbps)で実に 7時間以上もの撮影が可能である。DVDでは何枚もスペアディスクが必要 だったところが、本機は手ぶらで行けるようになるだろう。 ただしHDDが一杯になった時点でパソコンに転送するとか、 DVDレコーダーに転送する必要がある。 実は最近、「GZ−MC500」を使う機会があったのだが、使い勝手と 画質の良さに感心した。HDD/DVDレコーダーと同じ操作感で、 録画済みの内容が瞬時にサムネイルで表示され、すぐに再生が始まる。 本体だけで簡単な編集もできる。非常にコンパクトでカバンに入れていても かさばらない。そのくせ、解像度が高く発色も良かった。 ただ難点は画角が狭いことと、本体がかなり熱くなることだった。 最近発表された東芝の「gigashot V10」も、ネット直販限定ながら既に 大きな反響を呼んでいる。ただ6Mbpsが最高で、フレームレートも30フレーム/秒 ということで、画質・動きの滑らかさでは不安が残る。 SDカードで追撃を始めたのが松下の「SDR−S100」だ。 小型化が図りやすいうえ、駆動部分が一切ないのでアウトドア派に最適。 ただ2GBのSDカードでは10Mbpsの高画質モードで25分しか撮影できない。 ということで、操作性を高めつつ高画質・長時間の撮影を行うにはHDD型が 最も適している。ビデオカメラが今後ハイビジョン撮影に対応していくことを 考えれば、大容量が実現しやすいHDD型が最右翼となる。 これからはHDDビデオカメラから目が離せない。
「サウンドプロジェクター」という聞き慣れないジャンル名だが、 今静かなブームを起こしているのがこの製品。 写真のユニット1つだけで、5チャンネル再生を実現するものだ。 というと、「バーチャルサラウンドですか?」とツッコミが入るのだが、 この製品はバーチャルではなく、正真正銘のサラウンド再生をするのだという。 そのからくりは、4cm径のフルレンジスピーカーを40個も配置、 そこに送り込む音声信号それぞれにごく僅かなディレイを与える。 微妙にずれた音の粗密波が、指向性を持ってあたかもビーム状になる。 そのビームを、中央からはリスナーに向け、左右からは壁に向かって 発射する。左右へのビームは横の壁で反射した後、背後の壁に反射して リスナーに届くことで最終的に後ろから音が聴こえるようになるのである。 バーチャル再生では音は前からしかやってこないが、本機は実際に 後ろから音が到達するので、「バーチャルではなく正真正銘のサラウンド」 とヤマハは主張しているのである。 A&Vフェスタで聴く機会があった。ソースはDVD「HERO」。 なるほど確かに後ろから音が聴こえる。しかもバーチャル再生の 不自然さはない。明快な定位を持って聴こえてきた。驚いた。 本機でサラウンド再生をするときには、部屋の形状が影響する。 四角形で、その中央にリスナーがいるという状況が理想的なわけだが、 多少違ってもそれなりに聴こえるのだという。 ヤマハ独自の自動音場補正機能「YPAO」によって調整が自動的に 最適化されることや、L/R/センターの3チャンネル再生を行うモード などを備えることで、状況に応じたサラウンド再生が楽しめる。 ヤマハ得意のシネマDSPも搭載、AAC・DTS・プロロジUxなど 多彩な音声フォーマットに対応、奥行11cmのスリム設計など、 ワンボディながら高いパフォ−マンスを見せる。 安価な5.1チャンネルのシアターパッケージ、あるいは単品で組むにしても、 部屋の中にスピーカーコードが這い回ることは避けられない。 本機は価格は高めだが、1ボディでスマートに確かなサラウンド再生が 行えるのは魅力的。スピーカーコードを敬遠する人、省スペースに サラウンドを実現したい人には薦めたいモデルだ。 |